僕のヒーローアカデミア
僕の
僕の
僕の
もしもし、ポリスメン?
ヒロアカ世界では、ヴィラン受け取り係とまで言われる警察組織。
だが組織ゆえの強みを生かした、捜査力がウリだった。
でも個性使ってもいいんじゃないの?
そう思う人はヒロアカ世界に限らず、多いと思う。
だがこの世界では、そうはならない。
例によって六十歳から個性が発現するせいである。なぜならば。
警察の定年退職は、原則六十歳なのだ。
警察にとって有用な個性が発現しても、その当人はすでに退職している。
仮に六十五歳あたりまで定年を延長するにしても、一度はヒーロー養成校に年単位で通って、個性の使用資格を取らねばならない。
そうなると、警官として個性を使えるのは1~3年。
もう普通に定年退職した後、養成校卒業してから、ヒーローとして雇用契約した方が安いのだ。
養成校に通っている間の給料払わなくて済むし、退職金も増えないし。
ともあれ定年後に外部協力員として警察と契約している、元警官のヒーローは割りと多い。
というか、元警官のヒーロー自体が多い。
六十歳になっても体が動くのには、普段から運動をしていないと無理。
ヒーローとは、肉体労働なのだ。そうでないヒーローもいるが、だいたいは肉体派になる。
ゆえに元警察や元消防士、元農家などがヒーローとして第二の人生を志すケースが、結構多い。
農家の場合は、元が付かないで副業としてヒーローをやる、兼業ヒーローが大半だが。
副業なのは、農業ではなくヒーロー業の方なのがポイントだ。
地域見回り隊とか、あんな感じで地元の平和を守る青年団。
その団長や幹部が資格を取って、個性使用を合法化しているわけだな。
青年団というには、平均年齢が高すぎるが。田舎にはありがちな事。
なお漁師はなぜか、あまりヒーローにはならない。
水に強い異形系に覚醒したり、水や空気に関連する個性が出ても、なぜかならない。
海上保安庁や、自衛隊(海)の定年退職者は普通にヒーローになろうとするが、漁師出身のヒーローは本当に少ない。
農家や組織人とは違い、独立性が強いからだろうか。これは本当に謎である。
だが、今回の事件ほど謎ではなかろう。
「ハ? もう一度言ってくれ」
今日は
どちらも違うとわかってはいても、念のためカレンダーを確認しながら、オールマイトこと八木 俊典は電話先の親友の息子に聞き返した。
それほどに、信じがたい報告だったのだ。
「ああ、もう一度言うよ。オール・フォー・ワンが生きていた」
バカな。生きているわけが無い。
何かの間違いだろう、そう思った。思いたかった。
だが同時に納得もしてしまう。あの男なら。あの恐るべき化け物なら。
ワン・フォー・オール全開でブン殴った上に蹴っ飛ばして、打って叩いて握り潰して捻って抉って転がしてブツけて踏み付けてブン回して投げ飛ばしても、なお生きている可能性は確かにある。
思い返したら、だんだん自信がなくなってきたが、 たぶん ある。
「それで、自首 してきた」
「ハァァアア!?」
ようやくかつての仇敵の生存を認められたオールマイトに、更なる追撃が入った。
どういうことなの。
「ちょっと待って。ちょっと待ってくれ。それ本当に本人なの? 巧妙に作られた偽者とかじゃなくて?」
赤の他人を、いやむしろ私やその関係者を自分の偽者に仕立て上げて、警察に届ける。
クソッ。あいつのやりそうな事だ。
今までの経験上、そう考えても仕方が無いが。
オールマイトのそれは、今回に限っては邪推というものだった。
「間違いなく、本人だ。DNAも一致、クローンの可能性も無し。あと付き添いもいたよ」
「付き添い?」
「自称、志村 菜奈の孫だそうだよ?」
「ナンデ?」
わけがわからなかった。
なんで社会の裏側を牛耳っている、超大物ヴィランが自首してきてるの?
なんで今は亡き師匠の孫が、自称だけどその自首に付き添ってるの?
「わからない! お母さん、ぜんっぜんわかんないわよ!」
ヒーローになって、平和の象徴になる。だから今は全力で体と技術を鍛えているんだ。
かつてそう説明した時の、母親の叫びがなぜか脳裏によみがえった。
まあ。今でこそ、三十年近くトップヒーローやってきて、ひと財産築いちゃってるけども。
あの時は、ただの三十代のニートだったからなあ……
そりゃあ、理解もしてもらえないよなあ。
そんな風に現実逃避している間に、説明が終わってしまったらしい。
「ごめん塚内Jr. もう一回聞かせてくれる?」
結局あの後、家を出て師匠のところで六十歳までお世話になってたんだよなあ……
あれ? 私って実は、かなりロクデナシだったりする?
でも師匠のところでは家事とかしてたし! 家事手伝いでニートじゃなかったし!
いや今は過去を振り返っている場合じゃない。
今度こそ、ちゃんと話を聞かねば!
思わずマッスルフォームになるほどに気を取り直したオールマイトが、電話じゃ埒が明かないと飛び出していくまであと三十分。
アンチ・ヘイトタグ、いるかなあ。