遠山桜は正義の味方である   作:カフェイン中毒

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しばらく休んでたので初投稿です。


第31弾

 爆豪がいた。俺の近くに同様に転移されるという形で現れた爆豪は俺とかなでをみて驚いたようだがすぐ切り替え、なぜここにいるかと問うてきた。手短に話して協力を取り付けよう。俺一人でどうにかなる問題を軽く超えてるからな、戦力は多いほうがいい。

 

 「手短に話すぞ爆豪。俺とお前、そんでかなでを転移させたやつ、そいつが今回の黒幕だ。俺とかなでが巻き込まれたのは家の親父と因縁があったってことらしい。とにかく逃げるぞ!この更地を作ったのもおそらくそいつだ」

 

 「んだと・・・?てめえならともかくそこのチビが狙われる理由がどこにあんだよ」

 

 「詳しい話はあとだ!幸い周りには何・・・爆豪後ろだ!誰か転送されてくるぞ!」

 

 「次から次へとォ・・・いい加減死ねぇ!」

 

 相変わらず物騒で安心したがやっぱり相手しづれえなコイツ!爆豪の背後で俺たちと同じように黒い水がうごめき始め誰かが複数転送されてくるところだった。転送され終えたそいつらは・・・!ヴィラン連合!ここで出てきやがったか!

 

 「悪いね、爆豪くん。それにジーセカンドとジーフィフス、さっきぶりかな?」

 

 「っ!・・・さんっざんぱらかき回してくれるなオールフォーワン。この惨状はお前か?胸糞悪い趣味してるな」

 

 「残念ながら不本意だよジーセカンド。・・・また失敗したね弔。でも折れてはいけない、君はいくらでもやり直せるのだからね。仲間だって取り返した」

 

 俺に興味を失ったように視線を外したオールフォーワンが自分の目の前に転送されてきた死柄木に対してそう語りかける、まるで教師が出来の悪い生徒に語り掛けるような形で。そうか・・・ずっとこいつが裏にいたんだ。死柄木は八つ当たりや思い付きで行動したように思えても、それを完全に掌握し操るような形でコイツはずっと裏に潜んで死柄木を成長させ続けてたんだ・・・!

 

 「爆豪くんのこともそうだ。君が必要なモノと判断し行動した。何度でもやり直したらいい。それを助けるために僕がいる。ここのすべては、君のためにある」

 

 ゾッとする。なんという執念、なんというおどろおどろしさだ。こいつは親父やオールマイトにやられてから、次を託す相手をずっと、その牙を研いでやりながらずっと育てていた。冗談じゃないぞ、なんて執念深さ、なんて用意周到なんだ。どうする?最悪俺は犠牲になってもいい。だがかなでだけは、妹だけは逃がさないと。考えろ、といまだ続く100倍ヒステリアモードの頭の回転を速めていくと鋭敏となった感覚が超高速でこちらに接近するものをとらえた。まさか―――!?

 

 「やはり来てるね」

 

 

 轟音、衝撃。オールフォーワンを着弾点として周りに広がった爆風と巻き上げられた砂が俺たちを襲う。とっさにかなでを抱き上げてかばい、爆豪の腕をつかんで吹き飛ばされないように地面に秋草を打ち込んで耐える。ヒステリアモードの超視覚がとらえたその先は

 

 

 「すべて返してもらうぞ!オールフォーワン!」

 

 「また僕を殺すか?オールマイト!」

 

 

 

 「オールマイト・・・!」

 

 飛ばされる心配のなくなった爆豪から手を放しかなでを抱き上げたままそう漏らす。オールマイトが来たからって状況が多少好転したくらいにしかならない。最悪のビジョンが頭をよぎる。とっさにかぶりを振って周囲の状況を把握しなおす。爆豪はそばにいる、もんだいない。問題なのは目の前の死柄木率いるヴィラン連合、そしてあっさりオールマイトをはじいたオールフォーワンだ。

 

 「衰えたね、お互いに。バーからここまで約5キロ、優に30秒はかかっての現着だ。」

 

 「貴様もだいぶ無理を押しているようじゃあないか!?・・・5年前と同じ轍は踏まん!爆豪少年も遠山少年、かなで少女も!貴様を刑務所にぶち込んで助けさせてもらう!」

 

 「それはそれは・・・お互いにやることが多くて大変だね」

 

 ずっ・・・と音を立ててオールフォーワンの腕が爆発的に膨れ上がった。まさかあれは・・・!?とよけるように口を開くよりも早くヤツの腕から発射された空気の砲弾がオールマイトを貫きその体はビルをいくつも貫通して吹き飛ばされた・・・!

 

 「オールマイトォ!」

 

 「あの程度じゃ死なないよ。さて、ここは逃げるのがいいだろう弔。爆豪くんを連れてね。黒霧、逃がしてやってくれ」

 

 オールフォーワンの指が黒い触手に変わり、黒霧を貫く、それと同時に黒霧のワープゲートが起動して周りを吸い込みだした。すぐに頭を切り替える。ヤツは爆豪だけを指定した。つまり、俺とかなではもうすでに用済み、あるいは殺害対象だととらえていいだろう。おそらく死柄木たちもそう行動してくるはずだ。今の俺はかなでを離すわけにはいかない。爆豪をメインに据えつつかなでを逃がせるように考えねぇと・・・!

 

 

 「死柄木!いいから行こうぜ!あいつがオールマイトを食い止めてくれてる間に!・・・コマもってよ」

 

 「めんっっどくせぇ」

 

 だろうな爆豪、俺もそう思うよ。とりあえずかなでを抱いたまま爆豪の隣に並んで声をかける。ベレッタの残弾はマガジン7個分、デザートイーグルに至ってはマガジン3つ、あとはバタフライナイフが一つなうえ片手がふさがっている・・・が、そんなもん言い訳だ。

 

 「爆豪、協力してくれ。いや、お前は多分この言い方じゃだめだな・・・俺を利用しろ、生き残るために」

 

 「あ゛あ゛!?んなもんテメェで・・・チッ!・・・おい根暗野郎ォ。チビ、手放すんじゃねえぞ」

 

 「爆豪さん・・・」

 

 途中まで反抗しようと声を荒げていた爆豪だが、俺の腕の中で必死に抱き着くかなでに何か感じ入るものがあったのだろうか、不承不承という感じではあれど協力する意思を固めてくれたようだ。同時にやつらがまとめてかかってくる。爆豪側から奇術師野郎、白黒の覆面が俺の側からはサングラスをかけたたらこ唇、ナイフを構えた女子、そして死柄木。俺の方が多いのはいじめかなにかか?

 

 「あんた体育祭で優勝した子ね!?危険だわ!」

 

 たらこ唇がオネェ口調で拳を繰り出してくるので片手でさばきつつ背後からナイフを突き刺そうとする女子の腕を蹴り上げナイフを叩き折りつつ蹴っ飛ばす。目ざとくそれに反応した爆豪が俺に当たらない角度で爆破を放ち黒霧が倒れてる方面へぶっ飛ばした。そこでしばらく寝てやがれ。

 

 たらこ唇の方は俺の死角であるかなでを抱いてる左側から打撃を打ち込んでくるが今の俺は体育祭よりもヒステリアモードの強度が上がっている。桜花で亜音速まで加速させた右腕の銃底で手首を思いっきり叩いてやると、ガコンとたらこ唇の左手首が外れた。驚愕にサングラスの奥の目を開いたたらこ唇だが俺の攻撃はまだ終わってない。銃を振り切ったまま右肩を相手に向けて足で全力の秋草を使って突っ込み、インパクトの瞬間かなでと俺の体重を合わせた秋水をぶち込む。

 

 こいつは秋花。いつもの俺じゃ実現不可能な技を今この瞬間かなでを巻き込まないようアレンジした不完全版だ。秋草の威力で相手にぶっ飛んで秋水でタックルを仕掛け抱きかかえ、壁に挟み込んで押しつぶす、食らった敵は壁に飛び散り花になる・・・どれもこれも殺害に特化した遠山家の技の中でもド派手な技だ。今回は壁に押しはさんでないから威力が完全に死んでいる失敗だけどな。

 

 「マグ姉!トガちゃん!テメエ・・・許さねえ!「許す!」」

 

 「あ゛あ゛!?テメエ俺を忘れてんじゃねえ殺すぞ!」

 

 4vs2になったが依然として状況が悪い、オールマイトは何度かこっちに対して助けようとしてくれてはいたがそのたびにオールフォーワンに邪魔されるの鼬ごっこだ。さらに俺や爆豪がいることによってオールマイトは本気で戦えていない。最低限相手の目的である爆豪とかなでを逃がせば少なくともどうにかなる。逃げるだけなら俺一人の方が楽だ。

 

 爆豪とバックツーバックになって相手を入れ替えるためにばっとターンする。爆豪は俺のやりたいことを鋭敏に察知してくれるからかいざ協力するとなると驚くほどやりやすい相手だ。爆豪を攻撃するためにメジャーのような武器を伸ばしてきた白黒の覆面にデザートイーグルで3発弾をプレゼントしてやる。そして奇術師野郎の胸ド真ん中に蹴りを入れて無理やり距離を離す。後ろでは爆豪が爆破によって相手を無理やり後退させてるのが見える。このままじゃじり貧だ。一手、この状況を打開しうる一手が欲しい。どうする――――!?

 

 

 

 パキィィィィン、と何かが凍り付くような音が響き、確かなエンジン音と何かを蹴っ飛ばしたような爆音が響いた。慌てて背後に目をやると、見覚えのある大氷壁が天高く伸びあがりその先から・・・いつもと雰囲気が違うがわかる。切島、飯田・・・そして緑谷だ。今この場にいる誰もが出来なかった逆転の一手。俺が切り捨てたはずのやつらによってなされた・・・助けられちまったな。

 

 

 「爆豪!遠山ぁ!こぉい!!」

 

 切島の大絶叫が響き渡る。だがダメだ、あいつらはおそらく爆豪と俺がいるという計算上でこれを起こした。俺が抱き上げ体で隠していたかなでのことは考えてないだろう。はっと爆豪と目があう、その目は俺とかなでをもってどうこの場からあそこに飛ぶかを思案しているようだった。だめだ、少なくともこの状況でそれはどうにもならん。

 

 「爆豪!頼んだ!いけっ!」

 

 「根暗野郎!?テメェ待ちやがれぇ!!!」

 

 「お兄ちゃん様!?待ってください!まって!!お兄ちゃん様ーーーーーッ!!」

 

 考えてる暇はない。爆豪にかなでを無理やり持たせて、秋水と桜花で無理やり緑谷たちの方へ投げ飛ばす。回転はかけてないからまっすぐ飛んだ爆豪が諦めたようにかなでをしっかり抱え上げて爆発でとんで切島の手を取った。それでもやつらは俺の方を向いて俺の名前を叫んでいる。悪いな、そっち行けなくて。でも、必ず礼を言いに行くからちょっと待っててくれ。その間、俺の妹をよろしくな。

 

 

 「ぐぶっ・・・逃がしちゃダメよ!あんたたち・・・くっつい・・・ぐばっ!!?」

 

 「マタイ福音書第三章・・・荒野にて叫ぶ者の声がする『主の道を用意し、主の通られる道をまっすぐにせよ』・・・今回私が作るのは主のための道じゃないけれどあなたたちに邪魔させるわけにはいかないの」

 

 「・・・カナ?」

 

 「あら、キンジお疲れ様。こんなところにいるなんて悪い子ね・・・よく頑張ったわ。あとでご褒美でもあげようかしら?」

 

 銃声が響き渡り、たらこ唇が悲鳴を上げて沈黙する。俺の後ろから癖である聖書の暗唱をしながら歩いてきたのはミッドナイトブルーのロングコートに編み上げブーツをはいた美女だ。というか兄さんだ。兄さんは女装をすることで人格を完全に切り替えヒステリアモードになる。人格も見た目の完全に女になるし、カナ自体は兄さんであったことをほとんど覚えてないからたちが悪い。けどこの状況下なら一番うれしい援軍だ。

 

 「・・・これは、少しまずいねえ」

 

 唐突に瞬間移動レベルの速度で俺の目の前に現れたオールフォーワンが俺に向かって拳を繰り出してくる。どうする、絶閂を使えばまず間違いなく俺はつぶされて終わりだ。かといって今しがたオールフォーワンに打撃を受けたオールマイトに救援を期待するのも望めない。距離がありすぎて間に合わん。唯一俺の近くにいるカナと、今しがた近くに来たらしい見覚えのある気配の2人を頼って俺はある技を選択する。まだ実践どころか練習ですら成功させたことない技だが賭けだ。やってやる。

 

 オールフォーワンのいびつに膨らんだ拳を威力が乗り切る前に桜花で加速させた腕で受ける。その際両手が裂けて血が噴き出たがとりあえずそれは無視だ無視、生きのこりゃ安い。莫大な衝撃が俺の手を貫くが、これはまだ触れただけだ。ここから、言うなれば本震ともいうべき衝撃が何倍にもなって俺を襲うのだろう。成功してくれよ――――!!!

 

 俺は体内でごく微細な振動を正確に1万回準備し、今しがた計算し終えた本震に合わせるように自励振動を開始する。ジリジリジリジリッ――――!!!と体内で火災報知器のベルのような振動の感覚を頼りに、今までで一番繊細かつ正確に1万分の1ずつオールフォーワンの打撃を微分して受けていく。途中、爆発的な移動速度で俺の後ろに来たカナが恐らく秋草で一足飛びに来て俺の背中に拳を突き入れた。だが、俺に痛みも衝撃も全くなく代わりにオールフォーワンに莫大な衝撃波がかえって俺が受けている衝撃を大きく弱めた。すげえ、完成系の大和を俺の体を傷つけることなく完璧に鎧通しして俺を助けつつオールフォーワンに攻撃したのか!でも、これでもまだあと一歩足りない!

 

 4000、5000、6000と数えていくうちにわかった。微分の数が足りない・・・!おそらくあと2305回!準備した回数がそれだけ不足してる!焦る俺をなだめるように2つの手が俺の背に新たに触れた。来てくれたんだな・・・!俺はその手にゆだねるように余った衝撃波を流していく。その手の先にいるのはジーサードとかなめ。大和で俺を支えるカナと絶閂で衝撃を地面に流す二人のおかげで格段に楽になった!これならば―――ー!!

 

 「―――っ!!!っはあ!、はあ!」

 

 「遠山少年!DETROIT SMASH!!!!」

 

 受け切った・・・!少しだけ驚いた様子を見せたオールフォーワンの隙をついてオールマイトの鉄拳がその顔をとらえて吹き飛んだ。思わず膝をついてしまうがすぐに立ち上がる。クッソ、死ぬかと思ったぞ・・・!

 

 「カナ、ジーサード、かなめ・・・すまん、助かった。カナはともかく、二人はアメリカじゃなかったのか?」

 

 「おう兄貴、大丈夫か?あー・・・なんだ、またなんかあったって聞いたからよ・・・」

 

 「もうサード!またヴィラン連合に襲われたって聞いて心配になったんだよぉ!朝ついたらお兄ちゃんとかなでが攫われたって!急いでこっちまで来たの!」

 

 そうだったのか・・・!これにはかなり助かった。が、オールマイトが相手してる巨悪の強さにおぞ気が走る。遠山家の義士が4人がかりで止めることのできる攻撃を通常攻撃で繰り出してくる。が、今はそんなことはおいておけ、もう今更だが戦闘をしてしまった時点で俺ももう無関係ではいられない。因縁のある遠山家をアイツが逃がしてくれるとは思えん。オールマイトの邪魔をしないで脱出はできないだろう。ならば、オールマイトを気兼ねなく1vs1で戦わせられるように邪魔を入れないようにするんだ・・・!

 

 「マタイ福音書11章、すべての重荷を負うて苦労しているものは私の元に来なさい・・・家族を助けるのは当然よ。それと巨悪を挫く義士として私たちは弱き人の盾になる義務がある。キンジ、あなたは今だ法の下においては未熟、けど義士としては私たちと同列よ・・・戦闘許可は私が出しましょう。ここが私たちの死地となると覚悟なさい」

 

 「俺たち兄弟に狙われてただで済むと思わせねえようにしねえとなあ兄貴?あ、きついんだったら寝ててもいいぜ?」

 

 「お兄ちゃんとこんなに早く共同作業ができるなんて思わなかったなー。それに・・・許せないこともあるし・・・」

 

 るっせえジーサード。あとかなめはその黒いオーラと光のない瞳をしまえ。ヒーローとは思えん顔になってるぞ。とにもかくにも遠山家の義士が勢ぞろいした今、手傷を負っているとはいえ生中で殺せると思うなよ・・・借りを返してやるぜ、死柄木。




なんか展開速い気がするけどこんなもんか・・・?ま、いっか
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