宇宙人と配達業【クロス作品】(宇宙人ジョーンズ・エクシア・テキサス)
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この都市の人間は、いささか煩い。
「もっと、もっと速度上げてジョーンズ!追いつかれるっ!」
「ん、これで最高速だぞ」
「テキサスそれマジ!?」
「頭下げたほうがいいぞエクシア」
「おわ!?今弾丸掠った、掠ったよね!?」
「禿げてないから安心しろ」
「掠ったってことじゃんそれ!」
『さぁペンギン急便の皆さんがピンチです!』
『いいぞー!もっとやれー!』『逃げ切れよー!』
『ただいまのオッズ、ペンギンが1.5、襲撃者が1.4です!』
「うるさいぞ野次馬ー!」
一度騒ぎが起これば喧騒となり、野次馬は祭りのようになる。
「ジョーンズ、この先工事で通行止めだぞ」
「どうすんのさー!」
「どうするもこうするも、なんとかするしかないだろう」
「なんとかって何するのさ!」
しかも、この都市の人間は―――
「任せた、ジョーンズ」
無茶振りが酷い。
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運転席に座っているジョーンズは、前方に工事現場が見えたにも関わらずアクセルを緩める気配を見せなかった。
真顔もしくは無表情とも言えるジョーンズに、後ろの座席に座っていたエクシアは焦りの表情を浮かべる。対するテキサスは、リラックスしたように腕を組んだまま動きを見せなかった。
「ちょ、ちょっと!?」
「少し落ち着け」
「むしろ何でテキサスはそんなに落ち着いていられるの!」
ジョーンズがチラリと後方を確認すると、未だに襲撃者である二台の車両が追ってきていた。
工事現場まで残り三十メートルになったとき、ジョーンズが動きを見せた。
ハンドブレーキを引きつつ、ハンドルを大きく回したのである。時速百キロメートルで走行していた車が、急制動を掛けられながら回転し始めた。
「ぬわぁ~!!」
「「...」」
多大な横Gを与えられ、情けない悲鳴を上げるエクシアに、一言も漏らさず顔色を変えないほかの二人。
ジョーンズは回転する車を器用に操作すると、進行方向とは逆に向いた瞬間アクセルを全開にした。白煙を巻き上げながら、工事現場を背に再度走り始めた。
「エクシア、準備しろ!」
「もー!何がなんなのさ!」
襲撃者達は工事現場が見えた段階で、離れていた。そして突如、向かってくるペンギン急便に度肝を抜かれていた。
そのままジョーンズが操る車は襲撃者達の車両の間をすり抜けた。
「アップルパイ!」
「斬りつくす!」
むろん、今までのお返しとばかりに銃弾と剣雨をあびせて大破させたのだが。
襲撃者が完全に沈黙したのを確認して、三人をため息を一つついた。
「やるじゃんジョーンズ!」
「今日もいいハンドルさばきだった」
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この配達という仕事はかなり過酷である。
「ここにいたのかジョーンズ」
彼女達が何故配達を生業としているのかが分からない。
「今日も助かった。また頼む。あと缶コーヒーだ」
だが、仕事終わりの缶コーヒーだけは、格別だ。
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これ、続き書く、かも?