ウタゲがドクターに色仕掛けをするが返り討ちになるお話
普段は天然とか鈍感とかのドクターをよく書くのでクール系は初挑戦、だけどいざ書いてみたらクールというかドライになった。
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ウタゲは元々留学生としてロドスアイランドにやって来たのだが、一般人としてはかなりの戦闘力を見せたためにオペレーターとしても活動するようになった。またロドスに来てからは金銭的余裕と環境に恵まれたからなのか、ファッションに多大な興味関心を抱くようになった。その結果として金欠に陥っているのだが。
そんな彼女が今一番御執心なのは。
「ドークタッ!」
オペレーターの指揮を執っているドクターであった。一体全体、ドクターのどこにウタゲが惹かれたのかウタゲはドクターの背に抱きついた。
このウタゲの突飛な行動に、スタッフ達も驚いていたのだ既に恒例行事と化しているのか気にしている様子はなかった。一部男性が、豊満なウタゲのモノがドクターに押し付けられているのを見て羨ましそうにしてはいるが。
「...飛びつくな、ウタゲ」
「えぇ~、役得じゃあいだっ!」
「馬鹿なこと言うな」
そんなドクターはというと、背に張り付いたウタゲに対してデコピンを食らわしていた。隙だらけだったウタゲはもろに食らい、ドクターの背から離れた。
ウタゲのウタゲ(意味深)が押し付けられていたドクターは気にした様子もなく、痛みに悶えるウタゲを呆れたように見るだけだった。
「報告書、提出しておくようにな」
「ぬぐぐぐ...」
そう言い残してドクターはウタゲをそのままに去って行き、残されたウタゲは恨めしそうにドクターを見送った。
「ほんとウタゲちゃん飽きへんな~」
「クロちゃん!」
眉間に皺を寄せたウタゲに、一部始終を見ていたクロワッサンが声をかけて来た。とはいえクロワッサンも呆れたような顔をしているあたり、心配しているわけではないようであった。
ウタゲは金欠仲間が来たことに、眉間の皺がとれ笑顔になった。と次の瞬間には、思案顔になるとクロワッサンの手を取った。
「な、なんや?」
「クロちゃん、手伝って!」
クロワッサンは突然手を取られた上に、縋るようなウタゲに困惑する。ただ金欠仲間でもあり話の合うウタゲの懇願に、クロワッサンは手を振り解けなかった。
一先ず、話だけは聞こうとウタゲの手を解いて姿勢を正してやった。
「手伝うって...」
「ドクターをメロメロにする方法」
聞かなければよかった、と顔を手で覆い嘆くクロワッサン。
「...あのドライクールな旦那はんをか?」
「うん」
クロワッサンから見たドクターは、兎に角クールであるという印象であった。戦闘中では一切動じず冷静に対処し、平時では口数が少なくドライな感じであった。そんなドクターを魅了するなど、クロワッサン的には。
「無理やろ」
一刀両断であった。危機契約二十等級を超える難しさである。
「そこを何とか!」
ウタゲも難しいことは織り込み済みである。それでも諦めきれないのか、両手を合わせて拝む始末であった。
クロワッサンも、ウタゲの頼みを無碍にはできず考えを張り巡らせる。数分考え込むと、クロワッサンに電流が走った。
「あっ」
「何か思いついた!?」
思わず声に出してしまい、ウタゲが食いついてしまった。しまった、とクロワッサンは思うが解き既に遅く期待がこもった眼差しのウタゲに観念するしかなかった。
「保障はせんし、むっちゃ恥ずかしいで」
もうどうにでもなれと、予防線を張るクロワッサンだったが。
「教えて!」
乗り気なウタゲは止まらなかった。
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ロドスの執務室内、ドクターが書類にペンを走らせる音だけが木霊していた。室内にはドクター以外居らず、一人で黙々と仕事をこなしていた。
既にほとんどの仕事を終わらせているのか、机上には書類はほとんどなかった。目途がたったドクターは一度休憩しようとペンを置くと同時に、扉がノックされた。
「どうぞ」
恐らくウタゲだろうと、ドクターは何も確認せずに部屋へ通した。
「しっ、失礼しま~す...」
入室してきたのはドクターの予想通りにウタゲであったが、いつもの元気さが一切なかった。それに加えて今まで着たことを見たことがないロングコートを羽織っており、オシャレの欠片もなかった。
ドクターは普段のウタゲとは違うことに訝しむ。とはいえウタゲの手に持っている書類が報告書であることが分かるので、ドクターは受け取るために席を立った。
「報告書、ご苦労様」
「う、うん...はぃ」
「...?」
近付いて報告書を受け取ったドクターだが、恥ずかしがり蚊の鳴くような声のウタゲの顔をマイマジと見つめた。顔どころか、耳まで真っ赤なウタゲがそこにいた。
「体調でも悪いのか」
「ぅうん...」
「部屋に戻って休め、お疲れ」
今一状況が掴めないドクターは、部屋に戻るようにウタゲに言うと執務に戻るために背を向けた。
「待ってドクター!」
ドクターが数歩進んだところで、焦った声のウタゲが手を掴んだ。
「どうしたんだいった、い」
ウタゲに呼び止められたドクターが振り返ると、そこにはコートを脱いだウタゲがいた。問題はコートの下の服装にあり、ドクターは言葉を詰まらせた。
胸元と背中がバックリ開かれたノースリーブのセーターに、スカートの類は一切履いていないためセーターがギリギリ下着の類を隠せている程度であった。オバーニーソックスも身に着けていないため、なまめかしい生足を晒していた。
「どう、かな?」
ウタゲは羞恥が一週回って感覚が麻痺したのか、先ほどまでの恥ずかしそうな様子をなく自身の身体をドクターに見せびらかしていた。
対するドクターは、頭を抱えながら大きなため息をついた。
「ウタゲ、早くコートを着ろ」
手に負えないと、再度ため息をついたドクターは踵を返した。さしものウタゲもここまでして反応一つされないのが癪に障ったのか、ドクターの腕をその胸に抱え込み密着した。
「洒落や冗談でこんなことしないんだから! あたしは本気でっ!?」
「ウタゲ」
ドクターはウタゲの言葉を遮った。それもウタゲの背後にあった扉に押し付けるように、片手を頭の横に叩きつけて。
唐突な壁ドンに目と鼻の先にドクターの顔が、しかも真剣な表情があることにウタゲは顔を一気に上気させた。
「はひ」
「ウタゲ、いいか俺も男だ」
言葉にならない声を上げ頭が下がっていくウタゲに、ドクターは余していた手の甲を使って強制的にウタゲの顔を上げさせ視線を合わした。
「あまり誘うようなことすると、食うぞ」
冗談ではない本気の言葉に、ウタゲは緊張の限界を迎えてしまい。
「はぅ...」
気絶してしまったのである。
力なく倒れるウタゲをドクターは優しく受け止めた。
「まったく、気絶するぐらいなら始めからするな」
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「で、どうやったん?」
「聞かないで...」
「朝チュンしちゃったん?」
「...つしちゃった」
「ん?」
「恥ずかしすぎて気絶しちゃった...」
「...ご愁傷様や」
「んんん!! もー! 次こそは絶対ドクターをメロメロにするんだから!!!」
「無理やろうなぁ」
「クロちゃん! 手伝ってもらうからね!?」
「堪忍してやぁ~」
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評価、感想、お気に入り、ここ好き、誤字脱字報告ありがとうございます。
新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
といっても今年はいつまで執筆できるか分かりませんがね...。
アンケートもありがとうございました。とりあえず間隔は2行でやっていきます。