めっちゃ真面目ちゃん、けどロドスに来た理由がまったく分からない不思議ちゃんでもある
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朝早い時間、ロドス基地の自室でプリュムは祈りを捧げていた。リーベリ族であるが出身地がラテラーノであるため、敬虔な教徒であるプリュムは毎日この慣習を行っている。
プリュムはこの祈りを捧げている間、精神を統一させ心を落ち着けている。のだが、今日に限ってはいくら祈っていても心のざわつきが治まらない。
「神よ、お助けください」
カーテンが開け放たれた先を祈っていたプリュムであったが、遂には声にも出してしまう始末。何がそこまで彼女を追い詰めるのか、それは。
「休日の過ごし方をお教えください...!」
なんとも言えない理由であった。そもそも神頼みするような事なのかという疑問があるが、本人はとても真剣であった。
そもそも何故プリュムが休日に悩んでいるかというと、Dr.の秘書はローテーションが組まれておりプリュムが担当したある日のことであった。
「なぁプリュム、お前いつ休んでいるんだ?」
「突然どうされたんですか? ドクター」
いつも通りの業務をこなしている最中に、突然Dr.に声をかけられた。
「いや、プリュムが休みの日でも訓練室に入り浸ってるって報告が上がってきてな」
「はぁ、確かに休みの日も訓練していますが」
それが何か問題でも? と言いたげに首を傾げる。プリュムの反応にDr.は頭が痛くなった。なんの為の休日なのか、そう説教するのは簡単だがそれよりも手っ取り早く効果的な方法があった。
「プリュム、お前明日から休みな」
「え!?」
「あとドーベルマンに訓練室を使用禁止にするよう通達しておくから」
「ええええーー!?」
百聞は一見にしかず、ということでDr.は強権を発動したのであった。
後日Dr.はアーミヤに怒られる、と思いきや賛同されていた。どうやらプリュムの件はCEOの大きな耳にも届いてたのであった。
以上のことから、ロドス全体でプリュムの(強制)休日が実施されているのだ。
「訓練以外にどうやって休日を過ごせと言うのですか...ッ!」
本来簡単なことであるはずなのに、どうやらプリュムには無理難題と同意義であったようだ。
一時間ほど祈り続けていたが、焦燥感は一向に治まる気配がなかった。これではダメだ、と祈りを切り上げると時間も丁度よいと食堂へと向かう。
「神に感謝します」
いつものように木の実を使ったパンとリンゴにヨーグルトといった、ヘルシーな朝食である。
食事前の挨拶を済ませ、食べ進めるがどこか据わりが悪い。チラリと横目で食堂を見渡すと、他のオペレーターと目が合う。
「...」
横目で見ていたため、目が合っても逸らされることはなかったが直ぐにそのオペレーターは目を離した。そこでプリュムは別のところへと目をむけると、そちらに居たオペレーターも自身のことを見ていた。
数度確認するが、そのどれもと目が合ってしまう。
「何故なんだ...」
何故どうしてと頭の中でぐるぐると考えてしまい、折角の朝食の味が分からない。
プリュムは言葉にできないものを感じていると、一人の人物に声を掛けられた。
「おはよう! 隣座るね?」
「え、ええ。構いませんが」
とても元気よく声を掛けてきたのは、白と黒を基調とした肌の露出があるクリフハートであった。彼女の朝食であろうお盆には、白パンに加えて肉類が山盛りになっていた。
クリフハートは隣に座ると、朝食をぱくついていき見る見るうちに減っていく。朝からたくさんの肉を食べる姿に、プリュムは見ているだけで胃もたれしそうになる。
「それにしても変なことになったね」
「変、とは?」
「あれ、知らないの?」
唇を肉の脂でてからせているクリフハートは首を傾げた。
「ロドス中に通達されてるよ、プリュムに仕事させるな訓練させるなーって」
「なっ!? ...そこまでしなくても。というかさっきから目が合うのはそうことでしたか...」
まさかここまで大事にされてるとは思わず、プリュムはため息をついた。休もうと思えば休めるのにと思っているのだろうが、さっきの祈りは何だったのだろうか。
「むしろここまでしないとダメだと思われてるんじゃないかな...」
「うぐ」
呆れ顔のクリフハートに図星を刺されてしまい、プリュムは胸を押さえる。まさに痛いところを突かれたのである。
「で、実際どうするの? 休みなんでしょ?」
「...どうしましょう」
もぐもぐと口に肉を頬張るクリフハートに、プリュムの顔に影がさす。祈っている最中から今まで考えていたのだが、いっこうに思いつかなかったのである。
プリュムの様子に、クリフハートはDr.の予想が当たっていたと一つ頷いた。
「やっぱりね」
「やっぱり、とは?」
「ドクターがね、プリュムは休み方知らないだろうから教えてやれって」
「...そこまで見透かされていたのですか」
「うん。だから今日は私が連れまわすから、覚悟してね?」
「お手柔らかにお願いします」
プリュムはこれも一つの経験だと思い、深々と頭を下げた。そのため、クリフハートの目が鋭くなり光っていたことに気が付いていなかった。
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「あ、あの本当にこれを着るんですか?」
「勿論!」
ロドス基地の購買部、その中でも服飾店に二人はいた。プリュムは試着室の中におり、困惑した声でクリフハートに問うていた。
対するクリフハートはキメ顔で、ワクワクしながら待っていた。プリュムに逃げ道はない。
「あの、これ私に似合わないと思うんですけど...」
控えめで恥ずかしそうにしながら試着室からプリュムは出てきた。
「おぉー! 似合ってる、カワイイよ!!」
「うぅ~...」
試着室から出てきたのは、淡いピンク色を基調にしたフリルのついたワンピース姿であった。リーベリ用の麦わら帽子も被っており、帽子の隙間から一房の羽が飛び出ているのがワンポイントになっていた。
プリュムが普段着ない色合いなため、とても恥ずかしいのかワンピースの裾を握り締めている。
「うんうん、可愛い顔立ちだしやっぱりこういうのが似合うよね」
クリフハートはプリュムを右から左へ見渡しながら、何度も頷き自分の見立てが間違っていなかったことを再確認する。
「じゃあ、次はこれを着てみようか」
一頻り満足すると、クリフハートは脇においていた別の服を手に取った。
「...え?」
「え? 一着なわけないよ? まだまだたくさんあるんだから!」
「あ、あははは...」
脇に山盛りとなっている服に、プリュムは乾いた笑いしかでなかった。
その日、プリュムはクリフハートに散々着せ替え人形にさせられた。訓練するより心身ともに疲れたが、自室のクローゼットに加えられた新しい服を見て。
「こういうのも、悪くないかな」
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