波風ユウ物語   作:游斗

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悔しさと失望

中忍試験に戻ろうとして近道である

人通りの少ない道を通っているけど

背後から気配を感じ、剣を向ける

 

「あらら、バレちゃった」

 

「なにしてるんすか…カブトさん…」

 

「中忍試験ではボコボコにされてしまったし、ここかなと思ってね」

 

笑顔で話すカブト

 

「他の試合を見たいんで、遠慮しときます」

 

「ふーん。そっか。じゃあこれならどうかな

僕に勝ったら猿飛タクトの秘密を教えよう」

 

その言葉に歩みを止める

頭をフルに活用して止めようとする

もともと三代目に聞けば問題ない

そう考えているのに

 

「本当か?」

 

なんでこうも強気に言ってしまうのか

絶対にここで時間を使うべきじゃない

 

「ああ。約束しよう」

 

頭では分かってるのに

 

「……わかった」

承諾してしまった

 

「そうこなくっちゃ」

 

「早く構えろ」

 

「怖いなぁ。タクトくんにやられてムキになってる?」

 

煽ってくるカブト

 

「黙れ…!」

 

「図星かなぁ。さあ行くよ」

 

カブトは何か丸薬を口に入れて攻撃してくる

しかし、さっきのタクトの攻撃と比べては速度もパワーも大したことがなかった

 

「水遁・水陣壁」

 

自分の周りに水の壁を作り、カブトが突撃してくる勢いを弱める。そして胸付近に打撃を1発当てて吹き飛ばす

 

「大人しくしててくれ。水遁・爆水衝波!」

 

大量の波がカブトを押し潰そうとする

他の水遁とは訳が違う

さっきのタクトとの戦いで疲れてるとはいえ

水遁には自信がある

 

「土遁・土流壁」

 

土の壁を作って大きな波を防ごうとするが

防ぎ切れない。壁が波によって当てられる

水遁を舐めるな

 

「っ…土遁・多重土流壁…!」

 

流石に不味いと土流壁をたくさん出す

やっとその波が止まる

 

「くっ…」

 

「やるねェ。その水遁もっと見せてくれよ…!水遁・水龍弾の術…!」

 

水龍弾を打つ

これは確かにタクトのより強いかもしれない

だが

 

「水遁・水龍波」

 

俺の水遁はもっと上を行く

俺の水遁に勝てる奴など、この里じゃ三代目とサスケさん、イタチさんくらいだ

 

「ぐっ…!やるね…!」

 

かなり押されながらも笑顔を見せるカブトに恐怖を覚えて

金剛封鎖も発動し、しっかり決めにいく

 

「終わりだ」

 

「ふふ。それはどうかな」

 

「っ…!!!」

 

感知が遅れていたが、周りには音隠れの忍

大体10人くらいだろうか…?

この時期に…こんな音隠れの忍いたはずないのに…

やっぱりもともとの話と変わってるのか…?

 

そう考えてると周りから手裏剣やらクナイやらを投げられる

しかし、手裏剣をピッタリ当てるみたいな手裏剣の操作はイタチさん直伝だ

 

「うちは流 手裏剣術 [瀑]・四連」

 

俺の水遁のチャクラの刃をつけることで形を好きに変えられる手裏剣ができる

その手裏剣の大きさを拡大し、全ての投擲を弾く

 

「飛雷神の術」

 

相手の投擲物を弾いてそのままカブトに向かっていく

その手裏剣にいつも通り飛雷神の印を組み込んであるためそこに飛ぶ

 

「終わりだ」

 

チャクラ刀を首元付近に置く

カブトは大蛇丸とも近い関係にあったはずなので

他の音隠れの忍たちも一瞬動きが止まる

その隙に影分身を出し、音隠れの忍の背後をとる

 

「っ……!速いなぁ……でも君に切れるのかな」

 

「なんだと…!!」

 

「甘いんだよ」

 

「ぐぅっ…!!」

 

後ろ蹴りで後方に押される

 

「わかってないみたいだねェ……君は人を切れないんだ」

 

「なっ…………!」

 

カブトから言われて驚愕する

確かに今まで誰ひとり切ってはいない

金剛封鎖などの拘束方法や相手の動きを止める方法ばかり…

決め手に掛けているのは間違いなかった

 

「僕もさっきの戦い見ていたけど、君が本気でやっていたら勝ってたのは君だと思うけどね…

頭で勝手に制御されてるのかな?」

 

なんでだ

木ノ葉崩しやその後の大戦のために備えていたはずだった

そのために忍術や幻術を学んだはずだった

それなのになぜ…

 

「君は実力は僕よりも強いかもしれない

でも忍としては僕の方が上かな」

 

「くっそ…!!黙れ…!雷遁・迅雷箭!!」

 

やけくそになり、雷遁の球をぶつけにいく

 

「そんな術は効かないよ。土遁・土流壁」

 

「こんな…!普通の土遁に…!」

 

「性質変化には相性があるからね

そんなの分からなくなるくらい動揺してるのかな?」

 

「だまれ…!」

 

切れない理由、その答えははっきりしていた

自分がもとの記憶を持っているから…

日本で過ごしてきた平和な人間だったから…

人を攻撃することを躊躇ってしまうんだ

なんて、弱い人間だろうか

 

時代が違えば正義も違う

歴史上では戦争が強い人が偉い時だってあった

そういう時代なんだナルトの世界は

 

そんな思想が頭を巡り、体の力が抜ける

そもそもタクトとの戦いもあって

チャクラが少なくなっていた

肉体でも精神でもボロボロだった

 

「君は僕らのとこに来てもらうよ」

 

そういって近づいてくるカブト

 

「俺の部下に手を出さないでくれないか」

 

「っ……!!!」

 

「……シスイ先生…!」

 

「火遁・鳳仙花爪紅」

 

周りの音隠れの忍を火遁を使うことで一瞬で攻撃して拘束する

その後カブトの喉元にクナイを当てる

完璧だった。少しも隙がない

流石瞬身のシスイだと思わされる

これが他里に名を轟かせる忍なのか

 

「お前には眠ってもらうぞ。幻術・写輪眼」

 

「な、ぜ……」

 

眠るカブト、天才としか言えない……

手際が良すぎる

 

「ど、どうしてですか…?」

 

「ん?」

 

「だってさっき…連絡するって…」

 

「終わらせてきたぞ」

 

「早っ…!!」

 

「話は少し聞いてたぞ。大丈夫だ

お前はまだまだ若い。心配することなんてないからな」

 

「ありがとうございます…!」

 

年甲斐にもなく泣いてしまった

 

「泣くな泣くな。まだこれからだぞ」

 

「はい………!」


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