モスティマとスカジ、こんな反応しないだろ、と思いつつも面白いからヨシ!
久しぶりの執筆で、予定を全部ぶん投げて執筆感を取り戻すために書きました。これからなんとか書ける様になるといいけど...。
.
ロドスアイランドの移動基地は広い。そのためスタッフやオペレーターも多く、休憩所として使われているラウンジも基地内に点在している。
そのラウンジの一つに、赤毛に天使の輪を持つペンギン急便所属のエクシアが居た。
「はぁ...」
ソファーに座りながら机に突っ伏すエクシアに、普段の溌剌とした姿はなかった。どんよりとした雰囲気を纏いながら、中身が無くなった缶ジュースを指先で突いている。陰鬱な雰囲気のせいかキノコが生えているようにさえ見える。
「...」
エクシアはかれこれ昼食が終わってから2時間以上、ラウンジで無為に過ごしていた。コト...コト...と、揺らした缶が机に当たり音を鳴らす。
暫く缶の音だけだったが、カツカツという足音が混じり始めた。エクシアは近付いてくる足音に気づくことなく、缶を揺らし続けている。
「つっかれたー!」
「わぁっ!?」
足音の主は大声を出しながらラウンジに入って来た。心の準備が出来ていなかったエクシアは、突っ伏していた体を飛び起きさせた。
カーン! エクシアが揺らしていた缶が床に落ち音を立てた。
「あれ、エクシアさん?」
「あーびっくりした...。驚かさないでよグラニ」
動悸が早くなった胸を押さえるエクシアに対して、グラニは謝りながら自動販売機へと向かった。
エクシアは大きく息を吐き、ソファーに深くもたれ掛かった。顔を上げて、ラウンジの無機質な天井を呆けたように見始めた。
「どうしたの?何か悩み事?」
そこへ飲み物片手にグラニが声を掛けた。グラニは気遣わしげにエクシアを見つめながら、隣へと座った。
エクシアはソファーに座りなおし、やや疲れたような顔を見せながら苦笑した。
「ありがと。ちょっとね...」
「愚痴ぐらいなら聞けるけど」
言葉を濁しながら、グラニを見つめる。エクシアが憂鬱になってる原因、それはモスティマに関してだった。
放浪癖は以前からあったため少し気になる程度なのだが、一番の問題は何も言わないことであった。モスティマがロドスに出向するにあたって、仕事で外に出ることになっても逐一報告に戻るよう言われている。にも関わらずモスティマから声を掛けてくれることは少なかった。
誰かに相談しようにも、『よく分からない』という評価をされるモスティマが対象では躊躇われた。
だがエクシアは、目の前にいるグラニには相談してもいいかと思えた。何故なら、あの『何を考えてるのか分からない』と評されるスカジに対して対等に接しているからであった。
「そう、だね。ちょっと聞いてくれる?」
-----
エクシアとグラニがいるラウンジへと、私用で長らく外に出ていたモスティマが足を運んでいた。
といっても、モスティマは二人が居ることを知らない。二人がいるラウンジは基地内でも端の方にあり、利用者が非常に少ないため人との関わりを避けるのに向いている場所である。そのためモスティマのお気に入りのラウンジであった。
ラウンジの入り口が見え始めたころ、鈍色の長髪に黒色の衣装を纏っている人物が入り口に入る前で足を止めていた。
「おや。こんなところで奇遇だね」
「貴女は...モスティマ、だったかしら」
薄い笑みを浮かべながら声をかけると立ち止まっていた人物、スカジが振り返った。スカジは声を掛けてきたのがモスティマだと分かると、顎でラウンジの中を見るように示した。
モスティマはスカジに促されるままラウンジを覗くと、エクシアとグラニが居た。珍しい組み合わせだなと、耳を澄ませてみると
「あの二人がどうかしたのかい?」
「会話をよく聞きなさい」
「盗み聞きとは関心しないなぁ」
「いいから」
小馬鹿にするような笑みをするモスティマに、スカジは無理やり入り口近くへと引き寄せた。ゴリラ以上の腕力を持つスカジには逆らえず、モスティマは素直にラウンジの中を盗み聞いた。
「スカジは、言葉足らず過ぎるんだよ!」
「分かるなー。でもモスティマよりマシじゃない?そもそもモスティマは言いさせしないんだもん!」
ラウンジから聞こえた声に、モスティマは体を硬直させた。そしてブリキのおもちゃのように顔をスカジへと向けると、そこには顔を強張らせ冷や汗を流しているスカジがいた。
モスティマは確認を取るように恐る恐る、自分、スカジ、ラウンジへと順番に指で示した。それにスカジは大きく頷いた。
「方向性は違うけど、どっちもどっちだよ」
「ほんとほんと」
続けてラウンジから聞こえてきた声に、モスティマとスカジの二人は壁にへばり付くようにして盗み聞きの体勢へと入った。
「もうちょっと、どうにかならないかなぁ...。スカジにも事情もあるんだろうし、コミュニケーションを取れとは言わないけど作戦行動中の連携ぐらいはって」
「モスティマも、せめて置手紙とかで行き先ぐらい伝えて欲しいなーって常々思ってるよ。なんで出来ないんだろうね?」
「...コミュ障だから?」
「ブフッ!?あははは!違いないね!」
何気ないグラニの一言に、肯定したエクシアの言葉が大剣となってモスティマとスカジを貫いた。特に、先に聞いていたスカジは重傷で両手両膝を突いていた。今のモスティマには見える、スカジの身体を貫く幾つもの言葉の剣が。
ふらつく足に、喝を入れてなんとか立ち上がろうとするスカジに、モスティマは手を貸してやる。
「グラニはさ、スカジの相手してて嫌にならないの?」
「んー、嫌って訳じゃないけど...」
スカジが完全に立つ前に、ラウンジから追撃が入った。手を貸していたモスティマが、スカジをいくら引っ張ろうにもピクリとも動かなくなってしまったのである。
あ、まずい。とモスティマが思ったときには、ラウンジの会話が進んでしまっていた。
「見切りをつけちゃおうかな、って何度か頭を過ぎったことはあるよ」
スカジにクリティカルダメージ! スカジは倒れてしまった!
いきなり倒れてしまったスカジをなんとかしようと、するものの起こすのもままならなかった。どうしようかと、モスティマが悩んでいると唐突にスカジがゆらりと立ち上がり、そのままどこかへ歩き去ってしまった。
呆然と見送るモスティマだったが、彼女は逃げるタイミングを失ったのであった。
「やっぱグラニもか...」
「そういうエクシアさんも?」
「うん。あたしにとってモスティマは特別なんだ。でも、時々揺らいじゃうんだよね...。それにその特別がなくなったら、あたしにとってモスティマって何なんだろうって」
モスティマにクリティカルダメージ! モスティマはなんとか持ちこたえた!
致命傷で済んだ、そう言えるような顔面蒼白で両手両膝をついたモスティマ。これ以上ここには居られない、そう思い立ち上がるが続けて聞こえてきた声に足を止めた。
「でも、エクシアさんにとってモスティマさんは特別なんでしょ」
「勿論。あたしにとってモスティマは特別だよ。こうやって愚痴ることはあっても、たぶんこれからも変わらない。グラニもそうでしょ?」
「うん。私も同じ。何だかんだ言ってスカジのことは放っておけないんだ」
「あたし達も、似たもの同士みたいだね。そうだグラニ、あたしのことは呼び捨てにしてよ」
「分かった!よろしく、エクシア!」
「こちらこそよろしく、グラニ!」
ここまで聞いたモスティマは、ラウンジから離れていった。先ほどまでの、顔色の悪さはなく足取りも軽かった。
「ちょっと、身の振り方変えたほうがいいかな...」
-----
後日、ロドス内ではスタッフ達がざわついていた。グラニに付いて回って各所を手伝うスカジに、エクシアに積極的に話しかけるモスティマが目撃されたからである。
「スカジ、今日はどうしたの?」
「どうもしてないわ」
「そんなわけないでしょ。私についてきて手伝いするって」
「どうもしてないわ」
「うーん。いいこと、なんだけど怪しいなぁ~」
「ど、どうもしてないわ」
「やぁエクシア」
「モスティマ!?どこ行ってたのさ!」
「まぁまぁ、それより今から時間あるかい?」
「え、特に何もないけど...」
「じゃあちょっと一緒に出かけようか」
「ええ!?どうしちゃったの、モスティマ!?」
「....ほんと、身の振り方考え直さないと」
.
お久しぶりです。仕事忙しい...今年は83連勤、クソが!!
これからは断続的に書ける、といいなぁ...(白目
評価、感想、お気に入り、ここ好き、誤字脱字報告ありがとうございます。とても助かってます!
ここ好き、色々分かって良い機能ですね。