遠山桜は正義の味方である   作:カフェイン中毒

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アンケートご協力ありがとうございました。


再・第八弾

 「ぎりぎり股間は見えないようにしたけどごめんね女性陣!・・・とまァーーーこんな感じだよね!」

 

 「いや何が何だかわかんないんですけど・・・」

 

 「もれなく全員腹パンもらっただけっすよ・・・」

 

 「んーじゃあこう聞いてみようか!俺の個性、強かった?」

 

 「「「強すぎっす!」」」

 

 俺も含め全員が腹パンを頂いた通形先輩との戦闘の後俺たちはそう尋ねた通形先輩にそう返すのだった。すり抜けだかワープだかハイブリッドだかまだ確定してないがとんでもない強個性だ。それを自在に操る通形先輩の技量もやばい。俺の反応速度に当たり前のように張り合って来たからな。

 

 「いやいや強い個性にしたんだよ!えーっとキンジ!君多分後半気づいてたよね?どうかな?」

 

 「すり抜ける方っすよね。物が重なり合うと弾かれるからあんな移動が出来てた」

 

 「そう!正解!俺の個性は「透過」!発動するとあらゆるものをすり抜けることができるんだよね!移動もその応用さ!キンジが言った通り質量のあるものは重なると弾かれるんだ!そこで俺は落下中にポーズや体の角度を変えて出現先を調整してるってわけだね!」

 

 あらゆるものをすり抜ける・・・?さっきの様子も見る限り通形先輩は空気すらすり抜けていた。つまりそれはすり抜けさせるものの取捨選択ができない個性ってこと。あらゆるものというなら音も、光もすり抜けるのだろう。とんでもねえなこの人。何も見えず、聞こえず・・・地面の中で出現位置を完全に予測して動いてたんだ。そして今気づいたがこの人の個性、発動して何をするにでも必ず何工程か必要な工程がある。すり抜けさせて防御するにも当たる位置を予測しそこだけ透過、足は立つためにそのまんま、場合によっては見るために顔だけ実体化なんてこともやってるのだろう。

 

 えげつなさ過ぎる。俺でいうなら両手両足で全く別の技を使えといわれてるような難しさだ。この人はそんな個性を当たり前に使いこなしてトップに立った、努力の人だったんだ。

 

 ほかにも通形先輩がいろいろ言っていたが俺は自分がどうするかでいっぱいだった。幸いコネなら体育祭でわんさかもらった。相澤先生に促され教室に戻った俺は何処の事務所へお願いできるか、そもそも1年生の俺たちが行くことが可能なのか・・・そしてもしいける場合かなでのことをどうするかを考え続けていた。

 

 この場合・・・俺の弱点、というかそういうものを埋められるところに行くべきだ。ファットガムの事務所で俺は防御とカウンターという自分の最大の長所を伸ばすことができた。ならば次は散々俺を悩ませてる機動力!そしてもらった指名の中から広範囲をカバーしてるヒーローは・・・一人。そうと決まれば・・・相澤先生に相談だ。

 

 

 

 

 

 「インターンに・・行きたい、ね。それに伴うお前の妹の処遇についてか。動く前に俺に相談してきたのは評価しよう。俺としては行かせること自体は反対でも賛成でもないがな。この後の職員会議でその是非が変わる。まあもし許可が下りるようなら職場体験と同じように雄英で預かろう。どこへ行く気だ?」

 

 「波動先輩が行かれてるところへ」

 

 「リューキュウか。機動力が問われる事務所だ。トクメンとったお前ならまあ妥当かもな。ああそうだ、バイク届いてるぞ。発目と平賀が弄りまわしてるがな」

 

 「最終チェックですかね。とにかくこの後動きたいんですが」

 

 「構わん。もし雇ってもらえるようならその時点でお前はインターンに行くのは決定だ。途中でケツまくんなよ。お前は指名も来てるだろうが・・・動き方はお前に任せる。自分でやってみろ」

 

 「ありがとうございます!」

 

 予想外にあっさり許可が出た俺は相澤先生に礼を言ってかなでを迎えに3年生のヒーロー科に向かうことにした。もし波動先輩がいたのならそのままリューキュウに会わせてくれないか頼んでみよう。

 

 

 階段を上って校舎の最上階へ。そこに並ぶ3年生の教室の中、廊下の端っこに存在する今日かなでを見てくれている3年生のA組へ。一応ノックしてドアを開けると通形先輩に高い高いされているかなでと通形先輩からかなでをとろうとしてぴょんぴょん跳ねてる波動先輩、そして危ないよミリオ・・・とあたふたしてる天喰先輩が目に入った。

 

 かなでが「あ、お兄ちゃん様!」と俺を見つけて嬉しそうに声をかけてくれたのだが謎の茶番を行ってた先輩方3人はピタッと俺の方を見て動きを停めた。いやべつに遊んでいただいて嬉しい限りなんですけど・・・そういやいつも迎えに来る時間より早いか。つまり俺が来る前ってだいたいこんな感じなの?

 

 「どもっす通形先輩、波動先輩、天喰先輩。今朝はありがとうございました。かなでを迎えに来たんですが」

 

 「え、あ、うん!キンジ、これはだね・・・・!」

 

 「?いや別に遊んでいただいてるだけですよね?何も気にしてはないですが。な?かなで」

 

 「はい!ミリオお兄さんに遊んでもらってました!」

 

 「通形ばっかりずる~~~い!私もかなでちゃんだっこして高い高いしたいの!」

 

 「いや波動さん・・・波動さん空飛んでっちゃうじゃないか・・・そしたら危ないよ」

 

 変わらずぴょんぴょんかなでをとろうとする波動先輩とそれを器用に避ける通形先輩と振り回されるかなで。とりあえず通形先輩からかなでを受け取り俺が抱っこしておくことにする。さすがに俺からとろうとは思わなかったらしい波動先輩がぷ~とふくれっ面になるのをよくわからないギャグでいさめようとする通形先輩と天喰先輩。仲いいな。

 

 「あ!そうだ遠山!ね!朝、通形に一回攻撃あててたでしょ!?どうやったの!?それに攻撃も防いでたよね!ね!増強系の個性だって聞いてるけどとっても不思議!教えて!」

 

 「あ、それ俺も気になるんだよね!キンジは俺が後ろに回った時一番に警告飛ばしてたし、俺の移動にもすぐ対応した!どういう個性なのかな?」

 

 「えーっとっすね・・・まずオレの個性は「神経強化」脳みそから末端の神経までを総合的に強化します。で、防げたのは通形先輩の拳の周りの空気の流れを見てたからです」

 

 「空気の流れ、かい?」

 

 「はい。通形先輩は防がれるの前提で透過をかけたまま俺に殴りかかったと思います。けど拳を入れるには直前で透過を解除する必要があるはずと仮定を立てて解除される瞬間を空気の流れで見ました。拳が実体化し周りの空気が押しのけられるのを見てから片手ではたいて逸らし、地面に立ってる時点で最低でも足裏は実体化してるはずなのではじいた瞬間に蹴りを入れたわけです」

 

 「ファットガムから聞いた。遠山は撃たれた銃弾を銃弾ではじいて防御できるほど反射神経に優れてるって・・・でもそれくらいなら弾かれた時点でミリオは反応できたはずだ。どうして蹴りを当てれた?」

 

 うわ、すげえそこまで気づかれてる。確かに俺があの時通形先輩に蹴りを入れれたのはもう一つ理由がある。それは・・・・

 

 「瞬きです」

 

 「「「瞬き?」」」

 

 「人間は個人差あれど大体4秒に一回、120ミリ秒の瞬きをします。通形先輩が後衛をなぎ倒し俺の近くへ移動し、実体化して拳を握り、俺に殴りかかるまでおおよそ8秒ありました。実体化した拳が俺に届くまで1秒もありませんでしたが通形先輩はその間に瞬きをしてくれました。俺はそこをついて拳を払って、亜音速で蹴りを入れた。それだけっす。まああとは普通に競り負けましたけどね」

 

 「亜音速!?亜音速って言ったよね今!それってたしかえーっと・・・」

 

 「時速1200㎞よりちょっと遅いってとこだ、波動さん。なるほど納得できた。遠山、教えてくれてありがとう」

 

 「うん!俺もまだまだってことだよね!ありがとうキンジ!いい経験だったよ!」

 

 「お役に立てたようで何よりです。えーっと波動先輩・・・折り入ってご相談があるんですけどよろしいですか?」

 

 自分にお鉢が回ってくるとは思ってなかったのかかなでをうりうり撫でてた波動先輩は目をぱちくりしていたが内容を理解したのか瞳を興味で輝かせ始めた。ごめんなさい、そんな面白いお話じゃないです・・・・

 

 「相談!?うん!いいよいいよ!ねじれちゃんにお任せなさい!ねえ恋!?恋の話題!?」

 

 「いやそうではなくて・・・朝出たインターン、リューキュウにお願いしたいと考えてて・・・ご紹介してもらえませんか?」

 

 「インターン!?いいよ!紹介し「待ってくれ!」」

 

 話を遮ったのは天喰先輩だ。彼にしては珍しく大声で割って入ったと思ったら異様に顔色が悪い。どうしたのだろうか・・・

 

 「い、いま遠山インターン、ファットガム事務所(うち)にこないって言ったよな・・・?ファットガム・・・完全に遠山がインターンくるもんだと思って準備してるんだけど・・・」

 

 「えっ!?いやそのファットガムのところが合わないってわけじゃなくていろんな現場を体験したいんですけど・・・」

 

 気が早すぎないかファットガム!?確かにあんたのとこには大分お世話になったし感謝してるんだけどそれとこれとは別問題であって・・・いや、直接電話して謝るか。申し訳ないし。

 

 「ああ・・・遠山に矛先がずれると思ったのに・・・」

 

 多分天喰先輩はファットガム特有のノリの矛先をずらすスケープゴートが欲しかっただけっぽい感じだしほっとくか。すんませんね天喰先輩。

 

 「ねぇねぇ、どうしてファットガムとかナイトアイじゃなくてリューキュウなの?理由を教えてくれたらちゃんと紹介してあげる!」

 

 「弱点の克服のためっすね。その二つの事務所よりリューキュウは活動範囲が広いっす。俺の弱点は現着までの機動力で克服のためにトクメンも取りました・・・足りないのは経験なんです。冷静に比べてみて、リューキュウほどうってつけなところは見つからなかった。それが理由です」

 

 「うんうん!わかったよ!じゃあすぐ行こう今日行こう!リューキュウには伝えておくから6時に校舎前に集合ね!」

 

 そう言って波動先輩はぴゅーといった具合に走って教室のドアを騒がしく開けて出ていった。えーっとあまりに急すぎてどうしたもんか。固まってしまった俺に通形先輩がこう提案するのだった。

 

 「えーっと・・・かなでちゃん、預かろうか?」

 

 「・・・すんません、お願いします」

 

 「ミリオお兄さん、遊んでくれるんですか!?」

 

 「うん!いいよかなでちゃん!」

 

 俺は頭を下げて通形先輩にかなでを預けることにした。というか通形先輩かなでと仲良くない?そういえばなんか訓練あるたびお邪魔してるからそうなるか・・・とにかくありがとうございます、先輩。

 

 

 

 そのまま相澤先生のところへとんぼ返りした俺は相澤先生にかくかくしかじかで今日会いに行くことになりましたと報告、そうすると呆れた表情になった相澤先生は・・・

 

 「遠山・・・波動の相手は大変だと思うが間違いなく彼女は一線級のヒーローだ。リューキュウだけでなくあいつからも吸収してこい」

 

 と言って外出許可証をくれた。インターンの書類についてはまだ行かせるかどうか決まってないため後回し、ということらしい。すんませんね前のめりで。でも、もう妥協はしないって決めてるんで、迷惑かけます。相澤先生、ごめんなさい。

 

 そうこうしてるうちに約束の時間になったので校舎前に行くと、制服姿の波動先輩が駆け寄ってきた。ふわりとウェーブのかかった髪が揺れ、シトラスっぽい甘酸っぱい香りが漂ってくる・・・そういえばこの人と今から二人っきりなんだよな・・・いろいろ気を付けなければ、美人だし・・・ヒス的な意味で。

 

 

 「あっ!遠山!ね、リューキュウね!会ってくれるって!今から来てもいいよーって言ってたよ!だから、行こ!電車に乗ってすぐだから!」

 

 「すんません先輩!ありがとうございまっ!?」

 

 「いくよーーーー!!!」

 

 俺が答える前に波動先輩は俺の手をひっつかんで駅の方へ猛ダッシュ、俺はなすがまま引っ張られ続けあれよあれよと快速電車に乗って郊外へ引っ張られることへ相成ったのだった。

 

 

 

 「ねえねえ遠山、朝の時ってさ。体操服の中に武器持ってたでしょ!?今も持ってるみたいだし、なんで使わなかったの?不思議!」

 

 「よく気づいてましたね・・・さすがに同校の先輩に銃向ける気はありませんよ。あの個性みると事故の可能性は低いっすけど・・・あと素手でどこまで通用するか知りたかったからですね」

 

 「重心みればわかるよ!通形も天喰も気づいてたし、通形なんて「使わせられなかったーー!」って悔しがってたもん!でも、その感じだと武器メインじゃないんだ?どうして?」

 

 「それはっすね・・・」

 

 まさか銃を持ってることを気づかれてるとは思わなんだ。しかも先輩3人全員に・・・。梔子は流石に制服には仕込めないからヒーロースーツか俺の部屋に置いてあるけどクラスのやつらには言うまで気づかれなかったからな・・・見る人が見ればわかるんだな・・・。

 

 あれこれ俺に関することに興味があるらしい波動先輩の質問攻めに答えながら電車に乗られること一時間ほど、波動先輩にまた引っ張られて駅を降りる。ちょっとこの人天真爛漫で好奇心旺盛なところがあるけど踏み込んじゃいけないラインは弁えてるっぽいな。あんだけ俺に関して質問を飛ばしてきたのにかなでのことに関しては一切聞いてこなかった。本当なら一番気になるだろう所なのにな。

 

 やはりこれも経験か・・・自分が聞ける範囲を見極めて、弁える。そんな所作からも波動先輩の実力の高さがうかがい知れるのであった。

 

 

 

 「ついたよーーー!ここがリューキュウ事務所!おっきいでしょー!?」

 

 「ええ、めっちゃ・・・でかいっすね・・・」

 

 ズドーーーン、とかそんな擬音をつければいいのだろうか?ビル一棟がまるまるすぽっと収まりそうなドラゴンの意匠を施された建物。それが波動先輩がインターンに努め、ドラグーンヒーロー、リューキュウが主をしている事務所か・・・なんかすごいオーラが漂っている気がするぜ・・・・。

 

 

 「リューーーーキュウーーーー!!遠山連れてきたよーーーーー!!!!」

 

 大声でドアを開けるなりそう大声で叫んだ波動先輩にまたまた引っ張られ・・・ていうか俺と波動先輩浮いてない?ていうかイタタタタ!先輩!引っ張るのやめて!俺浮いてるから!右手一本で全体重を支えてるか・・・あっ肩外れた。まああとではめればいいか。ドバン!とドアの一室を開けて中に飛び込んだ波動先輩はそこで急停止して着地、混乱して何もできなかった俺はべしゃ・・・と地面に落下し無様をさらすのだった。

 

 

 「えーっと・・・まずねじれ?ノックをしてドアは静かに開けてね?あともっと落ち着きなさい。それと君は大丈夫?肩外れてるわよね?」

 

 「えっ遠山ごめん!大丈夫?ついついはしゃいじゃって・・・ごめんなさい」

 

 「あいたたた・・・あ、大丈夫です先輩。実家じゃよくあることだったんで。よっと・・・すいません、お見苦しいところを見せました。雄英高校ヒーロー科、一年A組、遠山キンジです。今日は折り入ってお願いがあってきました」

 

 立ち上がった俺がガコン!と音を立てて左手で右肩の関節をはめながらなんとも無様な自己紹介をすると目の前の豪奢な事務机とスツールに腰かけた女性、チャイナドレスっぽいヒーロースーツに竜の爪を模したアクセサリーで顔の半分を覆った金髪の女性、リューキュウが俺が肩の関節を自力ではめたのを見て若干あたふたしながら口を開いた。

 

 「ちょっと!?無茶しちゃだめよ?・・・ようこそリューキュウ事務所へ。私がリューキュウよ。遠山君、体育祭で指名入れたけどインターンで来るとは思わなかったわ・・・で、インターンのことよね?」

 

 「はい。是非ともこの事務所でインターンを受けたいのですが・・・」

 

 「いいわよ?」

 

 えっ軽っ!?そんなあっさりと決めていいのか?と混乱顔をさらす俺にリューキュウと波動先輩はそろってくすくすと笑うのだった。

 




 というわけで一番票数の多かったリューキュウ事務所ルートです。個人的にはファットガムルートが一番人気かなって思ってたので意外な結果でした。

 インターン編はどの事務所に行かせても描きたい場面があって決めきれなかったのでご協力には感謝しています。

 ではまた次回!オリジナル挟みますけど許してください!
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