僕のヨーローアカデミア   作:far

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オーバーホール「あの頃は俺も若かった」

 

 

 僕のヒーローアカデミア

 

 

 僕の(ピッ)-ローアカデミア

 

 

 僕の(クルッ)ーローアカデミア

 

 

 僕の(ビシィ!)ーローアカデミア

 

 

 

 コネ!

 

 コネクション、つながりの略であり、主に人と人とのつながり、人脈のことを言う。

 

 ご近所さんなどの地縁、親戚、婚姻などのつながりの血縁。

 あとは出会いによる、人の縁。そういうもののことだ。

 

 そういう人と人とのつながりで出来上がる、巨大なネットワーク。それを人は社会と呼ぶ。

 つまりこの超常社会も、人と人とのつながりでできている事に、変わりはない。ないのだ。

 良くも悪くも、人が生きる世は、どこまでも人の世である。良くも、悪くもだ。

 

 また人と人とのつながりは、大雑把に分けると、縦と横に分けられる。

 養老アカデミアで、というか学校で言えば、縦が先輩後輩、あるいは教師と生徒。横が同期か同僚だ。

 

 そして今期、雄英にトップ合格を果たした男もまた、そのつながりの中にいた。

 

 

「トップで合格したそうだな。よくやった」

 

「ウス。ありがとうございます、若頭(カシラ)ぁ!」

 

 

 金髪でツリ目で、着ているのは黒シャツに縦線の入ったスーツ。いかにもその筋の人間に見える男が、仕立てのいい、手入れの行き届いたシワ一つないスーツ姿の男に頭を下げている。

 その光景は、聞こえてくる言動と相まって、ヤクザの幹部と子分の図にしか見えなかった。

 

 それで正解だ。

 

 仮にもヒーロー養成校だというのに、あまりにも場違いな図であった。

 だがツッコミを入れるものは誰もいない。

 だって怖いもん。

 という単純な事実もあるが。頭を下げられている、若頭(カシラ)と呼ばれた男。彼が有名人だから、というのもある。

 

 オーバーホール(70)

 

 本名 治崎 廻。指定暴力団 死穢八斎會 若頭(わかがしら)

 若い頃は個性を病気と考えて、忌み嫌っていたが、自分が歳を取るにつれて――

 

 あれ? 年寄りが病気になるって、普通のことでは?

 

 ――と気付き。

 

 有害だったり無益なら腐る、というが、有益なら発酵と呼ぶ。ならば病気だろうと役に立つならばアリか?

 というように、考えが変化した。

 生来彼は潔癖症であり、他人に触られるどころか、同じ空気を吸う事さえ嫌がっていたが、それを壊した男がいたのだ。

 

 爆豪 勝己(60)

 

 家を飛び出したはいいが、住所不定になったことで就職に失敗。困っていた所を死穢八斎會の組長に拾われた――――

 

 ――――今期の、雄英トップ合格の男でもある。

 

 彼らはヤクザではあるが、オーバーホールはその貴重かつ強力な治癒の個性ゆえに。

 爆豪は企業舎弟として、表向きはカタギの会社の社長であるがゆえに。

 それぞれ雄英に入学が許されている。

 

 

 昔気質の、カタギに迷惑をかけない極道。ヤクザの中でも、更に絶滅危惧種なオールドスタイル。

 それが死穢八斎會の組長の方針で、信条だった。

 そんな組織は当然ながら、ヒーローとヴィランが増加して活発化していく社会の中で、立ち位置を失って衰退していった。

 

 組長という親分のすぐ下、組を継ぐ立場でもある若頭の治崎は、当然ながら改革を訴えた。

 

 おクスリの製造販売や、特殊な人材派遣業、ちょっと書類に不備があるかもしれない取り引きの持ちかけなど。

 彼らの業界では一般的な業務を取り入れよう、そう訴えた。

 

 しかし受け入れられず。諭されて、しまいには殴られて。

 それでも組と組長のためにと、あの手この手を考えたが、やはり非合法な手段しか思いつかずに。

 もういっそ、自分がこの組を乗っ取って――

 

 

 そんな時に。表側で普通に会社作って、黒字出したのが爆豪です。

 

 

 爆豪としては、非合法活動に従事する度胸や根性が無かったので、合法化しただけだったりする。

 だがその手法は、確かに合理的ではあった。

 

 縄張りにある商業店舗を回って、みかじめ料やショバ代として金を受け取り、その代わりに用心棒や治安維持などを行っていた地回りは、警備会社になった。

 ダフ屋はチケット販売に。おしぼり、観葉植物のリースも各種イベント関連に品揃えを広げて。興行に手を出していた連中とまとめて、もはや別物の会社に。

 債権回収などは、契約関連を見直して合法化。情報収集の一環として細々とやっていた探偵業務と合わせて、厄介事代行業としてシティな狩人的清掃業まで作っていた。

 

 

「いや、確かにカタギにゃ迷惑かけてねぇみたいだが…… なんかヤクザとは違わねえか?」

 

 

 組長の言葉に、治崎は同感だったが何も言えなかった。だって実際、儲かってはいたから。

 裏でやっていると、見つからないようにと規模は縮小化する一方だったし、ヒーローや警察がツブしに来るしでジリ貧だったのだ。

 だが表に出たら、やって来るのは税務署くらいだ。

 

 ともあれ。自分には出来なかった事をやってくれた爆豪に、治崎は感謝した。

 

 

 そして今。先輩として、兄貴分として、トップ合格を果たした勝己を褒めに来たのだ。

 

 

「よくやった。本当にな」

 

 

 現在勉強中の医療関係の資格を取得できたら、ヒーローの平均寿命が十年は延ばせる。

 そう期待されている、ヒーロー業界でもっとも注目されている男に褒められている。

 自分がその男に、どういう影響を与えたのか。そんな事は露知らず、爆豪はいっそ無邪気に喜んでいた。

 

 

「あざーっス! って、えっ。ちょ、やめやが…… 止めてくださいよ、この歳で頭なでるとか」

 

 

 誰かを救うことが出来たのなら、その誰かにとってはヒーローだ。

 であるならば。治崎のヒーローは、自分を拾って育ててくれた組長と。

 

 こいつ、なんだろうなぁ。

 

 ワシャワシャと。

 潔癖であった頃の自分なら、すすんで触ろうとは決してしなかっただろう他人の頭を撫でながら、治崎の顔には確かな笑みが浮かんでいた。

 

 

 

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