徒然なる方舟のままに   作:玖神 米利

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 とある方のリクエストから、空回りカーディより
 久しぶりに書きました


空回りカーディ (カーディ)

.

 

 

 

 

 

「よし! 今日こそは...!」

 

 彼女の名前はカーディ、若くしてロドスアイランドのオペレーターになっている才女である。

 

「今日も頑張っていこー!」

 

 天高く突き上げた拳に誓い、今日も今日とではりきって基地内へと繰り出していった。一抹の不安を抱えながら。

 

 

 カーディが最初にやってきたのは厨房であった。たくさんの人員を抱えるロドスにおいて、厨房というのはある種の戦場と化している。

 そんな厨房であるが、現在は朝食の時間が終わっており一種の緩急した空気が流れている。もっとも、後片付けの現実から逃避してるだけかもしれないのだけれども。

 

「お邪魔しまーす」

 

「カーディ、手伝いに来てくれたの?」

 

「そうだよ!」

 

「わー! ありがとう!」

 

 厨房に入っていったカーディを迎え入れたのは、調理担当の一人のグムであった。カーディを歓迎しているものの、グムの顔は憔悴していた。今日の朝も激戦であったようだ。

 グムの様子に、カーディはいっそう気合をいれる。視界の隅には幽鬼のようになったスタッフが居ることも、気合入れの拍車をかけていた。

 

「よーし頑張るぞ!」

 

「いつもありがとね~」

 

「任せておいてよ」

 

 袖を捲くり、気合十分なカーディはお皿が山のように詰まれたシンクへと向かった。

 

 カチャカチャと食器を鳴らしながら、カーディは山を減らしていく。時折グム達、厨房スタッフが声を掛けてくれたり、手伝って貰いながらもこなしていく。

 カーディは食器一つ一つを丁寧に、焦らないように扱っていた。というのも、元来そそっかしい彼女なのだがつい先日、食器洗いをしているときに手を滑らせお皿を一枚割っているのだ。その時は始めてというのもありちょっとした注意で済んだのだが。

 

(焦らない焦らない。食器は逃げないんだから)

 

 自分に言い聞かせるようにしているカーディ、内心はかなり気にしていた。こうした手伝いはよくやるのだが、少なくない頻度で空回りやおっちょこちょいを発揮していたためだ。

 一山洗い終え、食器用の乾燥機へと持っていくさいも、抜き足差し足で恐る恐る持っていく。

 

「慎重に...慎重に...」

 

 余りにもゆっくりなため、緊張からかカーディの体は振るえそれが持っている皿の山へと伝播している。そんな彼女の様子に、厨房のスタッフは笑みを浮かべていた。

 

 

 

「これが最後の一枚!」

 

 時間にして凡そ二時間といった頃合、漸くシンクから食器の山がなくなりカーディが手にしている一枚のみとなった。

 終わらせた達成感と体の疲労、そして集中力を使いすぎたせいかカーディは呆けてしまう。

 

「ダメダメ! 最後まで気を抜いたらダメ!」

 

 ふと我に返ると頭を振って意識を変える、勝利が決まった瞬間その時が一番油断する時だとはDr.の談。

 といっても食器は既に残り一枚、カーディはそれを持って乾燥機へ入れるために踵を返した。

 

「最後の一枚、気を抜かないように...あっ!?」

 

 何がいけなかったのだろうか。心の端にあった油断か床に飛び散っていた洗剤を含んだ水のせいなのか、カーディは足を滑らせてしまったのである。

 後ろへ倒れる体にすっ飛んでいく食器。倒れるまでスローモーションでそれを眺めるしかないカーディの顔は、真っ青になっていた。また割ってしまうのかと。

 絶望の中、倒れる寸前にカーディは誰かに抱きとめられた。

 

「危ない危ない」

 

「わわっ! ...グ、グムさん!? ありがとうございます」

 

 ニコニコと笑顔でカーディを受け止める。十分に休息をとれたのか朝にはあったグムの疲労感はなく、すがすがしい顔であった。

 

「...あ!? お皿!?」

 

「これのことかな?」

 

 がばりと身を起こすカーディに、グムはすっと片手を見せる。そこにはカーディの手から抜けた食器が握られていた。

 

「よ、よかった~」

 

「んふふ、万事OKだね」

 

「グ、グムさ~ん」

 

 食器が割れなかったことに安堵したカーディは、グムに抱きついた。

 

「あ、でも...ごめんなさい」

 

「んん? 何に謝ってるの?」

 

「私、またお皿割っちゃいそうになって...」

 

 しゅんと項垂れカーディの耳も垂れる。そこで漸くグムは把握するが、少々飽きれたようにカーディを見つめる。

 その間に、他の仕事や休憩に入っていたスタッフ達が何事かと集まって来ていた。

 

「今回は仕方ないでしょ?」

 

「でも...」

 

「でもも何もないよ。カーディが頑張ってるのはグムも皆も知ってるんだから」

 

「えっ?」

 

 優しく揶揄すようにカーディに語り掛ける。そして遠巻きに見ていたスタッフ達が見えるように、カーディの視線を誘導する。

 グムに誘導されるがままにカーディは視線を動かすと、そこに満面の笑みを浮かべた厨房のスタッフ達が居た。

 

「カーディちゃん今日もありがとねー!」

 

「気をつけろよ!」

 

「今日も助かったよ! また次も頼むからな!」

 

 などなど口々にカーディを褒めていた。彼等彼女等も、今の二人の状況からどんなことがあったかのか、察しているはずなのにである。

 

「え、えっと」

 

「カーディは気負いすぎだよ、グム達は仲間なんだ。だから、ね?」

 

 そっと優しくカーディを抱きしめる。スタッフ達が指笛を吹いたりして囃し立てるが、二人には関係がなかった。

 そそっかしく空回りをよくすることを自認しているカーディにとって、グムの言葉は心内にあった重りが取れたような感覚であった。

 

「...ありがとうございます」

 

「どういたしまして」

 

 涙ぐむのを感じながら、カーディはグムを抱きしめ返した。

 

 

 

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 評価・感想・お気に入りありがとうございます。

 2ヵ月ぶりにやるゲームは楽しいゾイ

 あと活動報告にリクエスト箱ありますので、よかったらどうぞ
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