仮免の二次試験、救助演習中にシナリオ設定の時点で予想はしていたがヴィランと救助の2つを同時対処をしなければならない。ヒステリアモードの頭がフル回転を始めこの状況を打開する策を考え出す。爆発の規模、そしてテロという設定の関係上ヴィランは複数人いると仮定して最適なのは・・・
『こちら救護所本部!ヴィランが直接襲ってきた!救援を求む!』
そっちにきたか!もう迷ってる暇はねえ!こういう時は・・・
「こちら北!救援をそっちに送る!他の場所も援軍を送ってくれ!・・・轟、お前が適任だ。行ってくれ!」
「ああ、わかった」
轟が氷で道を作りつつ救援に向かうのを見て俺はさっきのおじいさんを救出したときに聴音して違和感を覚えた場所に走る。するとそこには、やはりいたか!要救助者・・・おそらくは子供。倒れたまま意識はない。すぐさま回復体位をとらせて診察をする。
骨折はなし、ショック性の失神だ。軽症だが意識がないため誰かが運ぶしかない・・・っちこの場には峰田しかいない。俺が運ぶことにして救護所の援軍に合流することにしよう。そうと決まればのちの指揮を八百万に託す。
「峰田、俺はこのままこの人を運んで救護所の救援に行く、八百万の方に合流してのちの指示を仰げ。八百万、意識不明の要救助者を発見、応急処置を済ませたが運ぶやつがいない!俺が運んでそのまま救護所の方に援護に行く!後の指揮は任せる!」
『了解しましたわ!後はお任せください!』
「おう!気をつけろよ遠山!」
別の場所に向かう峰田に背を向けまた通信機で通信をつなぐ。救護所の場所が変わるはずだ。
「こちら北、意識不明の要救助者を発見。応急処置を済ませたので救護所に運びたい。新しい救護所の場所を教えてほしい」
『こちら西!私たちが受け入れます!今避難してる人たちは全員西へ!新しい救護所を設置します!繰り返します!新しい救護所は西になります!』
西か!そこまで遠くないな!すぐ行けるだろう。落とさないように横抱きにした子供を抱え上げ揺らさないように急いで俺は走り始めた。でこぼこ道もヒステリアモードならなんのその。走り始めて5分もかからず西の指定されてポイントにつくことができた。そこではすでに避難された人たちがトリアージを受けて重傷者順に並んでいた。
「君!その子は!?」
「ショック性の失神、脳出血はなし、骨折無しの軽傷です」
「うん、わかった!じゃあ左のゾーンで寝かせてあげて」
言われた通り軽傷のゾーンを気絶した子を寝かせてすぐさま元救護所があった南方面に向かって走り始める。桜花でがれきを飛び越え、くぐり、堀蜥蜴を駆使してパルクールでほぼ一直線に駆けていく。3分ほどして見えてきた。覆面マスクの複数の仮想ヴィランに・・・あれはギャングオルカ!?ビルボード10位の超実力派ヒーローじゃないか!?どんだけ本気出してるんだこの試験・・・!
相対してるのは・・・轟に緑谷と夜嵐か!いいメンツだ!俺はとりあえず露払いから!
両手に銃を出して覆面達にそれぞれ5発ずつ発砲する。弾丸はそれぞれ右に持ってる武器に集中して飛んでいくが発砲音に気づいた覆面達はたやすく体を動かしてプロテクターで弾丸を受けた。やっぱ全員プロか!当たり前のように防ぎやがった!
「遠山君!」
「緑谷、状況は!?」
「うん、ギャングオルカが来て、応戦してるんだけど・・・轟君と士傑の人の息があってなくて・・・このままじゃ突破される!」
息があってない・・・?協力が必要な場面ということは二人とも気付いているはずだ。息が合わない?会わせるつもりがないのか!?とにかく今は覆面どもを片づける!
「緑谷、とにかく覆面をこれ以上進ませるな。俺は左、お前は右だ・・・・行くぞ!」
「うん!」
緑谷がと俺が左右に分かれそれぞれ戦闘を開始する。シュートスタイルで覆面どもから発射される・・・セメントか?を避けながら迫った緑谷が連続蹴りを叩き込み覆面どもを蹴っ飛ばしていく。負けじと俺も梔子を抜いてベレッタとの一刀一銃になりセメントガンを発砲させないように立ち回りつつ近接戦を仕掛けていく。
立ち回りは必ず前後に相手がいる状態、俺がよければ攻撃が仲間に当たる状態を作りつつの各個撃破だ。まず正面、ベレッタの発砲で動きを抑えつつ梔子でセメントガンを壊す。向けられるセメントガンの銃口に刃を入れて上下に斬り壊して無力化する。平賀さんによって研がれた梔子はバターのようにセメントガンを切り裂き、唖然とする覆面の隙をついて蹴り飛ばす。蹴った時の感触で分かったが50kgくらい重りと動きを制限するプロテクターつけてるな?どうりで動きが微妙に鈍いはずだ。反応してたし多分なかったらよけられてたな。
さらに後ろと左のやつに袖口から投げナイフを取り出して桜花でぶん投げる。銃口に刺さって抜けなくなったナイフを見た覆面達はそれを捨てて近接戦を挑んでくる。俺は梔子の峰で一人の首筋をぶっ叩いて失神させ、もう一人にはアル=カタで銃口を向けて動きを制限、梔子の柄を顔面に入れてやって倒してやった。ギャングオルカの方は・・・何やってんだあいつら!
ギャングオルカと対峙している轟と夜嵐はお互いがお互いの邪魔をするように動きあっていたのだ。夜嵐が風を放てば轟が炎を。轟が炎を放てば夜嵐が風を放って攻撃が勝手にそれ、当たらない。ギャングオルカも呆れ気味だ。しかもいっちょ前に喧嘩してやがる。
「あんたがさっきから手柄を横取りされないよう邪魔してるんだろ!」
「さっきから・・・なんなんだよお前・・・」
「・・・論外だな・・・試験中に喧嘩とは」
まずい!!轟の炎が夜嵐の風であおられて進路を変えた!そこにいるのは・・・傑物高校の真堂先輩だ!クッソ、俺は間に合わねえぞ!
「なにを!してるんだよ!」
!よかった!緑谷が間一髪2人に怒号を飛ばしながら真堂先輩を助けることに成功した。フレンドリーファイヤを仕掛けたことで動きが止まった2人に対してギャングオルカが何かを仕掛けようとしてる!
「二人とも足を止めるな!動け―――っ!!!」
「もう遅い。まずは、邪魔な風から」
キィンと夜嵐に向かって超音波が発射された!ギャングオルカの個性だ!シャチの超音波は衝撃波となり魚を一瞬で気絶させることができる!人間のギャングオルカ、それもヒーローとして鍛え上げたそれを受ければ・・・!
「まずっ!よけ・・・ぐあっ!?」
覆面の一人のセメントガンが逃げ道を封じまともにギャングオルカの超音波を受けた!ふらふらと不時着した夜嵐はギリギリ意識はあるものの動ける状態ではなさそうだ!そして轟にも・・・!
「自業自得だ」
「・・っ!?」
一瞬で近づいたギャングオルカの至近距離での衝撃波が直撃し、同じく体を麻痺させた轟が崩れ落ちる。一瞬で二人ともやられちまったぞ・・・!と考えてると爆風がギャングオルカを襲った。夜嵐だ!個性の制御をかなぐり捨てただ囲うような風の檻を形成し、ギャングオルカをとどめようとする。だがあれだけではとどまらない。動きにくいだけだ。もう一人のキーは・・・!
「く・・・そっ・・・!」
轟だ!轟は炎を全力で夜嵐の風に乗せ、相乗効果で燃え上がった熱風がギャングオルカを包み込む。確かギャングオルカの弱点は熱と乾燥、ドンピシャの技だ。いいじゃねえか二人とも。そういうの大好きだぜ、俺も男の子だからな・・・!答えねえと!
「緑谷!あれやるぞ!俺が隙を作るから突っ込め!」
「あれって・・・!うん!わかった!」
「シャチョーが!轟を止めろお!」
「止めさせるかぁ!」
「アシッドシャワー!」
よし!続々と増援が集まってきた!芦戸に尾白が覆面どもを足止めしている。あの熱風牢獄も長くは続かないだろう。轟と夜嵐はもう動けない。俺と緑谷でやるしかない!俺はギャングオルカに向かって走り出す。熱風にさえぎられてギャングオルカには俺は見えないはずだ!桜花の力を足にためて、全力でジャンプする!
「なるほど、炎と風の熱風牢獄・・・並のヴィランなら泣いて許しをこうだろうな。だが・・・撃った時点で次の手を打っておくもの。もしこれで倒せなかったらどうする?」
直後、超音波特有の音が空中にいる俺に届く。熱風牢獄を破裂させた無傷のギャングオルカが余裕たっぷりに口を開く。まだ気づかれてねえ、今のうちにすぐさま撃てるように準備を調えろ!つぎは・・・
「で、つぎは?」
「俺だ!!!」
弾かれたように斜め上の俺に向かって顔をあげるギャングオルカだが、もう遅い。梔子を鞘に納め、空中で居合の構えをとった俺はヒーロースーツの機能をフル活用し全身の筋骨を連動、桜花で居合を放つ。これはじいちゃんに見せてもらった天抛、威力が収束しきらず未完成だったものを俺なりの回答で完成させたものだ。鞘走りを利用して刀の速度を最初から最高速で射出、ロスの少ないまま衝撃波を放ってぶつける!
ウルトラスロ―に代わった視界の中、鞘から抜き放たれた梔子が衝撃波の尾を引き始め、刀身が真っ赤に染まっていく。それも当然、今行っている桜花はスーツが耐えられるマッハ4、刃先に至ってはマッハ6に至っている。衝撃波との摩擦熱で刀身が焼け付く中、鞘から出し切り収束した衝撃波をギャングオルカに向かって放つ!
「天抛っ!!!」
ズドォォォン!と迫撃砲が地面にたたきつけられたような衝撃がギャングオルカを襲うが・・・撃った瞬間にわかった。ギャングオルカは俺が天抛をだし自分に着弾するまでの間に超音波の衝撃波を放って天抛の威力を減衰させた・・・けど、これでいい!さあ頼んだぜ緑谷!
「・・ぬう!」
「ギャングオルカ!二人から離れてください!」
俺の真後ろから全力で走ってきた緑谷がギャングオルカの至近に着地した俺の2,3歩前で踏み切ってワンフォーオールをまとった飛び蹴りを放つ。俺はそれをターンするように避け、ターン中に梔子を投げ捨てもう一度桜花をマッハ2で作り出す。そのままターンしきり、すぐさま炸覇の準備を済ませ、緑谷を後押しするように放つ!
これは個性圧縮訓練で緑谷がシュートスタイルを作った時に俺を呼んでたまたまできた技だが、猴曰く威力は抜群。十分に必殺技と呼べるものになっている。受けてみてくれギャングオルカ、これが俺と緑谷の合体技―――――!!!
「「BURST SMASH!!!!」」
ズドムッッ!!!と両手を十字にして衝撃波を背に加速した緑谷の飛び蹴りを受け止めたギャングオルカの足がずり下がる。余った衝撃波があたりに舞い土ぼこりを巻き上げる。俺は両手に銃を出し、緑谷が弾かれたときに斉射できるようにトリガーに指をかけ―――――
『終~~~~了~~~~~~!!!!!』
「「へっ!?」」
突然ビーーーー!!と鳴ったサイレンに拍子抜けし思わずトリガーから指を放してしまった。え?終了?終わりつった今?ということはHUCの皆さんは救助されたってこと?
『えー只今、配置された要救助者全員の救助が完了、これにて仮免試験全行程は終了となります!」
「終わった!?」
「みたいだな・・・緑谷、ほれ」
「あ、うん。轟君大丈夫?」
「・・・ああ」
緑谷に手を貸して助け起こすと緑谷はすぐに轟に駆け寄って轟を背負った。轟の顔はすぐれない。あんな醜態をさらしたんだ、合格出来てる可能性を自ら低くしてしまった以上ああなるのは仕方ないだろう。俺もどう言葉をかけていいのかわからない。梔子を拾いつつ次の指示を待つ。
『集計ののちこの場で合格発表を行います。怪我をされた場合は医務室へ。ほかの方々は着替えののちしばし待機していてください』
指示が出たので轟を医務室へ運んだあと着替えへ向かう。雄英に用意された更衣室では既にほかのやつらが待機していて口々にお疲れさまと言い合い着替えを済ませて試験会場へまたとんぼ返りする。大丈夫かねえ・・・これで俺落ちてたらどうしたもんか・・・。
「はーーー・・・こういう時間いっちばんやだ」
「わかる・・・きっと大丈夫だよ」
「キンジ君手ごたえどう?」
「わかんねえ。採点方式がわかんないからな。戦闘に向かったし。それで減点ってことはないはずだが・・・」
「それはやだーーーー!!!」
『えー皆さん大変長いことお疲れさまでした。これより発表を行います』
!きた。泣いても笑ってもこれが結果だ。さあどうなる・・・?
『まず採点方式についてです。我々公安委員会の審査員とHUCによる2重の減点方式で採点をさせてもらいました。これは危機的状況化でどれだけ間違いのない行動をとれたのかを審査しています』
なるほど、減点方式ね・・・つまりHUCが救助関連を、公安がその他の行動を一人一人監視してたってことか?どうやってんだ・・・?まあ言い、次だ次。
『では合格点にあった方は五十音順で名前が載っています。今の基準を踏まえたうえでご覧ください』
その言葉共に背後のモニターが転倒し50音順に並べられた俺たち受験生の名前が映し出された・・・俺の名前は遠山だから・・・と・・・遠山金次!あった!あったぞ!合格だ!ついでに俺から名前の近い轟の名前を探してみるが・・・轟・・・ない。ないのか・・・くそ、悔しいな。
ついでにクラス全員の名前も探していく、青山・・・峰田、緑谷、梅雨 飯田、透・・・全員あ・・・いや、爆豪がねえ!どういうこった!?試験中姿は見なかったがあの爆豪が落ちるなんてことがあるのか?そんなもん暴言を吐きまくったとしか・・・・まさかそれやったのか?冗談だろ?一緒にいた切島と上鳴を見ると「暴言改めよ?言葉って大事よ」と上鳴が爆豪をあおっていたのでそういうことらしい。えーーー・・・・
うちの中でも成績上位のやつが落ちちまったってことか・・・全員合格、叶わなかったな。少し・・・いや、すごく残念だ。俺は苦い気持ちを押し込みつつ、電光掲示板を見つめるのであった。
どうしてもキンちゃんと他のキャラとの合体技を作って出してみたかった。名前もカッコ悪いかもしれないけど作者の精一杯です
お許しください!