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この惑星には天災と呼ばれる自然災害が頻発している。
「レオンハルト!一体どれだけ頼んでるんだ!」
「えーいいじゃん、腐るわけじゃないし」
「流石に限度があるだろ、俺一人じゃあ無理だぞ」
「え?この人、えーと...」
「ジョーンズだろ」
「そうそう!ジョーンズさんが着いて来てくれることになってるよ」
「...初耳なんだが?」
「言ってなかったっけ?」
人の身で事前に防ぐことは叶わない。
「こ、れは...」
「どうしたレオンハルト。おい、顔真っ青だぞ」
「戻るぞッ!!」
「だから、どうしたんだ!」
「天災だよ!一時間前に通り過ぎた村で起きそうなんだッ!」
「はぁっ!?ついさっき調べた時は予兆はなかったんだろ?」
「機器の故障なら無駄骨だったってことで澄む、けど...」
そして天災は―――
「...ジョーンズ!車を戻せ!」
無慈悲だ。
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「いそげー!物は持つなー!!」
「東だよ!東に真っ直ぐいくんだ!!」
村に戻った三人は、急いで住人の避難を始めた。三人の鬼気迫る表情に、当初村人達は最初困惑していた。
しかし時間が経つにつれ、空が暗くなり現在の時期では在り得ない方向からの強い風に吹かれる始めると村人達もようやく重い腰を上げた。
「慌てず、でも急いで!」
「家財道具なんて捨てていけ!死にたいのか!?」
「オチツイテー、アセラナイデー」
暗く重い雲が頭上一面に広がると、村人達はパニックを起こし始め我先にと逃げ始める。
なんとかパニックを押さえ込もうにも、三人だけでは到底不可能であった。
「ママー!どこぉ~!」
混乱の最中、ジョーンズの耳に子供の声を捉えた。
ジョーンズが急いで現地に向かうと、そこには一人の女児が涙を流しながら足を止めていた。女児の元にたどり着いたジョーンズであったが、泣いている子供をあやした事などないためどうすればいいのかとオロオロしてしまう。
レオンハルトとエアースカーペに助力を頼もうと顔を向けるが、二人は村人の避難誘導に忙しくジョーンズに気づいていなかった。
「ママぁ~」
「アー、コッチオイデー?」
一先ず女児を保護しようと呼びかけたジョーンズであったが、上空からゴロゴロと雷鳴が響き始めた。
そして次の瞬間には。
「て、天災だ!!」
「ハリケーン。クソッ、間に合わなかったか...!」
村とそう離れていない位置に、渦を巻いた大気が降り立った。ハリケーンはそのまま周りの木々を巻き込みながらなぎ倒し、自身の一部にしながら村へ迫ってきたのである。
そして巻き込まれた木々を辺りに吹き飛ばしながら迫ってくるハリケーンに、取り残された村人達とレオンハルト、エアースカーペは呆然とするしかなかった。
と、そこに女児を保護したジョーンズがやってくるのが見えてくるが、ジョーンズの背後からハリケーンに飛ばされた大木が迫って来ていた。
「ジョーンズ!危ない!」
「避けろジョーンズ!」
ジョーンズの危機に気づいたレオンハルトとエアースカーペが声を荒げる。
二人の切迫した声に、ジョーンズは背後を振り返る。迫り来る大木、振り返った姿のままのジョーンズ。もうダメだとレオンハルト達は顔を背けた。
固く目を閉じたが、ドンッ!と大きな音は耳を揺さぶった。何事かと、ゆっくり目を開けるとそこには。
「保護シテ来マシタ」
「「ジョーンズ!」」
片手で大木を握り締め、無傷のジョーンズと女児がいたのであった。ジョーンズは何事もなかったように女児を母親に預けると、目と鼻の先にあるハリケーンを一睨みした。
ジョーンズの瞳が赤く輝くと、ハリケーンは何の前振りもなく霧散した。
「ハリケーンが...」
「消えた、だと...?」
天災が急になくなったことに、レオンハルトとエアースカーペが驚愕の表情を浮かべる。
「俺達、助かったのか...?」
「生きてる、生きてるぞー!!」
混乱の極みに達している二人を他所に、村人達は命の危険がなくなったことで大歓声を上げた。
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この惑星の住人達は死と隣合わせなことが多い。
「ジョーンズここにいたのか。独りで缶コーヒー啜ってないでこっちにこいよ」
「...なんで天災が消えたのか分からねぇ」
「だが俺達も、村人達も命が助かったのは事実だ」
災害に戦争と気の休まることがない。
「おーい!ジョーンズ、エアー早くこっちこいよー!」
「トランスポーター達のみなさーん!こっちですよー!」
「今日は宴じゃー!!ポーターさん達も飲むぞー!」
「やれやれ...。いくぞ、ジョーンズ」
けれど、この惑星の住人達は温かい。
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評価、感想、お気に入り、ここ好き、誤字脱字報告ありがとうございます。
表紙はアイデアは感想頂いた方から、絵そのものはあまじゅんさんに描いていただきました。ありがとうございます!
暫くはリクエスト消化をしていきます。