今回は初心くないプラチナさん
.
「今日もいい朝だ」
Dr.は日課にしている、朝日を浴びに甲板へ足を運んでいた。日頃、事務室でイスに座っているため、こうでもしなければ日を浴びることさえないのである。
体全身を伸ばしたり柔軟体操しながら、甲板の周囲をぐるりと一周する。
「精が出るわね」
「おわ!」
普段の早朝は誰もいないはずであるはずなのに、突然声を掛けられ飛び上がるほど驚く。Dr.は声の方向を見上げると、そこには外装に腰掛けているプラチナがいた。
プラチナはDr.の驚きように、片手で軽く口を押さえながらクスクス笑っていた。
「プラチナか、おはよう」
「おはようドクター」
挨拶をするとプラチナはひらりと軽快な身のこなしでDr.の前へ降り立った。運動音痴であるDr.では到底できないことに、プラチナに拍手を送った。
「やめてよ、そんな凄いことじゃないのに」
「俺からすれば十分凄いさ」
実際、プラチナにとっては大したことではないのだが、Dr.は凄い凄いと褒めちぎる。さすがに褒められて悪い気はしないのか、照れたようにそっぽを向いた。
一頻り褒めると、Dr.は首を傾げながらプラチナに問うた。
「プラチナはこんな朝早くにどうしたんだ?」
そう、いつもなら誰も居ないはずなのに今日は何故かいるプラチナ、そのことを疑問に思っているのである。
問われたプラチナは、背後に回している手を組みながら決まりが悪そうに体を左右に振っている。
「なぁに、私が居たらいけないの?」
「いや? 気になってな」
プラチナはするっとDr.の前に滑り込むと、顔を近づけ上目でDr.の顔を見上げた。Dr.は上目遣いで覗き込んでくるプラチナに、素のままでで返答した。
余りにも自然体なDr.に、プラチナは頬を膨らませた。
「もう...」
「...?」
拗ねた様を見せるプラチナであったが、Dr.は皆目検討が付いていないのか腕を組み頭を傾けていた。
Dr.の様子に、ほとほと飽きれるプラチナであった。だが思い返すと、こういう事に関してはDr.は鈍いことを思い出した。
「甲板、一緒に歩きましょ?」
「ん、構わないぞ」
そういうと二人は甲板の上を歩き始めた。朝日とほどよい風を感じながら、ゆっくり、ゆっくりと歩を進めた。
会話もなく、甲板の頂点へと到達した。遮るものが何もないせいか風がとても強い、そのためDr.はフードを押さえプラチナは流される髪を風に任せるままにした。
ロドス基地が西へむいているせいか、朝日がとても眩しい。目にダイレクトに太陽の光が当たるせいか眉をしかめる。
「ここまでくると流石に風が強いな...! 戻るか!」
あまりの風の強さと日差しにDr.は踵を返す。だがDr.は数歩進むと、隣にいるはずのプラチナが来ていなかった。
「プラチナ...?」
Dr.は振り返ると、プラチナは甲板の手すりに腰掛けてこちらに体を向けていた。逆光のせいで顔色はよく見えず、風に流されている髪によって僅かに見えている部分も隠れてしまっている。
目の上に手でひさしを作り、プラチナを良く見ようとすると彼女の口が動いているのが見て取れた。
「―――、――――」
何かを言っている。風に流されてその程度のことしか分からなかった。
「どうしたんだ! プラチナ!」
何を言ったのか、Dr.は声を張り上げてプラチナに問うたがプラチナの口が弧を描いていたことしか見て取れなかった。
Dr.が困惑していると、プラチナは軽い足取りで近づいていった。
「乙女心が分からないと、苦労するぞ♪」
「え?」
Dr.の頬をふにっと潰しながら、プラチナは基地内へと入っていった。
「何だったんだ?」
終始プラチナに翻弄されたDr.は、しばし甲板の上で呆けていた。
.
評価、感想、お気に入りありがとうございます!
そろそろ日間は終わりかなと、4月からは気分次第の投稿になります。
もうネタないから内容が薄くなる一方だよぉ。