バカとケンカと召喚獣   作:I S S E I

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マジで暇つぶし


プロローグ 1

とある夜の繁華街。

 

尤も人通りが激しい通りを、見るからに場違いな小学生位の少年が歩いていた。

 

しかしその少年は明らかに普通ではない。

 

少年の頬は痩け、手足は平均の子供よりかなり細い。

 

服もよれよれで、使い古しているのか所々に解れ糸や穴が目立つ。

 

そんな繁華街に、怒号が響いた。

 

???「ゴラァ!!!ええ度胸しとるやないかクソガキ!!!」

 

見るからに893な関西弁の集団が、横たわる痩せ細った少年に詰め寄っていた。

 

回りの大人は見て見ぬふりを決め込んで関わろうとしない。

 

そんな中、手下と思われる一人が少年の胸ぐらを掴んで眼前まで持ち上げた。

 

手下1「こんガキ、ようも親父の財布に手ぇ掛けてくれたのう。いてこますぞゴラァ!!!」

 

少年「ご・・・めん・・な・さい」

 

その声は弱々しく、声を出すのもやっとな状態だった。

 

手下1「聞こえねえよ、ハッキリ喋らんかい!!!」

 

だが少年の状態など気にも止めず、寧ろ声の小ささに腹を立てて少年を揺すりながら更に怒鳴り付ける。

 

少年「う、うぅ」

 

揺すられた少年は顔が青ざめ、如何にも嘔吐寸前と言った感じになっている。

 

すると金髪のリーダー格の男が手下を止めた。

 

リーダー「おい、ガキを殺す気か。ん?おい、ガキを見せろ」

 

手下1「ヘっへい」

 

そう言って、手下とは真逆で丁寧に抱き抱える。

 

リーダー「おい、大至急 内科病院 探せ!!!」

 

手下1「え!?でもそのガキ、親父の財布を」

 

親父と呼ばれた男の指示に、手下達が意義を唱えた。

 

手下2「そうっすよ親父!!何でそんなクソガキなんかの為に!!」

 

次々と少年を指差して否定する手下達。

 

リーダー「やかましわい!!!おどれらワシの言う事が聞けへんのか!!!財布の事はどうでもええ、今はこいつの命が掛かってんねや!!!つべこべ言わんと探さんかボケが!!!」

 

手下一同「ヘ、へい!!!」

 

その一喝で手下達は一斉に聞き込みを開始した。

 

リーダー「待っとれよ坊主、すぐ病院に連れて行ったる」

 

リーダーは悲哀に満ちた表情で何時の間にか気を失っていた少年に語り掛ける。

 

 

聞き込みから10分後、病院を探しだし急患として担ぎ込んだ。

 

郷田「連絡 入れた郷田 言う(もん)や、早よコイツを診たってくれ!!」

 

内科医「分かりました、すぐに診察室へ」

 

内科医は焦り口調で急かす郷田と名乗った男に冷静な対応で診察室へと誘導する。

 

 

郷田「先生、やっぱり栄養失調でっか」

 

内科医「えぇ。・・経緯は伺いましたが、繁華街を歩けていたのが不思議な位です。極限まで衰弱していて、歩く処か、生きていたのが奇跡ですよ。あの子の親は何をしているのか」

 

診察と治療を終え、内科医は郷田を呼び話をした。

 

郷田も少年を見て危険な状態である事に気付いた為、慌てていた。

 

そして少年の様態を診て、内科医は静かながら怒りを露にしていた。

 

郷田「そんで、あん子は今は?」

 

内科医「今は点滴で栄養剤を投与していますので、何とか一命を取り留めました」

 

郷田「ほうでっか、一安心や」

 

少年の現状を聞いて郷田は胸を撫で下ろす。

 

だが内科医は、ほっとしたのも束の間で話題を変えた。

 

内科医「郷田さん、あの子は恐らく・・・放置子です」

 

郷田「なっ何やと!?」

 

郷田は内科医の言葉に安堵から一転して怒りに変わる。

 

内科医「あの子が眠っている間に内視鏡で胃の中を見たのですが、固形物は疎か消化物すら全く無い(から)でした。それにどう見ても、あれは1ヶ月は栄養を取っていないレベルの衰弱です。郷田さんの迅速な対応が無ければ、恐らく手遅れでした」

 

郷田「どういう事や、アイツの親は何をしとんのや!!!」

 

ガアアン

 

郷田を怒り任せに相談室の壁を殴る。

 

郷田は怒りに震え、見た目が強面な為に今にも殺しに行きそうな雰囲気だ。

 

内科医「落ち着いて下さい郷田さん。今 貴方が激怒しても、状況は解決しません」

 

内科医は八つ当たりする郷田を諌める。

 

郷田「すんまへん、余りにも余りやったもんで」

 

内科医「私も子供が居ますので、お気持ちは痛いほど分かります。でも それは あの子が目を覚ましてからでも遅くはありません」

 

内科医は言葉巧みに郷田を追い付かせる。

 

郷田「性格上、頭に血ぃ上りやすいもんで。親父や仲間からも よう短気 過ぎるぅ言われるんですわ」

 

内科医「まぁとりあえず、あの子が目を覚ますまで待ちましょう」

 

郷田「そうでんな、ほな待ちまひょか」

 

話が纏まった処で郷田は3人の手下を残して後の残りは帰らせる。

 

手下4「親父、ホンマにええんですか?俺等が帰ってもうて」

 

郷田「かまへん、ワシは連れてきた責任者として残るだけや。それにお前らには、多分やけど明日から調べ(もん)して貰ならあかんからな。そん為にも寝とけ」

 

手下5「分かりました。ほな明日あの子から何か聞けたらワンコール下さい。すぐに駆け付けますよって」

 

郷田「分かった。ほな、明日は頼むで」

 

手下[帰宅組一同]「へい」

 

郷田は挨拶しながら後ろ手に手を振り病院に戻る。

 

それを手下達は両膝に手を乗せて一礼して見送る。

 

手下3「ほな帰ろか、明日は遅うても5時には起きとけ。何時でも親父から連絡が来てもええようにな」

 

手下一同「へい」

 

その号令を合図に、帰宅組は一斉に車に盛り込み帰って行った。

 

 

翌朝、カーテンの隙間から日差しに顔が照らされ少年が目を覚ました。

 

少年「う、う~ん」

 

まだ覚めきっていない目を擦りながら辺りを見回す少年。

 

少年「此処は、病室?でも僕、何で?」

 

そう呟いた処で、少年は昨日の事を思い出す。

 

強面の人に胸ぐらを掴まれ、揺すられた恐怖と空腹の限界で気を失った事を理解した。

 

だが同時に、自分が犯罪を犯した事も理解した。

 

少年「やっぱり、自首するべきだよね。未遂って言っても盗った事に変わりないし」

 

その時、閉められていたベッド回りのカーテンが開いた。

 

開けたのは郷田である。

 

郷田「その必要はあらへん」

 

どうやら自首の段階から話を聞いていたようだ。

 

少年「おじさん、誰ですか?」

 

郷田「まぁ覚えとらんやろな、あん時はもう意識が朦朧としとったやろうし。簡単に言うたら、お前の被害者や」

 

それを聞いた瞬間、少年は土下座して謝った。

 

少年「ご、ごめんなさい!!僕、お腹が空いてて!!でもお金がなくて!!!すぐに自首します」

 

郷田「アホぬかせ!栄養失調で死にかけとった奴を突き出す程、ワシは薄情ちゃうわい」

 

自首すると言う少年を郷田が止めた。

 

少年「で、でも盗んだ事に変わりないし」

 

郷田「意固地なガキやのう、被害者が許す言うてんのに。こんな律儀なガキを何で放置したんやコイツの親は」

 

郷田は少年の態度を見て、頭を掻きながら呟いた。

 

少年「よく分かりましたね、僕が放置子だって事」

 

郷田「見抜いたんはお前を診た医者や。それに そんなガリガリの体、分からん方がアホやろ」

 

少年は自分の置かれている環境を言い当てられ、訝しみながら呟く。

 

少年「あはは、まぁそうですよね」

 

少年はまるで諦めているような様子で返す。

 

龍司「おっと、自己紹介がまだやったな。ワシは郷田龍司、お前は?」

 

明久「吉井 明久です」

 

龍司「ほうか、今ぁ医者 呼んでくるさかい少し待っとれ」

 

明久「はい」

 

互いに自己紹介した処で、龍司は内科医を呼びに行った。

 

明久side

 

明久「あの人、何でこんな僕なんか助けたんだろう?親からも見放されるような出来損ないの僕を?」

 

僕は郷田さんが何で僕を助けたのか分からなかった。

 

財布を盗んだ僕は、普通なら警察に連れていかれるのが当たり前なのに。

 

なのに連れてこられたのは普通の病院。

 

意味が分からない。

 

明久(助ける事にメリットが有るなら話は分かるけど、何のメリットも無い事をして何になるんだろう?)

 

僕はずっと考えてた。

 

すると郷田さんが先生を連れて戻ってきた。

 

内科医「目が覚めて良かったよ。気分はどうだい?」

 

明久「あまり良くは無いです。1ヶ月ずっと水ばっかりだったんで(どうせ、この態度も仕事だから演技で振る舞ってるだけだね。人間は他人なんてどうでも良いんだから)」

 

僕は答えながらそう考えた。

 

親子でも所詮はこんなモノ。

 

自分に都合の良い人としか付き合わない。

 

勝手に期待して、期待通りに成らなかったらすぐに裏切ったり見捨てる。

 

内科医「何だか警戒されてますね」

 

龍司「無理も無いやろな、実の親に見捨てられたんや。人間不振に成ってもおかしない。寧ろ、自殺してもおかしない状況や。それをせえへんだけでもええ根性しとるわ」

 

明久(何か先生には見破られてるし、郷田さんには僕を褒められるし。意味が分からないよ本当に)

 

僕は本当に分からない。

 

郷田さんが僕を助けた事。

 

先生が優しく振る舞ってる事。

 

明久「あの、郷田さん」

 

龍司「ん?どないした?」

 

僕は聞いた。

 

明久「何で僕を助けたんですか?」

 

龍司side

 

明久「何で僕を助けたんですか?」

 

龍司「・・・」

 

内科医「・・・」

 

ワシ等は言葉が出らんかった。

 

龍司「お前、人の善意っちゅうモンが分からんのか?」

 

ワシは少しイラッとした。

 

助けられた身ぃで何でこんな質問が出てくるんか、こっちが分からん。

 

明久「だって人ってメリットが有る時しか人助けなんてしないでしょ?でも郷田さんは僕を助けた。それが分からないんです」

 

龍司「・・・」

 

内科医「・・・」

 

ワシは絶句した。

 

これは分からんのやない、信用しとらんのや。

 

人間っちゅう存在を、完全に見限っとる。

 

龍司「明久、お前の言うとるんは恩知らずな発言や。助けてもろうて、そんな事 言うたらアカンで。お前のバカ親は知らんが、人間 全部がお前のバカ親と同じように考えんな。十人十色て言うやろ、人それぞれや。お前が言うような薄情(もん)()れば、メリット デメリット関係 無しに人助けする人間も()る」

 

俺は明久に目線を合わせながら言うた。

 

こいつをこんままには出来ん、俺は韓国マフィアのボスの息子やった。

 

でも俺はお母んの顔しか覚えとらんから元の親父の事はどうでもええ。

 

今の生活が気に入っとるしなぅ。

 

せやけど、明久は(ちゃ)う。

 

こんままにしとったら、後々アカン気ぃする。

 

俺は明久に言うた。

 

龍司「なら明久、暫く俺と暮らしてみんか?」

 

明久「・・・え?」




コメントにて感想やアドバイスお待ちしてます。

良いと思ってもらえるとは思ってませんが(自虐)
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