「ふぅ~~~~~」
悠斗はナイアガラの滝と同等の水が流れる滝の下で座禅を行っていた。普通であればそんな場所に人が入れば一瞬で水の圧に負け、溺れるのが常識だが、悠斗は咸卦法を使用しており、溺れずに済んでいる。だが、少しでも気を緩めれば、一瞬で水底まで押しつぶされてしまうが
「・・・時間か」
タイマーが鳴り、決めていた時間が過ぎたことを知った悠斗は立ち上がると、滝の中から出て、持ってきたタオルで濡れた身体を拭きながらその場から離れて行った
「今戻った」
「お疲れにゃ悠斗。はい、あったかいお茶でも飲んで体を温めるにゃ」
「サンキュー」
滝行から戻ってきた悠斗に黒歌が温かいお茶を渡す。お茶を受け取った悠斗は一口飲んで冷えた身体を温める
「朱乃と裕奈ちゃんは?」
「家で勉強をしてるにゃ。悠斗はしなくてもいいの?確かもうすぐ試験だって言ってなかったかにゃ?」
「勿論する。中学最後の試験だからな。だが、その前に風呂に入ってくる。このままだと風邪ひいちまうからな」
そういうと悠斗は風呂場へと歩を進めた
「裕奈ちゃん、そこ間違ってますわ」
「え?本当ですか?」
家では自分の勉強をしながら朱乃が裕奈に勉強を教えていた
「すいません、姫島先輩。自分の勉強もあるのに」
「気にしなくても大丈夫ですよ。私にとっても2年生時の復習になりますし」
「やってるね~~」
「桜井先輩」
「ユウ君。今日の鍛錬は終えたのですか?」
「あぁ。取り合えず今日のノルマは完了した」
悠斗は席に着き、ここに来る前によって持ってきた教材をテーブルに乗せる
「でも、桜井先輩もエヴァちゃんと同じものを持っていたのには驚きました。外の家にも驚きましたけど」
「家の倉庫でほこりをかぶっておかれているのをたまたま見つけてね、そのまま譲り受けたんだ。そして、外の家は俺というより爺ちゃんのもんだ。ここ(麻帆良)に行くって言った時に好きに使っていいって言われて譲り受けたのさ」
「じゃあ、なんで寮で生活してるんですか?家があるならここで暮らせば」
「学校と反対方向だからと、中学生で1人暮らしは色々と気にしないといけないからな。だから、外の家には週末や連休の時に使ってるんだ。後、テスト期間の時だな」
「でも、中学を卒業したらここに引っ越すことになってるのにゃ」
裕奈に家の使用法を説明してると黒歌が人数分のお茶をもって居間に入ってきた
「そうなんですの?」
「あぁ、高校生なら1人暮らししても不思議に思われないからな。っといっても、黒歌もいるから1人暮らしじゃないけどな」
「買い物をしに行くのに少し不便ににゃるけど、縁側がある家だから気持ちよくお昼寝が出来て私的には無問題にゃ。でも外の家は2人で暮らすにはちょ~~とばかし広すぎだにゃ」
「旧堀田邸並みの武家屋敷だからな」
悠斗は祖父から好きに使っていいと言われ貸し出された家を思い浮かべながら苦笑いする
「うちのクラスの委員長並みの家ですもんね~~」
裕奈は自分のクラスメイトであり財閥の娘でもあるクラス委員長の豪邸を思い浮かべた
「無駄話はここまでにして、勉強をするぞ。いくら高等部までエスカレーター進学とはいえ、勉強しなくてもいいってことにはならないからな」
「そうですわね」
悠斗の言葉に朱乃は納得し、3人は勉強会を再開(悠斗のみ開始)した
そして、時は過ぎ、期末試験まであと3日となった
「ありがとうございました~」
「ふぅ~~~ようやく買えたぜ」
買い物袋を片手に悠斗がコンビニから出てくる
「ったく、今日に限って俺の好物の菓子がなくなってる上に、どの店も売り切れだなんて」
深~~くため息を吐く悠斗だったが
「でもまぁ、6軒目にしてようやく手に入れることが出来たからよしとするか」
時間はかかったが目的の物を手に入れることが出来た悠斗は寮へと戻ろうと1歩踏み出すと
「きゃ!?」
「おぅ!?」
誰かとぶつかってしまった
「す、すいません!急いでいたもので」
「いや、こっちこそすまない。って君はたしか、宮崎のどかちゃんだったかな?」
「ふぇ!?」
「お兄さん、何でのどかのこと知ってるの。もしかして、ストーカー!?」
ぶつかってしまった少女は見知らぬ男性が自分の名前を知ってることに驚き、もう1人の少女は警察に連絡すべく携帯を取り出す
「ストップ、ストップ!君たちのクラスに近衛木乃香って子がいるだろう?俺はあの子の知り合いでな、前会った時に、君たちが一緒に映った写真を見せて貰ったんだよ」
「そ、そう言えば前に、子供のころから仲良くしてる1歳年上の男の人が男子校に通ってるって木乃香が言ってたような」
思い当たる節があるのか眼鏡をかけた少女は携帯の通話ボタンを押す、一歩手前で指を止めた
「でも、もしあなたが木乃香の知り合いのお兄さんだとして、なんでここにいるの?男子寮はこことは反対側でしょう?」
「寮近くのコンビニに目当ての物がなかったから探し回ってたんだ」
悠斗は買い物袋を見せて言う
「それより、慌ててるように見えたが何かあったのか?」
「「っ!?」」
悠斗の一言に2人が一目でわかるくらい身体を震わせた
「はぁ~~何かあったんだな?話してみろ、もしかしたら力になれるかもしれない」
「「・・・・・・・実は」」
数分に及ぶ沈黙の後、2人は何かあったのかを話し始めた
「つまり、3日後にある期末試験で赤点だったものは小学生からやり直しっていう噂が流れていて、君達のクラスにいる勉強が苦手な5人組、通称“バカレンジャー”が大ピンチ。そこでそのうちの一人が図書館島の奥にあると噂されている頭がよくなる魔法の本を取りに行くことを決めた。図書館探検隊の君達2人と一緒に向かった2人のナビゲートの元、本が保管されている場所にたどり着いたが、連絡が取れなくなった。こういうことか?」
「「は、はい」」
「はぁ~~~」
2人の話を聞いた悠斗はため息を吐くことしかできなかった
「取り合えず、2人は寮に戻ってクラスの皆に起きたことを教えるんだ」
「は、はい」
「それと、いろんなことへの覚悟を決めておくように」
「へ?それはどういう」
「いずれ分かる」
2人にそういうと悠斗はその場から足早でいなくなった
「取り合えず、高畑先生と葛葉先生に連絡しておくか」
悠斗は行動を起こす前に、自身のクラスの副担任と彼女たちの副担任に連絡を入れるべく携帯を取り出した