そういった番外編がクロスものってどういうことなんだか・・・
これは俺たちが体育祭を終え、少し時間ができた期間のある休日の話だ。ヒーロー科にももちろん休日はある・・・あるんだが、クラスのやつらのほとんどは自己鍛錬にあてるやつが多い。休日ガッツリ休んでヒーローになれるならそれでいいかもしれんが、あいにく雄英のヒーロー科はそんな生ぬるい考えでいられないことは相澤先生が4月某日にあっさり教えてくれた。
で、俺・・・正確には俺と透が何をしてるかというと・・・雄英と提携しているシルバーマンジムというジムに行く途中だ。こうなった理由は俺が聞きたい気分だが・・・思い返すは休日前のあの日・・・
「ねーキンジくーん。体を鍛えるにはどうすればいいのかな?」
「ああ?お前普通の高校生からしたらずいぶん身体能力は高いだろ。ベンチプレス何キロだ?」
「私?私は70㎏かな!」
「軽く平均の倍以上持ち上げてんじゃねーか。十分だろ」
「でもさー、私って個性で攻撃できないじゃない?もっと力強くなってもイイって思うんだよね!」
「そういうもんかぁ・・・?」
ヒーロー=筋肉ってわけではないけどヒーローのベンチプレスの記録は飛びぬけてる。オールマイトはともかくとして、あの増強系ではないエンデヴァーですら500㎏を当たり前のように持ち上げる世界だ。人間の限界とは何なのかをよく考えさせられる。俺だって普通に130㎏は持てるが・・・クラスの男子の中では割と平均的だ。爆豪なんか普通に200㎏持ってた時はなんか負けた気分になった。
「で?俺に頼ってきたってわけか?」
「そーゆーこと!キンジくんそういうの詳しそう!」
「言っておくがそれは偏見だ。だったらほら、ジムにでも行ったらどうだ?この学校、いろんな企業と提携しててそん中にシルバーマンジムっつう割と世界規模のジムもあったはずだ。無料でパーソナルトレーニングできるんなら使うべきじゃねえか?」
「おー?ぱーそなるとれーにんぐ?」
「専属のトレーナーについてもらって指導してもらいながらするトレーニングだ。あー・・・あれだ。相澤先生とマンツーマンでやる実習みたいな・・・」
俺の例えが悪かったからなのか透の雰囲気に?マークがたくさんとんでる。よし、こういう時は逃げるに限る。
「まあジム行ってみろって話だな。じゃー俺はここらへんで「キンジくん!一緒に行こ!」・・・はい」
唐突だが俺は透に弱い。何でなのかはわからんがコイツのお願いは聞いてあげたくなる・・・まあ別に俺に悪いことがあるわけじゃないしいいか。かなでもじいちゃんとこに帰ってるし。
と、いうわけで俺と透は雄英からちょっと離れた場所にあるシルバーマンジム、ムキムキのマッチョが看板のちょっと特徴的なジムにやってきたのだ。つーか特徴的が過ぎるな、何だこの銀色の禿げマッチョは?
「へーこれがジム・・・」
「俺も初めてくるけどな。まあうちの弟がアメリカに似たようなもん作ってるから器具のだいたいの使い方はわかるぜ。どうせ入会金かかんないし、ささっとはいって合わなかったらやめりゃいいだろ。雄英の学生証あれば基本無料みたいだしな」
「雄英ってすごいね。入った今でもそう思うよ」
「俺は体育祭の客の入りようにおののいたけどな。というかまだ出先で騒がれるのには慣れん」
「よっ!体育祭1位!」
「人が多いところでそれはやらんでくれよまじで・・・・」
ちなみに俺たちの服装は俺がジーパンにポロシャツ、透がワンピースにカーディガンと服装的には釣り合うどころか俺が劣ってて申し訳ない。葉隠は透明だけどおしゃれさんなんだな。
「こんにちはー。どんなご用件でしょうか?」
俺たちが自動ドアをくぐるとすぐに合った受付からお姉さんが声をかけてくる。
「あー、入会をお願いします。俺と、そっちの彼女。これ学生証です、ほら透」
「あっえっうん!はい!」
「あら、見学はよろしいのですか?・・・あら、雄英の学生さんでしたのね。失礼しました。入会金等はかかりませんが、こちらの用紙に名前、住所等と個性をお願いします」
「はい」
葉隠と一緒に必要事項を記入して受付に返す。説明を聞くとここにはトレーニング器具のほかに無個性用ではあるがリング等の武道を行うための道具もあるそうだ。これなら透とスパーリングもできるんじゃないか?と思いをはせながら用紙を受付さんに渡す。
「はい、葉隠透さんと遠山キンジさ・・・・?あの、体育祭優勝した遠山キンジくんですか?」
あっやっべ、気づかれた。逃げの一手だ!
「ちがいま「そうですよー!」」
透ゥ!なんでお前が答えたんだ!いやちがう、透に悪意はない。聞かれたから答えただけだろう、なんで俺より先に答えたのかは知らんが。俺の苦々しげな表情に気付いた受付さんが慌てたように首を振って
「ああいや!騒ぎ立てようとかそういうわけではなくて!実力がある人に見合ったトレーナーをつけないとこのジムの沽券にかかわりますので、一応の確認です。ここにいるトレーナーは全員プロですけど、経験からできることとできないことがありますからね」
ああ、そういうこと・・・なのか?一応だが鍛えることに関しては俺はほとんど素人だ。動き方を教える程度ならできるが栄養学だの筋肉の効率的なつけ方だのは素人に近い。まあ実力ある人をつけてくれるっていうし気にしないでありがたくいただこう。
「ああ、わかりました。とりあえずよろしくお願いします」
「はい、承りました。では着替えたらこちらのトレーニングルームへお越しください」
「わかりましたー!」
受付を後にし更衣室へ足を進める。なんか思わぬところでいいことが起きた。せっかくだし今日は1日ガッツリ鍛えてやろうかと思いながら、男女別に分かれた更衣室の前で透と別れトレーニングウェアに着替えてその上にジャージを羽織って透を待つ。俺がきてしばらくしてからおなじくジャージ姿の透が現れた。
「おまたせー!」
「ん、ああいや。待ってねーよ。ジャージなのか?」
「一応この下にも着てるんだけど、私透明だから動きがわからないと困るかなーって。ほら手袋も!」
「あーそういうことか。たしかにフォームは重要だしな、じゃあしっかり鍛えるか。途中から徒手教えてやろうか?ここリングあるみたいだし」
「え!?ほんとほんと!?是非教えてー!」
「おう、任せろ。しかし流石雄英と提携してるだけあってアレだな。世界で活躍してる人ばっかりが所属してるジムらしいぜ、ここ。ヒーロー用のジムは別みたいだけどな」
「あー個性鍛えるんならもっと大きくて頑丈な場所じゃないとねー」
「その点俺らみたいな使っても物理的な破壊が起きない個性はここでも何とかなるのがいいな。肉体鍛えて損はないし」
「キンジくんにそれ言われると納得できないなー。見えてきたよ!」
なぜ俺がこれを言ってはいかんのか小一時間ほど問い詰めたいがトレーニングルームが見えてきてしまったので言葉を飲み込み、ルームの中に入ると・・・
「ぐぬぉぉぉぉ!!!」
「あと一回!あと一回いけますって!」
「ナイスフォームです!」
「ハイッ!ハイッ!」
「よしあと3セット!」
無数のマッチョたちが筋肉を山のようにバルクアップさせながらトレーニングに励んでいた。いやまあジムだから当たり前なんだろうけど軽い運動のために来てるっていう感じの人が見当たらない。つまりガチガチのトレーニーしか見当たらないのだ。右を見ても左を見ても雄たけびあげるゴリマッチョが視界の暴力を仕掛けてくる。透は気にしてないのか「はぇー」なんて言いながら見渡してる。
ここで引くのは男が廃るので葉隠と一緒にルームに一歩踏み込んでどの器具から使うか見渡していると声をかけられた。
「えーと、君たちが遠山キンジくんと葉隠透さんかな?」
「えーと、はいそうですが・・・・」
声のした方に顔を向けると青いジャージを着たさわやかイケメンフェイスの男性がたたずんでいた・・・のはいいのだが・・・一目見てわかった。この人とんでもなく強い!この細身にどれだけのパワーが練りこまれてるのか疑問を持つくらいにやばい。しかもこの人武道をやってる気配が全くないのだ、隠してるのかもしれないがそうじゃなかった場合・・・体の性能だけで俺が怖気を覚えるほどの身体性能を有している人間が来たってことになる。
・・・いくら何でも魔境すぎるだろ、シルバーマンジム・・・・なんでヒーローやらねえの?たらりと冷や汗が垂れそうになるのを振り払って彼に向き直る。
「はいっ!葉隠透です!えーと、あなたは・・・?」
「ああ!ごめんごめん!僕は街雄鳴造、このジムでトレーナーをしているんだ。今日は君たちの案内を頼まれたんだけど・・・雄英の生徒さんだってね?」
「ええ、まあはい。雄英1-Aヒーロー科の遠山キンジです。空いた時間で体を鍛えたくてここに来たんですが・・・」
「うん!そういうことなら任せておいて!ではさっそく「あれ?街雄さんじゃん!」」
俺たちの後ろから声が聞こえたので振り向くと、小麦色の肌をした女子、黒髪のすらっとした女子、かなり絞った体をしている女子が3人まとめてこっちに来るところだった。なんだ、普通のマッチョじゃないトレーニング目的の人もいるのか。マッチョ比率が高すぎて気づけんかった。
「ああ、紗倉さん、奏流院さん、上原さん!こんにちは。トレーニングかい?」
「はい、そうです。あの、こちらの方たちは・・・?」
「見たことねー顔だな。ここら辺の生徒じゃないだろ」
「ああ、彼らは雄英高校の生徒さんだよ!このジムとは提携を結んでてね、ヒーロー科の生徒なら利用することが出来るんだ!」
「「「雄英のヒーロー科!?」」」
「超エリートじゃん!」
「あら・・・どこかで見た顔のような・・・?」
「へー、いろんなことやってるんだなこのジムも」
若干1名気づかれそうな気がしてるがなんだかやんややんやと騒がしくなってきたので透を顔を合わせながら彼女らに向き直る。
「あーはい。雄英高校ヒーロー科1-Aの遠山キンジです」
「おなじく雄英高校ヒーロー科1-Aの葉隠透です!よろしくお願いしまーす!」
「あたしは皇桜女学院2年の紗倉ひびき!よろしくー!」
「奏流院朱美です。ひびきとは違うクラスだけど同じ学校に通ってるわ」
「私は上原彩也香、ひびきと同じクラスな」
「ってことはセンパイだ!」
透は何がうれしいのかセンパイ呼びにしたいらしい。街雄さんはニコニコしてるし・・・にしても皇桜女学院ね・・・確か結構なお嬢様学校じゃなかったか?そんなとこの生徒がこんなものに興味があるなんて意外だな・・・完全に偏見か。
「あっ思い出したわ!今年の雄英高校体育祭の1年生の優勝者!あなたよね!?」
「はぁ!?雄英の体育祭ってあの!?やっばい録画したけどみてないんだった!」
是非ともこのまま見ないでいただきたい。というか秒でバレた。恨むぞマスメディア!
「へー!お前すごいじゃん!なー、なんかうまいこと痩せる方法しらねーかー?先輩に教えろよこのこのー」
「ひびき、かっるい!いいか、雄英の体育祭優勝はな、オリンピックを制したと言ってもいいんだぞ!?」
「・・・・面白い先輩方だね?キンジくん」
「インパクトはあるなー、透さんよ」
わいわいがやがや3人で盛り上がってるところ申し訳ないが、今日俺たちは鍛えに来たわけなのでそろそろお暇させてもらうとしよう。
「すんません街雄さん、ベンチ使ってもいいですか?」
「ああ、ベンチプレスだね!どっちからやる?葉隠さん?遠山くん?」
「透、先やるか?俺が補助はいるから」
「えーうん!わかった!じゃあ重さは60でお願いしまーす!」
「さすがヒーロー科だね!きっちり鍛えてるんだ?」
「えっへへー!初対面の人からそういわれると照れちゃいますよー!」
「ちょーーーっとまったーーー!!!」
本日三度目の声にまたかと若干億劫になりつつ顔だけ声のした方に振り向くとやはりさっきの3人組だった。こんどはなんだー?
「私たちも一緒にトレーニングしてもいいかしら?」
「せっかくヒーローの卵がいるんだし、どんなトレーニングしてんのか気になるんだ。たのむ!」
「あわよくばナイスバディの秘訣を・・・」
じろじろと葉隠を見る紗倉先輩は置いておいて、まあ別に一緒にやるだけならいいんじゃねえかな。葉隠を見ると手袋をした手でオッケーサインを出してるので
「いいっすよ。じゃあ今日はよろしくお願いします。先輩方、街雄さん」
「もちろん!任せて!」
「やった!よろしくな!」
よし、気を取り直してトレーニングだ。午前中きっちり使って鍛えるぞ!
ちょっと重要なお知らせですが、作者が時系列を完全に間違えてしまっているので夏休み中にあった映画の「2人の英雄」編が完全につぶれてしまいました。なので夏休み中にあったであろう話はどこかで番外編のIFとして投稿しようかなと思います。
すいませんが本編はこのままつっぱしらせてください。本編投稿がいつになるかはわかりませんが