弐伍は博士に作られました。最初に目が覚めたのはラボの片隅でした。博士は弐伍をとても可愛がってくれました。姉妹たちはいつの間にか居なくなっていました。
喋らない弐伍を見て博士は弐伍に声帯をつけてくれました。博士とたくさんおしゃべりをしました。
少し動きがぎこちなくなった弐伍を見て博士は弐伍に自動修復機能をつけてくれました。博士とたくさん遊びました。お手伝いもしました。
鳥を眺めていた弐伍を見て博士は弐伍に翼をつけてくれました。博士と一緒に飛びました。山の向こうを初めて見たのがその時です。
飛行機を見ながら飛んでいる弐伍を見て博士は弐伍の翼に噴進機をつけてくれました。博士をおいていってしまいました。
博士は布団から起きなくなりました。弐伍に声をかけてくれることもなくなりました。博士は「自由に生きろ。」と言って眠ってしまわれました。もう二度と、博士が起きることはありませんでした。取り敢えず博士の体にエネルギーを供給する装置を取り付けてみましたが、何も変わりませんでした。弐伍は信じません。
弐伍の翼が少しづつ錆びてきました。墳進機が自動修復を妨げていること以上のことは弐伍にはわかりませんでした。直し方も、改善の仕方も、弐伍の体のことは博士しか知りませんでした。
お家が嵐で壊れました。弐伍はなんとか直しました。
お家が地揺れで壊れました。弐伍はなんとか直しました。
お家が火山のお怒りに飲み込まれました。溶岩というらしいです。冷えた溶岩の上に家を作り直しました。博士は同じところに寝かせておきました。
何度もお家が壊れました。弐伍は何度も直しました。
寒くなりました。動物たちが居なくなってしまいました。お話相手が減りました。
どのくらい経ったのでしょうか。いえ、弐伍は覚えています。太陽は2434万回程昇って沈みました。
暖かくなりました。草木が戻ってきました。
お家の周りが森になりました。お話相手がまた増えたので嬉しいです。
不思議なナノマシンがあちこちに浮かんでいることに気づきました。森から排除しました。
森のあちこちに録音・録画ができる機械を設置しました。博士が前に設置していたものと同じものです。
AIがこの森に人間が立ち入ってきたことを知らせてきました。どうやら日本語で話しているようです。
人が接触してきました。
「やあ、はじめまして。私の名前はサイルストだ。博士は居らっしゃるかい?」
「こんにちは、サイルスト様。博士は長らく布団の上でございます。面会は可能ですが、会話は不可能と思われます。」
「そうか......一度、会わせてくれないか?」
「よろしいですよ。こちらへ。」
博士と対面したサイルスト様は「お前も死を選んだのか。」とつぶやきました。
弐伍は受け入れざるをえませんでした。博士は、死んでしまったのです。本当は、とっくにわかっていたのに。そう考えると、急に目の前が色あせていくかのようでした。
しかし、機械であるはずの私がなぜこのような非合理的な行動をずっとしていたのでしょうか。
サイルスト様に聞いてみると、
「君は......いや、なんでもない。いや、しかし......」
とはぐらかすばかりでした。それどころか
「博士をもう眠らせてあげないかい?私が立派なお墓を立ててあげるから。」
「そうだ。君、うちに来ないかい?いや、別に他意はないのだが、博士の昔なじみゆえの同情心と、君みたいな年頃の女の子のような見た目の
とまで言ってきました。
博士の「自由に生きろ。」という言葉が急に蘇ってきました。弐伍は、この博士の最後の命令を全うしようと、考えました。
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弐伍:
機械仕掛けの女の子。
翼は錆び付き、もう飛べない。
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・「博士」は設定上あの人。
・サイルストが考えたのは、『弐伍が「博士」の実の娘のクローン、またはそれに準ずる擬人である。』というもの。設定上これは正しい。が、弐伍は永遠にこれを知らないだろう。
・翼だけ錆びつく......他にいい案ありませんかね。
・次は早く出す(フラグ)
・後一人。でもそれが一番難しそう。