東方紅魔郷 〜 Fate or Destiny.   作:あめじすと

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EPISODE18:優しいあの人

 

─阿求の部屋

 

「もう一つの話?」

 

一通り異変に関する話を終え、一息つこうとした霊夢たちであったが、阿求は何かを思い出し彼女たちに話すのであった。

 

「ええ、この前聞いた話なんだけど......小鈴が見知らぬ人に助けられたみたいなの」

 

「見知らぬ人?それって危ないんじゃないか?」

 

「あ、言い方が悪かったわ。異変に関することなのだけど、小鈴が犯人らしい人に狙われたとき、通りかかった人が助けてくれたらしいの」

 

阿求が話し始めたことは異変に関することで、なんと小鈴が狙われたらしい。

自分達の知る人物が狙われたと聞いて、霊夢たちは固唾を飲むのであった。

しかし話を聞こうとしたところ、阿求は幻想郷縁起の編纂に集中していたため、詳しい内容までは忘れてしまったのだとか。

"一度見た物を忘れない程度の能力"を持つ彼女であっても、見たわけではないので忘れることもあるのだ。

そんなこんなで、結局小鈴に直接聞くべく、2人は鈴奈庵へと足を進めた。

 

 

 

─鈴奈庵

 

チリンチリン......

 

「おーい小鈴〜、いるか〜?」

 

「はーい......あ、霊夢さんに魔理沙さん!」

 

戸を開けて出てきた少女、本居 小鈴(もとおり こすず)

貸本屋であるここ、鈴奈庵(すずなあん)に両親を含めて3人で住んでいる。

最近は客足が減っているため、少し退屈していた彼女だが、彼女らが来たことで嬉しそうな表情を浮かべるのであった。

 

「それで、今日は何の用件ですか?」

 

「えーと、阿求から聞いたんだけど......この前見知らぬ人に助けてもらったみたいね。そのことについて聞かせてくれないかしら?私達は異変を調査してるの」

 

霊夢たちは阿求から小鈴のことを聞きここに来たと告げる。

今日は遊びに来たのでは無く、異変の犯人と思わしき人物を探るためだ。

 

「あ、異変のことか......まあいいや、上がってください」ショボン......

 

2人が遊びに来たと思っていた小鈴は、少し残念そうにしたが、すぐに気を取り直し先に二人に部屋へ行くように伝えた。

お茶とお菓子を用意するようだ。

今日は小鈴の両親は出かけているらしく、立ち読みをしてる妖怪が1人いるだけで静かであった。

 

 

 

─小鈴の部屋

 

「「よっこらしょっと......」」

 

部屋に入るなりくつろぐ2人。

まるで自分の家に来たのと変わらない。

それだけ小鈴の部屋が落ち着くこともあるが、少し失礼ではないだろうか。

そんな中、ほっと一息ついた魔理沙は1冊の本が目に入った。

 

「ん、なんだこれ?気になる人の落とし方?」

 

魔理沙の目に入ったのは外の世界の解説書だった。

とっさに手に取り読もうとした彼女だが......

 

ガチャ

 

「お待たせ......って、わわっ!?それはダメ!」バッ

 

「あっ!何だよー......ちょっとくらいいいじゃないか」

 

部屋に入って来た小鈴はそれを見るなり赤面し、魔理沙から本を取り返した。

見られて恥ずかしい内容だったのか、持ってきたお茶とお菓子を机に置く間も赤面しっぱなしだった。

少し気まずい雰囲気になったが、落ち着いたところで本題に入る。

今回聞くのは2つ。

犯人の特徴と見知らぬ人物の確認だ。

見知らぬ人物は大体予想がつくが、念のためということもあらので聞いておこう。

 

「それじゃあ聞くわ。まず犯人の特徴を教えてちょうだい」

 

「ええと、犯人は背が高くて黒い外套を着ていたの。顔はよく見えなかったわ」

 

小鈴の情報によると背が高く黒い服装のようだ。

顔はよく見えなかったようで、性別がわからないらしい。

話を聞く霊夢の隣で魔理沙がメモを取りながら頷く。

 

「ふむふむ......で、他に特徴は無かったのか?」

 

「後は......手にナイフを持っていたわ。赤錆びていて長い間使っていたみたいだったわ」

 

「ナイフ......もしかして」

 

次に出てきた情報を聞き、霊夢はすかさず咲夜を連想する。

ここに来る前に聞いた、紅魔館が関係しているという噂とも合点がいく。

しかしどうだろうか、あの咲夜が錆びたナイフを使うとは到底思えない。

それ以前に事件が起こった時間帯は夕方。

おつかいならまだしも用も無いのにレミリアが外出を許すだろうか。

ますますわからなくなり、霊夢と魔理沙はため息をついた。

さて、次は見知らぬ人物についてだ。

 

「はぁ......それじゃあ次いくわ。助けてくれた人の特徴を教えてちょうだい」

 

「......ええと、背が高くて洋服を来ていて執事みたいだったの。髪はゆるい感じで、かっこよくて!それで、犯人に襲われていた私を守ってくれたの。あ、そうそう、あの人ナイフが刺さらなかったの。ちょっとびっくりしたけどあの人のおかげで助かったと思うと......」キラキラ

 

「お、おい......大丈夫か小鈴?」

 

「やっぱり仁太郎しかいないわね」

 

夢見始めた小鈴を尻目に、霊夢は仁太郎だと確信した。

だが同時に妙なことがある。ナイフが刺さらなかったとはどういうことだろう。

あの不良天人でもあるまい、ましてや彼は外来人。

特殊な力など無いはずだが......その事についてもっと聞こうとしたが、小鈴は彼について話すのを止めないので二人は諦めて帰ることにした。

 

「それからそれから......あれ、いない?......まあいいか、それにしても優しかったなぁ......」

 

 

 

─人間の里 上空

 

「最後はあれだったけど、これで具体的な情報は揃ったわね」

 

「そうだな、それより霊夢、今夜一杯やらないか?」

 

日も沈み始めたころ、彼女達は博麗神社へ向けて飛んで行くのであった。

 

 

 

─紅魔館 物置

 

ガチャ

 

「さて、鍵もかけたことだし......」

 

場面は紅魔館に戻る。

レミリアに夕食を用意した後、彼は物置に来ていた。

そう、以前フランと会うきっかけになった場所だ。

ここに来た目的は彼女ともっと関わるためだ。

実を言うと、あの後ずっと彼女のことが気になっていた。

パチュリーや小悪魔を除いて、一人だけで地下の密室にいるのだ。

彼女が危険なことは重々承知している。

しかしレミリアが言っていたように、あるいは自分でも少し感じていたように、良い子のはずだ。

憶測でしか無いが、それでも彼は彼女ともっと関わりたいと思いを抱き、ここへ来たのだ。

 

「確かこの辺に......あった」カチッ

 

ズズズズ......

 

以前もたれた壁を確認すると、壁の一部分の色が薄くなっていたのでそれを押すと、やはり地下への通路が出てきた。

この先に彼女がいる......下手をすれば生きて帰れないかもしれない。

だがここで諦めたら目的を果たせなくなる。

引き下がるわけにはいかないのだ。

 

「すぅ......はぁ......よし!それじゃあ行こうか」

 

 

 

─フランの部屋

 

コンコン ガチャ

 

「フラン、入るぞ」

 

再びここへ来たが、中は特に変わっておらず、相変わらずの静けさと地下の冷気があった。

しかしフランの姿が見当たらない。

やはり前のことで違う場所に移されたのだろうか。念のため奥も確認するために足を進めると......

 

 

 

「わあっ!」

 

「うわっ!?びっくりした......」ビクッ

 

「あははは、お兄様おもしろ〜い」

 

なんだ、天井にいたのか。

それはさておき、今日は遊びに来たということを彼女に伝える。

ただ単に遊ぶのでは無く、何が良くて何がいけないのか彼女に教えなければならない。

それと遊ぶことで彼女と関わることができる。

そうすれば少しずつでも心を開いてくれるだろう。

彼女と関わるということには、そういう意味もあった。

 

「......というわけで、俺は今日からフランに会いに来るよ」

 

「ふぅん......お兄様......いや、貴方って......ヤサシイノネ」

 

......なるほど、これは色々と大変になりそうだ。





人物紹介

本居小鈴(もとおり こすず)
人里の貸本屋「鈴奈庵」の看板娘。
阿求とは親友で霊夢たちとも交流がある。
以前、仁太郎に助けられたことから、彼に好意を持つ。
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