「「「喧嘩して謹慎~~~!?」」」
「ばかじゃん」
「バカだな」
「なんということだ!」
翌日のこと、朝食を済ませて用意を終えた俺たちに改めて緑谷と爆豪がそうカミングアウトした。そうして飛んでくるのは驚きの声とド正論。飯田なんて眼鏡が割れんばかりの声量をあげて驚いている。うん・・・まあその・・・非常にいたたまれない。昨日かかわっていただけに。
緑谷たちを置いて登校し、前期は参加できなかった始業式に参加するためにグラウンドへ向かう。途中、物間が絡んできたのだが喜ばしいことにB組は全員合格したのだそうだ。やっぱ実力的にはそんな開いてねえみたいだな。あと角取っつー女子が日本語が不安定なのをいいことに物間が変なこと教えてたのでさすがに英語で話しかけて意味を教えておいた。
そしたら角取は英語で話しかけられるとは思ってなかったようですっごいびっくりしてたな。そして哀れ物間は角取と拳藤にシメられてたよ。角取はまた英語で会話したいって言ってたけどな、かなでに合わせてみるか?ネイティブ同士だし出身も一緒なら話が弾むんじゃないか?まあいいけど。
そんでそのあとに心操だ。あいつ夏休み中のトレーニングを欠かさなかったようでガタイが一回りでかくなってたな。トレーニングは猴に丸投げして俺はあってなかったから気づかなかった。姿勢もよくなってるしこれは心操のヒーロー科入りは現実になりそうだな。
「遠山・・・夏休み中、大変だったみたいだな・・・テレビで見た。それと猴先生のこと、お前が頼んでくれたって聞いた。礼を言わせてくれ」
「気にすんな。相澤先生に頼まれただけだし、俺は言伝をしただけ。お前見て鍛えるって決めたのは猴だしな。まあ・・・上ってきてくれよ。待ってるぜ」
「ああ」
しゃべるのがあまり得意じゃない俺と心操はそれとなく別れ、グラウンドに向かうのであった。
始業式の校長のどうでもいい毛並み議論が終わって結構大事なことをしゃべりだしたのだがその中で一つ、気になるものがあった。「ヒーローインターン」・・・兄さんが話題に出したことがあるからわかるが確か仮免を取得した者だけが行くことができる職場体験のアップグレード版・・・だったはずだ。職場体験と違うのは戦力の一つとして見られることになり、給料も出るということ。そして体育祭でもらった指名をそのままコネクションとして使うということだ。兄さんは行きまくってたが本来は任意活動らしい。
「寮のバウッ!グルルルルルバウバウ!!!アォォォーーーン!!!」
「えー・・・昨晩ケンカした生徒がいましたが、慣れない寮生活にもお互い譲り合い節度を持って生活してくださいとのお話でした」
突然の獣の唸り声になんだと思ったらハウンドドッグ先生だったのか・・・興奮しすぎて人語忘れてるじゃねえか怖えなあ。というか通訳が必要になるほど怒ってるってこれ爆豪とか緑谷会わせたらすごいことになりそうだな・・・
特に何かあったわけじゃない始業式が終わり、教室に戻った俺たちはそのまま大人しく席に座って相澤先生のホームルームを受けてる。
「というわけでまあ・・・かつてないほどにごたごたしてるが今日からまた授業を再開するわけだ。今日は座学のみだが明日からの訓練はより厳しいものになっていくからな」
そんなことを話していると梅雨が手をあげた。何か気になることでもあったのだろうか?
「なんだ蛙水」
「始業式でお話に出ていたヒーローインターンってどういうものか教えてもらえないかしら」
「ああ・・・後日言うつもりだったがまあ先に言っておくと校外でのヒーロー活動だ。以前の職場体験の本格版・・といったところだな。トクメンと合わせてお前らの先輩方が取り組んでる自主活動みたいなもんだ」
「あの・・・トクメンってなんですか?」
「ヒーロー用特殊車両運転免許、略してトクメン。文字通りヒーローが使うぶっ飛んだ機能を備えた車両を運転するための免許だ。優秀であれば1日でとれるから2年生でも持ってるやつは多いぞ。今日受けに行くっていうやつもいるしな。なあ遠山」
なんでばらした!?相澤先生が言う通り俺はトクメンを猴がかなでを見てくれる今日取りに行くつもりだ。俺の現着するときの初動の遅さを補うためジーサードにバイクを頼んだんだが興がのったジーサードと混ぜてはいけなかったであろう発目と平賀さんが悪ノリした結果仮免で運転を許される代物じゃないモンスターマシンが出来上がったので、仮免を取得出来たらという条件で相澤先生に試験を受けさせてもらえるようお願いしておいたのだ。
ちなみに仮免なら一般のバイクまで公道での運転を許されるようになる。車は流石に免許がいるけどな。クラスの視線を一新に浴びた俺は黙りこくるしかない。冷や汗が止まらないぜ。
「「「はああああああ!?」」」
「なんで教えてくれなかったんですか!?」
「つーかなんで遠山は知ってんだ!?またコネか!?」
「キンジ君みずくさいよー!」
「はい静かに・・・よし。遠山は被服控除でサポートメカの移動手段を申請してた。その関係で仮免を取得するという条件のもと俺が許可を出した。お前らも同じように自分の移動手段を考えて委託してる会社に通せば同じようにトクメンの試験を受けることは許可する。が、俺たちは何でもかんでも与える存在じゃない。知識は得るもの、疑問に思ったならさっきの蛙水のように尋ねろ。ヒーローを目指すなら情報収集も必要になってくるぞ」
俺がトクメンを知ったのも相澤先生からだったからな。猴が来たとき、詰まったら頼れと言葉をくれたのでバイクのスペックを見て脂汗をたらしながら相澤先生にこれ仮免で運転できます?と尋ねてみたところ無慈悲な「無理だな」というありがたいお言葉を頂いたのだ。結果困った俺に相澤先生が見かねてトクメンのことを教えてくれ、さっきの条件のもと受験を許してもらった。
「まあインターンについては後日話す。以上でホームルームを終わる。すまん、待たせたマイク」
『ヘェイ!エヴィバディハンズアップ!あげていくぜー!教科書の64Pを開けェ!』
特に面白みもなく授業が進んでいく・・・と思いきや習ってねえことばっか出てくるな!?くっそ予習を怠ったせいで英語と数学ならともかく社会とかはやべえぞ・・・勉強しねえと。
座学だけだった授業を終え寮に戻る。明日からはヒーロー基礎学も入ってくるから油断できねえ。とりあえず今日のトクメンを一発でとることを考えねえと。そう考えながら寮の玄関を通って共有スペースに入ると爆豪と緑谷が掃除をしていた。ついでに瀬呂たちがめっちゃ弄ってる。やめてやれよ・・・
「そういえば遠山、おめー今日受けるっつートクメン?だったか?いつ行くんだ?」
「ああ、準備済ませてすぐ行くぜ。ヒーロースーツ必須だってよ。何するのか知らねえけどな。普通のバイクだったら私道で乗ったことあるんだが」
「インターンっていうのもあるし、後期は忙しいねー!たのしみ!」
「ウチ指名なかったんだけど参加できるのかなー」
「要はコネがありゃいいんだろ?いるじゃねえかコネの塊がうちのクラスによ」
「そりゃ俺のことか峰田。女のヒーローは紹介しねえぞ。あと俺のコネは基本海外だ。英語必須だぜ」
「いるのかこの野郎!?裏切者ォォォ!!!」
「絶妙に役に立たねー」
「ぶん殴るぞ上鳴」
緑谷が相変わらず分かりやすく感情を表に出した顔をしてやがる。すまんな緑谷、伝達事項をお前らに伝えることは禁止されてんだ。相澤先生曰くこれも罰、ということらしい。俺は学校から持ってきたヒーロースーツをソファにおいて部屋に戻ろうかと立ち上がる。
「すごい置いていかれているという顔をしてるな緑谷君!先に言っておくが授業内容の伝達は先生から禁止の令が出てる。僕たちに聞いても話せないぞ!」
「そっか、そうだよね。うん、ありがとう飯田君」
「わかってるならいい!遠山君は頑張って来たまえ!」
「おう、応援ありがとな飯田」
飯田と緑谷がそんな話をしてるのをしり目に部屋に戻って軽く身を調えて制服のままリビングに戻る。猴とかなではともに3年生の自主練に付き合ってるらしくメールで応援メッセージが来てたよ。ソファに置いたヒーロースーツを持って玄関へ向かうとみんな口々に応援の言葉をくれた。
「遠山ァ!一発でとってこいよ!」
「遠山ちゃん、応援してるわ」
「後で試験どんなだったか教えてくれ!」
「キンジ君!頑張ってきてね!」
「おう、まあほどほどにやってくるぜ。じゃ、行ってくる」
「「「「いってらっしゃい!!」」」」
ところ変わってトクメン専用の試験場、矢場井試験場にバスを乗り継ぎ乗り継ぎやってきた俺は、試験場の受付に行って必要事項を記入し、係員のお姉さんに渡す。
「はい、承りました。雄英から連絡もいただいております。では担当のヒーローがやってくるまで椅子に掛けてお待ちください」
「ありがとうございます」
そう言われたので近くの椅子に座って5分ほど待ってると機械的なヒーロースーツに身を包んだ筋肉質な男性がこちらにやってきた。多分この人だな?俺は立ち上がって頭を下げる。
「本日受験させていただきます雄英ヒーロー科1年の遠山キンジです。よろしくお願いします!」
「おう!俺がお前を担当する入替だ。ヒーロー名はリフトアップ!よろしくな。雄英から話は聞いてるぜ。仮免とった次の日にトクメン取りに来るたぁ意識が高くていいじゃねえか!まあ肩の力は抜いておけ、仮免ほど難易度が高い試験じゃないからな」
見た目にたがわず豪快な性格っぽいリフトアップに促されヒーロースーツに着替えて試験場に入る。多古場と同じように異様にでかいうえ金がかかってそうなコースを見てるとリフトアップが見るからに馬力がありそうなバイクを手で押してこちらに向かってきている。彼はスタンドでバイクを立てて腕組みをして話し始めた。
「試験は簡単、ここの外周20㎞のコースを無傷かつ8分以内に戻ってくること!バイク系のトクメンを受けるやつは皆バイクの運転経験がある前提だから細かな説明はそれだけだ!もちろんお前も乗ったことあるんだろ?じゃねえと申請書類にあったモンスターマシンなんて乗りこなせねえもんなあ?もちろん妨害がある!が、何があるかは行ってからのお楽しみだ!」
20㎞を8分で・・・?つまりアベレージで時速150㎞は出てないといけない計算だ。しかも妨害ありと来たもんだ。どこが仮免より簡単だ、だよ!学生にやらせる試験かこれ?・・・いや、もう俺はセミプロ、一端のヒーローの卵なんだ。学生云々ではなく一人のヒーローとして見られてるからこんな試験なんだな。なるほど相澤先生が仮免とるのを条件にした理由が今分かったぜ。
「お前が今から乗るバイクはコイツ、最高速度は時速250㎞、勿論ピッカピカに整備してある。無傷ってのはテメエの体のことだからな?バイクにはいくら傷があってもいいし何だったら最悪スクラップでも問題ねえ!テメエがこいつにまたがって8分以内に傷一つなくゴールテープくぐりゃいい!そんで俺はお前の救助役だ。俺の個性は「シャッフル」運動量をそのままにものを入れ替えることができる。お前が派手にクラッシュしそうになったこれで適当なもんと入れ替えて助けてやる。チャンスは3回、質問は?」
「このバイクになれる時間はいただけますか?」
「ああ、勿論だ!今から1時間、試験に使うコースとはまた別の練習場で乗ってみろ!」
「わかりました。他は特にありません」
「よぉし!じゃあ行ってこい!」
そう言われた俺は早速バイクに跨りエンジンをかけてみる。ウォォォン!!!と爆音で景気よく鳴ったエンジン音を確認しクラッチレバーを握ってギアを1速へ、すると一速にもかかわらず車体がウィリーしそうな勢いで発進した。慌てて抑え込んだ俺はとりあえず1速のままで練習場へ行ってみる。なんちゅうパワーだ。一速のくせに初速で30㎞は出てるぞ。だがこれはちょうどいい、俺が運転する予定のバイクはコイツよりスペックが上だ。こいつを乗りこなせずして乗れるもんじゃねえ、やってやろうじゃねえか。
たっぷり1時間バイクと格闘した俺が練習場を出て前のところに戻るとリフトアップがさわやかかつ暑苦しい笑みを浮かべて話しかけてきた。
「おう!筋がいいじゃねえかエネイブル!1時間で本当に乗りこなしちまうとはな!まあ初日でとろうっつーやつはどいつもこいつもそんな感じだが、お前もご多分に漏れずってやつだ。じゃあ試験場に案内するぜ!」
そう言われて給油を済ませたバイクを引っ提げて試験コースに入る。最初は1㎞のまっすぐな道から始まり最終的にグネグネ折れ曲がって一周するコースだが、カーブの数が異様に多い、時速150㎞じゃクラッシュするぞ・・・まあやってみるだけやってみるか。タイヤウォーマーでタイヤをあっためてからエンジンかけてスタート位置へ行く。フラッグとストップウォッチを持ったリフトアップが
「お前が持ってる手段は何でも使え。幸運を祈ってるぜ・・・3,2,1・・・スタート!」
合図とともにクラッチを一気に3速へ、暴れだしそうな車体を体重操作と秋水で押さえつけて発進する。時速が一気に80を超える。そこからさらにクラッチをあげて6速まで持っていく。現在時速は140㎞、まだまだ加速する。
息つく間もないまま最初のカーブへ、減速する気はないので体重移動で車体を傾けカーブをできるだけ内側気味に曲がる。すると行く先に・・・ロケラン!?妨害ってそういうことか!が既に発射された状態で俺の方に向かってきた。幸い距離はまだある!すぐに車体を戻した俺がハンドルの操作でジグザグに2発のロケランを避け、次のカーブへ向かう。
速度を160まで上げてカーブを何とか曲がり切り直線へ入る。直線へ入ると道脇のコンテナが開きまきびしが道路中に散布された。もうこれ合格させる気ねえだろ!まきびしにあたる前に何とか地面へ背筋と脊柱骨で作ったマッハ3の桜花を秋水と共に両足で地面へ叩き込みバイクごとジャンプしてまきびしゾーンを飛び越える。時速は落ちてねえ、まだいける!
着地した瞬間地面両脇から現れたのはマシンガンことUZIさんだ。すぐさま弾丸をばらまいてくるので片手運転になりベレッタの連鎖撃ちでそらし、銃口撃ちで黙らせる。銃をしまう間もないまま次のヘアピンカーブへ差し掛かる。ブレーキ操作でドリフトに入り何とか速度を落とさずクリア。次の直線入る。
目の前に広がるのは・・・地雷か!まためんどくせえもん用意しやがって!でも個性を使ってる俺なら地雷を見切ることができる。なんとか袖口からベレッタを戻しさらに加速、時速はすでに200㎞、何かありゃ容易に俺は死ぬだろうな。時折車体を地面すれすれまで倒してジグザグに曲がりながら地雷原を突破、最初に見た地図によるとここがラストカーブだ!
速度を緩めず曲がり、ゴールが見えた!と思いきや横から道をふさぐようにでっかいコンテナが倒れてくるところだった。このままじゃ衝突・・・いや!下をすり抜ける!さらに加速してこのバイクが出せるという最高速度、時速250㎞でコンテナの下をすり抜けようとするが‥‥若干間に合わねえ!コナクソ!
俺は車体をほぼ水平に倒し、地面にガントレットをつけた手を当ててバランスをとりながらなんとかコンテナの下をすり抜ける!ギャリギャリとガントレットが地面に擦り付けられ火花を散らし、車体がコンテナをすり抜けた瞬間地面にパンチを入れ反動でバイクを垂直に直してそのままゴールへ一直線、何とかゴールテープを切ることができた。仮免試験より死を覚悟したんだが・・・
結構オーバーランをして何とかバイクを停めた俺にリフトアップが駆け寄ってきた。彼は破顔すると
「7分23秒!おめでとうエネイブル!ヒーロー用特殊車両免許二輪、合格だ!どうだ今の感想は?」
「・・・死ぬかと思いました!」
「わはは!生きてるだろうお前は!よくやった!」
体に似合わずでっかくたくましい手で俺の頭をぐしゃぐしゃ撫でるリフトアップに感謝しながら、俺はまた一つヒーローとして階段を上った事実をかみしめるのであった。
ヒーローインターン編、キンちゃんをどこに行かせるか迷ってるのでアンケートとりたいと思います。簡単に、どんなプロットが書いてあるか(ネタバレしない範囲で)紹介するのでご参考にどうぞ。1ポチ入れてくれると助かります
ファットガム事務所→オリジナル事件1件(切島中心)以降ファットガム事務所として原作沿い
リューキュウ事務所→オリジナル事件2件(梅雨ちゃん中心、ねじれちゃん中心)→以降原作沿い
サー・ナイトアイ事務所→オリジナル事件無し、基本原作沿い
どのルートでも原作に基本沿うことにはなりますがいくつかの原作ブレイクを予定しております。
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