転生したのでとりあえず剣技を極め最強を目指そう   作:白の牙

4 / 13
忍び寄る蜘蛛

 

 

 「ふぅ~~~少し遅くなっちゃったわね」

 

 女の子が一人で出歩いてはいけない時間、1人の少女が疲れた表情で夜道を歩いていると、1人の少女が声をかけてきた

 

 「あれ?もしかして姫島先輩?」

 

 「あら?そういうあなたは確か明石さんでしたわよね?」

 

 「はい。2-Aの明石裕奈です」

 

 少女 明石裕奈は少女 姫島朱乃に元気よく挨拶をする

 

 「ふふ、明石さんはいつも元気ね」

 

 「元気なのが取りえですから。それに亡くなったお母さん曰く、元気は最強らしいですから」

 

 「でも、こんな夜遅くに出歩いているなんて感心しませんわよ?まぁ、それは私にも言えることですけど」

 

 「いや~~~明日提出する宿題を教室に忘れちゃって。他の先生なら軽く注意されるだけなんですけど、あの“鬼の新田”と呼ばれている新田先生の宿題ですから」

 

 「新田先生ですか。確かに厳しいですけど、生徒思いのいい先生ですよ」

 

 「そうおもえるのは姫島先輩が優等生で滅多に怒られないからですよ」

 

 「いい明石さん。怒るというのはねそれだけ生徒のことを思っているということでもあるのよ」

 

 「私達のことを思って?」

 

 「明石さんにもわかる日が来ると思うわ。それより、早く帰りましょう。こんな遅くに出歩いているの所を先生に知られればそれこそ本当のお説教よ」

 

 「はい」

 

 朱乃の言葉に裕奈は元気よく答え、共に歩き出そうとした途端、草むらから糸のようなものが出てきて2人を絡める

 

 「な、なに!?」

 

 突然の出来事に2人は訳が分からずにいたが勢いよく引っ張られる

 

 「きゃ!?」

 

 「いた!?」

 

 引っ張られた先にいたのは蜘蛛女の風貌をした巨大な蜘蛛の怪物がいた

 

 「「・・・・・・・・」」

 

 あまりの出来事と恐怖に2人は声を発することができずに身体を震わせる。蜘蛛の怪物は両手のはさみを開いては閉じ、開いては閉じを繰り返しながら、糸で捕まえた2人をゆっくりと自身のほうに引き寄せていく。怪物との距離が5mぐらいになった時、

 

 『ッ!?』

 

 突然、怪物の身体が何の前触れもなく宙に上がった。当然、糸でつながっている朱乃と裕奈の身体も宙に浮かびあがるが糸が何かによって切断され、2人は地面に落下する。そんな2人を2人の悠斗が受け止めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は朱乃と裕奈が拉致られる前まで遡る

 

 「今日の警備はアンタと一緒かエヴァンジェリンさん」

 

 「そのようだな」

 

 「桜井さん、新門さん本日はよろしくお願いします」

 

 夜の警備の仕事をするために量から出てきていた悠斗と紅丸は先に来ていた金髪の少女 “エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル”と彼女の従者を務めるロボット少女 “絡繰茶々丸”に挨拶をする

 

 「基本、私は何もしない。いつも通り見ているからお前達2人で対処しろ」

 

 「私はマスターの護衛がありますので動くことができません」

 

 「はいはい。俺とベニでやるよ。そのかわり、敵が何体でどこにいるのかの情報提供は頼むぞ」

 

 「はい」

 

 「来たようだぜ悠斗」

 

 紅丸の言葉に悠斗は愛刀“大倶利伽羅”を取り出し抜刀すると仕事を始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふん。やはり下級ではあの2人の足元にも及ばないか」

 

 空に浮かんで悠斗と紅丸の戦いを見ていたエヴァンジェリンはつまらなさそうな表情で呟く

 

 「・・・・これは」

 

 「どうした茶々丸?」

 

 「マスター多数の魔物や式が召喚されてきています」

 

 「何?それは本当か?」

 

 「はい」

 

 「だがどうやって?私とこの学園の結界はつながっていて不審者が入れば分かるはず。だが、そんな兆しはなかった」

 

 「エヴァさん、茶々丸。どういうことだこれ?倒しても倒してもきりなく出てくるんだが?」

 

 「1体1体は大したことねぇが。こう何匹もいると面倒だ。いっそのこと森事焼き払うか?」

 

 「やめぇい!監督不届きということで怒られるのは私なのだぞ!」

 

 イラついてきたのか森事焼き消そうとする紅丸をエヴァンジェリンは慌てて止める

 

 「茶々丸、センサーを最大にしてこいつらを召喚している術者を探せ!今すぐに!」

 

 「イエス、マスター」

 

 茶々丸はエヴァンジェリンの命令を聞き、探査範囲を広げ術者の位置特定を行っていると

 

 「マスター」

 

 「見つけたのか?」

 

 「いいえ、それよりも緊急の案件です。1体だけ上級が召喚され、召喚された先に一般生徒が2人います。このままでは犠牲者が出るかと」

 

 「えぇい、こんな時に!茶々丸、そこに1番近い位置にいるのは誰だ!?」

 

 「検索結果・・・・私達が1番近い位置にいます」

 

 「私達か!?桜井悠斗!」

 

 「何すか!?今2重の意味で忙しいんですけど!?」

 

 悠斗は魔物の相手を暴走しそうな紅丸の抑えに忙しく、少し声を荒げてエヴァンジェリンに尋ねる

 

 「この遅くまで出歩ている一般人の下に上級の魔物が召喚され、近づいて行っているらしい。ここは新門紅丸に任せて、お前は2人の一般人の救助に迎え」

 

 「何でこんな時間に出歩いてるんだよ!ベニ!そういう訳だから俺はそっちに行く、ここは任せた」

 

 「あぁ」

 

 「あと、めんどくさいからって森事焼き払おうとするなよ。もしやったとしても俺は責任を取らないからな」

 

 「・・・・・」

 

 悠斗の言葉に紅丸は動きを一瞬だけ硬直させた

 

 「ったく。茶々丸、最短ルートでいきたいナビを頼む」

 

 「了解しました」

 

 茶々丸に指示を出すと悠斗は身体強化を脚部に集中させ、茶々丸のナビの元一般人2名の救助の為に駆けだした。そして、現場に着くと蜘蛛女型の上級魔物が糸で拘束した2人の少女を自身の下に引き寄せ喰らおうとしている場面に遭遇した悠斗は瞬動で怪物の背後に移動し、強化した脚で怪物を蹴り上げ

 

 「斬空閃」

 

 斬撃を飛ばして2人を拘束して糸を断ち、2人に分身して落ちてきた少女を受け止めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、冒頭の戻る

 

 「大丈夫か・・・て、朱乃?」

 

 「ゆ、ユウ君?」

 

 悠斗は助けた少女の1人が自身の知人であったことに驚き、助けられた朱乃も唖然としている

 

 「いつもはこんな時間まで出歩ていないってのになんで今日に限って出歩いてるんだよ?んでもう1人は確か木乃香ちゃんと同じクラスの明石裕奈だったか?」

 

 悠斗は分身に助けられた裕奈のパニックっているのを見て苦笑いする

 

 「ゆ、ユウ君、あれは一体?」

 

 「あ~~~全部説明すると長くなるからあとでな」

 

 悠斗は朱乃を降ろす。分身もこっちに近づいてき、裕奈を降ろすと役目を終えたのか煙と共に掻き消えた

 

 「あれが上級クラスの式・・か(倒すのは訳ないだろうが、守りながらだと部が悪いな)。しゃーない」

 

 地面に落ち、立ち上がろうとのたうち回っている怪物を見て悠斗はため息を吐きながらカードを一枚取り出し、額に添える

 

 「(聞こえるか黒歌?)」

 

 『(にゃ?どうしたのにゃ悠斗?)』

 

 「(ちょっと緊急でな巻き込まれた一般人2人の護衛を頼みたい)」

 

 『(解ったにゃ)』

 

 「(悪い、んじゃあ呼ぶぞ)召喚、悠斗の従者 黒歌」

 

 悠斗がカードを軽く投げると、カードが輝き、地面に魔方陣が描かれ、その魔方陣から従者の黒歌が召喚された

 

 「にゃん♪呼ばれて飛び出てにゃんとやら黒歌、参上にゃ」

 

 「古いネタを使うな」

 

 「それで、誰を悠斗が戦っている間守ればいいにゃ?」

 

 「後ろにいる2人だ」

 

 黒歌の問いに悠斗は朱乃と裕奈に軽く視線を向けて言う

 

 「攻撃が来ても大丈夫なように結界でも張っておいてくれ」

 

 「了解にゃ」

 

 黒歌は何処からともなく4枚の呪符を取り出し、投げて陣を形成させる

 

 「霹靂天掃、急急如律令」

 

 黒歌が唱えると展開された呪符が輝き、立方体の結界が形成され、黒歌、朱乃、裕奈の3人を包み込んだ

 

 「それじゃあ、化け物退治といきますか」

 

 悠斗は大倶利伽羅を構えなおし、蜘蛛女に突っ込んでいった


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。