空に輝く音速の矢(ソニックアローズ) 作:ノア(マウントベアーの熊の方)
暇な時にでも見てやってください。
某年某日、私…秋本 汐梨(あきもと しおり)は、南の拠点、ラバウル基地へとやって来た。
理由としては数週間前まで遡る。
数週間前、私は、かつて所属していた部隊長に、「『第6航空団 第201飛行隊"ソニックアローズ"』へ入隊しないかというお誘いが来ている」と、唐突に告げられた。
もちろん普通の飛行隊員として隼を駆っていた私からすれば、ソニックアローズへの入隊は、階級は変わらないが、事実上の昇進と同義だった。
私はそのお誘いを二つ返事で引き受け、愛機であった一式戦闘機"隼"にしばしの別れを告げ、ラバウルへの定期便へと、荷物を持って乗り込んだ。
ソニックアローズ、通称『SAR』は、Lobiという国際的なコミュニティグループで活動している、古強者…すなわち、『古参』と呼ばれる人々を集めて作られている、搭乗機として、三式戦闘機"飛燕"を使用する、アクロバットチームだ。
これまでにも様々な舞台で演目を披露しており、私も一度、この目で見たことがあった。
感想としては圧巻の一言で、見事に整った編隊、そしてド派手なアクロバット飛行を見せてくれていたのは、今でも脳裏によぎる。
定期便の一式陸攻から降りた私は、まず、これから所属することになるソニックアローズの本部を探すことにした。
一体どんな人たちなのだろう…
そうワクワクしつつ、同時に、自分なんかにあんな飛行ができるのかという心配とプレッシャーが同時に襲いかかってきていた。
そんな重圧に押されながら整備員の人や基地の人などに道を訪ねていると、やがて、大きなツバメのマークに水色の背景の旗が目印の、ひとつの建物にたどり着いた。
「ここが…ソニックアローズの事務所……」
そうポツリと呟くと、重圧が緊張へと変わり、なかなか前に踏み出せずにいた。
それでも気合を入れて、その緊張を振り切ってドアノブをまわし、中へと入った。
するとそこには、2人一緒にスマホでゲームをしている人や、無言のまま筋トレをしている人、とてつもなくいい笑顔でキツネ関連の画像を漁っている人、T-2とT-4ブルーどっちが至高だと口論している人、そしてメガネメガネと言いながら自分のであろうカバンを漁っている人という、個性豊かなメンバーがそこにはいた。
「あ、あのー…ここってソニックアローズさんで間違ってないですか……?」
そう聞くと、先程まで口論をしていた人がこちらを向き、にっこりとした笑顔で、
「はい、こちらがソニックアローズですが…あ、もしかして…新人さん?!」
と、聞いてきた。
「は、はい!秋本 汐梨 一尉、ただ今着任致しました!」
そう敬礼しながら元気よく言うと、他のことをしていた人も手を止め、こちらを興味津々に見てきていた。
すると、先程口論していた別の人が少し前まで歩いてきて、
「統括班長の植田 二佐です、ほら、お前らもしっかり挨拶する!」
と、ほかの隊員に対して怒っていた。
「えーと、1番機、隊長の鳥居です!階級は三佐!よろしくね!」
「2番機、尾島 一尉です、TACネームはFox、よろしくお願いしますね」
「3番機、坂本っちゅーもんです、階級は一尉でTACネームはPixy、よろしくお願いしますわ」
「4番機、副隊長の宮本 三佐です、これからよろしくお願いしますね」
「5番機、ソロの船戸 一尉です、よろしくお願いします」
「6番機、ソロの伊地知(いじち)一尉、よろしく。」
「入隊致しました秋本 一尉です!TACネームはTidoになります!よろしくお願いします!」
そう全員の自己紹介が終わると、ソニックアローズのメンバー全員が目を合わせ、全員がニッと笑ってこちらを向き、
「「「「「「ようこそ、ソニックアローズへ」」」」」」
と、少しバラバラながらも言ってきた。
まとまりは無いが仲は良いのだと言うことを感じ、私は、
「はい!これからよろしくお願いします!」
そう言い、敬礼を返していた。
「さて、荷物整理が大まかにでも片付いたら、これからの相棒を見に行こうか!」
そう割り振られた自室をノックされたと思うと、鳥居 三佐が部屋の前で満面の笑みを浮かべていた。
私は手招きして誘われるがままに後を追い、ソニックアローズの事務所横に佇む、巨大な格納庫へとやってきた。
中へはいると、そこには、銀色ベースに緑の迷彩模様の塗装が施され、横一列に並んだ、7機の三式戦闘機"飛燕"の姿があった。
「わぁ…カッコイイ…!」
「だろう?これがソニックアローズの乗機の飛燕だ、秋本は前まで隼に乗ってたんだっけ?」
「は、はい!そうです、隼に乗っていました!」
「そうか、ならパワーも違うしビックリするだろうな」
そう言いながら、鳥居 三佐は垂直尾翼に大きく1と書かれた機体へと手を置いていた。
その姿は、なんというか、最初のイメージとは違い、とても優しいものだった。
その姿と機体に少し見とれていると、格納庫に、先程のメンバーと整備員らしき人が、全員集まってきていた。
「よし、秋本、これ持って待っとけ!今からイイもん見せてやるよ!」
そう言い、鳥居 三佐は私に無線機をほおり投げ、それをキャッチしたのを見届けてから、機体へと乗り込んで行った。
それに続いて全員がそれぞれの番号が垂直尾翼に書かれた機体へと乗り込み、その場に残ったのは私と整備員、そして植田 二佐だけだった。
「総員、イナーシャー回せ!」
そう植田 二佐の号令でイナーシャーが回され始め、次に、
「発動機起動!」
の合図で、全ての機体のプロペラが一斉に回り始めた。
やがて、無線機からも声が聞こえ始め、私は植田 二佐の手招きで格納庫の外へと出た。
『Rabaul tower, Sonic arrows request field Acro.』
『Sonic arrows, Rabaul tower clear to field Acro.』
そう短くやり取りを終えると、1番機から順に、滑走路へ向けてタキシングを開始した。
やがて、1番機から4番機までがダイヤモンド編隊、5、6番機が2機編隊を組み、滑走路へと綺麗に整列した。
『Take off ready…now.』
その掛け声で、まずダイヤモンド編隊の4機がひとつの乱れなく滑走を開始し、やがて飛行していった。
『5,6,Start mission.』
『Roger,release brake…now.』
その声が聞こえたと思うと、今度は2機編隊が乱れなく離陸を開始し、やがて、
『Roll on…Let's Go』
『5,Let's Go! Let's Climb!』
の掛け声で、2機同時にド派手な機動を始めた。
そこからの演目は、息も忘れる程に美しく、見惚れていた。
…やがて、全ての機体が着陸した時、私の胸は興奮でいっぱいになっていた。
これから、私のアクロバット人生が、幕を開けるのだ。
いかがでしょうか?
ついでに他のも見てってやってください。