この転生少女に武器を!   作:皐月の王

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第9話 爆裂魔法に祝福を!

「カズマ、早速討伐に行きましょう!それも、沢山の雑魚モンスターがいるヤツです!新しく杖を新調した事によって強化された爆裂魔法の威力を試すのです!」

 

突然、めぐみんが言い出した。新調した杖を使いたいらしい。

 

うん、分かる気はする。かく言う私も、特典の能力をもっと上手く使えるようになりたい。

 

「まあ俺も、ゾンビメーカー討伐じゃ、結局覚えたてのスキルを試すことも出来なかったしな。無難なクエストでも行くか」

 

「いいえ、お金になるクエストをやりましょう!ツケを払ったから今日のご飯代も無いの!」

 

「いや、ここは強敵を狙うべきだ!一撃が重くて気持ちいい、凄く強いモンスターを……!」

 

まとまりがないよ!このパーティー

 

「と、とりあえず、掲示板の依頼を見てから決めようよ」

 

私は皆に提案し、皆はゾロゾロと掲示板の前まで移動する。カズマが掲示板を見て何かに気づいた

 

「……あれ?何だよこれ、依頼がほとんどないじゃないか」

 

「え?うそ」

 

私も掲示板を確認する。本当だ、普段は所狭しと貼られている依頼の紙が数枚しかない。そして依頼も

 

「カズマ!シオン!これだ、これにしようではないか!山に出没するブラックファングと呼ばれる巨大熊を……!」

 

「却下だ却下!何だよこれ!高難易度クエストしか無いぞ!」

 

残されているほとんどのクエストが高難易度クエストで、私達じゃ荷が重そうなものばかり。でも、なんでそうなったんだろう?そういう時期なのかな?

 

「ええと、申し訳ございません。その魔王幹部の影響か、この近辺の弱いモンスターは隠れてしまい、仕事が激減しております。来月には、国の首都から幹部討伐のため騎士団が派遣されるので、それまでは、高難易度のお仕事しかないのです」

 

ギルド職員が申し訳なさそうな言葉に、お金が無いアクアが悲鳴をあげてしまった。

 

「な、なんでよぉぉぉぉおおっ!?」

 

うん、どうしようもないね。カエル相手に苦戦する私達じゃどうしようもないよ魔王幹部は……

 

「つまり、国の首都から腕利きの冒険者や騎士達がここに来るまでは、まともな仕事ができないってことか」

 

「そういう事です。……となると、クエストの無い間はしばらく私に付き合ってもらうことになりそうですが……」

 

「それは良いけど……もうこの辺で良くない?」

 

今、私とカズマとめぐみんは街の外に居ます。現在魔王幹部が近くに来ているということで、弱いモンスターが怯えて姿を隠しており、高難易度のクエストしか請けることができません。そのせいで爆裂魔法を撃てず、悶々としていためぐみんに付き合って散歩をしています。

 

一日一回爆裂魔法を放つことを日課にしているらしくて、しばらくの間はめぐみんの付き添いで爆裂魔法の日課に付き合うんだろうなぁ。別にいいんだけど。

 

「駄目なのです。街から離れた場所じゃないと、また守衛さんに叱られます」

 

え?今はまたって言った?

 

「今お前、またって言ったな?音がうるさくて迷惑だって怒られたのか?」

 

カズマの言葉にめぐみんはコクリと頷いた。

 

「こんなことなら、剣でも持ってきたら良かったな……丸腰は不安になるし、まぁモンスターは出ないだろうけど」

 

「大丈夫だよカズマ。私一応武器持ってきてるよ」

 

私は何時もの装備を見せて、もしもの時は任せてと言う。カズマは感動したような顔になり。

 

「お前本当に頼りになるなぁ」

 

そ、そんな言うほどかなぁ……わ、分かったから、ね?

 

それにしても、この世界に来てから外を歩くなんて初めての気がする。出歩くことがあればそれはクエストありきだから、ゆっくり歩くことなんてなかった。こうしてのどかに散歩なんて……いつ以来だろう……

 

「あれなんでしょうか。廃城?」

 

遠くに離れた丘にポツンと朽ち果てた古い城があった。なんか雰囲気あるね、アンデッド系のモンスターが出そう。

 

「薄気味悪いなあ……おばけでも住んでいそうだな……」

 

「あれにしましょう!あの城なら盛大に破壊しても誰も住んでないでしょうし、大丈夫でしょう!」

 

そう言えば前に廃城に魔王幹部がどうのこうのって……まさか違うよね。

 

私の懸念なんて何処吹く風で、のどかな雰囲気には不釣り合いな爆裂魔法の詠唱が風に乗り放たれた。

 

「『エクスプロージョン』!」

 

「おお!やっぱり威力は凄いな。だけど……」

 

カズマが視線を向ける先には爆裂魔法を撃って満足そうに倒れているめぐみんが居た

 

「動けなくなるのは痛いよなぁ」

 

「どうですか? 我が必殺の爆裂魔法は?」

 

「そうだな………。初めて見た時よりも威力が上がっているんじゃないのか?いいと思うぞ」

 

「そうですか、ならよかった……ですっ!」

 

のどかな雰囲気、のんびりとした空気の中

 

カサカサッ

 

私達の近くで草が揺れる音がした。風ので揺れた草の音じゃない。

 

「……ねぇ……私嫌な予感がするんだけど、めぐみんあのモンスターの名前なんていうの?」

 

「はい?どれの事ですか?この辺のモンスターはいない筈なんですが………ええと………ああ、あれはブラック……ファング………です……ね」

 

それって!ダクネスが行きたいって言ってたモンスターじゃん!なんでこんな所にいるのさ!

 

「シオン!あいつがまだ気づいてないうちに倒す事できるか!?お前しか戦える奴がいないんだ!」

 

「う、うん!やってみる!」

 

私は木刀を引き抜き構える。森の中だから炎の魔法なんて使えないし。私は手に力を入れると、武器に青白い血管のような模様が浮き出る。これでただの木刀では無く強化された木刀だ。

 

さらに《魔力放出》を使って自己強化をして。

 

「いっけええええええええええええ!!!」

 

烈風を巻き起こし、木刀に魔力を纏わせ、全力で振り抜く!

 

それは飛ぶ斬撃となって、烈風に乗り複数の鎌鼬になり、ブラックファングを切り裂いた。

 

「ふぅ……もう。私まで疲れた……」

 

慌てて加減無しで放ったから、魔力の大部分を使ってふらふらだよ。

 

「ブラックファングってダクネスが言ってたやつだよな……相当危険なモンスターだよな」

 

「はい……この辺にはいないはずなんですが……」

 

「ねえ、流石に毎回これは辛いよ……めぐみんは、よくこうなってまで爆裂魔法使おうと思うね」

 

今回は相手が気づいていなかったから不意をついて倒せた。運が良かっただけなんだよ。本当に危なかった。

 

「私は爆裂魔法が……好きなのです! あと、今回が特別なだけですよ、シオン!こんな事滅多にないと思いますから大丈夫です………多分、あ、シオンの木刀が」

 

お願いだから断言して!すごく不安になるから!うん?木刀?

 

「あっ!折れてる!?」

 

こうして私達三人の新しい日課が始まった。お金が無いアクアは、毎日バイトに行ってる。

 

ダクネスは、しばらく実家で筋トレしてくるって言っていた。筋トレも良いけど、剣も鍛えてほしい。

 

私はこの間の事が起きたら怖いから、一緒について行ってカズマとめぐみんの護衛を行っています。

 

「『エクスプロージョン』!」

 

「おっ、今日のはいい感じだな。爆裂魔法の衝撃が骨身にズンと震動するかの如く響き、それでいて肌を撫でるかのように空気の震動が遅れてやってくる。ナイス、爆裂!」

 

「ナイス爆裂!見てて気持ちいいね、火力のロマンがあるよね」

 

「ナイス爆裂!ふふっ、カズマもシオンも爆裂魔法が分かってきましたね。今日の評価は中々的を射ていて詩人でした。……どうです?二人とも爆裂魔法を覚えることを考えてみては」

 

「私の場合はアークウィザードに転職しないといけないね」

 

「うーん、爆裂魔法は面白そうだから将来スキルポイントに余裕ができたら覚えて見るのもいいかもな」

 

カズマとめぐみんはそんなふうに話していた。今日の爆裂魔法の音は何点だった、音色が良かったって。でも私が気になったのは。

 

毎日爆裂魔法を受けているのに、初めて見た時から何も変わっていない城に違和感を覚えた。

 

「気の所為だよね?」

 

不安な呟きは、後に良くない形で当たってしまう。

 

 

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