東方紅魔郷 〜 Fate or Destiny.   作:あめじすと

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EPISODE21:変異する人々

 

─人間の里 入口

 

「はぁ......はぁ......やっと着いたか......」

 

あの紅い霧を見た後も夢中で走った。

幸いなことに、途中で妖怪に出くわすことも無かった。

しかしこれからどうすればいいのか。

以前人里に行ったとき、犯人と思われ追いかけられた。

そんな中、人里へ入るのを戸惑っていると後ろから声が聞こえてきた。

 

「おーい、天澄さーん!」

 

「美鈴、それと妖精メイドたちも......

 

後ろからやって来たのは美鈴と妖精メイド二人だった。

さっきの妖精メイドが言ってた護衛はこの三人らしい。

彼女たちの実力は知らないが、こう集まると安心する。

さて、感想はこの辺にしておいて人里に入らないと......

 

 

 

「おい霊夢、あれって......」

 

「っ!早速現れたわね」

 

 

 

「はぁ!」ビュン

 

「うん?......うわっ!?」チュドン!!

 

今度は上から声が聞こえたと思うと、空から光の弾が落ちてきた......というより落とされた。

前を見ると地面が少しえぐられていた。

直撃していたら大怪我をしていたかもしれない。

犯人は誰かと上を見上げると、そこには見覚えのある二人がいた。

 

「君たちは確か......」

 

「ちょっと霊夢さん、魔理沙さん!何するんですか!」

 

そう、確か博麗霊夢と霧雨魔理沙だ。宴会の席で会ったが、その時は険悪な関係になんかならなかったはずだ。

それなら何故攻撃してきたのだろう。

そう考えていると二人は空から降りてこちらへ歩みを進めてきた。

そしてこう言った。

 

「あんたたち、これはどういうこと?二度も異変を起こしておいてまだ懲りないのかしら?それと貴方、外から来た上にこいつらに加担するわけ?」

 

自分たちはその異変とやらに関わっていると疑われているようだ。

しかし当然ながら関わったわけでは無いのでこちらの言い分も通す。

信じてもらえるかわからないが、出来る限りしてみよう。

 

「ちょっと待ってくれ、俺だって何が何だかわからないんだ」

 

「そんなこと言ってどうするつもり?命乞いのつもりかしら?」スッ

 

「なぁ霊夢、そこまで......」

 

「黙ってて」

 

霊夢はお祓い棒を構える体勢をとっている。

しかし、だからといってこちらも姿勢を構えては余計に疑われそうなので、あくまでも平静を装う。

 

「本当に知らないんだ。急にレミリアと咲夜が豹変して......」

 

真剣な眼差しでこちらを見る霊夢に緊張を覚えるが、これまでに起こったことを話してみた。

レミリアの態度の変化、時間の認識のズレ、そして咲夜のこと。

話をしている間も、霊夢は警戒を緩めなかったが、美鈴と妖精メイドの擁護、魔理沙が霊夢をなだめる形で話を終えると、彼女はようやくお祓い棒を引っ込めて腕を組んだ。

なんとか戦わずには済むようだ。

 

「......わかったわ。疑って悪かったわね。でも......何かしたらタダじゃおかないから」

 

そう言うと彼女は魔理沙と共に紅魔館のある方へと飛んでいった。

後ろを振り返ると紅い霧はだんだんとこちらへ向かっているようだった。長くなってしまったが人里へ入らないと。

 

「天澄さん、くれぐれも私たちのそばから離れないでくださいね」

 

「あ、ああ、わかった......」

 

「............」

 

思うことがある。

自分はいつも人に助けられてばかりだ。

この世界に来たときも、襲われたときだってそうだった。

そして今回も護衛という形で助けられている。

人を助けたことなんて、数えるほどしか無い。

 

「悔しいなぁ......」

 

誰にも聞かれない小さい声で、そう呟いた。

 

 

 

─霧の湖付近 集落

 

「ここにも霧が......ん?」

 

「どうしたの魔理沙?......あれは」

 

霊夢と魔理沙は紅魔館へ向かう道中、小さな集落の上空を飛んでいた。

集落には霧が立ち込めており、まるでガスが充満しているようだった。

そんな中、霧がひらけている場所に、集落の人々が苦しそうに呻いていた。

当然見過ごすわけにもいかないので、二人は地上へ降りると人々の元へ向かった。

 

「大丈夫か?しっかりしろ!」

 

「ぐあぁ......うぅ......」

 

「はっ......はっ......」

 

「ぐふっ......」

 

魔理沙が声をかけるもものの人々は答えることが出来なかった。

おそらく霧を大量に吸い込んだのちに、霧の開けているここへ来たのだろう。

しかし時すでに遅し。

人々の容態は治るどころか悪化しているようだ。

こんな状況で救いがあるとすればただ一つ。

永遠亭(えいえんてい)の医者に薬を作ってもらうことだ。

そこで霊夢が人々を案内しようとしたその時だった。

 

「......!?ぐっ......あ......ぁぁぁぁぁぁ!?」ジュウゥゥゥ......

 

「ちょっ......何よこれ!?」

 

「なんなんだ一体!?」

 

人々が叫び声をあげたかと思うと、その姿は人型の妖怪へと変化した。

二人が混乱している間にも人々は次々に妖怪に姿を変えていき取り囲まれてしまった。

 

「そんな......人が妖怪に......霊夢......これって......」

 

「ええ、今回は本当にまずいわね......行くわよ」シュッ

 

「おい!待ってくれ......」シュッ

 

いくら妖怪になったからといって、元は人間。

やすやすと退治するわけにもいかず、二人はひとまず空へと飛び今後について作戦を練る。

霧は人里の方へ向かっているようで、もし防ぐことができなければ皆が妖怪になってしまう。

そこで霊夢は結界を張るために人里へ戻ることにし、魔理沙は永遠亭に事情を話し薬を作ってもらうことにした。

しかしこの作戦は厄介なものであった。

異変を解決するのが二人だけなため、異変の発生源である紅魔館へ行くのを後回しにしなければならないのだ。

だがこうしている間にも霧は休むことなく広がっている。

作戦を決めると二人は全速力でそれぞれの目的地へと向かった。

 

 

 

─人間の里

 

「......お前たち、あの屋敷のやつらだな!」

 

「何てことするのよ......最低!!」

 

「この前のガキだな?今度こそ逃さねぇ!」

 

「......まずいことになったな」

 

「すみません、私が及ばないばかりに......」

 

霊夢と魔理沙が去った後、人里に入り隠れていたのだがとうとう見つかってしまい、現在丁字路の壁に立たされている。

里の人たちは逃げている途中だったようだが、自分たちが異変に関係していると疑うや否や捕らえようと取り囲んだのである。

里の人たちに手を出せば、里どころかあの二人にもやられるだろう。

......どうすればいいのか?

 

「さぁお前たち、大人しくするんだ」

 

「堪忍するんだな」

 

「......くそっ」

 

人々がにじり寄り、今にも捕らえられそうなときだった。

 

タッタッタ

 

「皆さん!待ってください!」

 

ザワザワ

 

「あれは鈴奈庵の嬢ちゃん......」

 

「どうしたのかしら?」

 

走って来たのは見覚えのある少女だった。

そうだ......あのとき襲われていたあの娘だ。

そして人々の前に立つと手を広げて自分たちを庇う。

 

「この人たちを見逃してください!真ん中の人は私の命の恩人なんです!」

 

ザワザワ

 

割り込んできた少女の静止に周りの手が止まった。

それを確認すると少女はこちらに振り向き事情を聞く。

 

「一体何があったんですか?」

 

「あ、ありがとう......実は......」

 

お礼をした後、ここまでのことを話した。

すると納得した表情で彼女は後で自分たちを案内すると言った。

しかし話している間に人々は再びこちらに視線を向ける。

 

「天澄さん、また住民たちが......」

 

「あ、ちょっと......さっき命の恩人って......」

 

「─ちょっと皆さん、いいですか?」

 

少女が再び人々を宥めようとしたとき、人々の中から一風変わった姿の少女が現れた。

頭に鯨の被り物をしている少女は、人々を呼び止めると何かを散布した。

すると人々のざわめきはなくなり、やがて異変のことを思い出したのか早足で避難していった。

そしてこの場に残ったのは美鈴、妖精メイドたち二人、この前の少女と鯨の少女、そして自分の6人だけであった。





紅い霧
今回の紅い霧は長時間、あるいは大量に吸い込むと妖怪に変化してしまう。
このような事態は未だ起こったことがないので対処法は不明。
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