「「「「単独作戦行動~~~!?」」」」
「声がでけえ」
「あ、ごめん遠山君。それで、その作戦って?」
ナイトアイから武器庫の制圧を言い渡された俺がとりあえずどうやるかを考え手順をナイトアイとリューキュウ、相澤先生に告げたところそれで問題ないとの言葉を頂いたので作戦開始と同時に俺がカチコミをかけるのが確定してしまった。まあ別にそれは覚悟の上だからいいんだけどマジで単独行動かあ・・・一応制圧し次第警察と代わってもらえることになってるけど・・・奇襲ね、遠山家の戦術を見直しとくか。
「あー・・・死穢八斎會ってヴィラン団体扱いだけどもともとヤクザって話は聞いただろ?裏チャカが山とあるらしい。俺の仕事はおそらく武器庫になってる裏口近くの土蔵を表が突っ込むと同時に奇襲して制圧することってーわけだ。お前らは多分表の方だな」
「・・・さすがに危なくないかしら?私たちも・・・」
「そりゃダメだ。まずこの作戦は前提として銃器類を過不足なく扱えて尚且つ多数の銃口を向けられてる状態でも無傷で対処できるのが条件らしい。どの種類の銃器でもその場で破壊できるやつっつ―ことだな」
「そうなんや・・・他のヒーローは?」
「スナイプ先生はご存知の通り負傷中、俺の兄弟はアメリカ。近くのやつは全滅だ・・・だから俺にお鉢が回ってきたんだろうしな。まあ表の方が警備は厳重だろう、なんたってヒーローが雁首揃えて門前に並ぶわけだからな。裏口は手薄になるはずだ。そこで武器類の補給を断つ」
帰ってきた俺が部屋にインターン組を呼んであったことを許可された範囲で話す。当日伝えたら混乱で指揮系統が麻痺しかねんからな。あーあーあー・・・頼るって決めたばっかなのになんで頼ったらダメな案件ばっかり来るんだよ。悲し気に瞳を揺らす梅雨に難しい顔をしてる緑谷、苦虫を噛んだような麗日と切島・・・空気が重いんだよ。
「なあ遠山、それってホントに一人じゃなきゃダメなのか?別に銃が使えなくても他のプロなら・・・」
「ああ、俺もそう思ってたんだけどな?一番の適任が俺だそうだ。それならまあ、作戦の成功率を高めるためっつーことで受けることにしたんだよ。取りに行かせる前に潰すのは理にかなってるしな」
「そうね、悔しいけど私たちじゃ力になれないわ。でも、遠山ちゃん・・・約束して。絶対に怪我しちゃダメよ?」
「無茶なこと言ってくれんなー・・・ああ、わかったよ。怪我はしねえ、無傷でカタつけてやる。とにかく任務日は別行動だ、それまでは牙を研いで待ってようぜ」
全員で目を合わせ頷きあって、それぞれの時間に戻るのであった。
『それでは協力いただいたヒーローの皆さん、警察の方々・・・よろしくお願いします』
『こちら可能な限り洗い出した死穢八斎會構成員の登録個性のリストです。目を通しておいてください』
「いよいよ・・・だね」
「ああ、待ちに待った・・・っつったらあれかもしんねえけどよ。反撃の時間ってやつだぜ」
作戦決行日当日、死穢八斎會の本部より少し離れたところで集まった警察とヒーローと一緒に作戦会議をする。すでに周知されているが俺一人で武器庫の制圧をすることにはやはり文句があるらしくロックロックやほかのヒーロー、警察もいい顔をしてない。すでにヒーロースーツに着替え、停めたノックスの隣で他のやつらと話している俺にじろじろと視線を送るやつもいる。8割がた心配の視線でもう2割はこんなガキで大丈夫かという視線だ。
任せとけ、度肝ぶち抜いてやるよと気合を入れなおしていると通形先輩を連れたナイトアイが近づいてきた。通形先輩も腕をぶんぶんと動かして気合満点である。緑谷曰くナイトアイはユーモアを重要視しているそうなのだがナイトアイを見る限りとてもそうは思えない。というか眼力がありすぎてちょっと怖い。相澤先生もそうだけどヒーローってそんなもんなの?
「エネイブル、無茶を言ってすまないが今日はよろしく頼む。君が武器庫を担当してくれたおかげでエリちゃんの保護に人員を割くことが出来た」
「いえ、大丈夫です。俺だって遠山の義士、義をなすために必要な無茶もあるのは重々承知しています。可及的速やかに、制圧します」
「ああ、頼む」
「エネイブルならきっと大丈夫だよね!なんたって俺に攻撃を当ててくるくらいなんだから!それにビデオ見せてもらったけどあんなことできるなら余裕だよ余裕!」
「あれ見たんですか・・・調子乗ってたんでできれば見られたくなかったんですけど・・・」
「どうしてだい?あれだけ軽く対武器をこなせるなんてすごいじゃないか!しかもあの時は防弾装備じゃないうえに被弾無しでしょ!?俺も同じことは出来るけど全部脱げちゃうからね!」
「脱げるって・・・いやそうですけど」
「エネイブル・・・諦めた方がいい。ルミリオンに自虐は通用しないぞ」
通形先輩がまぶしすぎて溶けそうだ。今なら天喰先輩の気持ちがわかる気がする。ここからは俺は単独行動だ。不安がないわけじゃないがやるだけやるしかない。デザートイーグルに込めた特別性の弾丸を確認してノックスの電源を入れる。静かに起動したノックスに跨ってナイトアイに声をかける。
「配置につきます。時間になったら無線で合図を頼みます、少しばかり派手にやるので俺が制圧するまでは警察はこっちにやらないようお願いしますね。誤射がありえるので」
「ああ、わかっている。こちらのことは気にせず・・・というのは違うか。速やかに合流してくれ」
「了解です」
「遠山、無理だと思ったらすぐ連絡入れて逃げろ。それと無線機の電源を切るなよ」
「遠山ちゃん、無事を祈ってるわ」
「遠山君、無理せんといて」
「遠山、漢見せてこいよ。お互い無傷で会おうぜ」
「遠山君、そっちは・・・任せるよ」
「おう。お前らもしくんじゃねえぞ?じゃ、行ってくるわ」
すでに移動を開始し始めているヒーローや警察に混じって俺も作戦開始地点、死穢八斎會本部裏手のビル後ろあたりに気配を隠して止まる。無線機の周波数を合わして他の所の様子を見てみると着々と準備が進んでいるようだ。作戦開始時刻まであとわずか、ノックスのリミッターを解除して待つ。3,2,1・・・
『作戦を開始します!令状を見せてすぐいくぞ!エネイブルはそのまま奇襲を始めろ!」
「了解!」
ビルの影からトップスピードで飛び出したノックスを操りどんどん加速、時速300㎞を超えたところで右手にデザートイーグルを出し予想通り表に人が集まったのか人っ子一人いない死穢八斎會の本部裏手、きれいな白塗りの壁と立派な木の門に向けて2発発砲する。
デザートイーグルから飛び出した先端科学兵装の弾丸は木の門を避け白塗りの壁に着弾し爆炎を散らす。ジーサードからもらった炸裂段だ、しかも火薬倍増の特別性。轟音を伴った爆発は壁に大きな穴をあけその先であんぐりと口を開けた構成員の姿が見える。ウォンッ!とアクセルを全開にしたノックスがさらにスピードを上げ開けた穴ではなくわざと残した木製の門に向かって流星となり駆ける。
「邪魔するぜ」
ドゴンッ!とわざわざ木製の門にノックスごと突っ込んで門をぶち破りながら敷地内に入る。どっちがテロリストかわかんないなこりゃ・・・不審に思ったらしい構成員二人を門ごと跳ね飛ばした俺がすかさずベレッタを構成員が吹っ飛んでいった着弾地点に発砲。着弾すると同時にクッションが膨れ上がり跳ね飛ばされた構成員を受け止める。多分生きてるだろうけど地面に激突させたら死んじまうからな、こいつは平賀さん製の
そのまま目星をつけていた土蔵の入り口前にノックスの向きを変え走らせる。スピードが乗ってきたあたりで俺は落ちるようにノックスから降りる。最後に慣性を操作して進む方向を変えた俺が地面に着地するとギャリギャリギャリ!と脚甲が砂利とすり合わさって火花を生む。鞘ごと梔子を引っ張り出し引き抜いて地面にさしてブレーキとする。俺はそのまま何が起こったかわかってないまま突っ立っている構成員をスピードが乗った梔子の柄でボディブローすると同時にブレーキとして利用する。
「ごぼっ・・!?」
「わり、あんまりにも隙だらけだったもんでよ・・・さ、ヒーローだぜ死穢八斎會。表も同時に来てるから令状とかは省略させてもらう。言えるとするなら・・・・全員豚箱行きってことだ」
胃の中身をその場にぶちまけ気絶した構成員を脚甲から摩擦熱の煙を出しながら止まった俺が乗り越える。同時にキュッと設定どおりに土蔵の入り口ちょうどで停車したノックスの停車音が聞こえる。さすが平賀さんと発目が作っただけあっていい子ちゃんだ。今のは「
もうすでにヒスっている俺がチン、と梔子を鞘に納め腰にマウントしつつ拳銃を突き付けてそう宣言するとさすがに奇襲だと分かった構成員が敵襲だと叫びだす。すると出るわ出るわ拳銃やらアサルトライフルやらマシンガンを持った構成員たちが。これ土蔵制圧する意味ある?ドス持ってるやつとかもいるけど・・・
「じゃかぁしいわガキィ!てめえどこの族だァ!?」
「ヒーローだっつってんだろ。もう詰んでるんだからさっさと投降してくれ」
「ぬかせ!畳んだるわぁ!」
怖い顔のお兄さんたちが次々に銃を向けてくるので袖口からベレッタとデザートイーグルを飛び出させた俺が先に200発ほど斉射する。壁や地面、時には構成員たちが持ってる銃に当たりながら跳弾した弾の数々は空中で跳弾に跳弾を重ね俺の前に相対する構成員が持ってる武器の銃口やら機関部、トリガーを正確に破壊する。ゴム弾の時と違って直接当てるタイプの
「畳めるもんなら、畳んでみやがれ」
「ガァキィ・・・!!!」
一瞬にして丸腰になってしまった構成員のお兄さんたちがあからさまな手加減と挑発に対して顔を真っ赤にしてこめかみに血管を浮かべて怒っている、がとびかかってくるような奴はいない。ここら辺は流石元ヤクザ、戦力の把握が早くて正確だこと。今のお片付けだけで俺がその気になればたやすく自分たちが全滅することが分かってしまった構成員たちはジリ、と後ずさりを始めようとするが何かを恐れているような雰囲気だ。
普通ならこれで戦力を追加するために逃げるのがセオリーなのだが、俺を恐れているわけじゃないな?てことは内部か・・・よっぽど恐ろしい存在が組の中にいるみたいだ。破れかぶれになり駆けている構成員たちは
「うおおおおおお!!!!!」
と全員一斉に覚悟を決めたようにとびかかってきた。さすがに一気に30人近く相手するのは骨なので何人かには遅れてもらおう。俺は袖口から銃を戻してシャランと梔子を引き抜き、地面に向かって秋水を込めて振るう。地面を這う衝撃波が構成員を叩く、ついでにショットガンのように飛んだ小石たちが5人ほどノックアウトした。
コイツは「
「死に晒せえ!」
「できるかよ。悪いけど死ぬほど痛いからな」
初っ端から拳からバチバチ電気が走る音を鳴らしながら構成員が殴りかかってくる。俺は電気を食らったら面倒なので梔子を鞘に納めて腰のマウントから取り外し鞘で拳を殴って迎撃する。梔子の鞘は絶縁体だから電気が通ってようが関係無い。拳から嫌な音を鳴らした構成員が悲鳴を上げて膝をつく、俺はそのまま顔面に柄を入れて気絶させる。
「アニキィ!」
気絶した構成員をみて激高したほかのやつらがまとめてかかってくるので俺はマッハ3の桜花を用意して居合の構えから梔子を引き抜いて振るう。今咄嗟にアレンジした天抛の衝撃波を地上で放ったのだ。射線上にいた構成員たちがまとめて吹っ飛び壁に叩き付けられて気絶する。残りはさっきの鳴渦で足を止めたやつらだ。
遠山家の人外技を連発した俺を完全に怖気ついたやつらに対して俺は自分から突っ込む。動揺して隙だらけになったやつに対して梔子を引き抜いて峰でぶん殴る。結構強くやったから顎を砕いてしまったが命に別状に問題はない。口を血を吐いて倒れ伏したやつを乗り越え秋草で蹴りを入れて他のやつをぶっ飛ばす。もう一人を片手の鞘で殴って気絶させラストの一人を梔子を収めた片手で出来るようになったとある技を放つ。
「扇貫っっ!!!」
人差し指で扇貫を、中指で扇覇を放って自分に来る衝撃波を相殺した本来の形の扇貫が少し離れた場所にいた最後の一人を吹き飛ばして壁に叩き付けて気絶させる。周囲にはほかに・・・いない。多分表の方にばっか戦力が集中してこっちには雑魚しかいないんだな。俺は無線機をオンにする
「こちらエネイブル、制圧が完了しました。警察の派遣をお願いします」
『よくやった!警察に引き渡し次第救出チームに合流してくれ!』
「了解!」
とりあえず第一段階と言ってもいい作戦は成功した。あとは本命をたたき出すのみ・・・俺はノックスから弾帯を引っ張り出して補給を始めるのだった。