東方紅魔郷 〜 Fate or Destiny.   作:あめじすと

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EPISODE6:紅魔館の案内その2

 

─大図書館

 

「うわぁ......床から天井までぎっしり......」

 

「ここが大図書館よ」

 

地下に入りまっすぐ行くと、そこには大きな図書館があった。

床から天井まで本が所狭しと置いていて、少し古っぽいところが興味をそそる。

咲夜と会話をしながら進んでいると、丁度中央辺りに着いた。

そしてカウンターに二人の人物がいた。

一人は紫が目立つ人でもう一人はもしかして悪魔なのか?

 

「小悪魔、パチュリー様、この館に住むことになった天澄仁太郎さんです」

 

「天澄です。よろしくお願いします」

 

「......昨日の人ね。私はパチュリー・ノーレッジよ......よろしく......」

 

「小悪魔です!よろしくお願いしますね♪」

 

二人に挨拶を済ませる。

咲夜は二人に案内を頼んだが、パチュリーの方はあまり動けないらしく、小悪魔が案内することになった。

司書をしているという彼女は自信があるらしい。

......というより俺の方をチラチラ見てくるんだが。

 

「なんか付いてる?」

 

「いや、何でもないです!ささ、案内しますよ〜」

 

「それではまた後で......天澄さん」

 

咲夜は他にも仕事があるらしく、図書館から出て行き、小悪魔の案内が始まった。

まず最初に案内されたのは、カウンターから右に向かうとある本棚が何列も並んだ場所だ。

ここでの仕事は主に本の整理やホコリを払うことと、至って普通だ。

 

「天澄さんはどんな小説がお好きですか?」

 

「俺はそうだな......小泉(こいずみ)八雲(やくも)の"怪談"って知ってるかな?ちょっぴり不思議で怖い話が好きかな」

 

「そうですか......ふふふ」

 

やはり小悪魔はチラチラと見てくるが、気付かないフリをしておこう。

昔早苗にも......早苗はどうしてるかな?

少し心配になったが、紫の言っていた"一時的に記憶がなくなっている"ということを思い出し、今は目の前の事に集中する。

さて、次に向かったのは奥の方だ。

ここでは哲学的な大人の本や、空想的な子供の本などが並び、本を読むスペースが設けてある。

小悪魔いわく、たまにポルターガイストが起こり、本の配置が変わるため困っているらしい。

なのでここでの仕事は霊を追い出すことなんだとか。

 

「ポルターガイストか......見たことはないけど気になるな」

 

「ほんとに手を焼いてるんです。なかなかすばしっこいので......」

 

やはりここでもチラチラ見てくる小悪魔。

だんだんと目が光っている。

それはまるで獲物を狙う獣のような......考えるのはやめてよう。

気にしたらだめだ。

 

「さて、それじゃあ次は上のフロアに行きましょう......」

 

そして次は上のフロアに向かう。

図書館に入ったときから見えていたが、ここには数百から数千の魔導書が置いてあるんだとか。

読んだ者の命を奪う、呪いの書や悪魔の書もあるらしく、無闇に読まない方がいいらしい。

さらに進んで行くと、壁際に着いた。

そこで小悪魔に異変が......

 

「ここ行き止まりだぞ。......どうした?」

 

「......ふふ、わかってますよそんなこと。愛の終着点ですもの。さて、貴方の精気をわけてもらいますよ〜」ガバッ

 

「ちょっ!?何するんだ......降りろ......!!」

 

突然、小悪魔が押し倒してきた。

馬乗りで手を押さえつけられ、蠱惑的な表情をしてくる彼女に赤面するのも無理はない。

嬉しくないと言えば嘘になるが、今はそんなことどうでもいい。

誰か助けて......

 

「顔が真っ赤ですよ〜?私もですけど......それじゃあ早速、口づけを......」

 

されるがまま、彼女に唇を奪われそうになったその時だった。

 

「どけどけ〜!!......って行き止まり!?......ん、誰だお前?」

 

またまた突然やって来たのは、いかにも魔法使いというような少女だった。

呆気にとられていたが、そこでその少女の後ろにパチュリーがいることに気付く。

さっきあまり動けないと言っていたが、どうやら本当のようだ。

ここからカウンターまでそれほど離れていないが、随分と疲労しているようだ。

 

「小悪魔、天澄さん......そいつは泥棒よ......捕まえて............」バタッ

 

「は、はい......パチュリー様!」サッ

 

なんとか退いてくれたか。

助かった......

 

「くそっ、そこのお前、誰かはわからないがここにあんまりいない方がいいぞ。じゃあなっ!」

 

「あっ待ちなさい!」

 

そう言うと彼女は箒に乗ってそそくさと逃げていった。

ここにあまりいない方がいいと言っていたが、実際どうなんだろう。

小悪魔に問題はあったが、その他の人達......いや、人じゃないけど特に問題は無いと思うが。

 

「パチュリー様、しっかりしてください!」

 

「う〜ん......」クルクル

 

「目が回ってる......」

 

 

 

結局、倒れてしまったパチュリーを運び、カウンターのソファに寝かせておいた。

その後、咲夜が戻って来て図書館の案内は終わったわけだが散々だった。

それにしてもあの魔法使い、泥棒って言われてたけど......美鈴が寝てるから入られるんだろうな。

しっかりしてほしいな......

 

「天澄さん、そろそろ昼食です。食堂に向かいましょう」

 

「あぁ、丁度お腹が減ってたんです。楽しみだな」

 

次に向かうのは食堂のようだ。

昔絵本で見たような大きな食堂なんだろうな。

期待をしつつ、食堂へと向かった。

 

 

 

地下から上に上がり、一度エントランスに戻る。

そしてエントランスを突き抜け、右に進んで行くと見えるのは食堂だ。

入る前からいい匂いが漂ってくる。

そして中に入るとロングテーブルがいくつもある。

西洋のお城にあるようなそれは、とても上品だった。

厨房の方では妖精メイドが料理の下準備をしている様子が見える。

 

「それでは作ってきますね。くれぐれも真ん中の席には座らないように」

 

「はい、わかりました」

 

そう言うと、咲夜は厨房へと入っていった。

 

「本当に絵本で見たような光景だな。ちょっと感動したかも」

 

 

 

「お待たせしました。」

 

「おお、美味しそうだ。......エプロンにケチャップついてますよ」

 

「あら、私としたことが。すぐ戻りますので」

 

彼女はそう言うと、再びその場から立ち去っていってしまった。

それはさておき、昼食のメニューはスープとサラダ、コーヒーとベーコンエッグを乗せたパンだ。

シンプルだがどれも美味しそうだ。

そして食してみると当然とても美味しかった。

隠し味の無いものだが、どれも素材の味を生かしているのか飽きない味であった。

......ただ一つ気掛かりなのは、料理にケチャップが入っていなかったこと。

しかし深く考えるのはやめて、今は純粋に料理を楽しむことにした。

 

 

 

「くっ......頭が......アイツが............」

 

紅魔館のどこかの部屋で、誰かが何かを呟いている。

頭を抱え、座り込むその人物は、まるで何かを恐れているようだった。

その恐れているものは自分自身にだろう。

その人物以外、部屋に誰もおらず、干渉を受けているわけでもない。

そうして自分の声が聞こえてくる。それは低くてどこか嬉しそうな声だった。

 

『貴女を守れるのは私だけ......私に(ゆだ)ねてくれれば貴女が苦しむことはないわ』

 

「やめて......私は罪を背負って生きていくことを決めたの......これ以上は......」

 

『無様なものね、偽物の私。本物の私はこっちなんだからいずれ変わるわよ。楽しみだわ......」

 

「そんな............」

 

再び頭を抱え込むと、その声は消えていった。

少し経ち、落ち着きを取り戻した誰かは部屋から出ていった。

しかしその人物を蝕む者とは一体?館の者で知るのはただ一人。

唯一その人物の過去を知る者。

しかし他に一切語ることは無いだろう。

もっとも、何かが起きない限りは......





人物紹介

パチュリー・ノーレッジ
紅魔館の大図書館にいる魔女。
レミリアとは友人の間柄で、お互いに愛称で呼び合う仲。
小悪魔や本泥棒のことで苦労することも。

小悪魔
大図書館で司書をしている悪魔。
本名は不明。
力の弱い悪魔のはずだが......?
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