転生したのでとりあえず剣技を極め最強を目指そう   作:白の牙

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山登り

 

 

 

 

 朱乃と裕奈。悠斗の新しい従者の2人が悠斗の混じって早朝訓練を初めて5日。2人は黒歌の協力を得ながら出来る範囲で訓練を続けていた

 

 「そういえば、エヴァンジェリンさんから、『特訓の準備が出来た。来週の月曜の放課後から始める』という伝言を承ってきましたわ」

 

 「何で朱乃に伝言を頼んだんだ?普通は同じクラスの裕奈ちゃんに言うんじゃ・・」

 

 「私とエヴァンジェリンさんは部活動がおなじですから。それに私に伝えたほうが確実に伝わると思ったのではないでしょうか?」

 

 「同じ部活、朱乃は確か茶道部だったな」

 

 「はい。茶々丸さんもいますわ」

 

 「(放課後ってことはアレを使うのかもしれないな。だったら俺も準備しておくか)解った。じゃあ、明日は山登りをしよう」

 

 「「山登り?」」

 

 「まぁ、山って言っても裏山だけどな。リュックサックに飲み物とタオル、登山用の靴・・はないだろうからスポーツシューズを履いて、10時に集合な」

 

 突然山登りをすると言われ、朱乃と裕奈は首を傾げるも、頷き、その日の夕方の訓練を終わった。そして、翌日

 

 「いい天気だ。まさに絶好の山登り日だな」

 

 動きやすい恰好なところは2人と同じだが、2人と違いリュックの替わりに猫状態の黒歌を肩に乗せた悠斗が空を見上げながら呟く

 

 「それじゃあ行くか」

 

 「桜井先輩、先輩は何も持ってないですけど」

 

 「あぁ、俺のは物を収納できるこの指輪型の魔導具の中に入ってる」

 

 「え~~!?それってずるくありませんか」

 

 悠斗の返答に裕奈はずるいと言い、朱乃も同じ気持ちなのかジト目で悠斗を見る

 

 「俺は2人と違って山登りじゃなくて、走るからな。こっちのほうがいいだよ」

 

 「走るんですか」「あぁ、2人にはこれを渡しておく」

 

 身軽な理由を伝えると悠斗はアイテムボックスから登山用の杖、トレッキングポールを渡した

 

 「それを渡しておく。後は・・」

 

 悠斗は1枚の呪符を取り出し、魔力を流すと子犬型の式神が召喚された

 

 「そいつの後に着いて行けば俺がいつも行っている場所まで案内してくれる」

 

 召喚した式神についての説明をしながらストレッチを行っていると、まるで撫でてほしいように尻尾を振る子犬に苦笑いしながら悠斗は子犬の頭をなでる

 

 「っと、言うわけで先に行って待ってるぜ」

 

 2人に言うと悠斗は駆け足で裏山へと入っていった

 

 「早!?」

 

 「はぁ~~~」

 

 悠斗の行動の速さに裕奈は驚き、朱乃は呆れてため息を吐く

 

 「取り合えず私達も行きましょうか」

 

 「は、はい。えっと、案内よろしくね?」

 

 「ウォン!」

 

 朱乃の提案に裕奈は頷き、案内役に置かれていった式神の子犬をなでながら頼むと、子犬はひと鳴きすると歩き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・・到着っと」

 

 山走りを始めて30分。悠斗は徒歩なら40~50分かけて到着する場所まで走ってきたのだ。鍛えている悠斗の足なら大体20分足らずで到着するが、悠斗は黒歌に頼んで四方から攻撃してもらい回避行動と判断力の上昇等を加え走っているため時間がかかっているのだ

 

 「お疲れにゃ悠斗」

 

 「黒歌もありがとな。お陰でいい感じに鍛えた筋肉をなじませることが出来た」

 

 「私は悠斗の従者よ。ご主人様の手助けをするのは当然にゃ」

 

 「さて、朱乃と明石がここに来るまでしばらくかかるだろうし、久しぶりに組み手でもどうだ?」

 

 「あまり汗は掻きたくないんだけど・・・しかたないにゃ」

 

 「先に5本とったほうの勝ちってことでいいか?」

 

 「いいわよ」

 

 黒歌の了承を得た悠斗は少し離れ、拳を構える。黒歌も空手で言う手刀構えで構える

 

 「せい!」

 

 悠斗は1歩踏み出して黒歌に右拳を突き出す、黒歌は回し受けで受け止めると、空いているほうの手で熊手を突き出す、その熊手を悠斗は上段受けで払いのけ、空いた胴に正拳突きを繰り出しも黒歌の底掌受けで受けるとともに拳にダメージを与えた。強く叩かれたため多少痛みはあったが、悠斗はそれを無視して黒歌の腕と服を掴み一本背負いをするが黒歌は完全に投げ飛ばされる前に抜け出して悠斗の背後に着地して蹴りを繰り出すも、悠斗は最小限の動きでそれを躱し、黒歌の足を払って転倒させ、膝で腹部を、左手で右肩を抑え込み、右拳を顔の前で寸止めした

 

 「まずは1本」

 

 「第3者から見ると悠斗が私を押し倒しているように見える光景だにゃん」

 

 「んな!?」

 

 「隙ありにゃ」

 

 黒歌の一言で悠斗の抑えが緩んだのを感じ取った黒歌は悠斗を押しのけると逆に悠斗を抑え込み、爪を悠斗の喉元に当てる

 

 「これで1:1にゃ」

 

 「・・・今のはないんじゃないか?」

 

 「あら?油断した悠斗が悪いのよ?あんな台詞で心を乱されるなんて精神の修行がたりてない証拠にゃ」

 

 「(好きな女に言われたら誰でも動揺するっての)続けるぞ」

 

 黒歌の言ったことも一理あるため悠斗はそれ以上は何も言わず、立ち上がると服に着いた土ぼこりを払ってから構え、続きを行うよう催促した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ、ふぅ、姫島先輩、大丈夫ですか?」

 

 「えぇ、大丈夫ですわ。裕奈さんは?」

 

 「何とか。山を登るのがこんなに大変だったなんて」

 

 一方、裕奈と朱乃は最初に比べるとペースダウンしているが悠斗の残した式神の子犬の案内の元、進んでいた

 

 「ユウ君は毎週この道を走っているのですね」

 

 「多分上り始めたころは今の私達のようになっていたのかもしれませんね。それにしても少し涼しくなって来たような気がするんですけど」

 

 「・・・水の音が聞こえますわ。もしかしたらそのせいかもしれません」

 

 『わん!わん!』

 

 先を進んでいた子犬が鳴きながら2人を残して進んでいった

 

 「あ!ちょっと!?」

 

 「どうやら目的地はあそこのようですわね」

 

 先に行ってしまった子犬を見てこの先が目的地なのだと何となく理解した2人は最後の力を振り絞って歩き、辿り着くと渓流だった

 

 「裏山には初めて来たけど、こんな風になってたんだ」

 

 「まさに自然の芸術ですわね」

 

 渓流の光景に2人が見惚れていると、近くから何かがぶつかり合う音が聞こえてくる。気になった2人が音のするほうに向かうと、悠斗と黒歌が一進一退の攻防を行っていた

 

 「にゃ!」

 

 「っしぃ!」

 

 黒歌の貫き手を悠斗は前の手で防いですぐさま、後ろの手で反撃を行うも黒歌も後ろの手でその攻撃を防ぐ

 

 「夫婦手を防がれるなんてな」

 

 「何回悠斗と組み手をしたと思ってるのにゃ?次の行動を読むことなんて簡単にゃ。悠斗も何となく私の次の動きをよんでいるんでしょう?」

 

 「俺の場合は勘だがな」

 

 「随分とおそろしい勘にゃ。それでどうするにゃ?このまま続ける?」

 

 「・・・いや。ここまでにしよう。2人とも来たみたいだからな」

 

 黒歌の問いに悠斗は構えを解いた

 

 「じゃあ、私はいつもの場所で汗を流してくるにゃ」

 

 「あいよ。俺は魚を釣っておく」

 

 「活きのいいのを頼むにゃ」

 

 そういうと、黒歌は覗いていた朱乃と裕奈の手を取って汗を流しにいった

 

 「・・いつも思うが着崩した着物でよくあそこまで機敏に動けるもんだぜ。3人が戻ってくる前に少なくも人数分の魚は釣っておかないとな」

 

 悠斗はアイテムボックスから釣竿を餌を取り出すと釣りを始めた。30分かけて12匹を釣り上げ、3人が戻ってくると、収納していたアウトドア用具一式を取り出して調理し、昼食をとり、そのあとはその場でのんびりとした後、山を下っていった


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