CMの撮影をしに来たはずなのにテロに巻き込まれた。ここまでくると俺自身呪われてるようにしか思えないな。
「監督!ワイらのほかのここに来とるヒーローは!?」
「午前はあなた達だけです!もう通報はしてますけどどうなるか・・・」
「そんなもん何とかするわ!とりあえず撃たれた方とは逆の出口から逃げえ!ええな!?」
「はい!みんな聞いたな!?いそげ!邪魔にならないように逃げるぞ!」
監督とスタッフが避難を開始する。応戦するにしても一般人を逃がしてからじゃないとどうにもならん。
「ウワバミ!前面はワイがやる!絶対前でるんやないぞ!残ったやつは頼んだで!」
「わかったわ!索敵はこっちでやるから直接確保はお願いするわね!クリエティ、バトルフィストは後方で待機よ!自衛以外の攻撃は禁止。いいわね?」
「「・・・はい!」」
指示を受けた八百万と拳藤が歯がゆそうに返事をする。指示は当然のことだ。いくら雄英の生徒とはいえ、俺たちは資格未取得者だ。もし自由に動かせば責任問題に発展する。
「エネイブル、お前はワイと前衛や。チャカもヤッパも使ってええ、けど人に当てるんやないぞ?ええな?」
「わかりました・・・でも、いいんですか?」
「ええ!この状況じゃ人手がたりん!自分の実力は昨日大体わかった!銃の腕は見てへんけどそこは信頼したる!あとは全部助けてからや!いくで!」
ファットガムの合図でファットガム、俺、ウワバミ、八百万と拳藤の順で廊下に出る。俺もベレッタを抜いてファットガムについていく。
「まって!この先3人いるわ。硝煙のにおいがする・・・多分テロリストよ」
「わかった!エネイブル、ワイが押さえたら威嚇射撃せえ!」
「はい!」
ウワバミがヘビの髪を利用した索敵の結果を教えてくれた。ファットガムが曲がり角でいったん止まり、俺がすぐそばでトリガーに指をかけたのを確認して曲がり角から飛び出した。俺も低い姿勢で1回転して膝立ちになり銃を向ける。
「くそっ!ファットガムだと!?なめんじゃねぐっ!?」
「ヒーロー!?ちくしょぶっ!?」
近くにいた2人をファットガムが脂肪に沈め、俺がもう一人に銃を向け、足元に一発発砲して初動を抑える。足元に着弾した弾丸にたたらを踏んだテロリストが2人を沈めたままのファットガムに殴られ壁に吹き飛んで気絶する。
「クリエティ、手錠とワイヤー創造して!バトルフィストは後方の警戒!」
「「はい!」」
ファットガム、ウワバミ、八百万がテロリストを拘束するのを俺は前方、拳藤が後方を警戒しながら守る・・・とさっきの銃声を聞かれたらしい、ヒステリアモードの聴覚がまた新たな足音・・・今度は2人、鳴る音からして武装も済ませてるぞ・・・が近づいてきてる音をとらえた。
「ファットガム、ウワバミ!接敵します!数は2、武装ありです!」
「まずい!ワイの後ろに入れ!」
ウワバミと八百万、拳藤がファットガムの後ろに入る。俺はファットガムの斜め後ろに入り、ベレッタをそのままにデザートイーグルも抜いて二丁拳銃になる。相手が拳銃ならともかくマシンガンやショットガンでも持ってたらこっちにいる銃持ちが俺一人な以上、圧倒的不利になる。
だから、1発で両方の銃を使用不能まで持っていく!
「何事だァ!?」
曲がり角から出てきた2人がジャキッと銃を向けてくる。2丁ともマイクロUZIだ。サブマシンガンはマグナムなんかよりよっぽど銃検はおりにくい。ってことは裏チャカだな?
俺はファットガムの後ろから横っ飛びで出ると反射的に俺に銃を向けた二人に対して俺は構えたベレッタとデザートイーグルを発砲する。ファットガムに人に当てるなって言われたから、狙うのはマイクロUZIの銃口だ。精密に撃った俺の弾丸はマイクロUZIの銃口に正確に入り、デザートイーグルのほうは銃口に詰まった。
銃を取り落とした二人にファットガムが反応し、俺も同じように突撃、一人の腕を掴んで地面に押さえ、ファットガムがもう一人を沈めた。
「ようやった!なんや自分チャカもうまいんやな!」
「ありがとうございます!クリエティ!ワイヤー頼む!」
「わかりましたわ!」
ウワバミと八百万が拘束してある間にファットガムに気付いたことを言う。
「ファットガム、こいつらの銃って・・・」
「ああ、裏チャカや。マシンガンやショットガンの銃倹が降りたらヒーローが閲覧できるサイトに情報が載るんや。しばらくマイクロUZIの銃倹はおりてない。しかも2丁や、裏から回したもんが絶対おる」
「ロケランなんて絶対に銃倹おりないですしね・・・」
「せや。実行犯のこいつらはともかく裏にいるやつはそこそこでかいで。ウワバミ!近くにいる要救助者は!?」
「熱感知にはないわ!撮影してたのは私たちだけだったから避難もすぐ済むはずよ!」
「わかった!おそらくこいつらは斥候や。こいつらの親玉が下に入っとるはず、本隊に感づかれる前に奇襲かけるで。下に降りるけえワイの後ろから出るなよ!エネイブル、
「・・・・はい!」
気を引き締める。今ファットガムは「この場においてのみお前がサイドキックや」と暗に伝えたのだ。少なくとも足手まといにはならないという判断を下し、資格未取得者の戦闘とかの責任問題を全部負う覚悟を決め、状況の打開を選択した。守る対象ではなく戦友として、なんていうと生意気かもしれないが技量を認められた。
ウワバミはともかくとして、八百万と拳藤は戦闘能力においてどうしても1歩劣るところがある。これは完全に経験によるもので、そもそも戦闘向きじゃないウワバミ、戦闘は出来ても経験が圧倒的に不足してる八百万と拳藤に対し、元から武闘派のファットガム、遠山の地獄のような実戦修業をこなしてきた俺との違いは大きい。
こっからは正面戦闘だ。どんだけ敵が弾を撃ってこようが防弾は全部俺がこなしてやる。
狂い咲け遠山桜、この満開、散らさせてなるものか!!
「この先がエントランスやな。ウワバミ、人数は?」
「16人ね・・・さっきのやつを含めると全部で21人・・・・ずいぶん大所帯だわ」
「わかった。ワイの合図で突っ込む。クリエティ、バトルフィストはこのまま階段で待機や。クリエティ、盾になるものを創造しとけ。バトルフィストは万が一があった時の備えや。常に気を張って周り見とけ、ええな?」
「「はい!」
「ウワバミとエネイブルはこのままワイといくで。ウワバミはワイら行動不能にしたヴィランの拘束を、エネイブルは敵の銃を速攻で使用不能にするか落とさせるんや。ええな?」
「わかったわ!」「はい!」
「じゃあいくで・・・・3・・・2・・・1・・・今や!」
ファットガムの合図で飛び出すと、それぞれ4人づつ固まったヴィラン連中がそれぞれ待機してるところだった。武装は拳銃が多いな・・・あった!RPG7だ。弾を込めずに立てかけて放置してある。アレを使われたら厄介だ、最初に使用不能にしてやる!
デザートイーグルで一発発砲してトリガー部分に着弾させ、壊す。その発砲音で気づいたヴィラン連中がそれぞれこっちを見て、RPG7のほうを見て壊されたことに気付いたらしい。それぞれ武器を手に取って立ち上がった。
「誰だぁ!?」
「ヒーローか!?どこから来やがった!?」
「ヒーローや!とんでもないことしおったな自分ら!場合によっちゃそのまま豚箱行きやで!」
「あんたら!暴行!改正銃刀法違反!騒乱罪!その他いろいろあるけど現行犯よ!おとなしくしなさい!」
「これで終わったら何しに来たってんだよ!なめんじゃねえ!」
とヴィランの一人が言ったとたん、それぞれ銃をこっちに向けてくる。俺はその時点で危険度の高いサブマシンガンを優先して銃口撃ちで壊し、それをファットガムが確保に走るが、いかんせん数が多い。流石に間に合わず発砲を許してしまった。
ダンダンダン!と俺が壊しきれなかった拳銃からそれぞれファットガムに2発、俺に1発銃弾が発射された。とりあえずファットガムに向かった弾丸をベレッタで1発発砲し、1発はじいた弾丸がさらにもう一つ弾けるような角度で撃つ。狙い通り、1発目をはじいた弾丸がさらにもう一発をはじいた!
右腕をファットガムの防弾に使ってしまったので、残る左腕を防弾に使うがさすがに発砲して銃弾撃ちまで持っていけない。腕を振るい、亜音速まで加速させて、ガントレットで弾をはじく。バチィ!と弾が明後日の方向に向かっていったのを確認し、デザートイーグルの銃口撃ちでさらにいくつか銃を使用不能まで持っていく。
ここまで来て俺は一つおかしいことに気付いた。
「おい!これで全員か?これ以上やらかしたらさすがにただじゃ済まんで?」
このままじゃ烏合の集だ。ただテレビ局にカチコミをかける意味がわからない。そもそもが練度が低すぎて俺の銃撃に対する備えが全くできてなかった。素人集団に貴重な裏チャカを持たせた理由がきっとあるはずだ。
「けけけ・・・俺たちは確かにここで全滅だ。けどな・・・ヴィラン連合の手のやつが言ってたよ・・・くだらないもんは全部壊していいって。俺たちは全員無個性か弱個性だ。差別を助長する個性主義の番組を作るこのテレビ局が気に入らなかったんだよ・・・」
理由はそれか・・・確かにここのテレビ局は個性を利用した番組作りをすることで有名だ。過激なそれは視聴者にもうけるが、反面同じことができない無個性のいじめを助長するとしていろいろな団体から批判を受けている。こいつらもその一つってわけか。
そして・・・・ヴィラン連合って言ったな?USJ襲撃の時のやつらじゃねえか。バックにそいつらがついてるからこんな派手なテロを仕掛けてきたのか、ってことはこれは陽動の可能性が出てきたぞ?どっかで何かやらかすかもしれん。
「ウワバミさん!ファットガムさん!エネイブルさん!大丈夫ですか!?」
「おー終わりや。警察ももうすぐ来るやろうしこれで解決やな。クリエティとバトルフィストはともかくワイとエネイブルはお説教や。ウワバミ、協力感謝するで」
「ええ、私もあなたたちに問題がなかったことはわかってるから、うまいこと証言するわ」
ピーポーピーポー・・・とサイレンが聞こえる。どうやら警察が来たらしい。ファットガムが縛り上げたやつらを担いで外に出るのについていく。すでにパトカーから降りた警察たちが銃を構えるが・・・ファットガムだとわかった瞬間、銃をおろしこちらに駆け寄ってきた。
「お疲れ様です!ファットガムですね?こちらでテロがあったと通報があったのですが・・・・」
「ああ、あった。もう鎮圧はすんでるさかい、移送たのむわ。あと、ワイの許可の元資格未取得者に戦闘させた。そのことについても頼むわ」
訓練だったはずの3日目は波乱のまま終わりそうで少しげんなりしているが、まあ一件落着だな。
「・・・はあ・・・なにも・・・できなかった・・・」
八百万?何を落ち込んでるんだ?
「どうしたんだ?怪我人もなにも出なかったじゃねえか。万々歳だろ?もうちょっと明るい顔したらどうだ?」
「遠山さん・・・いえ、なんでもありませんの・・・自分の不甲斐なさにすこし・・・」
「あのなあ・・・俺を基準にしたらダメだぞ?俺は確かにお前より戦闘能力は高い。けどな、それだけなんだよ」
「それは・・・どういう・・・」
「物理的な強さっていうのは一ステータスでしかないんだよ。お前は俺より個性の幅が広くて、頭もよくて、いろんなことが出来る。それこそ救助や治療なんかだったらお前のほうが間違いなく上だ。今回はたまたま俺のほうが起きたトラブルに対して有用だったってだけだ」
「でも・・・わたくしテロって聞いてしまった時、頭が真っ白になって何も思いつかなくなってしまったんですの・・・指示だけ聞いて、それで動いてるお人形・・・遠山さんは自分で考えて動いてましたわ・・・」
「そんなもん俺だってそうだ。ただ、同級生の女子より取り乱して、お荷物になるのが嫌だったから気張ってただけだよ。お前らいなかったら俺も後方だっただろうな」
「それでも・・・」ピリリリリリリ!!
俺と八百万の携帯に同時にメッセージが届いた。見てみると、緑谷だ。中身は・・・位置情報?場所は・・・東京都保須市!?まさか・・・!
「八百万!」
「ええ!おそらく緑谷さんのSOSですわ!すぐに伝えませんと!」
「ファットガム!」
「なんや!今忙しいねん!あとにしいや!」
「今東京に行っている同級生から保須のある場所の位置情報が送られてきました!おそらく・・・ヒーロー殺しに遭遇したんだと思います!」
「なんやて!?間違いじゃあらへんのか!?」
「ファットガムさん、今ネットニュースの速報で保須で大規模なヴィラン災害が発生してると出てます。そうでなくても何かがあったはずですわ!」
「わかった!とりあえず近隣のヒーローに通報するさかい、安心しいや!」
・・・無事でいてくれ、緑谷・・・・!
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