遠山桜は正義の味方である   作:カフェイン中毒

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アンケの内容を鑑みて、ヒーロー殺しは見送ることにしました。ご協力感謝します。


第20弾

 職場体験3日目、今日はヒーロー業のほうはお休みしてファットガムが直々に訓練をしてくれることになった。どんなことを教えてくれるのか非常に楽しみではあるのだが・・・訓練のはずなのに俺はファットガムと車に乗っていずこかへ送られてる。県を超えてるんですけど?ついでになんでコスチュームがいるんですかね?

 

 「あの・・・ファットガム。訓練では・・・?」

 

 「あーすまん!急に仕事が入ったんや。自分が殴ったサンドバック、覚えとるやろ?」

 

 「ええそりゃまあ・・・はい」

 

 「あれのプロモ映像とCM撮りたい言われてな?メディア関係のこと教えるのにちょうどええと思ってな?連れていくことにしたんや」

 

 なるほど?つまりこれも将来を見据えた経験ってわけか。それだったら手を抜くわけにはいかねえな。

 

 「でもなんで俺のコスチュームがいるんです?」

 

 「そりゃ自分もでるからやで?」

 

 ・・・・え?俺がCMにでんの?なんで?俺の混乱顔を見たファットガムがまたファーと笑いながら

 

 「いやな?あのサンドバックのデータむこうさんに送った時に、ぜひその威力をプロモに使わせてほしい言われてん。ならまあ断る理由はないやろ?」

 

 「俺に対する事後承諾なのはどうかと思いますけど?」

 

 「すまんが今はうちの従業員やから、上司命令や」

 

 パワハラだ!いや別に俺も断る理由ないけどさ。まーいっか、これも経験だ。覚悟を決めるんだ、俺。

 

 

 そうしてサイドキックが運転するファットガム用ビックサイズの車がとまり、俺には縁がないと思っていたでっかいテレビ局の前で車が止まった。ドアを開けてファットガムと降りてテレビ局の受付まで行ってアポイントを取る。

 

 そうして数分後、テレビ局のスタッフに案内され、スタジオに入ると、前のCM撮影が延びてまだ終わってなかったらしい。ほかのヒーローと思しき女性とその他スタッフがまだ作業中だった。

 

 

 ヒーローのほうをよく見てみると・・・確かスネークヒーロー、ウワバミという女性ヒーローの中でも結構な人気のあるヒーローだ。その後ろにはガチガチに緊張してる八百万と・・・たしか体育祭で物間にあて身やってた女子、拳藤だ。その二人がカメラを向けられて撮影されていた。へーあいつらもCMでるのかあ。

 

 え?いやなんでだよ。なに?示し合わせたようにブッキングするとかこんな偶然あるの?

 

 

 「ファットガム、なんか示し合わせました?」

 

 撮影してるからマイクにも拾えない超小声をだしてファットガムに聞く

 

 「なんのことや?急に決まったからそんなサプライズできへんわ。偶然や偶然」

 

 「いやだって、こんなところで同じ雄英のやつと会うとは思わんでしょう。しかも一人は同じクラスですよ?」

 

 「ホンマかいな!?確かによーみたら騎馬戦とガチバトルの時にいた子やな!偶然にしてもできすぎやで」

 

 「でしょう?声もかけにくいですしこれどう切り抜けたらいいんですか!?」

 

 

 なんて話してると「カットォ!」の声とともに撮影がいったん中断された。それでカメラ目線だった視線が解放され、ウワバミ、八百万、拳藤の視線が一気にこっちを向いた。そして、八百万と拳藤が俺がいることに気付き顔がどんどん真っ赤になっていく。俺はそれを前に頬をかくしかない。

 

 「あら、ファットガムじゃないの。あなたも撮影かしら?」

 

 「と・・・とととと遠山さん!?えええいやあのこれはですねその・・・・」

 

 「と、遠山!?お前なんでここにいるんだよ!?」

 

 「おーウワバミ、まあそんなところや。ウチも職場体験受け入れてん。ちょうどいいから勉強させよと思ってな」

 

 「そうなの。って1位の子じゃないの!指名通ったのね。遠山君だったかしら?ウワバミよ。よろしくね」

 

 「はい、遠山キンジです。・・・あー八百万、んで拳藤。俺も今から似たようなことするらしいからそんな動揺すんな。どうせコレ放送されりゃ全国デビューだよ。よかったな」

 

 「ヒーロー活動・・・なんですよね」

 

 「何不安になってるんだよ。考え方次第だろ。ヒーローがCMに出てるってことはそれだけ平和ってことなんだよ。ならそれでいいじゃねえか」

 

 「そう・・ですわね。そう考えることにします」

 

 

 「はーいVチェックしまーす!」

 

 「はい、クリエティ、バトルフィスト!チェック見に行くわよー!なんなら遠山君も見てく?」

 

 「「へ!?」」

 

 うーんどんな感じで撮影するか気になるし見ておきたいな。

 

 「あ、じゃあお言葉に甘え「「ダメ(ですわ!)!」」だそうなのでやめときます」

 

 見ようとしたら二人に全力で拒否られたので諦めて待つことにした。隣にいるファットガムの「いやー青春してるやんかー」という何とも生暖かい表情にイラッと来たがここでブちぎれてもいいことはないのでそのまま死んだ目で待っていると・・・セットの撤収が始まった。どうやらオッケーテープになったらしい。

 

 「じゃ、ワイらの番やな。キンジ、着替えにいくで」

 

 「了解っす。ウワバミさん、八百万、拳藤またどっかでな」

 

 

 3人と別れ、コスチュームに着替え、人生初となるメイクさんによるメイクを体験した後「コスチュームはフルで」という指示があったらしく、マッドブラックのテラナをかけて撮影所に戻ると・・・3人がまだいた。なんで?

 

 「他人の物を見るのも勉強だからね。見学することにしたわ。いいでしょ?ファットガム」

 

 「まーワイはかまへんけど、後ろの二人はそれでええのんか?」

 

 「わ、わたくしはその・・・気にならないというのは・・・」

 

 「嘘になるんで・・・」

 

 「やそうやでエネイブル。かっこ悪いとこ見せられへんなあ?」

 

 「からかわないでくださいよファットガム。俺も別に構いません。見られるものですしね」

 

 

 「ファットガムさん!あと職場体験の子!セットの用意できましたんで打合せします!」

 

 「了解やー!じゃ、エネイブル。いくで」

 

 「はい!」

 

 

 打ち合わせの内容を要約すると

 ①派手な絵が欲しいので俺がサンドバックを殴ってほしい

 ②そしてファットガム並みの耐久性があることを証明したいからファットガムも殴ってほしい

 ③派手、とにかく派手な感じにしてくれ

 

 とのことだ。大体わかったけどそんな感じで大丈夫なのか?というか俺はファットガム殴りたくないんだけど?俺がファットガムを殴るという内容に対してしっぶい顔をしていると

 

 「エネイブル。仕事やで?なぁにサンドバックの耐久性は知っとるやろ?ワイはあれ以上なんや、だから安心してきいや」

 

 「・・・はい。わかりました」

 

 深呼吸して覚悟を決める。まずはサンドバックからだな。一昨日と同じように拳を当て、桜花を準備しようとすると・・・ストップが入った。

 

 「ごめん!その体制じゃちょっと動きがなさ過ぎる。別のやり方できないかな?」

 

 あー・・・無寸勁だもんなあ・・・じゃあ普通に桜花やるか。ただし、マッハ2でやろう。秋水なしでやれる桜花の最高速だ。

 

 「んーじゃあ威力は落ちますけどこれより派手なのやります。カメラってどんくらいの速度まで撮れますか?」

 

 言うまでもないが超音速のパンチだ。撮れませんでしたじゃやり損だしな。

 

 「サンドバック前のカメラはハイスピードカメラだからどんなのでも大体大丈夫だよ。ほかのカメラも精鋭が動かしてるから撮れると思う。じゃ、やってみて」

 

 

 広いスタジオの中、サンドバックから5mほど下がり、右拳を大きく引いてクラウチングスタートと似た構えをとる。それを確認した監督が

 

 

「よーい!アクション!」という声をだし、カチンコがカチン!と鳴って5秒後、俺は全力ダッシュを決め、サンドバックに向かって走る。

 

 その途中で関節を連動、駆動させる。サンドバックから大体1m前で拳が円錐型衝撃波をまとい始め、パァァァァァンという拳が空気を切り裂く衝撃音が響く。俺はそのまま、サンドバックに拳をたたきつける。バッスゥゥゥン!!という音が響き、拳がめり込んだところで「カットォ!」の声が響き、俺はサンドバックから拳を引き抜く。固定されてるとはいえさすがの耐久性だな。

 

 

 「すごいね!今のいいよ!さっき右拳だったけど次左でできないかな!?」

 

 「わかりました。左ですね」

 

 

 「体育祭でも見たけどなんだあれ・・・」

 

 「遠山さんの必殺技の一つですわ・・・なんでもオリジナルだとか」

 

 「オリジナルってことは作ったんだ・・・すごいんだな」

 

 「二人とも撮影中!私語は厳禁よ!」

 

 「「すみません!」」

 

 二人がそれなりに大きな声を出したせいで怒られてる。俺はそれを横目にさっきとは逆の手で構えを取り、同じように撮影する。同じようにパァァァァァンという音が響き俺の拳がサンドバックにめり込む、同じようにカットされ、次はファットガムがサンドバックを殴る番になった。

 

 

 ファットガムがメインなので何発も殴る様子を見ながら自分の番に備える。バスンバスンとサンドバックが殴られる様子を眺めながら自分の撮影に備える。というかファットガムの打撃の威力すげえな。ウェイトがあるからか打撃の威力がすごいことになってる。

 

 

 「はいありがとうございます!つぎ!ファットガムが殴られるシーン行きます!」

 

 

 あーきちゃったか・・・やりたくねえなあ。訓練とかで人を殴るのはまだ必要なことだとわかるんだけど、只見せるためだけに殴るのはどうも気が乗らない。でもやれと言われた以上やるだけだ。

 

 

 「エネイブル!どんときいや!きっちり受け止めたる!」

 

 「胸をお借りします!ファットガム!」

 

 

 同じように構え、合図を待つ。そして・・・・・・「スタート!」の声からきっちり5秒後、同じようにロケットスタートを決め、ダッシュでファットガムまで突貫する。

 

 ファットガムまで1mをきり、同じように腕が衝撃波をまといはじめ、集中した俺の視界がウルトラスローに切り替わる。少しづつ俺の拳がファットガムに近づき、着弾する。

 

 殴った手ごたえがサンドバックと全く違う。サンドバックよりも柔らかく、拳が伝えた衝撃をすべて吸収され、ファットガムはまったく揺るがず、俺の桜花を完璧に受け止めた。すげえ、特に防ぐ様子も、力を込めた様子もなかったのに、自然体で俺の桜花を受け止めたのか・・・・

 

 

 「カット!次逆の手でお願いします!」

 

 「ええ威力しとるやんけ。もう少し強かったら動いとったわ」

 

 「ありがとうございます。もう1回よろしくお願いします。」

 

 うーんかっこいいな。防御系ヒーローの完成系みたいな感じがする。もう一度同じように逆の手で桜花を放ち、同じようにファットガムが受け止める。これで一応言われた撮影は全部終わったことになる。

 

 

 「はいありがとうございました!次、サンドバック挟んでポーズお願いします!」

 

 は?そんなことやんの?ファットガムだけでよくない?と思ったがファットガムに引っ張られてサンドバックの両脇に二人で立ち、二人してガッツポーズを決める。

 

 ほかにもいろいろポーズを決め、俺とファットガムの撮影が終わった。

 

 

 「はい、お疲れ様でした!いい絵が撮れましたよー!」

 

 「はい、お疲れさん!エネイブルもよー頑張ったな!」

 

 「ありがとうございます。いい経験になりました」

 

 撮影が終わったのを確認したウワバミ一行が近づいてきて

 

 「遠山君、いやエネイブルね!すごかったわ。あれだけ自然体で撮影できるなんて初めてにしては素晴らしいことよ!最後のポーズだけは固かったけどね!」

 

 「エネイブルさん、流石ですわね・・・すごかったですわ」

 

 「お疲れ様。あの技ってどうやってるの?」

 

 

 「ありがとうございます。技については企業秘密だ、すまんな」

 

 「ちぇー私もやれるかなって思ったんだけど」

 

 そんな簡単にコピーされたら俺は泣くぞ。というか拳藤の個性「大拳」だっけか?パワー系じゃねえか。俺の技とは相性が悪いからやめとけ。

 

 「いやーエネイブル!今日はいきなり連れてきたけどうまいことやってくれて助かったわ!ほんと器用やな自分!」

 

 まぁ器用なのは俺の最大の長所だしなぁ。遠山の技って不器用なやつはまず使えないし、ミリ単位の精度が要求されるから器用にもなるな、うん。

 

 「よし、Vチェックいくでー。多分全部オッケーテープやろけどな」

 

 「はい」

 

 撮られたVTRを見てみると桜花の映像は予想以上にくっきりと映っていた。スーパースローの中、俺の拳の円錐型衝撃波まできれいに映っていて、着弾の瞬間まではっきりと映っていて、先端科学兵装をつかってる俺だが科学の進歩には驚かされるばっかりだな・・・と考えてるとドカァァァァァン!という音が外から響き、同時にテレビ局の警告用であろうサイレンが鳴りだした。

 

 

 いったいなんだ!?と考えてると監督に内線電話がかかり、電話を切った監督が

 

 「ファットガム、ウワバミ!テロです!玄関にロケットランチャーが撃ち込まれたそうです!」

 

 「なんやて!?エネイブル!下までいくで!ワイらは確保や!」

 

 「はい!」

 

 「クリエティ、バトルフィスト!私たちは援護よ!避難優先、いいわね!」

 

 「「はい!」」

 

 

 平和だったはずのCM撮影は急に緊迫したヒーロー活動に変わったのだった。

 

 

 

 

 




 そういえば原作でもウワバミのところにいったお二人はCMにでてたなあと思い今回の話を考えました。

戦闘成分が足りないので次回は戦闘します。


これからもよろしくお願いします。
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