東方紅魔郷 〜 Fate or Destiny.   作:あめじすと

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EPISODE26:降りかかる災難

 

─紅魔館 庭園

 

ザワザワ

 

「おい、どうなってるんだ!?」

 

「何処なのここは!?」

 

人里が脅威に見舞われている中、紅魔館の庭園では何処から集められたのか人々が密集していた。

霧に囲まれて動けない人々をレミリアと咲夜の二人は鑑賞するかのように見ている。

特にレミリアは手を後ろで組みながらニヤニヤとしている。

咲夜の方は付き添いといった感じだ。

そんな二人に人々は声を荒げる。

 

ガヤガヤ

 

「何そこで突っ立ってるんだ!おい、どうにかしろ!」

 

「早く助けなさい!私たちをどうするつもりなの!?」

 

次々に人々の声が上がる。命の危機を感じているのだろう。

誰も彼もが我先にといった調子で助けを求める。

とうとう声がピークを迎えると咲夜は何も言わずその場を後にした。

そして残ったレミリアは宙に浮くと人々にこう一言告げた。

 

「さようなら」

 

「......は?」

 

人々が呆気に取られていると突然......

 

ザクッ

 

「......え?きゃあぁぁぁ!?」

 

「ガ......ハッ......」

 

地中から木の棘が飛び出し一人を串刺しにする。

それを見た人々はパニックに陥っていく。

 

ザワザワ

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

「いやあぁぁぁぁぁぁ!?」

 

しかしそれを気にすることもなく、木の棘は次々に飛び出しやがてそこにいる人々を全て串刺しにした。

木の棘には人々から流れ出た血が伝い、地面に広がり血の池を作り上げた。

その様子にレミリアは口角を上げた。

 

「............」

 

「......ア......アガ......」

 

「いい気味ね......早く次がみたいわ......」

 

それだけ言うと、彼女もその場を後にするのだった。

 

 

 

─人里 阿求の屋敷

 

「というわけで......この薬を持ってきた」

 

「なるほどね......わかったわ、魔理沙」

 

阿求の屋敷では魔理沙が薬を持って来ていた。

当初は霊夢に合流するつもりだったらしいが、途中で美鈴と会いここに来たようだ。

また、彼女の話によると美鈴と妖精メイドは里の人々の誘導が終わったので妖怪化した人々を倒した上でこちらへ運ぶ準備をしているという。

 

「それにしても......その腕大丈夫か?」

 

「え?......あ、ああ」

 

「ちょっと貸りるぜ......ほら」ナデナデ

 

この前まで少しやんちゃな娘と思ってたけど、案外優しいところがあるんだな。

 

「............」ジー

 

「はぁ、小鈴ったら......」

 

なんだ......小鈴が怖い目でこっち見てる。

それよりもこの先どうなるんだろう。

そう考え始めた頃、屋敷の人が慌てて部屋に入って来た。

 

ガラッ

 

「失礼します皆様、今度は謎の妖怪が目撃されたみたいです!妖怪が通った跡は濡れているみたいです!」

 

「何っ!?」ガバッ

 

「あ、ちょっと!!」ガシッ

 

「頼む、離してくれ!」

 

妖怪の目撃情報を聞き、再び現場に向かおうとする彼を取り押さえる阿求。

先ほどの戦いからまだ少ししか経っていない。

その上、腕を負傷しているのだ。

今行けば今度こそ本当に死ぬかもしれない。

 

「天澄さん、行かないで!」ガシッ

 

「おい、無理するな!」ガシッ

 

「俺が戦わないと他の人たちが......」

 

小鈴と魔理沙も応援に入るが彼は抵抗をやめない。

三人がかりで押さえても行こうとしている。

 

「落ち着け!私も霊夢も、戦える人はいくらでもいるだろ......」

 

「邪魔をするな......」カッ

 

『............!?」

 

魔理沙が説得しようとすると、彼の口調が突然変わり、目が光ったと思うとその場にいた全員が動けなくなった。

 

「はぁ......よくわからないけど......これで行ける......」フラフラ

 

「............!」(おい、待て!行くな!)

 

声を上げることもできず、彼女らはその場にいることしか出来なかった。

そして動けるようになったのは彼が完全に出て行ってからであった。

 

「はぁ......はぁ......何だったんだ?......いや、今はどうでもいい。行ってくるぜ!」ダッ

 

「どうしよう阿求......このままじゃ......」

 

「小鈴......魔理沙がなんとかしてくれるわ」

 

魔理沙は動けるようになると、すぐに彼を追うのだった。

残された二人は、ただ無事を祈ることしか出来なかった。

 

 

 

─里の中心

 

「さあ、来なさい」

 

妖怪を誘導しようと飛び出す霊夢。

狭い路地だがすぐ右に曲がれば空けた場所に出る。

そこで早いところ退治しなければ。

そう考えた霊夢は曲がったのだが、あることに気付かなかった。

 

「え?きゃっ!」ベチャッ......

 

地面に広がっている粘液に足を取られてしまったのだ。

普段の彼女ならすぐに気付き躱せるだろう。

しかし霧の影響なのか、判断力が鈍くなっていたのだ。

予想外の事態に霊夢は焦り始める。

 

「ったく......こんな......」

 

しかし粘液から抜け出そうとした霊夢にはさらなる災難が待ち構えていた。

 

ニュル

 

「え......ちょっと......」

 

後ろ足に妙な感触を覚えて振り返ると蛸の足が絡みついていた。

伸びてる方から推測するに妖怪が自身を変化させたと思われる。

それを見た霊夢は戦慄する。

粘液により身動きが取りづらい上に足を拘束されている。

まさか自分がこんな妖怪に負けるなんて....

そう思い始めた霊夢をよそに、蛸の足は彼女を引っ張っていく。

 

ズルズル

 

「いや......やめて......」

 

そしてとうとう先程までいた場所に戻されてしまった。

この妖怪にお札が効かないとなるとお祓い棒なら......

 

「これなら......あれ?無い!?」

 

お祓い棒を取り出そうとするが懐に入っていない。

おそらく転んだときに落としたのだろう。

自分にはあり得ないはずの失態が続き、霊夢はショックのあまり力が抜けてしまった。

 

「この私が......そんな......」

 

そんな弱った彼女をチャンスと言わんばかりに妖怪は引き寄せた。

 

ニュルニュル

 

「はぁ......はぁ......」

 

手足胴に絡みつく触手。

そこに吸盤の吸い付きや粘液が加わり身動き一つとれない。

そうこうしてるうちに妖怪の口が近づいてくる。

鮫のように鋭い歯がたくさん並んでいる。

このままではまずい。食い殺される。

しかしいくらもがいても霊夢は逃げることができない。

 

「............!」

 

恐怖のあまり目を瞑った瞬間、

 

ヒュンッ......‼︎

 

「ギギッ......」バッ......

 

「あ......」ドサッ

 

星形の弾幕が数発、妖怪に命中した。

妖怪は何が起こったのかわからない様子で、その場からそそくさと逃げて行った。

安全を確認した魔理沙はすぐに霊夢の元へと駆け寄った。

 

「大丈夫か!?霊夢!!」

 

「魔......理沙......」

 

霊夢の無事を確認した魔理沙は外の方へ顔を向ける。

そして真剣な表情で呟いた。

 

「頼んだぞ......仁太郎」

 

 

 

─十数分前

 

「はぁ......はぁ......この辺か......」

 

阿求の屋敷を飛び出した仁太郎は里の中心近くに来ていた。

この近くに目撃された妖怪がいるはずだ。

腕が痛むが戦うときにはまた力が......

 

「おーい!......どうして無理するんだよ!」

 

追いついてきた魔理沙に注意される。

確かに無理はするかもしれないが、少しでも力にならないと....

 

そんな思いにとらわれていた彼は彼女に対してついきつく言ってしまった。

 

「俺じゃ力不足か!?足手まといか!?」

 

「............」

 

「......どうなんだ......言って......あ......」

 

彼女の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

それを見た彼は我に帰った。

自分のことを心配してくれた彼女に対し何てことを言ってしまったんだろう。

本当に情け無い......謝らないと......

 

「ご、ごめん......心配かけたよな......許してくれとは言わないけど、この通りだ......」

 

ブウゥゥゥン......

 

「......な、何だ?」

 

頭を地面につけ彼女に謝罪をしようとすると、突如自分と魔理沙の間の空中に穴が空き、そこから長い棒が落ちてきて地面に刺さった。

呆気に取られていると穴から声が聞こえてきた。

 

「そこの君......目の前にあるその槍を持ち歩くといい」

 

よくわからないが、それだけ言うと穴は閉じてしまった。

とりあえずこの棒を引き抜けばいいのだが、まだ魔理沙にちゃんと謝れていない。

気を取り直し彼女に謝ろうとすると彼女の方から切り出してきた。

 

「おい、何してるんだ。早く妖怪退治にいくぞ」ダッ

 

「......は?」

 

先程とまるで違う態度だ。

自分を止めようとしていたのに一緒に行こうとするなんて......

ともかく、早く追わないと......

 

「この槍を......」ガッ

 

地面から棒を引き抜くと再び力が湧いてきた。

さて、行こうか......

 

「............!」(体が軽い......!)

 

槍を手に、全速力で彼女を追いかける彼であった。

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