突っ込む彼女ら、弾ける彼ら。   作:りーぬ

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雑に仕上げていくぅー!
4話目です。5話と繋がって前後編です。


4話 イッツ・ア・弦巻ワールド

 

 

 

 

 

 

 

「はわ…ねむ」

 

「あら、慶!おはよう!!」

 

「おはよう弦巻さん、朝から元気だね」

 

「もちろんよ!でも慶は元気がなさそうね?大丈夫!私が笑顔にしてあげるわ!」

 

「いやいやめっちゃ元気だから!あ〜朝から弦巻さんの元気な姿が見れていい気分だな!」

 

 

いつものように適当な時間に登校すると、まあ朝っぱらから活力に溢れた弦巻さんに挨拶される。

初日の勢いのせいで俺は弦巻さんに『同類』だと思われてるらしい。

 

 

「それならよかったわ!それじゃあ一緒に踊りましょう!」

 

 

え、何で?

 

 

「弦巻さんちょっと待って振り回さないでああああぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 

教室前方、教卓の横のスペースでグルグルと回転させられる俺。

モーニングにイートしたフードをクラスルームにバーストしてしまいそうだ。いや勢いつけすぎなんだよね弦巻さん…!

そんな文句を言う間もなく、クラスメイトに奇異の目で見られながら絶叫し何回転かした後、俺は解放された。

 

 

「うえぇ…マジで無理…」

 

 

胃の中がシェイクされて本当に気持ち悪い…目も回るし。さすがは花咲川の異空間。

 

 

「美浜氏」

 

「う…どうしたの根倉くん。できれば少しそっとしといてくれると助かるな…」

 

「やばかったらトイレ行ってね」

 

「心配するのそこ?」

 

 

友達にも見限られました。

まあ…うん、無理に動いちゃったしこれは仕方ないよね。お昼までは授業も出席だけして休ませてもらおうかな。

 

 

数学。

 

「このAとBの座標を…じゃあ美浜くん」

 

「気持ち、悪い。吐き、そう」

 

「数値でお願いしてもいい?」

 

 

古典。

 

「美浜、助動詞まじの活用を言ってみろ」

 

「まじつらまじ無理まじ死ぬ」

 

「何言ってるんだ」

 

 

英語

 

「今からこのページをペアで交互に読んでください」

 

「He seems...likely to...vomit(ガタッ)」

 

「先生美浜氏が吐きそうなのでトイレに行きました」

 

 

何で今日という今日に限って集中攻撃されてるの?というかこんないじめっぽいことするなんて、教師としてあってはならないよね?

 

 

 

 

 

ふう…何があったかは言わないけど、つっかえてたものがとれたようにスッキリした。排出行為って偉大だな。

 

 

「美咲ー!一緒にお昼を食べましょう!」

 

「だーもうわかったから落ち着いて」

 

 

トイレにそこそこ長居をしてしまったからか午前の授業は終わっており、教室に戻れば弦巻さんが奥沢さんに熱烈ラブコールを送っているところだった。

 

 

「仲良いんだね」

 

「そういうのじゃないから。というか体調大丈夫なの?」

 

「あ、うん。ゲロ吐いたら楽になったよ」

 

「これから食事する人にそういうこと言わないでくれる?」

 

「あはは、ごめん。気分楽になったのが嬉しくて」

 

 

弦巻さんについてそうは言うけど満更でもなさそうな奥沢さん。割と相性いいんじゃないの。

 

 

「慶!もう元気になったかしら?」

 

「うん、もう大丈夫」

 

「それならよかったわ!」

 

 

うん、原因が君にあるとは言わないでおこう。この笑顔をぶち壊しにしたら後が怖い気がする。

 

 

「ねえ慶、あなたも一緒にお昼を食べない?みんなで食べた方が美味しいと思うの!」

 

 

弦巻さんお得意の超理論かと思ったけど言われてみれば一理ある気もする。世の中には『一人がいい』って人も多いんだろうけど、俺は人と話したりするのは好きだな。

吐いたばかりでご飯が食べられるかと言われれば微妙だけど、ここで食べないと今度はエネルギーが足りなくなる気がするから食べるしかない。

 

 

「いいよ。そういえば根倉くんは?」

 

「委員会だって。寂しいの?」

 

「べっ、別に寂しくなんかないんだからねっ!」

 

「似合わないからやめときな?」

 

「これ奥沢さんの真似だけど」

 

「ねえこころ、やっぱりこの人と食べるの嫌なんだけど」

 

「美咲も楽しそうで何よりだわ!」

 

「あーだめだ話が通じない」

 

 

加勢無しと踏んだのか机に突っ伏してしまう奥沢さん。本当に脱力してる感じが出てるのがちょっとかわいい。

弦巻さんが楽しそうって言うってことはやっぱり奥沢さんも満更でもないのかな。

どうでもいいけど根倉くんの登場回数、友達の割に少ない気がする。

 

 

「もう勝手にお弁当取らないでよ」

 

 

以前の件が効いているのか、ジト目で奥沢さんが警告してくる。…待てよ、奥沢さんは何やかんやツンデレみたいなところがある。これはフリか?フリなのか?

 

 

「それじゃ食べましょう!」

 

「「「いただきます!」」」

 

 

みんなでお決まりの挨拶をしたところで弁当箱を開ける。今日の弁当は…

 

 

「おお、シャケ弁」

 

 

超絶質素に焼き鮭が1切れ、あとは適当にゆで卵とアスパラガスがぶち込まれている。ミニトマトも忘れない。

鮭とか弁当に入ってるの久しぶりな気がする。ミニトマトはともかく冷食が1つも入っていないのヤバい。母さんに感謝だな。

 

 

「奥沢さん」

 

「あげないよ」

 

「まだ何も言ってないよ!?」

 

 

奥沢さんが警戒心の塊すぎる。前科者だから仕方ないのか…

 

 

「慶、今度私たちライブに出るのよ!」

 

「突然だね」

 

 

嵐かな?

 

 

「ん?奥沢さんから聞いてないんだけど」

 

 

約束したんだけどな、と思って奥沢さんを見ると『やられた』と言わんばかりの顔をしている。

 

 

「いや、あたし昨日の夜言おうと思ったんだけどさ。美浜くんの連絡先知らなくて言えなかったんだよね」

 

「そういえば俺たち連絡先持ってないよね。待ってね……はいこれ。弦巻さんもどうぞ」

 

「ありがとう!」

 

 

メッセージアプリのQRコードを表示して2人に見せる。俺の友達が2人増えた!やったね!

そして衝撃の事実…クラスメイトの中で連絡先交換してたの根倉くんだけ。悲しすぎない?

 

 

「え、ちょっと何泣いてんの…」

 

「いや俺って友達少ないんだなって」

 

 

やばい涙出てきた。話題変えよ。

 

 

「で、ライブ出るんだっけ?」

 

「そうなの!だから慶に来てほしいのよ!」

 

「へえ、いいね。見に行くよ」

 

「あー、来月ね。来月の3日。来るなら空けといて」

 

 

そして大事な日程を教えてくれない弦巻さんに代わって奥沢さんがフォローを入れてくれた。何やかんやで息合ってるでしょ。

 

 

「せっかくだし根倉くんも誘ってみたら?」

 

「そうするよ」

 

 

男2人でガールズバンドを見に行くの、少し恥ずかしいけど友達のバンドだし見たいよね。実は初めてのライブ参戦でもある。

 

 

「慶、今日は美咲の家に行きましょう!」

 

 

だから嵐かって。

 

 

「いいの?じゃあ行く行く」

 

「待って!私許可してない!」

 

「今日は練習もないしいいでしょう?」

 

「いや確かに練習はないけど…!こころだけならまだしも美浜くんは無理!」

 

 

弦巻さんはいいのか。一人でもとんでもない人なのに?

 

 

「差別?」

 

「男子を入れるのはちょっと…」

 

「慶なら大丈夫よ!だから今日一緒に帰りましょう?」

 

「どこに根拠あったの?」

 

 

弦巻さんの特技・超理論についていけない奥沢さん。

 

 

「そういうことだから、よろしくね」

 

「あんたねぇ…いやもういいやどうせ断れないんでしょ知ってる」

 

 

折れるの早すぎで草。

 

 

「絶対こころの家に行った方がいいのに…」

 

「それはまた今度にしましょう?今日は美咲の家の気分だわ」

 

 

どういう気分なんだろうか。

 

 

「俺女子の家とか滅多に入らないから緊張するな〜」

 

「変なことしないでよ。余計なこともしないで」

 

「俺そんなに信用ない?」

 

「うん」

 

 

俺もう奥沢さんの友達やめる。そもそも友達とすら思われてなさそう。

 

 

「じゃあ放課後教室に残ってね。勝手にどこか行ったら知らないから」

 

「「はーい!」」

 

 

というわけで、押したら折れる奥沢さんのお家に行くことになりました。次回は奥沢家で大暴れしたいと思います。(大嘘)

 

 

 

 

 




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