東方紅魔郷 〜 Fate or Destiny. 作:あめじすと
─フランの部屋
地下に落ちておよそ1時間。
ついレミリアの妹、フランドールの部屋に入ってしまった。
隙を見て逃げようとした彼だが、彼女にはお見通しで逃げることも出来ず、遊びに付き合わされてしまった......
「最初は私が隠れる番ね。それじゃあお兄様、10数えてね!」
「あ、ああ......いーち、にーい............さて、探すか」
数を数え終わったので早速彼女を探す。
しかしベッドの下、本棚の陰、積まれた人形の中を探すがどこにも見当たらない。
一通り部屋を探したが結局見つけられずにいるとふと奥にある扉を見つけた。
おそらくそこに彼女がいるだろう。
そう思いドアノブに手をかけたのだが......
「わっ!!」
「......っ!?あ、何だ後ろにいたのか。びっくりした......」
「どう?さすが私ね」
全く気付かなかったが彼女は後ろにいたようだ。
......よく見たら可愛いじゃないか。
さっきまで何を怖がってたんだ。
っと、次は俺が隠れる番か。
「じゃあお兄様、10数えるから隠れてね。いーち、にーい......」
「はいはい、さてと......」
先程見つけた奥の扉。
あそこなら上手く隠れることができるだろう。
......そう考えた彼は奥の扉へと進むのであった。
─???
「よし、ここでいいか......って......何だこの臭い?」
奥の扉の中へ入るとほんの少し変な臭いがした。
しかも辺りは暗くてよく見えないため隠れるには適していなさそうだ。
つい先程まで、ここなら上手く隠れられると考えていたが、そういう訳にもいかないようだ。
「なーな、はーち......」
すぐに気が変わり戻ろうとするが、扉の向こう側ではフランが数を数え終わりそうなので仕方なくとどまり奥へと進む。
「うぷっ......気持ち悪い......」
しかし奥へ足を進めるにつれ、臭いはきつくなっていく。
これ以上進むと吐いてしまいそうなのでこの辺で足を止める。
そして隠れられる場所を探そうと方向転換すると......
グニッ
「ん?なんか当たった......うわぁぁ!!」
暗闇に目が慣れ、足元を見るとそこには人間の死体が転がっていた。
思わず後ずさりすると後ろにも、右にも左にも、あちこちに死体があった。
ここにいてはまずい.....本能的に危険を感じ、すぐさま引き返そうと走り出すが.....
「見っけ。なーんだ、すぐに終わってつまんないわ」
「............」ガクガク
「どうしたの?......ああ、みんなすぐに壊れちゃうのよね。ところで......あなたもすぐこわれるのかしら?」
すでにそこにはフランがいた。
暗闇で光る紅い目がこちらを見つめている。
答えられずにいると彼女は手のひらを前に出し握り始める。
手の内にはブラックホールのようなものが出現し、エネルギーを吸収しているようだ。
「きゅっとして......」
「な、何だよ......」
何をするかわからない彼女に再び恐怖を感じたじろぐ。
こちらからも質問をするが解答は無く、今まさに手のひらが完全に握られそうな時だった。
「妹様、お待ちください」
「あ、咲夜じゃない!」
現れたのは咲夜だった。
助かったと思い安心する彼であったが、そんな彼を見る咲夜の目はどこか動揺しつつ冷静であった。
そのことを気にしつつも、今この状況に置かれている説明をする。
「実はこういうことが......というわけです」
「そう......事情はわかりました。お嬢様のところへ行きましょう。妹様、失礼します」パッ
「............あら、行っちゃったのね。ちょっと残念かなぁ......寂しいな」ポツリ
無事に地下から出ることが出来た彼だが、今回の件で再び恐怖を感じたのは言うまでもない。
しかしそれと同時に、彼女のことをもっと知りたいと思うのであった。
─玉座の間
「ごめんなさい、妹のこと黙っていて......」
先程の出来事を咲夜が説明すると、主であるレミリアは神太郎に頭を下げた。
それはいつもの高貴な姿でなく、弱々しい姿だった。
空気を読んだ咲夜が退室し、部屋は二人だけになる。
そして少しの間、沈黙が流れ、彼の方から彼女に話しかける。
「いえ、謝るのはこっちです。元はと言えば自分の不注意が原因ですから......その、頭を上げてください、ほら」スッ
俯いている主に手を差し伸べる。
「............ええ」
彼女はそう言うと彼の手をとり立ち上がった。
そして一呼吸した後、フランのことで話を始めた。
「あの娘、フランは気がふれているの。貴方を危険な目に合わせないよう、黙っていたのだけれど......逆効果だったみたいね。......言い訳がましいかもしれないけど、本当は良い子なの。ただ、人との距離感が掴めないというか......」
彼女の話が本当だとすると、やはりフランは根は良い子らしい。
確かにそういう風に見えたが、性格の問題だろうか上手く関わることが出来ないようだ。
それとちょっと前に問題が起きた際、現在の場所へ移されたらしい。
彼女のことをいくつか聞き、部屋を後にする。
今回の件で、今日の仕事は休みになったのでゆっくり休むことにしようと、彼は自室へと向かうのであった。
「............」
そんな彼を物陰から見る人物。
その人物はどこか苦しそうで楽しそうであった。
まるでこの先のことを楽しみに待っているようだった......
─自室
「そういや聞きそびれたな......あの事......」
ベッドで横になり、先程のことを思い出す。
あの部屋に転がっていた死体のことだ。
この前パチュリーから聞いた話では、吸血鬼は1ヵ月に一度、若い人間の血を飲まなければ生命を維持できないという。
そこまでは問題無いのだが、それなら何故あんな数の死体が放置してあるのか?
「......一眠りしよう」
考えるのは一旦やめにして目を瞑る。
起きたら、そうだな......パチュリーに話してみるか。
レミリアと咲夜のことで何か調べてたみたいだし、何より教えてほしいと頼まれている。
一連の出来事をパチュリーに話すと決め、彼は眠りについた。
─謎の空間
「......またここか」
目が覚めると謎の空間にいた。
何度も見ているため夢の内容は覚えている。
暗い空間で目が覚め謎の人物が自分に何かを語りかける。
しかし話の内容は完全に聞き取れないというものだ。
だが今回は違った。
「何度もすまないな......」
「......今回はちゃんと聞こえるのか。まあいいや、何のようかな?」
姿はいつものようにぼやけてわからないが、今回は声がはっきりと聞こえる。
また伝えたいことがあるらしく、何の用かを聞く。
そして謎の人物は背中を向けながら話し始めた。
「以前里でトラブルがあったとき、お前は戦っていたな」
「どうしてそれを?」
謎の人物は以前起きたことを知っているようだ。
となると何処かから見ていたのか、または気付かなかったのか......疑問に思うことは山々だが、続けて話を聞く。
「それはいずれ話す。それで......お前が抵抗できたのは私の力の一部がお前にあるからだ」
「あんたの力?」
「ああ、完全では無いがな。さて、話の本題はこれからだ。お前に頼み事がある」
聞いた話では、この前自分が抵抗できたのは謎の人物の力によるものだという。
確かにあのとき急に力が湧いてきた。
状況が状況で考える暇は無かったが、謎の人物の力がなければとっくに死んでいただろう。
「実はお前に......この......まずいな、もうこんなところまで来たか」
「どうしたんだ?」
「......少し邪魔が入った。また会おう、くれぐれも
「あっ......」
─自室
カァー カァー
「もう夕方か......せっかく話せたのに、またあいつの話を聞かなかったな......さて、図書館に行こうか」
目が覚めたので、今日の事をパチュリーに報告するため、大図書館へと向かうことにした。