遠山桜は正義の味方である   作:カフェイン中毒

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再・第二弾

 『合格者100人達成!ではこれから2次試験の説明をするので合格した人は待機室まで急いでねー』

 

 移動してるときにそんな声が聞こえた。あっぶねえ割とギリギリだったんだな。落ちてしまって演習場を後にする先輩方とは逆方向に進み、待機室まで向かう。途中までいくとあれは・・・飯田たちだ。合格できたみたいだな・・・というか少ない・・・分断されたか落ちちまったのか・・・・

 

 「よう、お前ら合格できたのか?何よりだな」

 

 「遠山君!君も合格のようだな!とりあえず今ここにいる雄英生は全員合格している!分断されてしまったから他はわからないが・・・」

 

 「そうか・・・ま、あいつらなら大丈夫だろ。それよりほれ、早く行こうぜ」

 

 「にしても遠山!お前一番に合格してると思ったぜ!」

 

 「たしかに!銃でスパーン!って倒してさっさと合格してるかと思ってた!」

 

 「ああ、できるだけ目立って囮やってたからな。お前らの方に人が集まりすぎないように。意図してるかは知らんが爆豪とか轟も同じ効果があったはずだぜ。俺は合格順調整してたけどな」

 

 「そんなことやってたのか!?はー、才能マンはちげーなぁ・・・」

 

 「合格できりゃ一緒だろ。俺は対人戦がお前らよりだいぶ得意なだけだ」

 

 「「「「だいぶで済ませるな」」」」

 

 息ぴったりに突っ込まれて少し悲しくなった俺は足早に待機室へ向かう。途中疲れたといった透におんぶを強制されてヒス化の危機と戦ったりしていたがそれもむなしくヒスってしまった俺たちが待機室へ入ると・・・

 

 「「「「あーーーー!!!きたああああああ!!!!」」」

 

 俺たち以外のクラスのやつらがいの一番に駆け寄ってきた。見るに・・・・全員いるようだ。ってことは・・・・

 

 「「「1-A全員一次試験突破!!やったあああああ!!!」」」

 

 囲みあって喜び合う俺たち。いやホントだぜ。1500人の中の100人のうち20人を雄英が占めてるんだから、これはすごいことだ。割とマジで全員合格いけるんじゃねえか?

 

 

 

 『えーはい。100人の皆さん・・・こちらをご覧ください』

 

 あ?ってありゃさっきのフィールドじゃねえか・・・どこもおかしな所なんて・・・と暢気に考えてるとドゴォォォン!!!と映像の中、そして外で大爆発が起き待機室が揺れた。なんだなんだ!?なぜそんなことをする!?勿体ないだろうが!あのセット作るのにどんだけの金がかかってるかは知らんが少なくとも壊すもんじゃないだろ!

 

 『次の試験でラストになります!皆さんはこれからこの被災現場でバイスタンダーとなり救助演習を行っていただきます!』

 

 そういうことか!バイスタンダー・・・たしかその場に居合わせた人のことだ。つまりは被災現場にたまたまいたヒーローとしての行動を見られるわけか・・・ん?よく目を凝らすと・・・さっき爆発したばかりの現場に老人や子供などが続々と入っていくところだった。何やってんだあぶねえな!?まさかあれが救助対象ってことか!?なんで人間使ってんだ!人形にしとけよ!

 

 『今映ってる彼らはあらゆる訓練において必要とされる要救助者のプロ!ヘルプアスカンパニー、通称HUCの皆さんです!』

 

 要救助者のプロってなんじゃそりゃ。世の中にはいろんなお仕事があるんだな。また一つ勉強になったわ。くいっぱぐれたら面接受けてみようかな。

 

 『ヴィランによるテロが発生したと仮定し傷病者に扮したHUCを全フィールドから救出!これが試験内容です。今回は救出活動をポイントで採点し終了時規定値を超えていれば合格となります。開始は10分後、トイレ等はすませておいてくださいねー』

 

 採点制・・・また仲間割れを誘発するようなことをしやがって。つってもまあ救助人数がどうこうってわけじゃないだろ。要は行動だ。そんで救助訓練・・・・俺らの弱点が来たな。こういうのはモロに経験値が来る。救助訓練なんて俺たちはまだそこまで訓練したわけじゃない。授業でやっちゃいるが周りの落ち着きようと俺たちのざわめきを考えるに差は歴然だ・・・しゃあねえ

 

 「おい!全員ちょっといいか?作戦会議がしたい。聞いてくれ」

 

 俺が声を張り上げるとクラス全員がこっちを向いてくれた。爆豪ですらさすがに黙って話の続きを促してくれてる。まあ無視されてるだけかもしれねえけどな。それはそれでいい。

 

 「今回の試験、俺たちにとっては鬼門だ。だから状況を整理するぞ。状況はヴィランによるテロが発生、俺たちは仮免を取得済みのバイスタンダーとして救助に当たる。それまではいいな?」

 

 全員がこくりと頷く。俺はそれを確認して話を続ける。こういうのはガラじゃないがやっておいた方が後で楽になるからな。

 

 「授業で習ったと思うが救助は基本的に役割分担だ。つまり自分のできることをできる範囲でやることが大事ってことだな。何でも一人でやるもんじゃない。周囲との協力、おそらく採点ポイントのひとつはそこだろう。で、提案なんだが、あらかじめ何をやるか決めておきたい。もちろん臨機応変に動く必要はあるだろうが持ち場をきめておくと楽になるだろうからな。どうだ?」

 

 「いいと思う。僕らはここにいるほかの人たちに比べて1年早く来てる。その分知らないことは沢山あると思うんだ。その分を協力して補えれば大きなプラスになるんじゃないかな」

 

 「賛成しますわ。私ではパワーのいる作業は向きませんし、ほかの方にも向き不向きがあります。それで、どう分けますの?」

 

 「そうだな・・・とりあえず俺の独断と偏見でいいか?」

 

 「構わねえ。そういうことに関しちゃお前が一番信用が置けるからな。爆豪!いいよな!?」

 

 「うるせえ!・・・勝手にしやがれ、聞くだけ聞いてやる」

 

 切島が爆豪の承認を半ば強引にとったので俺は頭で考えてたチーム編成を話していくことにした。なんか爆豪神野の件以来ちょっと丸くなった気がするな。こちらの話をある程度聞いてくれるようになった感じがする。緑谷に対する態度は変わんねえけど。

 

 「まずヴィランによるテロという設定、おそらくどっかで仮想敵が出てくる可能性がある。だから救助兼戦闘を爆豪、切島、上鳴でリーダーを爆豪。爆豪の判断で自由に動け、ただヴィランが出たら倒しに行ってくれると助かる」

 

 「おう!」

 

 「わかった」

 

 「ケッ」

 

 「で、こっちが本命の救助部隊、緑谷、瀬呂、常闇、轟、峰田、耳郎、青山。リーダーは緑谷な。んで安全地帯へ搬送する部隊。飯田、尾白、芦戸、麗日、梅雨、障子。リーダーは飯田。そんで最後、救助部隊にくっついてその場で応急処置をする部隊、俺、口田、八百万、透。応急処置の部隊は応急処置の授業の成績上位4人から。他は個性とガタイと身体能力、あとは相性。異論は?」

 

 「「「「「なし!!!」」」」」

 

 「よし!部隊単位に縛られるなよ。必要があれば各々できることを怠るな!全員で合格目指そうぜ!Plus・・・」

 

 「「「「「「Ultra!!!!」」」」」」」

 

 全員で円陣を組み校訓を唱和したところで、ジリリリリリリ!!!とベルが鳴り待機室がまた天井から展開し始めアナウンスが鳴り響き始めた。始まったか。

 

 『ヴィランによる大規模災害が発生!規模は○○市全域、建物の倒壊により傷病者多数!応援を要請されたし!道路の損壊が激しく先着の救急部隊の到着に著しい遅れあり!到着するまでの救助活動をその場にいるヒーローに要請します!』

 

 「ケロ、始まるわね」

 

 「みんな、がんばろう!」

 

 『一人でも多くの命を救出してください!・・・スタート!!』

 

 「いくぞ!」

 

 「「「「「おう!」」」」」

 

 全員で一斉に飛び出し、走りながら各々どの場所を担当するか学校単位で大声で話し合う。一番生き残りが多い雄英と士傑がどこを担当するかが焦点だ。訓練の度合いが高い士傑が一番損壊具合の高い東市街地方面を担当するのがいいだろう。俺たち雄英はその次に被害がひどい北だ。

 

 「八百万!通信機いくつか作ってくれ!これを別の学校にも渡して逐次情報共有と場合によっては人手の貸し出しの相談をする!」

 

 「はい!遠山さん、どうぞ!」

 

 「助かる!すんません!士傑のクラス代表の人!いますか!?」

 

 「俺だ。雄英の遠山君だな?手短に頼む!」

 

 「はい!生き残ってる人数が多い雄英と士傑で被害がひどい場所を担当しあいましょう。俺たちは北、士傑は東でどうでしょう。雄英はすでに分担を済ませてるので地図のこの位置あたりに応急待避所を作ってある程度の処置をした後にこっちの本待避所まで向いてる個性のやつを使って送ります!それと全域との相互コミュニケーションのためにうちの八百万が通信機を作りました!各学校、あるいは分担した部隊ごとのリーダーに渡して情報を送りあいましょう!」

 

 「!いい判断だ。通信機、感謝しよう。北のことはよろしく頼む!イナサ!飛び回って通信機を配れ!」

 

 「了解っス!」

 

 八百万が作ったいくつかの通信機を士傑の代表だという毛むくじゃらの見た目の先輩に渡す。先輩はその中から一つ抜き取って残りを近くで走っていた夜嵐に投げた。夜嵐は投げられた通信機ごと風で舞い上がると空を飛び別の学校の代表者のところへ飛んでいった。なるほど、風を操る個性だったのか・・・しかもバラバラにばらけた通信機を一つ残らず操った風で掬い取ってから飛んでいった。なんて繊細な個性のコントロールだ。雄英の入試一位は伊達じゃないな。

 

 北方面へ走る。幸いビルの倒壊とかで全く通れないという道はない。辛うじてというところではあるがいくつか平らな場所もある。配られた地図を確認して現在位置を照合・・・「うぇぇぇん・・・」・・・!誰かいる!

 

 「耳郎!誰か泣いてる!子供だ!場所確認してくれ!」

 

 「うん!・・・いた!そっちのがれきの向こう!」

 

 「緑谷!先行って確認してくれ!」

 

 「わかった!」

 

 「俺はいったん緑谷の方へいく!残りのやつらは救助対象を探しつつ先へ進んでくれ!」

 

 「わかった!指揮は俺がとろう!みんな、いくぞ!」

 

 「いってえ・・・助けてくれ・・・!」

 

 っち!今度は向こうか・・・!反応した八百万、障子、轟、瀬呂が向かっていってくれた。そっちは任せよう。とりあえず俺は緑谷の方を・・・!ワンフォーオールをまとってがれきを飛び越えていった緑谷の後を追うように俺も桜花を利用してがれきを乗り越える。そうするとその先には頭から血糊らしきものを流している子供が泣いていた。

 

 「うぐっ・・・痛い・・・ああっ・・あっち!おじいちゃんが・・・つつぶされてええ・・・うわあああん!!」

 

 「ええっ!?大変だ!どっち!?」

 

 ばっか緑谷!この状況でその第一声はだめだ!相手は傷病者だぞ!?余計不安をあおるようなことをしてどうする!とその子供が急に表情をくわっと変えて叫んだ。

 

 「なんだそれ減点だよぉ!仮免もちなら被害者の状況は瞬時に判断して動くぞ!まずどうするかをしっかり考えろよ!」

 

 HUCが採点者なのか!?いやそれよりもまずは目の前のことを何とかしないと!減点食らって動きが止まった緑谷の肩を叩いて変わってもらい、跪いて男の子の様子を確認する。頭部出血、不安による呼吸数の増大、歩行機能に支障はなし、けど誰かが運んでいくのが望ましいな。腰のポーチから消毒済みタオルを取り出して男の子の頭をぬぐいつつ声をかける。

 

 「よし、坊主。俺たちが来たからにはだいじょぶだ。お前のおじいちゃんも絶対に助けてやる。だから今は落ち着いて俺の話を聞いてくれ。頭は打ったか?ほかに痛い場所は?」

 

 「うん・・・コンクリートが降ってきて・・・あと・・腕が痛い・・・」

 

 「ありがとな。頭の傷はこれで大丈夫だ。腕は・・・打撲だな。ちょっとまぶしいぞ・・・脳出血はなし、よしこれで大丈夫だ。緑谷、できるだけ揺らさずに運んで行ってくれ、頼んだぞ」

 

 止血テープを男の子の頭に張り付け、瞳孔を覗き込んで脳内出血の確認を済ませた俺が緑谷を呼ぶと緑谷は覚悟を決めるように頬を張って男の子に大丈夫だと声を張りつつ本待避所まで走っていった。それを確認した俺は聴覚を集中する・・・おじいさんがつぶされたといっているならがれきの中・・・いた!かすかな呼吸音!おそらくは失神という設定だ!近くにいるのは・・・麗日と轟、峰田!

 

 

 「麗日、轟、峰田!こっちのがれきの中!要救助者がいる!手伝ってくれ!」

 

 「うん!」

 

 「わかった!」

 

 「おう!」

 

 集まってくれた3人と一緒にがれきをのける。俺が構造を計算して峰田と轟が周りでバランスをとってるがれきをもぎもぎと氷結で補強、上から俺と麗日でがれきをのけていく。2分もかからずにがれきの中から老人が埋まった状態で見つかった。あぶねえなホント!

 

 麗日が浮かし、できるだけ水平を保った状態で回復体位を撮らせて俺が診断する。両足骨折、がれきに潰されたことによるショック症状で呼吸も浅い・・・脳は・・・大丈夫だ。携帯型酸素スプレーを取り出し麗日に口にあてつつ運ぶように指示した。麗日が浮かしながら運んでいきその姿が見えなくなったころ・・・・ズガァァァァン!とまた方々で爆発が起こる・・・来たか!

 

 『ヴィランが姿を現し追撃を開始しました!現場のヒーローは敵を倒しつつ救助を続行してください!」

 

 やはり来たかヴィラン!どうする?爆豪たちだけで足りるのか!?俺はどう判断する?どう動くのが正解だ!?・・・くっそ、やべえな。

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