遠山桜は正義の味方である   作:カフェイン中毒

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つなぎ回でござる。
派手な戦闘はしばらくないっす。許し亭ゆるして


第18弾

  あっっというまに職場体験当日になった。俺は来た指名の中から(全部目を通すのに1時間かかった)武闘派かつ救助の実績が多い事務所をピックアップ、かなでにも手伝ってもらって猶予期間ギリギリで希望を相澤先生に提出した。

 

 俺が目指すのは鉄火場にカチコミかけるようなヒーローじゃなく誰かを守れるようなヒーローだ。指名してくれたのは嬉しいが俺に合わないと判断した事務所ははじかせてもらった。

 

 

 「お前ら、全員揃ったな?コスチュームは持ったか?」

 

 「「「「はい!!」」」」

 

 「コスチュームは本来なら公共の場での着用は厳禁だ。落としたりするなよ」

 

 「はーい!!」

 

 「伸ばすな芦戸。くれぐれも失礼な真似するんじゃねえぞ!いってこい」

 

 

 当日はそのまま体験先の事務所に行くため駅に集合だ。俺は結構遠いから新幹線だな。かなでを相澤先生に預け、俺も乗る新幹線のホームに行かねえと。

 

 「相澤先生、ご迷惑をおかけしますがどうかかなでのことをお願いします」

 

 「校長から話は聞いている。責任もって預かるからお前はしっかり学んで来い」

 

 「はい!・・・かなで、いい子にするんだぞ?連絡はするからな」

 

 「いってらっしゃいませ!お兄ちゃん様!がんばってきてくださいね!」

 

 かなでの頭をかいぐりかいぐり撫でてやって、ホームのほうへ向かう。途中、飯田とすれ違ったがあいつは逆方向なのでそれだけだった。・・・けど、あいつのあの思いつめた表情に謎の危機感を覚えた。

 

 

 

 新幹線で目的地へ向かう。俺の方向に行くやつは誰一人としていなかった。いっつも騒がしいのがデフォだったからなんとなくさみしいな、と考えてると。

 

 『次は~江州羽~江州羽~お降りのお客様はお手荷物を確認の上左出口にてお待ちください」

 

 目的地だ。関西の大都市のひとつ江州羽市。ここに俺が今回職場体験する事務所がある。

 

 

 地図アプリを立ち上げ、住所を入力する。・・・歩いて10分くらいかな。ちょっと早めについたし歩きで向かうか。

 

 周りから「あれって雄英の・・?」「そうそう、優勝した子だよ!」「なんでこんなとこにいるんやろ?」という視線をまるっとスルーし、駅を出てアプリを見ながら進んでく。

 

 

 途中で声かけられたり、関西名物の飴くれるおばちゃんにつかまったりしながら15分ほど歩くと目的の建物が見えてきた。

 

 まるっこい男性のシルエットたこ焼きを持ってるような形の建物には「ファットガムヒーロー事務所」と看板がでかでかと自己主張してるな。というか建物の自己主張もやばい。誰が見てもファットガムの事務所だってわかるな。

 

 

 

 事務所のインターホンをならして少し待つと「はいファットガムヒーロー事務所です」という電話みたいな返しが返ってきたので

 

 「こんにちは。雄英高校から職場体験にきました。1-Aヒーロー科の遠山キンジです」

 

 と、自己紹介するとドタンバタンとすさまじい音がして

 

 「ファット!ファット!来ました来ましたよ!」「なんやーけったいやな。きたって何がやねん」「遠山君ですよ!ファット指名入れてたでしょ!」「ホンマかいな!それをはよ言えいうねん!」「最初から言ってましたよ!」

 

 インターホンが切れてないので中のぐだぐだ具合がよくわかるやり取りが聞こえてきた。もしかしてくるとこ間違った・・・?

 

 

 しばらくそんなやり取りが続いてちょっと静かになったと思ったら扉がバタン!と勢いよく開いて建物とうり二つな男性が出てきた。BMIヒーロー、ファットガムだ。

 

 「すまん!待たせたな!ようこそファットガム事務所へ!ワイがファットガムや。2週間よろしくな!」

 

 「あ、はい。遠山キンジです。2週間よろしくお願いします。ファットガムさん」

 

 「呼び捨てでええ!さ、はよはいりやー」

 

 事務所に一礼してはいる。なんだかソースの香りが漂う事務所の中は結構整理されている。「応接室」と書かれた部屋に案内され、上座にファットガムが座り、俺もその前に座らせてもらう。

 

 

 「さて、よー来てくれたな!なんだかんだダメもとで指名入れてんけど来てくれるとは思わんかったわ!」

 

 「いえ、指名いただけた中で一番俺と合ってると感じたもので」

 

 「ほーかほーか!今日はもう夕方やから施設の案内だけして泊まるホテルまで送ったるわ。メシもおごったるさかい一緒に食べにいこか」

 

 メシまでおごってくれるとはいろいろ器がでかい人だな。体もでかいけど。

 

 「説明は以上やさかい、なんか質問あるか?」

 

 「あ、じゃあ一つだけ。ここで天喰先輩がインターンしてると聞いたんですけど、今日は来てるんですか?」

 

 「なんや環と会ったんかいな?インターンは職場体験の時は中止になるんや。ワイがつきっきりで自分みなきゃあかんからな。」

 

 どうやら天喰先輩はいないらしい。ちょっと何やってるのか聞きたかったんだけどなー

 

 「他ないな?ほないこか」

 

 「はい」

 

 

 ファットガムに案内され、応接室を出て、事務室、ロッカールーム、仮眠室、談話室と案内される。ファットガムに合わせてなのかどれもこれもビックサイズだ。そして訓練室に案内される。

 

 そうするとファットガムが突然思いついたように

 

 「せや!キンジ、お前ちょっと運動する気あるか?」

 

 「訓練ですか?それは願ったりかなったりですけど・・・」

 

 「そうやないそうやない。着替える必要もないわ。ちょっと1発サンドバック殴ってみいひんか?っていう話や」

 

 「サンドバックを?なんでですか?」

 

 通常のサンドバックを俺が技使って全力で殴ったら爆散するぞ?

 

 「あーワイの副業で企業とのコラボ案件があるんやけどな?ワイの個性の感触と耐久力を再現したサンドバック作ってん。けどワイの事務所にはワイ以上に攻撃の威力があるやつがおらんくってなぁ」

 

 

 あーなるほど。耐久力のテストか。それならまあ・・・・いいかなあ?

 

 「壊れちゃっても構いませんか?」

 

 「お、やる気やな?まだ試供品やしな。壊れたら壊れたで耐久力不足って報告するだけやわ。自分みたいな増強系の個性の人間が使うこともあるかもやしな。じゃ、こっちやで」

 

 

 訓練室に入ると、3人ほど訓練してるサイドキックの人たちがいた。ファットガムはそのまま続けるように手で合図しておれとちょっと奥まで入ると・・・あった。デフォルメされたファットガムサンドバックが。

 

 

 「これや。遠慮なんてせんでいいから全力で殴ってみい」

 

 「了解です」

 

 

 個性使ってヒスって、ファットガムサンドバックに拳をあてる。うっわふっかふかじゃねえか。いつまでも触っていたい感触だなあ。と体育祭の爆豪戦で使ったマッハ8の桜花を準備する。

 

 それぞれ用意したマッハの速度がキュン、キュンと体内で合わさっていく音を確認しながらあてた拳にマッハ8の速度を合わせ秋水で叩き込む。

 

 キュドォォォォン!!!とすさまじい音と爆風が発生し、サンドバックが吹っ飛んで壁にバチィ!とぶつかって止まった。みると・・・壊れてねえな。すごいなコラボ先の会社。

 

 「ほー。すさまじいもんやな。サンドバックのほうは衝撃の吸収率に難ありってとこか。協力感謝するわ」

 

 「これで壊れないとはやばいですね。結構本気でやったんですけど」

 

 「アホォ!劣化しとるとはいえワイの個性の再現やぞ!このくらいで壊れとったらヒーローできんわ!」

 

 なるほど・・・そう・・なのか?確かにファットガムなら今の普通に防ぎそうな気がするけども。

 

 「いいデータ取れたわ。感謝するで。じゃ、メシ行こうか」

 

 「あ、はい」

 

 

 事務所を出てファットガムと街を歩くと、やっぱり大人気なのかそこかしこで声をかけられた。とくに飲食店からの客引きがすごい。それを慣れた様子で捌いていくファットガムについていくと、一つの店についた。たこ焼き屋だ。ここか?

 

 「ここやでー。ワイのひいきの店なんや。うまいから楽しみにしとくとええで!」

 

 「へーそうなんですね。本場のたこ焼きは食べたことないので楽しみですね」

 

 「ほーか!おっちゃん!いつもの頼むでー!こっちのには20個にしたってや!」

 

 「お、ファットガムじゃねえか!座れ座れ!焼きたて持ってってやる!そっちの兄ちゃんも少し待っててや!」

 

 

 いかにもって感じのねじり鉢巻きのおっちゃんがたこ焼きを焼きながら接客してる。ソースのにおいが食欲をそそるな。楽しみだ。

 

 「ファットガム専用」と書いてあるでっかいテーブルにファットガムが座り、俺もその席の前に座る。こんな席があるなんてよっぽどこの店に来てるんだな。

 

 

 

 「はい!待たせたな!こっち20個ね!んでこっちが・・・ファットガム専用たこ焼きタワー2人前な!」

 

 「ひゃー!待ってました!キンジも好きに食べえや!ほな、いただきます!」

 

 

 ・・・・やべえ。何がやばいって目録でファットガムの顔が隠れるレベルのたこ焼きの山がズシンと2皿も来たのだ。よく皿に収めたもんだと感心しちまう。すごい勢いでたこ焼きを吸い込み始めたファットガムに習い、俺もたこ焼きを口に入れると・・・うまいな。外はカリカリ中はとろーりという王道のうまさだ。こりゃリピーターになるのも頷ける。

 

 

 「そや、キンジ。自分ここにきてなんかやりたいことってあるかいな?訓練つけてほしいならそれ中心に考えるで?」

 

 「あ、いいんですか?俺は・・・そうですね。カウンターとか防御系の技のほうが得意なんでそこを中心に伸ばせたらなあと」

 

 「体育祭でも攻勢に回ること少なかったしのぉ。んじゃそこ中心やな。なんやちゃんと考えてワイのとこ来たんやな。任せとき。ほかは・・・そうやな。自分の欠点、把握しとるか?」

 

 「機動力っすね。俺は増強系であっても筋力等が上がるわけじゃないので・・・いかんせん初動が遅れるんです。ファットガムはどう対策してるのかなって」

 

 「まあワイらみたいなタイプからしたら永遠の課題の一つやしなあ。言うて自分そんな遅くないやろ?」

 

 「そりゃ常人よりも速い自信はありますけど・・・現場に着く時間は早ければ早いほどほどいいと思うんです。」

 

 「まあそこの対策もきちんと教えたる。飲み込み早そうやし教えがいがあるでホンマ」

 

 と、雄英の教師陣とはまた違うためになる話を聞きながら、たこ焼きを食べ終わり(俺と同じ時間で食べきったファットガムに目をむいたが)ファットガムが会計を済ませ、ホテルまで歩く。

 

 

 「ファットガム、ごちそうさまでした」

 

 「ええんや。同じ釜の飯を食うってのは大事なことやしな。ワイなりのコミュニケーションや」

 

 たわいのない話をしながら歩くと・・・泊まるホテルに着いた。

 

 「送ってくれてありがとうございました」

 

 「なぁにこれも仕事やしな。明日は8:00に事務所まできいや。もちろんコスチュームもってやで?」

 

 「はい!」

 

 

 ファットガムと別れ、チェックインを済ませて自分の部屋に入る。ついでにかなでの電話番号を携帯電話に入力し、かける。スリーコールしてつながった。

 

 

 「お兄ちゃん様!そちらはどうですか?」

 

 「おう、ちゃんとついたよ。ファットガムもとてもいい人だったしな。いい子にしてたか?」

 

 「はい!今日はミリオお兄さんとねじれお姉さん、環お兄さんが一緒にいてくれたんです!訓練見せてもらったんですけどすごかったんですよ!みんな早く助けてくれるんです!」

 

 「へーそりゃ俺も見たかったな。今日は誰と一緒なんだ?」

 

 「オールマイト先生です!お話も面白いんですよ!」

 

 わーナンバーワンが子守とは豪華なこって・・・・

 

 「そうか、そりゃよかったな。んじゃー切るぞ」

 

 「はい!おやすみなさい!お兄ちゃん様」

 

 「おう、おやすみ」

 

 

 俺はぱぱっと風呂に入り、ベッドに入って眠るのだった。

 

 

 翌日、時間に間に合うようにファットガムの事務所までいく。扉を開けて

 

 「おはようございます」

 

 「おー、おはようさん。時間ちょい前やね。コスチュームに着替えてパトロールいくで!ロッカーは16番つかいー」

 

 「了解っす。よろしくお願いします」

 

 言われた通りコスチュームに着替えてファットガムの元に戻る。テラナは胸ポケに刺しておく。普段は邪魔だからな。

 

 

 「おーなかなかかっこええやん。というか見たことないメーカーやな。どこや?」

 

 「あージーサード・リーグっすね。弟のコネっす」

 

 弟そのものが経営してるのは伏せとこう。言いふらすことじゃないし。

 

 「アメリカの会社やないか!どんなコネやねん・・・ま、ええわ。そや、自分チャカとヤッパもっとるって話やったな?」

 

 「はい。ベレッタ、デザートイーグル50AE、バタフライナイフ、ダガーナイフ2本、あと特殊弾ですね」

 

 「ごっついのぉ・・・まあ基本的な指示やけどワイの許可がない限り何があっても抜くなや。ワイの事務所は市街地にあるさかい、流れ弾はシャレにならん。自分の銃の腕はしらんさかい訓練の時に見せてもらって判断するで」

 

 「了解です。自衛の場合はどうなりますか?」

 

 「基本的にはそんな風にならんようにするが・・・ワイがいない場合に限って自分の判断でええ。自衛のみやぞ?」

 

 「わかりました」

 

 「よろしい!ほんなら、いこうか」

 

 

 ファットガムと一緒に俺は事務所の扉をあけてパトロールに繰り出すのだった。




ファットガムっていいキャラしてるよね。防御が得意なヒーローって設定だからキンちゃんと絡ませてみたかった。


ちなみにサンドバックのくだりでファットガムは
(予想以上にやばいやんけ・・・どうやったらこんな威力出るん?)
ということを考えてたりします。

別視点あったほうがいいのかしらん?

これからもよろしくお願いします。
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