「今日はお疲れ様!あの後も一件事件があったけどちゃんと対処できたわね!初日から大変だったけどこれなら週明けの会議にも連れていけるわねー」
「週明け?カイギ?」
「そ!今チームアップの依頼が来ててね。なんとあのオールマイトの元サイドキック、サー・ナイトアイからよ」
怒涛のインターンも終わりを告げとっぷりと日が暮れたころ、リューキュウ事務所に戻って着替えた俺たちを誉めていたリューキュウがそんなことを言った。ちなみにあの後普通に警察に引き渡して夜までパトロールを延長して続けたのだが今度はリューキュウの方でアクシデントが発生、巨大化する個性持ちの喧嘩が起こりそれをなだめるために波動先輩が一足先に空を飛んで現場に急行、俺が走ってたどり着いたころには波動先輩と麗日、梅雨の協力プレイで事件が解決したところだった。
結構走ったのに肩透かしになった俺だがまあそれはよし、ノックス持ってくればよかったと思わんでもないが徒歩の機動力はさすがになあ・・・とにかくインターン初日はいろいろ詰まってたが全員無事に終われたことは何よりだな・・・
そんでチームアップだって?しかもナイトアイ?緑谷が今日行ったところじゃねえの?へー、こんな偶然があるもんなんだな・・・にしてもほかのプロともヒーロー活動が出来んのか・・・体験の時はほんとにお客様扱いだったんだな・・・
「覚悟しておいた方がいいわよー?元指定暴力団、現指定ヴィラン団体「死穢八斎會」の調査及び包囲。ヴィラン連合につながるかもしれない大仕事ね。じゃあ次連絡するまでインターンは休みだからしっかりと訓練しておくこと、いいわね?」
「「「はい!」」」
ヴィラン連合か・・・またあいつらかよ。いい加減問題を起こすのはやめてほしいね。逃げた死柄木たちだがあの後から全くと言っていいほど名前を聞かなかったが水面下で動いていたっつーわけか。気を引き締めないとな、あいつらがまたかなでを狙ってこないとは限らん。いるならふん捕まえてとっちめてやる。
「じゃあ今日は終わりね。電車の子たちは遅れないこと。バイクの遠山君は事故起こすんじゃないわよ?寄り道もしないようにね?」
そんな言葉で〆られて帰り支度を済ませた俺たちはリューキュウ事務所を後にするのだった。
そんな感じで終わったインターン初日、寮に帰った俺たちが爆睡して翌日、週明けの授業のために登校すると・・・ん?リューキュウからメール?今日のインターンは延期で次の集合場所も変わって現地集合・・・?ヒーロースーツも無しで電車できなさいと。うーん、よくわからんが従わないとな。
「切島コラァ!お前ネットニュースでてんぞ!ヒーロー名だよ!活躍しやがったなお前!」
「お!?え、マジ!?やったぜ!いやーなんか嬉しいなぁ!」
教室に入った俺が挨拶をするのもそこそこに上鳴がそんなことを言い出した。へー、すごいじゃんか。お客様扱いだった体験の時と違って仮免とってるからヒーロー活動が許されるわけだからメディアへの露出もできるようになるってわけだ。俺が席に着き切島の方に向き直る。
「良かったじゃねえの切島。ファットガムのとこどうだった?」
「おお遠山!おはよう!いやすごいのなんのってさ!俺が苦戦したヴィランをファットガムは一発だぜ?やっぱプロってすげえよなあ!?」
「ああ、ファットガムはほんとに強いからな。俺の桜花を普通に受け止めやがんだよ」
「おいおい遠山お前関係ありませんって顔してんじゃねえよ!お前もばっちりネットニュースでてんぜ?しかも梅雨ちゃんと二人乗りしてるやつ!見ろよあの峰田の顔!」
「・・・はぁ?」
素っ頓狂な声をあげた俺が上鳴の差し出したスマホのネットニュースをみると・・・マジだ。俺と梅雨がニケツしてる画像をトップに俺と梅雨のヒーローネームがでかでかと書かれたネットニュースが画面を彩っている。そして上鳴が言った通り峰田の方を見ると・・・血涙を流してこちらを睨みつけていた。ちなみに爆豪も似たような表情をしている。さすがに血涙は流してないけどな。
ちなみに梅雨の方は女子の方で似たようなことを言われてるのかこっちをちらちら見てる。あと透の視線が痛い。頭にじと~というオノマトペが出てるかのようだ。いやヒーロー活動ですからね?俺は何も悪くない・・・はず。
「マジかこれ。あの時報道関係のやつはいなかったはずなんだけどな。どこで撮られたんだ?」
「あ!それ俺も気になる!あぶねえから人は近づけなかったはずなんだけどな・・・」
ヒーローメディア界隈一生の謎かもしれないことを話していると相澤先生が来たので一瞬で静かになり俺たちは授業を受けるのであった。
そんなことがあった数日後、またまた週末である。結局あの後インターンに呼ばれることもなく平和な授業の日々を過ごした俺たちであったが、昨日やっと集合日時がリューキュウより届いたので準備を済ませて制服に着替え、寮の玄関をくぐろうとすると・・・
「お!遠山!麗日!梅雨ちゃん!リューキュウ事務所も今日なのか?」
「そうなのよ。切島ちゃんも?もしかして緑谷ちゃんもかしら?」
「え?うんそうなんだ。ヒーロースーツも要らないし集合場所も違うけど」
「緑谷君もなん?私たちもそうなんよー」
「へー、こんな偶然あるんだな」
なんてことを話した俺たちが徒歩で駅へ向かい、途中でいつもより多く姿を見かけるヒーローに送ってもらったりしながら電車で分かれ・・・あれ?
「もしかして使う電車同じか?」
「そう・・っぽいね?」
何とも奇妙なことに使う電車、降りる駅まで同じということらしい。これもしかして集合場所同じか?
「おい切島、緑谷。もしかしてお前らの集合場所ってここか?」
と俺がメールに記載されてる集合場所の住所を二人に見せると二人は急いでスマホを開いて確認する・・・見せてくれた画面は
「「「同じだ」」」
「あー、もしかしてあれか?リューキュウが言ってたナイトアイのチームアップ要請に関してか?」
「多分、それね。切島ちゃん達は何か聞いてるかしら?」
「俺の方はなー・・・特にねえ!!」
「僕も、聞いてないや」
どうやら二人も詳細についてはよく知らないらしい。ぶっちゃけ俺もよく知らないのでそんなもんだろう。電車を降りて駅を出て仲良く曲がり角を曲がり目的地に着くと・・・其処には同じく制服に身を包んだ雄英BIC3の面々がいらっしゃった。いよいよ物々しいな。
「お!来たね1年生!じゃあ中に入ろうか!」
「ミリオ先輩!これって・・・」
「話はあとだ・・・切島君、行こう」
「うっす!」
「やっほー3人とも!仲良くていいねえ!ね!じゃあ中でリューキュウが待ってるよ!いこいこ!」
「どもっす波動先輩」
「こんにちはー」
「これってなんなのかしら?」
そんな感じで先輩方について建物の中に入り会議室と思われる大部屋に入ると・・・其処には見たことないほど多くのヒーローたちと・・・俺たちがインターン先として選んでいる3人のヒーロー、そして・・・
「相澤先生!?グラントリノも!?」
そう、緑谷が今驚いたようになんと相澤先生と緑谷の職場体験先のヒーロー、グラントリノがいたのだ。こんなに大勢のプロが一気に動くなんて聞いたこともないぞ・・・?どうなるんだ?
「ねえねえ!これ何?何するの?会議って言ってたけどー・・・知ってたけど何の会議!?」
「すぐわかるよ。ナイトアイさん!全員揃ったみたいですしそろそろ始めましょう!」
リューキュウが呼び掛けたその先、白いスーツに七三わけの眼鏡をかけたヒーロー、緑谷のインターン先のサー・ナイトアイが重々しく口を開いた。
「今日はお集り頂き感謝します。あなた方が提供してくれた情報のおかげで調査が大きく進展しました。従いまして、死穢八斎會という小さなヴィランを団体が何を企んでいるのか・・・そろった情報を共有し協議を行わせていただきたく思います」
死穢八斎會・・・ちょろっとリューキュウがこぼしていた話だ。とりあえず近場にいた相澤先生に話を聞いてみよう。
「相澤先生、先生がどうしてここにいるのかしら?」
「急に声をかけられてな・・・協力を頼まれた。それにお前たちに話したいこともある。とりあえず席につこう、きびきび動け」
そう相澤先生に促された俺たちはそれぞれ手招きするヒーローの元に行き、用意された席に着く。ホワイトボードを背にしたナイトアイの合図で協議が始まった。
「進行を務めますナイトアイ事務所サイドキックのバブルガールです。我々ナイトアイ事務所は約2週間前より指定ヴィラン団体、死穢八斎會の調査を独自に進めておりました。きっかけは・・・レザボアドックスという強盗団」
「ナイトアイ事務所サイドキックのセンチピーダーです。ここからは私が報告を。ここ一年の間に死穢八斎會は組外、特に裏稼業との接触が多く・・・そして調査開始後すぐにヴィラン連合の構成員、トゥワイスとの接触が確認されました」
!・・・関係ない話だと思ったらここでこう繋がってくるのか・・・!面倒くさい話になってきたぞ・・・つまり死穢八斎會とヴィラン連合のやつらは手を組むかもしれないんだ・・・もしかしたらもう組んだ後なのかもしれない。
「今日は来てないがヴィラン連合の話ってことで俺と塚内にも声がかかった。とにかく小僧・・・面倒なことに引き入れちまったな・・・」
「面倒なんて思ってないですグラントリノ!」
「えー、とにかくこのような過程があり、皆さんに協力を求めた次第です」
「ちょっといいか?ロックロックだ。この場に雄英生とはいえガキがいるのはどうなんだ?話が進まなねえや」
「ぬかせドアホウ!この二人とそこにおるのは超超重要参考人やぞ!」
ガタンと立ち上がったファットガムが天喰先輩と切島、そしてなんでか俺を指した。2人は兎も角俺には全く心当たりがないんだが・・・?二人もなにがなんだかわかってない顔してるし。
「初対面の方!ファットガムです。よろしゅうな!今回死穢八斎會がヤクの売買をシノギにしとったっちゅ―ことでワイに声がかかりました!そんで先日の烈怒頼雄斗のデビュー戦!加えてリューキュウのとこであったトレーラー暴走と裏チャカの取引を潰したエネイブル!両方の事件で回収されたもの・・・今回環に打ち込まれた、「個性を壊す薬」や」
はあ!?もしかしてあれか!?未使用のマガジンと取引の時に取ったやつ!?なんちゅう偶然・・・いや、同じ場所から捌かれたのが末端を通ってそうなったのか・・・つまりは、必然。しかし個性を壊す薬、個性自体に干渉するとなるとどうしてもかなでの顔が頭に浮かぶ・・・関係ないといいんだけどな。
「個性を壊す・・・!?環!?大丈夫なんだろ!?」
「ああ、寝たら回復した。みてくれこのアサリの貝殻」
打ち込まれたという天喰先輩は無事らしい。とにかくよかった・・・
「そんでな・・・撃った連中はダンマリ、銃もマガジンも粉々で手掛かりなしかと思うとったらな・・・切島君が弾いた弾丸が無事だったんや!そして未使用の弾丸を壊す前に遠山君が確保しよった!そんで中身を調べたら・・・成分はほぼ合致したんやけど違いが一つ、あるものの含有量が違ったんや」
あるもの?つまり俺と切島が遭遇した事件で使われた弾丸は似て非なるものだったってことか?完成品を捌いてるわけじゃない?もしくは金のため粗悪品を流した・・・?考えがまとまらねえ。
「あるものっちゅうのはな・・・人の血と細胞や。遠山君が確保したものは切島君が弾いたものよりそれの含有量が少なかった。粗悪品か両方とも未完成品とみるべきやな。そんで切島君が捕まえた男!そいつから流通経路をたどった結果ある中間組織が死穢八斎會と交流があった。接点としてはそれだけや」
「そして先日リューキュウ事務所が対峙した巨大化ヴィランの件、片方の所属組織の元締めがその中間組織だった」
「巨大化した一人は、個性のブースト薬を使っていたわ。効果の短い粗悪品をね・・・」
「そして決定打・・・現死穢八斎會若頭、治崎の個性は対象を分解し、治す「オーバーホール」・・・そして治崎には娘がいる。先日偶然ここの二人が遭遇した時には手足におびただしく包帯が巻かれていた・・・」
その言葉を聞いた瞬間、ぎゅっと手に力が入った。重なる・・・重なるぞ・・・!人工天才計画の被検体だったころのかなでに・・・!かなでも似たようなことが出来るから、個性に干渉する薬を作るため貧血になろうがお構いなしに血を抜かれ実験を強行されたと聞いている。死にかけるたびに治療系の個性を受けて無理やり復活させながら・・・!
ほかのやつらはまだわかってないみたいだけど察しがついてしまった。死穢八斎會はその娘を切り刻んで作った薬物を売りさばこうとしているのだ。人体実験の行きつく先、かなでのもう一つの可能性だ。こんな話を聞いたからにはもう引けない。何があろうと俺は事件現場に突っ込むだろう。それは、通形先輩と緑谷も同じようで・・・
「つまり、治崎は娘の体を銃弾にして捌いてる可能性がある。現段階の性能はあまりにも中途半端、もしこれが試作段階だとしてももし完成品があったとしたら?悪事の可能性はいくらでも思いつく!その可能性を潰すために・・・」
「「今度こそ!必ずエリちゃんを保護する!!」」
「そう、それが今回の私たちの目的となります」
席を立ちあがって吠えた二人の思いと俺も同じ、完全に壊され助け出せなくなる前に・・・暗闇からその子を救い出してやるんだ。