店を閉め、明け方にようやく眠りにつく。
雪龍は最近、夢を見る。そしてその夢を見るのが、少し怖い。こんなふうに、ほどよく疲れた日には必ず、喪六が現れる。
夢の中で、自分たちはすでに裸で抱き合っている。彼の下ですべてをさらけ出し、痛くて苦しいのに、彼に突かれるのは甘美で、心から彼を求め、欲しがっている。
果てることはないが、最後にはキスをして、抱きしめあって眠るのだ。
そこでいつも目がさめて、夢の中のことなのに、途方もない罪悪感に襲われる。
だから怖い。
その日の昼過ぎに喪六が店にやって来ると、ひとりでこっそり気まずくなる。
勝手にセックスする夢を見ました、それももう何度も何度も見ています。
ごめんなさい、と詫びている。
ただの淫夢ならばいいけれど、性欲の延長ではなく、夢の中ではいつも本気で彼に恋をしている。自分の深層にある願望なのだとしたら、これほどにまずいことはない。
彼はただ、ひとりでのんびりと茶を飲みたくてここにやって来ているだけだ。
それを何食わぬ顔で振る舞い、彼が読書を楽しむのを邪魔しないようにしなければならない。
妙な夢にとらわれてはいけない。そもそもあれは、ただの夢。
その日も閻はやって来て、昨日と同じような時間を過ごしていた。いきなり1ヶ月ほど見なくなることもあるから、変わらず姿を見せてくれると安心する。
特に会話もしないけれど、いつもと同じ席にひっそりと佇む喪六という光景が、この先も変わらずあればいいと思っている。
最近この界隈で、たびたび襲撃や暴動が勃発するようになった。
魔法被害者が鬱憤を晴らしに、雪龍のような者をターゲットにして住まいや店を襲うのだ。無益な迫害を、私は良しとしない。
最近の悩みのタネのひとつである。
それはそうと……私は最近、良からぬ夢を見る。
雪龍の店に行き、顔を見たあとなどにその夢を見ると、気まずくて申し訳ないのだが、夢はどうにもならない。
これは間違いなく私の心を正直に映したもので、渇望しているものだ。
夢はまもなく眠りから覚めんとする頃、おそらく明け方のものだろう。雪龍はこの時間に寝ると言っていたが、もしもこの夢が彼との共鳴ならば少し嬉しいなどと、気色悪い考えまで起こしたことがある。
夢の中で、私は彼の身体に夢中になっている。
余すところなくすべてが愛しくて、彼が決して見せたことのない様々な表情を見つめながら、ひとつに混ざり合い、融合し、強く抱きしめる。
その最中の私は、子供のように素直で純粋だ。
彼を離したくなくて、ずっと傍らにいてほしいのだという気持ちを押し付け、何度も何度も求めている。
現実には決して言えないことを言い、名前を呼び、抱きしめる。
目覚めたときに心がチクリと痛む。
そして、雪龍に対して申し訳ないのと、独りよがりであまりにも虚しいのと、あの幸せは現実のものではないのだという絶望に呑み込まれる。
だからつい、またふらりと彼の店に行き、顔を見る。顔を見て安心しなければ、あの途方もない虚しさに押しつぶされてしまう。
私のような者が、彼を好きになってはいけない。
彼が何かを望めばそれを必ずすぐに叶えてやりたいが、無論そんなことを言い合う関係ではないし、彼はそんなことを私にはきっと話さない。
だから彼は、私の心の中での密やかな希望であり続け、決して近付くこともなく、ただの客と店主以上の何者にもならず、過ごしている。
私の彼に対する気持ちをほんのわずかでも見せれば、この穏やかな時間が失われてしまう。離れがたき人だから、近づこうとしてはいけないのだ。
だからこの夢には参っている。もはや悪夢の一種だ。笑い話のように明かせるものでもない。
お前とセックスする夢を見た、しかももう幾度も見ているのだ。私はその中でお前を愛していて、目覚めると強烈な絶望感に苛まれる。
そんなこと、口が裂けても言えやしない。言ってみたいが、言ってはダメだ。
そもそもそんなことを、普段からあまり会話のない男に言われたところで、ただひたすらに気味が悪いだけだ。しかし夢と平行して、この憐れな慕情はつのっていく。
次にまた長くこの街を離れたあと、雪龍に変わらず私を迎えてもらうためには、この距離を保たなくてはならない。
私は今日も静かに本に耽り、時々点心をつまみ、また時々、彼の横顔をちらりと見やる。