結局緑谷の位置送信の意図はわからず、警察からファットガムとともに違反行為の罰を受けた俺とファットガムはそのまま車でファットガムの事務所まで戻っていくことにした。
「結局、叱られましたね・・・俺たち」
「まあ理不尽やと思うかもしれんがしゃーないわ。それがルールやからな、まあワイは減給、自分は謹慎1日やろ。まあそんなもんやろ」
「まあ・・・そうですね。誰も怪我人は出なかったし、その責がこれなら甘んじて受けましょう」
「それでええ、別に出かけるなゆーわけじゃないしな。なんだったら観光して来たらどうや?いいスポット教えたるで―?」
「いいですね、それ」
ピリリリリリリ!と俺の携帯が着信を知らせた。もしかして緑谷か?とみると案の定緑谷だった。検査入院することになったけど無事だったと・・・やっぱり襲撃されてたんだな。・・・そうだ!ちょうど謹慎くらったし見舞いに行こうかな。病院と部屋番号教えてくれと緑谷にメッセージを飛ばし、ファットガムに友人の無事を伝える。
「ほーか!そりゃよかったなあ!これで一安心やで!」
「ええ、それで何ですけど・・・明日の謹慎を使って見舞いに行きたいんですけど、いいですか?」
「いってきい!ついでにうまい土産もんも教えたるわ。友達によろしゅうな」
さすがファットガム、話が分かるな。正直言ってヒーロー殺しの件と俺が遭遇したテロは両方とも裏にヴィラン連合の姿があるはずだ。幸い俺には戒厳令は敷かれてない、俺からことをばらして緑谷から情報を得たいってのが正直なところだ。
いまもネットニュースでは俺がUSJで遭遇した脳無の姿が大きく取沙汰され、波紋を呼んでいる。もし・・・もし、これがやつらの次動くための布石だったとしたら、絶対にもう一度雄英を狙ってくる。雄英が巻き込まれれば俺はともかく、かなでのことが心配だ。特に今回のような俺がそばに着けれない行事だったらなおさら。
結局それから、ファットガムおすすめの土産の情報をもらう以外会話らしい会話はなく、車は俺が泊まっているホテルについてしまった。
「キンジ、わかっとると思うが、むやみに今回のテロの話広めるんやないぞ。お前が何をしたいかは大体わかる。・・・・今回は見逃したるさかい、終わったら報告せえ」
「・・・・はい」
そのまま去っていったファットガムだが・・・見透かされていたな。そのうえで情報を集めるために泳がされた。これが、プロか・・・・化け物ばっかりだな。
そのまま部屋へ戻ってテレビをつける。ついでにスマホでヒーロー殺しについて検索をかけ、見れる情報だけ調べていこう。
「テレビは速報で保須のことをやっているな・・・ヴィラン連合はほぼおまけ、で俺のほうはなかったことになっていると・・・・」
スマホのほうの検索では・・・・なに?ヒーロー殺しの主張?いかにもタイムリーな動画だな。一応見ておくか。
『誰かが・・・・ヒーローを取り戻さねば・・・!血に染まらねば!!』
なっ!?動画越しでもわかる、気迫、重圧・・・・こいつがヒーロー殺しだ!どういうことなんだ?こんな距離でヒーロー殺しの撮影に成功してるなんて・・・・しかも、後ろのヒーローたちに混ざって、緑谷、飯田、轟の姿がほぼ朧気であるが確認できる。
『来い!来てみろ偽物ども・・・!・・ハァ・・・・俺を殺していいのは・・・オールマイトだけだァ!』
・・・ほんの一分だけのはずの動画で、圧倒されてしまった。思想犯、しかもかなりイカれているタイプのヴィランだったのか・・・正直言えばこの動画は見たやつを動かせる何かがある。これを見たやつが何かしら感化されてヴィランになったとしても不思議じゃないぞ。
もう一度確認しようと再生ボタンを押すと・・・削除されていた。警察の対応も早いな。今日は疲れたのでそのまま寝ちまおう。明日緑谷の返信が着てたら東京の病院へ、来てなかったらファットガムに断って観光でもさせてもらうか。
おれはシャワーを浴びてベッドにダイブし、目覚ましをセットして眠りについた。
翌日、早く寝た反動か目覚ましがなる前に起きた俺は、せっかくだしホテルにある大浴場を利用しようと部屋を出て、そのまま大浴場でひとっ風呂浴びて部屋に戻った。うーん熱い湯が体にしみて気持ちがいいなあ。
部屋に戻ってスマホを確認すると、緑谷から返信が来ていた。なぜそんなことを聞くのかと問いつつも律義に病院名と部屋番号が記載されていた。テキトーに返信して、ホテルの朝食をたらふく食った後に制服に着替えて駅に向かって出ていこうとすると・・・・ファットガムからメールが来た。
もし職質されたらこの画面を見せると証明になるから送ってくれたらしい。なるほど、ファットガムのサインと単独行動許可という書類の画像が送られてきた。お礼の返信をファットガムにして今度こそ駅に向かう。
そのままファットガムおすすめの土産を買い、新幹線のチケットを買って時間までコーヒーでも飲んで一服し、新幹線で東京、保須まで電車に揺られてそのまま緑谷たちが入院している病院まで3時間ほどかけてむかった。
保須総合病院ね・・・受付の看護師さんに緑谷の部屋番号を伝えて面会できるかと聞いたら可能との返事だったのでそのまま緑谷たちの病室まで向かう
ついたので3回ノックし「どうぞ!」という飯田のしゃっきりした声が響いたのでがらりと扉を開けた。
「ようお前ら、大変だったな。無事でよかったぜ」
「「「遠山!(君)」」」
「どうしてここに!?」
「あー・・・ちょっと俺のほうでも事件があってな、なし崩し的に俺も正面戦闘をする必要があったからその分のお咎めで1日謹慎もらったんだよ」
「そう・・・だったのか」
「ああ、んでこれ土産な。関西名物、ファットガム饅頭だ」
「わあ!これ通販でも手に入らなかいからいつかほしいと思ってたんだ!ありがとう遠山君!」
「おお、そうなのか・・・で、どうだったんだ?」
「どうってのは・・・なんだ?」
「怪我とかそこらへんだよ。見た感じ刃物か?後遺症は?」
「ああ、緑谷君と轟君は問題ないが・・・俺は腕に若干の麻痺が残るそうだ」
おもったよりえぐいことしやがるなヒーロー殺し・・・まあ殺人鬼だしこれだけで助かったのならまだいいほうか・・・。
「そうか・・・でも飯田お前、なんか顔が晴れやかだな。いいことでもあったのか?」
「そう見えるのかい?いいことはなかったけど・・・二人のおかげで思い出せたものがあったよ」
へぇ・・・思いつめてたはずの飯田の顔が、入学したくらいの自信にあふれたクソ真面目な顔に戻ってやがる。良くも悪くも緑谷が影響を与えたっぽいな。
「あったんだろ?ヒーロー殺し」
おれが本題を切りだすと全員の様子が迷うようなものに切り替わった。ああ、やっぱり戒厳令敷かれてんだな。
「うん、会ったよ。詳細は省くけど、活動中に遭遇して、エンデヴァーに助けられたんだ」
ふーん・・・そういうことになってるんだな。まあここでこいつら相手に抉り出してもいいことないし俺のほうから明かしてこいつらの意見を聞いておくか
「そうか、緑谷のSOSっぽい位置信号がきたくらいしかクラスのやつらは知らなかったけどな。そんで現場にいたお前たちに聞きたいんだが・・・ヒーロー殺しとヴィラン連合、関係あると思うか?」
「ヴィラン連合・・・!?遠山君、もしかしてニュースとかで保須の様子が?」
「ああ、ばっちりUSJででた脳無の仲間っぽいバケモンまでニュースでくっきりだったよ。ヒーロー殺しのイカれた主張の動画まで出回ってる始末だ。そんで、これオフレコなんだけどな」
「なんだ?」
「俺が謹慎する原因になった事件な、裏でヴィラン連合が協力してたっぽいんだ。違法銃器の斡旋って形でな、で起きたタイミングもお前らがSOS出す直前だ。関係してないって考えるほうがきついだろ」
「なんだって!?遠山君、それって本当なの!?」
「声がでけえよ。構成員の一人が捕まった時にゲロってたよ。おそらく間違いない。で、だ。ヒーロー殺しと脳無、協力してたりしたか?」
「いや・・・してない。むしろヒーロー殺しは脳無を一体殺してた。協力関係にあったとは思えねぇな」
「そう・・・だね。どっちかっていうと敵対してたんじゃないかな?」
「確かにな。むしろヴィラン連合とは相性が悪いように思えた」
ふぅん・・・ってことはヴィラン連合はヒーロー殺しと協力関係を結ぼうとしたが破綻、で死柄木の性格上八つ当たりで保須を襲撃して、俺のほうはたまたまタイミングがあったって考えるほうが妥当か・・・?ま、これ以上は聞けなさそうだ。雑談に切り替えて個人的に聞きたいこと聞いちまおう、何してたとかな。
「じゃあ俺の思い過ごしの可能性のほうが高いな。ついでに聞きたいんだがお前ら、職場体験何してたんだ?」
「へっ!?それだけ!?」
「そんだけだよ。個人的に聞きたかっただけだしな。それよりも他人がどんな体験してたかのほうが気になるだろ?俺も話すから聞かせろよ」
「俺は・・・クソ親父直々の訓練とパトロールだけだった。事件もそんなに起きなかったけど、あいつがナンバーツー張れてる理由が何となくわかった気がする」
「話すの!?」
「ダメだったのか?」
轟の天然はこういう時助かるな、空気を変えてくれて楽だ。しかし、エンデヴァー直々のトレーニングか・・・個性の関係上俺にうまみはあんまりなさそうだけどちょっとうらやましいな、轟は苦虫をかみつぶしたみたいな顔してるけど。
「俺は、ほとんどパトロールだった。マニュアルさんが保須のヒーローだけあって、ヒーロー殺しをことさらに警戒してたみたいでな。訓練よりもパトロールの時間のほうが多かった。」
「逆に僕は訓練だけだったよ。初めてパトロールに出たときに巻き込まれてね・・・」
「あー緑谷、そりゃ残念だったな。俺はパトロールとなぜかCM撮影に出たよ。そのうち放映されるんじゃねえかな?」
「ええええ!?なんでそうなったの!?」
「あー、商品がファットガムを模したサンドバックでな?打撃系の技が多い俺が適役だったってファットガムがだな・・・」
「「「ああ・・・・」」」
「なんだその反応は」
こいつら俺のことゴリラか何かだと勘違いしてるんじゃねえか?まあそれは・・・よくはねえけどおいとこう。
結局職場体験先のことで盛り上がり、2時間ほど話しているとがらりと扉が開いて黄色いヒーロースーツを着た老人が入ってきた。だれだ?
「おい緑谷、調子はどうだ?」
「あ、グラントリノ!もう大丈夫だと思います!」
ああ、この人がグラントリノ、緑谷の体験先のヒーローか。というか聞いたことのない名前だな・・・今度調べてみようか。
「んん?坊主、てめえ体育祭優勝したやつだろ?なんでここにいるんだ?」
「あ、はい遠山キンジです。昨日あった事件で正面戦闘の必要があって・・・警察のほうから1日謹慎をもらったので見舞いに」
「遠山・・・ん?遠山?なあお前さん、遠山鐵って知ってるか?」
じいちゃん?なんでこの人が知ってるんだ?もしかして活動者時代の知り合いなのか?
「祖父ですが・・・なんで知ってるんですか?」
「やっぱりそうか、鐵さんには昔世話になってな。孫が何人かいるのは聞いていたが・・・なるほどお前がなあ。知ってたら指名したんだが」
「それは光栄ですね。じいちゃんにも伝えておきますよ。お元気そうだったって」
「ああ、頼む。緑谷も元気そうだし、俺は帰るわ。お前も明日から職場体験再開だろ?さっさと体験先に戻っておけよ」
「はい。ありがとうございます」
「グラントリノ!明日からまたよろしくお願いします!」
ひらひらと手を振ってグラントリノは戻っていってしまった。
そのあとまた話が盛り上がり1時間ほどたったところで・・・面会終了時間になっちまった。緑谷たちに別れを告げて、保須をあとにし新幹線で関西まで戻る。途中ファットガムに連絡をいれ、報告をする。詳しい話は明日聞くそうだから今日はそのままホテルへ行けとのことだ。お言葉に甘えよう。
ホテルに何事もなく帰り、かなでに連絡を入れてちょっと話した後俺はそのまま就寝するのであった。
翌朝ファットガム事務所についた俺はファットガムに昨日の顛末と俺の考えを報告した。
「ほーん・・なるほどな。それがホンマやったらヒーロー殺しとヴィラン連合は協力関係にはなさそうやな・・・よくやった!これ以上はワイと警察の仕事や。お前さんは今日からまたヒーロー活動、再開やで!」
「はい!よろしくお願いします!」
結局、職場体験の期間ではこれ以上大きな事件も、ヴィラン連合に関することも聞くことはなく2週間あっという間に過ぎていってしまった。
先の展開はなんとなくできてるのにそれを言語化するのが難しい・・・頑張ります。