東方紅魔郷 〜 Fate or Destiny.   作:あめじすと

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EPISODE11:美鈴の介抱

 

「お嬢様、大丈夫でしたか?天澄さんは......ええ、わかりました」

 

彼が眠りに落ちて数分後。

咲夜が到着し、レミリアは彼を連れて館に戻るよう命じた。

自分で連れて帰ることもできるが、すぐに着くであろう二人、霊夢と魔理沙と話をするためだ。

それともう一つ、疲れている彼を休ませるためだ。

紅魔館から歩いて行き、その上こんな場所まで逃げてきて妖怪に襲われたのだ......災難だっただろう。

......そうこうしてるうちに二人が着いたようだ。

 

「やっと追い付いたわ。....あの人はどこ?それと何があったの?」

 

「あの子は咲夜に連れ帰らせたわ。......ここで妖怪に襲われていたから助けたわ。どう?これでもまだ疑うの?」

 

レミリアは未だに疑う彼女に飽き飽きしている様子だ。

しかし霊夢も悪いというわけではない。

彼女は博麗の巫女、いわばこの幻想郷において無くてはならない存在だ。

異変に関係する疑いがあるなら常に警戒しなければならない。

決して彼女に対し悪意あって疑い続けているわけではないのだ。

 

「......確かにさっき感じた妖気が途中で消えたわね。......まあいいわ。もしかしたら貴女たちになりすましているのがいるかもしれないし」

 

「もしそうなら私が始末するわ。......くれぐれも邪魔は禁物よ。それじゃあ私はこの辺でお暇させてもらうわ」

 

「ええ、わかったわ。それじゃあ」

 

短い会話の後、レミリアは館の方向へ帰って行き、その場には霊夢と魔理沙が残った。

 

「なぁ霊夢、早く宴会の続きしようぜ?私はもう疲れた......」

 

「あんたねぇ......真っ先にレミリア達を追ってたじゃない。ほら、帰るわよ」

 

レミリアが帰ったのち、彼女達も博麗神社のある方向へ帰って行った。

......しかし、その間にも霊夢は何か妙な感じが残っていた。

確かにレミリアは真実を言っているはずなのだが、どうも疑いの心が晴れない。

それは巫女の立場としての疑いというより、直感的な疑いだった。レミリアであってレミリアでない存在(・・・・・・・・・・・・・・・・・)、彼女はそう感じているのだろう。

 

「霊夢、どうかしたか?」

 

「え?いや、なんでもないわ」

 

「ふ〜ん......ま、いっか」

 

難しそうな顔をする彼女を気にかけた魔理沙だが、すぐに気を取り直し、博麗神社へと降りていった。

 

 

 

─紅魔館 休憩室

 

「これで......よし」

 

「美鈴、天澄さんは?」

 

「大丈夫です咲夜さん。このまま寝かせておきましょう」

 

一足先に紅魔館へ戻ってきた咲夜と仁太郎。

今回はたまたま起きていた美鈴が館に着いた咲夜に変わって彼をここまで運んだのである。

そして休憩室に入るなりすぐに看病を始める。

看病をしている間も彼女は心配そうな顔をしていた。

咲夜もまた看病を手伝いながらいつも以上に真剣な美鈴を見て感心するのであった。

そんな中、不意に休憩室の窓が開き1匹のコウモリが入ってくる。

どうやら館の主が帰ってきたようだ。

 

「おかえりなさいませ、お嬢様」

 

パタパタパタ......

 

どこからか現れた無数のコウモリが塊になっていき、たちまち人の形となりいつものレミリアの姿になる。

元の姿に戻るとさっそく彼女は仁太郎......の方ではなく、美鈴の元へと寄っていく。

何かまずいことをしたのではないか......と、たじろぐ美鈴をよそに彼女は微笑んでお礼を言う。

 

「どうもありがとう。戻る途中で貴女が見えたのだけど、素早い対応が良かったわ」

 

「へ?いっ、いや〜それほどでも......」

 

お礼の後、レミリアは次に彼のもとへと寄っていく。

もちろん彼の状態を確かめるためだ。

そっと彼の胸に手を置き、鼓動を確かめる。

 

トクン......トクン......

 

と響くそれは吸血鬼の心臓の鼓動とはまた違っている。

永い時を生きる吸血鬼には感じられない限られた生命(いのち)の中での鼓動。

その美しさを彼女は感じるのであった。

 

「ねぇ咲夜......あら?もう行ったのかしら?」

 

気が付くと咲夜はその場からいなくなっていた。

何も言わずに立ち去るのは咲夜らしくないと思いつつ、彼女も部屋を後にするのであった。

 

「やっぱり私はやればできる門番......あれ?」

 

何十年ぶりに褒められたのが余程嬉しかったのか、美鈴は自分のことに夢中で彼女たちが部屋から出たことに気づかなかった。

部屋に残っているのは仁太郎と美鈴の二人、そして静かな空間だった。

彼が館に来て救助したとき、案内したとき以外、彼とあまり顔を合わせていない彼女は顔を覗き込む。

さっきまでの険しい表情とは違い、今度は安らかな表情だ。

これなら明日にも回復するだろう。

 

「............」スゥ......スゥ......

 

静かに寝息を立てている彼は、どこか可愛く見えた。

外見年齢こそ、彼とそれほど離れていないように見えても、実際には何百年と離れている彼女にとって彼は赤子も同然だ。

 

「よく眠っていますね。ふぁ......なんだか私も眠くなって......」

 

彼の寝顔を見ていた彼女は眠くなったのか、あくびをするなりすぐに寝てしまった。

そうして知らず知らずのうちに、二人は寝床を共にするのであった。

 

 

 

「んん......重いなぁ......って美鈴!? お、降りてくれ......」

 

「むぅ......あれ?あー寝ちゃいましたか......」

 

彼が目を覚ますと飛び込んできたのは美鈴の姿。

しかも丁度自分の上半身に重なる形で、二つの丘が体に覆い被さっている。

いち早くそれに気づいた彼は、すぐ降りるよう促すが美鈴は寝ぼけているようで気づかない。

自分でどかそうとしたが、意外と重いため彼も動けずにいた。

 

「早く降りてくれよ......その......あれが当たってる......」

 

「あれって何ですかぁ?咲夜さんのぱっ......」

 

ガチャ

 

「天澄さ......あなた達、何をやっているの?」ゴゴゴゴゴ

 

「あ、咲夜さんもどうぞこちらに......」

 

 

 

─庭園

 

「うぅ......天澄さん。そちらのベリーを一通り摘み終えたらそのかごに入れてください......」

 

「ああ......わかった」

 

庭園で昼食に使うためのベリーを摘む二人。

その数ざっと10000個以上。

昼までに終わらなければ追加で毎食の皿洗いを二人だけでやらされるらしい。

今朝にあった出来事で咲夜にこっぴどく指導された二人は、罰としてこの過酷な仕事をさせられるのであった。

作業中、二人は常に涙目であったことを否めない。

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