東方紅魔郷 〜 Fate or Destiny.   作:あめじすと

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結界
霊力を持つ者が作り出すことのできる壁。
その性質は様々で、用途によっては簡単に作れるものもあれば、その逆もある。
体力の消費が激しいので使い過ぎると過労になることも。


EPISODE23:侵食の里

 

─人間の里 里の外れ

 

ガヤガヤ

 

「グゥゥゥ......」

 

「なっ、なんだこいつら!?」

 

「父ちゃん怖いよぉ......」

 

各々が別行動をしている中、妖怪化した集落の人々が里の外れを侵食しつつあった。

すでに何人かが犠牲となっており、この親子も今まさに狙われていた。

しかし抵抗する術を持たない彼らは、ただ襲われるのを待つしかなかった。

 

「お前は逃げろ!ここは父ちゃんに任せるんだ!」

 

「嫌だ......父ちゃんも逃げないと......」

 

父親が娘を庇い逃げるよう促すが、少女は涙をこぼしながらすがることしか出来なかった。

だが凶暴な妖怪に慈悲の心など無く、とうとう彼らに襲いかかった。

 

「グルラァッ!!」

 

「危ないっ!」ガバッ

 

妖怪が飛びかかると同時に、父親は娘を抱きしめる形で庇った。

そして妖怪の魔の手が襲い、父親は死んだと思われた......が。

 

ドサッ

 

「父ちゃ............え?」

 

「はぁ......間に合ったわね......」

 

倒れたのは妖怪の方で、その背後には霊夢がいた。

どうやら里の入口に向かう途中、たまたま視界に入ったようで助けたのだとか。

その後、里の外れに結界を張ると、助けてもらった親子は彼女にお礼を言った。

 

「危ないところを助けていただきありがとうございました......」

 

「ありがとうお姉ちゃん......」

 

「いいのいいの、そんなことより早く逃げるのよ」ナデナデ

 

「......うん!」

 

「すまねぇな嬢ちゃん......」

 

早足でその場を離れた親子を見届けると、いつの間にか妖怪たちは彼女を取り囲んでいた。

いや、彼女のことなので最初から囲まれてることくらいわかっている。

 

「............」ユサッ

 

....と、最初に峰打ちして倒した妖怪も起き上がったようだ。

しかし彼女は気にすることなく妖怪たちを一掃した。

 

「はあっ!」シュババババッ......!

 

「グゥ......」ドサッ

 

「グァッ......」ドサッ

 

ドサドサッ......

 

「さて、しばらくは起き上がらないはずね。ともかく急がないと......」

 

再び彼女は里の入口へと向かった。

 

 

 

─紅魔館 玉座の間

 

「あらあら、侵食の遅い霧ですこと......このままだと結界を張られてしまうわ」

 

「............」ニヤリ

 

紅い霧が侵食を進める中、レミリア?と咲夜?はその様子を見ていた。

レミリアの方はともかく、咲夜の方は出番を待っているようだった。

待ち遠しそうにする彼女を見て、レミリアも口角を上げるのであった。

そんな彼女の足元には妖精メイドの死体が転がっている。

 

「うふふ、これからどうなっていくのかしら?ねえ妖精メイドさん?」グシャ

 

「............」ドクドク

 

死体は何も語らない。

ただ潰された胴体から血を流すだけであった。

 

 

 

─人間の里 入口

 

「あれは......人間?......いや、この気は人間じゃない」

 

行動を開始した美鈴は里の入口で見張りをしていた。

すると遠くの方で人影が見えたので気を感じとった彼女だが、すぐにそれらが人でないと気づき、臨戦態勢を取る。

しかしその直後、もう一人の人物がやって来た。

 

「美鈴じゃない。まだここにいたの?」

 

「あれ?霊夢さん。戻って来たんですか?」

 

「ええ、ちょっとまずいことがあってね。結界を張りに来たの。......って向こうから妖怪もきてるじゃない......!美鈴、私は結界を張るから時間稼ぎしてちょうだい。間違っても殺しちゃだめよ」

 

「はあ......わかりました。それじゃあ行って来ます!」

 

そう言うと霊夢は結界を張りはじめ、美鈴は妖怪たちの足止めに向かった。

しかしここで霊夢は失態を犯していた。

先ほど里のはずれに向かったために霧がわずか数百メートルまで迫っていたのだ。

結界の大きさからして張り終えるまでに到達してしまうだろう。

だが少しだけでも霧を遮断しなければもっとまずいことになる。

 

「お願い......早く出来上がって......」

 

 

 

─里への道中

 

「何ダ貴様ハ......」

 

「チョウドイイ獲物ダナ......」

 

「ここから先は行かせません」

 

霊夢の指示で妖怪たちの足止めに来た美鈴。

なぜ殺してはダメなのか理由はわからないが、とりあえず霊夢に言われた通りにするしかない。

妖怪の数はおよそ十数人......紅い霧が妖怪たちと美鈴の周囲を覆ったところで、勝負が始まった。

 

「............」

 

「ドウシタ?怖気付イタカ?」

 

勝負が始まるや否や美鈴は目を閉じた。

そして動く気配が無いので、妖怪たちは彼女を嗤ったり煽ったりした。

ところが美鈴はその場から動かず、目を瞑ったまま立っている。

そんな様子に対し、妖怪たちは苛立ちを覚えついには彼女に襲いかかった。

 

「ソッチガ動カナイノナラ......コッチカラ行クゾ!」ブンッ

 

「............」

 

妖怪の振るった腕が彼女の顔をかすめそうになったその時。

 

「......遅い」ヒラッ

 

「ナニ!?」

 

「はあっ!」ドスッ

 

「グハッ!?」ドサッ......

 

美鈴は目を瞑ったまま、妖怪の攻撃を僅かな動作でひらりと躱すと、ようやく目を開き正拳突きを放った。

妖怪は美鈴の正拳突きを喰らい一撃で倒れた。

その光景に周りの妖怪たちは少し怯む。

だが態勢を立て直すと次々と彼女に向かって攻撃を仕掛けた。

しかし美鈴は落ち着いた様子で、"かかって来な"という風に手を動かすと妖怪たちを迎え撃った。

 

「ふっ!」バキッ

 

「はっ!」ドッ

 

「はいやーっ!!」バババッ!!

 

正拳突きをはじめ、いなしや回し蹴りを連発する美鈴。

襲いかかってくる妖怪たちも、彼女の前では歯が立たず次々と倒れていった。

そして全ての妖怪を倒すと、美鈴は大変なことを思い出した。

 

「これで全員倒しましたね......あ、結界が張られたら私も里に入れないんじゃ......おーい、霊夢さーん............!!」

 

彼女は急いで里に戻るのであった。

 

 

 

─人間の里 入口

 

「はぁ......はぁ......なんとか間に合いました......」

 

「ちょっと大丈夫?」

 

「大丈夫です......久しぶりに動いたので......霊夢さんの方こそ大丈夫ですか?」

 

「ええ、大丈夫......大丈夫......」

 

人里の方ではようやく霊夢が結界を張り終えた。

しかし事態は深刻で、結界の形成に時間がかかり、紅い霧の侵入を許してしまったのだ。

霊夢の力が及ばないのではない。

巨大な結界を張るためには相当な霊力が必要なのだ。

普通の巫女ならまず形成することさえ不可能に近く、たとえ形成できたとしても過労で倒れてしまう。

むしろ形成した上に倒れない霊夢が異常と言える。

しかし霧の侵入を許してしまったためか、彼女は内心ひどく自分を傷つけていた。

それを察したのか、美鈴は彼女の手をそっと握る。

 

「霊夢さん、そんなに落ち込まないでください。一人じゃないんですから。きっと元に戻りますよ......」

 

「だと......いいわね......」

 

確証は無いが、今の彼女にはこう言うことしか出来なかった。しかし霊夢も彼女の言葉を聞き、少し勇気づけられたのか、今度は内部の霧の対処を探し始めた。

ところが里のはずれでは、新たなことが起こっていた。

それはいずれ霊夢......ではなく仁太郎と対峙することとなるだろう。

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