東方紅魔郷 〜 Fate or Destiny.   作:あめじすと

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EPISODE12:庭園での出来事

 

「うぅ......何でこんなことに......」

 

落ち込みながらベリーの収穫をする美鈴。

その隣では同じく仁太郎が作業をしている。

すでに作業開始から1時間半、ベリーは目標の1000個のうち半分ほど集まった。

昼休憩まであと1時間ちょっとといったところだ。

しかし季節は夏、照りつける日差しが彼らの体力を奪っていた。

 

「元はと言えば美鈴がどいてくれれば良かったんだけどなぁ」チラッ

 

「うっ......すみません......でもあと半分くらいですね。頑張りましょう!あっ、それとですね......」

 

作業の合間に会話を挟みながら手を動かす。

無言のままではつまらないし、何より緊張が解けないだろう。

緊張というのも、彼の場合は時間内に集めなければならないことと、暑さを逃すため胸元を少し開いている美鈴の姿が視界に入ることだが。

そんなことがありながらも作業を進めていき、なんとか時間内にベリーを収穫できた。

後はこのベリーを持っていくだけだ。

 

「ふぅ......じゃあベリーは俺が運ぶよ」

 

「ありがとうございます......私はもうクタクタです......」

 

収穫後は昼食を運ぶこともあって館内に戻るので彼が運ぶことにした。

しかしベリーといえども10000個となるとさすがに重い。

それに暑さのおまけ付きだ。

そうして運んでいき、館まであと十数メートル......と、ここで来客が。

 

ヒュウゥゥゥ......

 

「なんか急に肌寒く......ってあれ?」

 

急に寒くなったかと思うと妖精が舞い降り......というより飛び込んできた。

氷のような羽?を持ち、青がベースの服を着たあいつ。

幻想郷に来て初めて会ったやつだ。

 

「ふふん、ここで会ったが百年目。この私がじきじきに遊びに来てやったぞ!」

 

「お前は確か......チェルノ?」

 

「違う!チ・ル・ノ 様だ!よ〜く覚えておくんだ......ん?そのベリー美味しそうだな」

 

久しぶりに会ったはいいものの、会うなり彼女はベリーを狙っているようだ。

しかしこのベリーは大切だ。

本当はやりたいところだが、見た目からして1つまた1つと食べるだろう。

ここは譲れませんとでも言っておくべきか。

でもこいつのことだし諦めが悪そうだな......

 

「悪いな、このベリーだけはあげられないんだ。またの機会にしてくれ」

 

「えっ......」ショボン......

 

おいおい何だよその顔は、なんか俺が悪いみたいになってるし......

 

「............」ジー

 

って美鈴もなんでこっち見てんだよ!?

 

予想外の展開に焦ってしまう。

てっきり彼女は諦めが悪そうなように見えたが、こんなことで悲しそうな表情を見せるとは......

くそっ、やられたか......

 

「せっかく美味しそうなのになぁ......」

 

うつむいて残念そうにする彼女。

そんな彼女に彼は胸が締めつけられてしまい、とうとうあげることにした。

ところが......

 

「わ、わかった......ほら、これ」

 

「......なんちゃって嘘泣きでした〜!!それっ!」パクパクパクパク

 

「へ?......って何するんだ!やめろ!」

 

まんまと彼女に騙されてしまった。

幼い容姿を逆手にとって、こんな演技ができるなんて......

本当は賢いんじゃないか?と、思いつつ彼は止めようとするが、以外にすばしっこい。

そんな光景を目にして、さっきまでジト目で見ていた美鈴も応援に来た。

 

「わ〜!!ストップストップ!」

 

「私の動きについてこれるかな?ほらっ、捕まえてごらん!」

 

「くそ、このままじゃベリーが......」

 

美鈴が応援に来たものの、チルノは宙に浮いているのでなかなか捕まえれず、二人は苦戦していた。

そして数分が経ち......

 

「はぁ......はぁ......このやろう......」

 

「あぁ......また咲夜さんに叱られる......」

 

「えっへん、さすが私は......」

 

「チルノちゃん!!」ザッ

 

横から声が入り飛び込んで来たのはいかにも妖精らしい少女だった。

チルノちゃんと呼んでいることから親しい人物なのだろう。

そして何やらチルノに説教を始めたようだ。

そしてまた数分が経ち、今度はこちらに向かって頭を下げてきた。

 

「美鈴さん、それと......この方は誰ですか?」

 

「この人は天澄さんって言うんです。ここで働いてます。天澄さん、この娘はみんなから大妖精(だいようせい)って呼ばれてます」

 

彼女によるとこの娘は大妖精というらしい。

大妖精というのは通称で、本名は誰も知らないんだとか。

それと湖の近くでチルノを含む他の妖精たちとよく遊んでるらしい。

そのため門番をしている美鈴とは多少面識があるようだ。

 

「それでは改めて美鈴さん、天澄さん、チルノちゃんが迷惑かけてすみません。いたずら好きなだけで本当は良い子なんです。どうか許してあげてください」

 

「はは......そうかしこまらずに。俺は天澄仁太郎。あとは美鈴の言った通りだ」

 

彼女は再び頭を下げたあと、軽い紹介を済ませたはいいが、肝心のベリーはチルノのせいで少し減ってしまった。

そしてチルノは大妖精の説教に懲りたのか、ため息をついていた。

そんな中、三人で会話をしていると館の方からメイド長こと咲夜が来てしまった。

午後12時を過ぎても戻ってこないので、様子を見に来たようだ。

また指導される......

 

「......美鈴、天澄さん、ベリーが随分少ないようだけど?」

 

「さ、咲夜さん いや〜それが......その......」ダラダラ

 

自分の名前も呼ばれたが、咲夜は腕を組みながら美鈴の前に立っている。

美鈴は汗を流しながら目を泳がせてる状態だ。

しかしここで助っ人が。

 

「待ってください、美鈴さんと天澄さんは悪くないんです。私の友達がいたずらしちゃって......」

 

そうして大妖精が咲夜を説得し、今回は事なきを得た。

ベリー10000個も咲夜が適当にノルマを設定しただけで、そこまで無くて大丈夫だったらしい。

しかし大妖精......大ちゃんが来なかったらどうなっていただろう。

そうこうしてるうちに美鈴は門番の仕事へと戻り、大ちゃんたちとさよならをし、自分は館へ戻っていった。

そうして今日も1日が終わり、ベッドの上で明日を待つのであった。

 

 

 

─談話室

 

「ねぇレミィ、あの人に話さなくていいの?もし知られたら本当に嫌われてしまうわよ......」

 

「私はあの人が好きだなんて言った覚えはないのだけど。ただ働き手が欲しいから置いているだけ......」

 

談話室で話すパチュリーとレミリア。

仁太郎のことで話をしているらしいが、表面的な内容で深い部分はわからない。

 

「はぁ......長い付き合いだからレミィが天澄さんに気があることくらいわかるわよ......」

 

「......パチェには通用しないか。そう、私は彼が気に入っている。だからこそ彼を生かしているの。そうじゃなければとっくに......」

 

コンコン

 

「お嬢様、失礼します」

 

会話の途中で咲夜がワインを持ってきた。

そうして静かにテーブルに置き、その場を後にする。

再び二人になったところで静寂が訪れる。

 

「............」

 

「............」コクッ......

 

ワインを見つめるパチュリー、そしてゆっくりとそれを飲むレミリア。

その後も両者は会話することなく、今宵の会は幕を閉じた。

飲み干されたワイングラスに映っていたのは恋する少女か、醜い吸血鬼か?それを知るのは彼女自身だ。





人物紹介

大妖精
霧の湖の近くに住んでいる。
チルノとは親友で美鈴とも面識がある。
礼儀正しく友達想い。
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