ガンダムビルドダイバーズ -once more- 作:雷電丸
シンヤとヨルアの試合が続く中、観戦を続けていたアサバはうんうんと頷いていた。
「よし、決めた!」
「ダメ」
「いや、まだ何も言ってないんだけど……」
唐突に身を乗り出したアサバに、マヒルかピシャリと言う。不服そうに振り返る彼に、マヒルは深い溜め息をついた。
「どーせ乗り込もうとか思ってんでしょ?」
「ソンナコトナイヨー」
「無理に片言にしなくても……」
「ムリシテナイヨー」
「うっっっざいっ!」
「理不尽!」
アサバの言動に苛立ちを隠さず、マヒルはこれでもかと露骨に嫌悪感を示す。ユウはもう慣れた様子で、どちらにも加勢せずにシンヤとヨルアの戦いに視線を戻す。
「戦ってみたくない?」
「ない」
「戦ってみたくなくない?」
「な・い」
しつこく戦おうと誘うアサバを一蹴するマヒルだったが、あることを思いつく。
「じゃあ、アタシとリーダーが敵なら考えたげる」
「それは全然構わないけど……何で?」
「あんたをボコすからに決まってんでしょ」
「えっ、こわ……ユウ、助けてー」
「オイラもボコられるの怖いんで、リーダーと敵になります」
「あれ、味方がいないぞ?」
「ヨルアがいるでしょ」
「んん? 2人ともシンヤと組むの?」
まだ連携の取れないシンヤよりも、ヨルアと組んだ方が断然勝率がいいはずだ。なのにヨルアと組めと言われると言うことは、マヒルには考えがお見通しのようだ。
「シンヤとやりたいって顔してる」
「ご明察」
完全に見透かされていた。ヨルアのガンプラとは何度も練習試合でぶつかってきただけに、予想するのは容易いだろうが。
「それじゃあ、中断してもらいますか」
撃墜にまで至ってはいないが、決着がついたであろう2機に向かって、アサバは通信を試みた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「いいとこだったのによぉ……邪魔すんなよ」
「そんな美味しいのを独り占めさせるわけにいかないだろ」
不満げに口を尖らせるヨルアを宥めながら、アサバは自身のガンプラを熱心に確認する。純白をメインに、センサーは空色で塗られたガンプラ──リゼルブースト。2挺のビームランチャーは背部とアームで接続されており、広い可動域を誇る。また、両碗部には2門ずつグレネードランチャーを備えており、リアスカートにビームサーベルを2本有している。ビームライフルは1挺だけだが銃身が長くなっており、下部にはヒートナイフが追加されていた。
本来のリゼルから様変わりしてはいないものの、洗練されたデザインからアサバの実力が窺い知れる。
「まっ、一番槍は任せるわ」
「ありがたい。向こうも全力で来るだろうから、気を付けろよ」
「テメェのせいだろ」
「あはは、聞こえなーい」
一方のマヒル達はと言うと───。
「ヨルアは間違いなく、アンタの相手をリーダーに任せるわね」
「あの人は自分より上の人には強く出れないからね〜」
「なるほど。つまりアサバさんは……」
「強いよ」
シンヤの言わんとすることを察して、マヒルは断言する。その言葉の重みを受け止めながら、シンヤは先程までの戦いを思い返す。
ヨルアとは真正面からぶつかり合えば間違いなく押し負けていただろう。建物などの小手先を駆使してやっと五分五分になれるかどうかと言ったところだ。そうなると、アサバとの戦力差はあまりに大きいはずだ。
(しかも可変機なんだよね)
高機動がウリの可変機。しかもブースターズのフォース名はアサバが使うリゼルブーストからきているとなれば、素早さは自分の想像よりも高いと思ってかかるべきだろう。
「アタシとユウは前に出るタイプじゃないけど、ヨルアの相手くらいはできるから」
「こっちは構わず、リーダーに専念してていーよ」
「ありがとうございます。でも、マヒルさんはアサバさんをボコしたいって……」
「アタシのガンプラはアレだから、1度地上に降りてきたらよゆーっしょ」
振り返ったマヒルが見上げた先には、ペイルライダーに似た意匠のガンプラが雄々しく立っていた。
「ジーライン・ヘールアーマー。ガトリングマシマシでかっこよくない?」
「えぇ、素敵だと思います」
同意してもらったのが嬉しいのか、マヒルはさらに笑みを深くする。背部から肩の上部と腋の下を通って前に突き出たガトリング砲は上下とも2門ずつの計4本備わっている。マヒルの話では上部は実弾、下部はビーム兵器となっているらしい。一斉に射撃した時の制圧力は言うまでもないだろう。ビームライフルは口径が大きく、連射性よりも攻撃に特化させているのが窺える。
「で、オイラは援護系ね」
ユウのガンプラはジム・ナイトバレト。ナイトシーカーをベースに、遠距離からの狙撃も行える援護に特化したガンプラのようだ。
ナイトシーカーがメインになっているだけあって、胸部と背部のランドセルに合わせて6基のスラスターがあり、さらには脚部にも追加装甲とスラスターを増設し、1度に跳躍して移動する距離を大きく伸ばしている。主武装はスナイパーライフルとなっており、離れた味方の援護も得意のようだ。背部にはランドセルだけでなくレドームを背負っており、左手にはジャミングライフル、両腰には煙幕弾を装備しているため、敵を撹乱する役も担っていることが窺い知れる。
「じゃ、やるわよ。あの2人……って言うか、リーダーをボコる!」
「おー」
「は、はい」
やる気に満ち溢れているマヒルの言葉に、ユウとシンヤは苦笑いした。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
フィールドは先程とは違い、廃コロニーに変更される。ランダムによる結果だが、スナイパータイプのジム・ナイトバレトが身を潜められる場所がいくつかあるだけに、いい結果と言えるだろう。
シンヤのペイルライダーは陸戦重装備型だが、宇宙戦もこなせるように設定されている。ペイルライダーには空間戦闘用の装備もあるから切り替えればいいのかもしれないが、その時間がない時のためにこうして宇宙戦も出来るようしてあった。
「アサバとリゼルブースト、行きます!」
「…ネモ・スラスト、行くぜぇっ!」
「マヒル、ジーライン・ヘールアーマー、出るわよっ!」
「ジム・ナイトバレト、出るよ」
「ペイルライダー、行きます」
2機編成、3機編成の部隊がそれぞれの出撃口から身を躍らせる。リゼルブーストは早くも機動性に富んだモビルアーマー形態に変形し、先行する。
一方、ヨルアはユウからの狙撃を警戒して一旦デブリの陰に身を隠す。恐らくシンヤを気遣って、リゼルブーストへ少なくとも1発は狙撃を行うはずだ。そこからある程度の位置を割り出して近づけば余裕だろう。
「さて、どうだ?」
機体を少しだけ物陰から出し、早くも小さい陰になりつつあるリゼルブーストの後ろ姿を見送る。
「あ?」
しかし、リゼルブーストの真下からビームの光が何発が見えるだけで、狙撃の閃光は一向に現れない。機動性に優れたリゼルブーストを真下から狙うにはあまりにリスキーで、ユウがそんなことをするとはどうしても思えなかった。
「どうなって……!?」
もっと視界を確保しようとネモ・スラストを動かした瞬間、先程まで自分が立っていた場所に灼熱の光が駆け抜けてくる。既の所でかわした──と自慢げに言いたかったが、今のは本当にまぐれだ。
「くそっ! 最初からこっち狙いかよ!」
慌てて隣のデブリに機体を走らせながら、ヨルアは毒づく。奇襲を仕掛けるはずが、逆に自分が受ける羽目になるとは思わず、苛立ちに促されるように舌打ちした。
「ごめーん。ヨルアにかわされた」
「はあっ!?」
「いやー、まさか動くタイミングで撃っちゃうとは思わなくてさー」
「今は?」
「また隠れたねー。細かい位置は分からないけど、1発だけならリーダーに撃てるよ」
ユウの報告を聞きながら、マヒルは旋回を続けるリゼルブーストを睨む。自分とシンヤを中心に、円を描きながら時折ビームランチャーを放つそれに対し、2人は未だに何も放てずにいた。距離を保たれたまま一方的に殴られるのは非常につまらないし、ユウの援護があればありがたいのも事実だ。
「目を離した隙にヨルアに仕掛けられても困るし、煙幕だけお願い」
「アイアイサー」
スコープから目は離さず、ユウは片手で煙幕弾の発射操作を行う。アサバは戦いを楽しんでいるからなのか、ペイルライダーとジーライン・ヘールアーマーから大きく距離を取ろうとしないため、おおよその位置は頭に入っていた。
予め設定していた距離に到達すると煙幕弾は立ち所に爆ぜてはもうもうと煙を撒き散らしていく。
「いっけぇっ!」
4門のガトリング砲が一斉に火を噴いた。立ち込める煙幕が穴だらけになっていく様は、かなり威圧的だ。シンヤもそれに続けとばかりにマシンガンを煙へ放とうとして、白煙を突き破って現れたリゼルブーストに怯んでしまう。
「なっ!?」
「行くぜ、シンヤ!」
まっすぐに迫りながらモビルスーツへと変形し、腕部に備えられたグレネードランチャーを挨拶とばかりに放つ。
シンヤは驚いていたこともあり、マシンガンで撃ち落とすことも回避することもできず、咄嗟にシールドで受け止めた。途端に巻き起こった爆発が、コクピットを揺らす。爆煙によって遮られた視界が晴れた時、目の前にはビームライフルの下部に取り付けられているヒートナイフが振り下ろされようとしていた。
「くっ!」
シンヤもペイルライダーのビームサーベルを抜き、応戦する。鋭利な刃が光刃とぶつかり合いながら、少しずつその向きをペイルライダーのコクピットへと向けていく。
「まさか!?」
狙いを察した矢先、ヒートナイフがコクピット目掛けて射出される。ビームサーベルと競り合っていた武器を自ら手放したことでリゼルブーストのライフルは光刃によって裂かれるが、シンヤはそれを気にする余裕などない。
「この……!」
飛来したナイフを避けるべく、背中から半時計回りに動いてかわし、振り向き様にビームサーベルを抜き放つ。
「かわしたか。やるな!」
アサバも両手にビームサーベルを握り、閃く一閃を受け止める。互いに二刀のビームサーベルを手に、幾度もぶつかり合う。上段から一直線に下ろされる刃を、シンヤは迎え撃とうとペイルライダーを駆る。
ビームサーベルを交差させて受け止め、弾き返そうと試みるシンヤ。しかしアサバの方が早く、右手に握ったビームサーベルを真横から振るう。距離が詰まったこの状態では受けられないと知ると、すぐさま交差した手前のビームサーベルを逆手に持ち替え、真一文字を刻もうと迫る刃を既の所で止める。
「HADESも使ってないのに、よく反応するなぁ」
「それは、どうも!」
自分でもよく間に合ったとは思うが、どれもかなりギリギリだった。今だってまともな受け答えするだけの余力は大して残っておらず、簡素な返事しか出てこない。
「おっと!」
「うわっ!?」
リゼルブーストのパワーが増し、ペイルライダーは弾き飛ばされる。それに一拍遅れる形で、2機の間を一筋の光が走り抜けていく。ジーライン・ヘールアーマーのビームライフルによる攻撃だ。
「避けんな!」
「おいおい、無茶言うなよ」
アサバをボコボコにすると息巻いていたマヒルは、ビームライフルの銃身がオーバーヒートしてしまわないギリギリの間隔でビームを放つ。
1発目をかわし、2発目が放たれる前に変形してその場を離脱。急降下してジーライン・ヘールアーマーの真下に回り込もうとする。
「射角がなんだっての!」
ガコンと音を立てて、下部についたビームガトリングがリゼルブーストがいるであろう真下に銃身を向ける。そして間髪入れずビームガトリングの驟雨が降り注いだ。
「くそっ! こないだまで制限あっただろ」
「お生憎様!」
ジム・ナイトバレトから位置情報を受け取り、背後に回ろうとするのを知ったマヒルは、ガトリング砲を止めて同じように急降下していく。
「マヒルさん!」
シンヤも加勢しようとその後を追いかけていく。視線の先にはジーライン・ヘールアーマーと、その奥にリゼルブーストの姿も視認できる。
「2人して接近戦か?」
まずは進路を切り開こうと、アサバはビームランチャーを放つ。火力の強さを物語るような赤黒い閃光は2機ともに貫くことはなかった。寧ろそうでなくてはつまらないが。
火線によって開いた2機の間を通り抜け、変形したことで機体の後方を向いた腕部からグレネードランチャーを放つ。しかし放ったものは全てジーライン・ヘールアーマーのガトリング砲によってあとかたもなく消し去られてしまった。
「相変わらずいい腕してるよ」
「あんたもね」
離れていくリゼルブーストに向かってガトリング砲で狙いを定めるが、向こうの方が圧倒的に速い。今から撃っても無駄に終わると察すると、マヒルはビームライフルを手放してビームガトリングの砲身から伸びたグリップを握る。
いつまでも離れていてはつまらないからと、リゼルブーストが戻ってきた。ビームランチャーの狙いはマヒルを優先しており、シンヤは火線を掻い潜って接近する。
「取り付かせるか!」
「速い!」
ある程度距離が詰まったところで折り畳んだキャノン砲とマシンガンで進路を阻むように撃つが、ことごとくをかわされてしまう。しかも前に出過ぎたせいで、弾丸を充分に放てずに終わってしまう。
ジーライン・ヘールアーマーも上部のガトリング砲で近付いてくるリゼルブーストを狙うも、やはり機動性を上回るような射撃には至らない。リゼルブーストは身を翻すように後方へ一回転。しかも速度を維持したままモビルスーツへと変形し、ビームランチャーを構えてはジーライン・ヘールアーマーを狙い撃つ。
「チッ!」
マヒルは変形したのを見逃さずすぐさま回避。脇を駆け抜けていく閃光には目もくれず、再びガトリング砲を唸らせる。
「おっと」
アサバもかわされたのを見て、すぐさま身を翻そうとする。しかし食らいつこうと必死に追ってきたシンヤのペイルライダーが追いついた。ビームサーベルを一閃するも、リゼルブーストはあっさりかわしてしまう。そして回避しながら向けられたビームランチャーの銃口が向けられた。
「この距離で!?」
「撃てる時に撃つ!」
近接戦闘の最中に高い火力を誇るビームランチャーを構える大胆さ。それでいてコクピットをしっかりと狙う冷静さも併せ持つアサバ。実力差は、あまりに明白だ。
それでも怯んでやられる訳にはいかないと、必死にガンプラを動かす。左手のシールドに取り付けられたスパイクが伸び、銃口をコクピットからそらす。しかし発射された光芒は直撃こそ免れたものの、脚部のミサイルポッドを貫く。
「まだっ……!」
すぐに切り離して、脚部そのものへのダメージを最小限にとどめる。そうして顔を上げた時には、リゼルブーストはビームサーベルを手にしており、アサバの行動力と判断力に驚かされる。
ペイルライダーの腕部ビームガンをメインカメラ目掛けて連射しながらシールドで一閃を防ぐと、自身もビームサーベルを抜いた。しかし、すぐには振るわない。
「おわっ!?」
残った片方のミサイルポッドが、リゼルブーストを襲う。抜いたビームサーベルに注目していたせいで、反応が遅れたのだ。だが───
「避けた!?」
───全てが命中したわけではない。脚部を狙って放たれたのに、当たったのは初弾だけ。残りはこの距離にありながらかわされてしまう。
「やってくれるねぇ」
「アサバさんほどでは」
ビームサーベルで互いに弾かれる。リゼルブーストはビームランチャーを、ペイルライダーはキャノン砲を構えて同時に引き鉄を引いた。放たれた弾丸はビームランチャーを捉えることはできなかったが、リゼルブーストの胸部に当たってその動きを怯ませる。
ペイルライダーはリゼルブーストが放った閃光によって焼き尽くされるキャノン砲をバックパックから外し、マシンガンを連射しながらビームサーベルを握り直して肉薄していく。
リゼルブーストもそれに応えるように、ビームサーベルを手に、機体を走らせる。互いの距離が近づくにつれてビームサーベルを握る手に、力がこもる。
そして、振り被り、一閃。
「うおおおぉぉ!」
「はあああぁぁ!」
叩き斬る──その一心に突き動かされるようにまっすぐ振るわれた刃。恐れず、退かず、ただ前に、ひたすら前に。
振り切った光刃がぶつかり、弾かれ、再びぶつかる。何度も振るい、火花が散っていく。しかし決定打にならないことを続ける訳にもいかない。シンヤはマヒルに次で行動を起こすと伝え、リゼルブーストに向かっていく。
「HADES!」
ビームサーベルを握って斬り合うことを印象付ける。そして充分に距離が縮まったところでHADESを発動させ、リゼルブーストが振るった刃を紙一重でやり過ごして背後に回り込む。
「くらえっ!」
後ろに回った瞬間振り返り、両手のビームサーベルを一閃。リゼルブーストのスラスターウィングの端が斬り裂かれ、破片がバラバラと虚空を舞う。
「チッ!」
「浅かった……!」
クリーンヒットするとは思っていなかったが、予想していたよりもずっと浅く終わってしまった。しかしそれに驚いて怯んではいられない。ビームガンを連射して追撃に移る。
だが、本命は自分の攻撃ではない。リゼルブーストの背後で、ジーライン・ヘールアーマーがビームガトリングの砲身をグリップを介して振り上げる。
「沈めえええぇぇっ!」
マヒルが吠える。それに応えるように、銃口の中央からビームサーベルが出力され、リゼルブーストの頭上から振り下ろされた。
「えっ……なんだよ、その武装はあぁ!?」
それが、アサバの最後の叫びだった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「あー……負けた負けた」
アサバを撃墜したところで、シンヤたちの画面に勝利メッセージが表示された。どうやら戦っている間にユウとヨルアの方も雌雄を決していたらしい。
アサバは汗を掻いたからとGBNで使われるゲーム内通貨を使って全員にドリンクをご馳走して真っ先に一口飲み、息をつく。シンヤはマヒルらが飲んでから最後に「いただきます」と断ってから口にする。
「さて、改めてだけど……みんな、どうだった?」
「異議なーし」
「オイラも」
シンヤがフォースに参加することを問うアサバだったが、マヒルとユウは早くも迎えてくれる。しかしヨルアはすぐには答えず、腕を組んでいた。
「……まぁ、いいんじゃねぇの」
それだけ言い残し、ヨルアはさっさと踵を返してどこかへ行ってしまった。それでも、認めてくれたことに違いはない。
立ち上がり、アサバが手を差し出してくれる。
「ようこそ、フォースブースターズへ」
「…はい。よろしくお願いします」
その手を握り返しながら、シンヤは嬉しそうに目を細める。
フォース、ブースターズ──ここが、シンヤにとって初めてのフォースであり、最後のフォースでもあった。