マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート 作:みみずくやしき
大人しく授業を受けるRTA、はーじまーるよー。
嘘です。
くれはちゃんの点数と評判を生贄に捧げ! タイムを短縮! 学力アップイベントをスルーし、テストも間違え続けてターンエンドだ!
「│解答がすべて『あ』なのはどうかと思う。それにこれ英語の授業│」
「いいんだよくれはだし、つまらないよりつまるほうが面白いでしょ」
「│同じクラスだから勉強見てあげてって頼まれたからダメ│」
「誰に?」
「│令│」
さっそくボロクソ言われてますが、同じクラスに桜子がいるので上振れ。
なにしろ彼女が在籍するクラスに転校してくるのが……。
「今日は転校生が――」
「あたしが南津涼子だ! よろしくな!」
でたわね。
黒髪イケメン系の彼女が『
第二部で南凪自由学園に転校してくるのですが、いち早く出会っておくことで今後動き出す勢力『時女一族』と序盤から接点を持つことが可能になります。やっぱり南凪は最高だぜ!
行動可能になる放課後まで倍速してても暇なので、みなさまの~ために~……。
涼子さんの属するグループ『時女一族』について紹介しておきましょう。
『時女一族』は霧峰村を本拠地とし、神浜市では参京区にある水徳寺を拠点とします。
第二部では様々な勢力が神浜でしのぎを削ることとなりますが、時女は比較的話が通じます。日の本を守るためという目的で動いているので協力しやすいですね。
属する魔法少女は基本的に和装で、モブは目と鼻を隠すカラスのような仮面を付けているのが特徴です。申し訳ないがまたコルボーと戦うのはNG。
特徴として、彼女たちはそのほとんどが全員本家の時女家か分家の出になっています。時女所属で始めると自動経歴で勝手に分家にされることもあるらしいっすよ? 怖いねぇ……。
まあそんな感じなので、勢力自体はよっぽどの外道行為をしなければ敵対しません。放っておいても神浜マギアユニオンと同盟を組むので安心ですね。解消したりしますけど。
「ねえくれは。あの転校生、魔法少女みたいだけどどうする?」
おっなんだなんだ涼子さんに興味あんのか帆奈ちゃんよぉ~。
というわけで放課後になったので話しかけます。
「おっ、お前サンは……」
すいすい会話が始まってるので良い感じに仲を築けてるみたいですね。開始直後に知り合いが2人しかいなかったヤツとは思えねぇな?
なお、いきなりは時女一族のことは話してくれません。
今回は涼子さんの転校のタイミングが早く、時期的にまだ中核となる本家のメンバーが来ていないので当たり前だよなぁ?
事前に信頼度を上げておけば余計な手間なく他の時女メンバーとも出会えるのでそのためもあります。紹介してくれなかったら夏希ちゃんにストーカーのごとく張り付くだけだぜ。
ではいつもの信頼度上げと参りましょう。これから毎日街に繰り出そうぜ?
うわぁここが南凪ですかぁ、結構お店がありますねぇ、こんなに揃ってるなんて思わなかったぁ。
ここがミナギーランドで、向こうに中華街があるんだ。あとでそこに行こうよ。
うわぁここが南凪ですかぁ、結構お店がありますねぇ、こんなに揃ってるなんて思わなかったぁ(2回目)。
ここが中華街で、向こうに空港があるんだ。あとでそこに行こうよ。
うわぁ(省略)。
「――神浜にはよく遊びに来てたんだが、こんなに色々あるなんて知らなかったなぁ。連日あたしのために付き合ってくれてありがとな」
「いやいや観鳥さんもありがたいよ。帆秋さん並みにおいしいネタが……こほん、撮り甲斐のある転校生が来たって話題でねぇ」
「そいつぁ良かった。少しでも礼になるならいくらでも撮ってくれ! おっ、肉まん買ってこうぜ!」
途中で観鳥さんも付いてきたので3人の食い倒れ道中になってますね。正直これ以上観鳥さんの信頼度はいらないんですが……まあ誤差だよ誤差!
「この辺も珍しいものだらけだな! おぉ、あの店は?」
「ゲテモノスイーツの店だ。面白いけど覚悟がいるね」
ラピヌお姉さまに食わせたやつですね。
入ると勇気や根性といった精神面のパラメータが上がりますが、また行くのはロスなので行きません。
こうやって信頼度のために南凪を観光しているわけですが、ただの稼ぎだけではありません。
とあるフラグのために散策していれば、絵を押し付けて売ってくる悪徳売人や、わざとぶつかって治療費を請求してくる当たり屋が出てきます。銃持ってるヤクザはいるし警察も一部腐敗してるし神浜の治安はクソだよクソ! ハハハハ!
「あの会話してる子……なんだか不穏な雰囲気だな。む、あの男は」
「知ってるのか?」
「ちょっと前に調べた顔だ。表向きは観光案内業、しかしその実態は女の子に怪しい仕事をさせる悪徳スカウトマン! こりゃあ、その悪事の最中らしい」
おう、南凪から一人残さず追い出してやろうぜ!
と、その前にちゃーんと確認しておきましょう。スカウトマンに話しかけられているのは……『
狙い通りです。第一部でもやっていたまだ出会ってない魔法少女巡りが成功しました。屑運で駆けずり回らなくてよくなりましたね。
じゃあもうスカウト野郎に容赦はいらないです。(南凪で悪事を働く輩は)こいつか?
「もう少し待ったら決定的瞬間をシャッターに収められそうなんだけど……」
「それはできないな。悪徳商売たぁ、お天道様とこのあたしが許せねぇ――おっと、くれは……お前さんも同じ気持ちか!」
「それもそうだ。観鳥さんも賛同するよ」
はい全速力で突撃! すると相手はビビッて逃げるので交渉も殴り合いもいりません。
よーよーそこの姉ちゃんよぉ、どうしたんだいこんなとこで!
「あ、わ、私ですか……?」
まずくれはちゃんさぁ、栄総合学園に知り合いいるんだけど……会ってかない?
と、そんな感じに適当なことを言うと喜んで交友関係を築けます。ちょっとチョロすぎるんじゃないか?
「帆秋さんもだけど、この子もほっとけないタイプだな……」
「みなさんお知り合いですか? 南凪の制服ですし……あっ、この反応!」
初回の萌花ちゃん遭遇後は確実に魔女が出てきます。
注意すべきはこの魔女、なんと魔法少女歴3年のベテラン美雨、言わずと知れたみゃーこ先輩がいても"なんとか勝てる"レベルです。
しかも、必ずいる萌花ちゃんの戦闘力は期待できません。大斧を使うパワーファイターですが、戦闘中は怖がって目を開けないので、イベントを進めるかレベリングしないと前線に投入するのはいやー怖いっす……。
対策はあるので、下手な退場を防ぐためにもここは涼子さんと二人で行きましょう。観鳥さんはモカちゃん見ててくれよな~。
じゃあ魔女の結界へイクゾー!
◇
親の顔より見た魔女結界。
もう見飽きましたね。涼子さんの解説流しときましょ。
『南津 涼子』は、座禅の時に使う棒(警策)を武器にする近接系魔法少女です。
通常攻撃は打撃で、熱い性格の通り攻撃に炎が付与される性質を持ちます。固有魔法は特殊な空間に引きずり込んで強制的に座禅させる説教効果など対人向けですね。
バランス型のステータスではありますが、第二部からの参戦なのそこそこ高く、既にくれはちゃんよりも強いです。ひたすらサポートに徹して攻撃を当ててもらいましょう。
「出たな……魔女だ!」
さっそく現れた魔女は『子守りの魔女』タイプ。強い魔女はみんなこれな気がする……しない?
先述の通りこいつは異様に強いので急所を狙わないといやーキツいっす。しかし動きも早く隙がない。困りましたねぇ。
そこで今こそスーパーアイテム『クテラス・ド・ペレネル』の出番です。
『停止』くんを普段以上の出力で使うことにより、認識できる"止められるもの"の範囲が一時的に増えます。
さらに、くれはちゃんは世界改変やタイムスリップを経験しているので曖昧な時の流れも感覚で掴めるようになっています。かと言って、時間そのものは元祖時間停止先輩ほむらちゃんじゃないので止められません。因果が足りないねんこれじゃあ!
なので、自分の未来位置だけを止めて解除しましょう。
知っての通り、止めたものは解除すると元の動きをします。じゃあ未来の自分の位置を解除するとどうなるかと言うと……。
「お? おぉ……!?」
本来Aという位置にいるべきなのに、Bの場所にいるという世界のズレを修正しようと、物凄いスピードで未来位置Aに引っ張られます。要は時間の流れを使ったフックショットです。
ありえない挙動するのでバグ技みたいですがバグなしレギュなので仕様なんだよなぁ。こんな世界に誰がした。
今回は一瞬だけ使用し魔女を引き付けて隙を作ります。
攻撃が集中しますがはい回避! 回避! 動くと当たらない!
なんて余裕に言えるのは後付けで編集しているからです。
当たったらHPが一気に持ってかれるので死に物狂いで回避してます。超必死です。見てくださいよこの汗! 生のこの……生きてる感覚、良いじゃないですか。やっぱ安定しないんでイヤです。
そんな地獄も涼子さんがマギアで叩けばはい終わり! 生きてる~!
「おお、そうだ。さっきの凄かったな! 『停止』とは違うみてぇだったが……」
固有魔法の『加速』っぽいので加速と呼ばれたりしますがぶっちゃけ名前はどうでもいいです。タイムが加速することが重要だってはっきりわかんだね。
なおさっきの挙動、固有魔法に想定されてない動きなので途中になにがあろうと止まれず下手すると壁にぶつかり続けてHPがゼロになります。
しかし普通の高速移動系魔法と比べると制御がしにくい分、急な方向転換が可能というメリットはあります。空中でも自在に加速して直角に曲がれるのでもう足場を気にする必要はありません。
勘の良い視聴者様なら直角に曲がるという時点でお気づきかと思いますが、これやるとGでくれはちゃんの内臓が大変なことになります。魔法の仕様外なのでマジカルな効果で守ってくれません。
今回は1割ぐらいの出力でしたが、もう少し上げると血管が損傷します。もっと上げると全身の毛細血管が一気に破裂して瀕死になり、さらに上げると全身粉砕骨折に内臓破裂と即死レベルの重症を負います。いまさらゾンビドッペル戦法も使えないのでゲームオーバー一直線ですね。
まあそのうちやるんですけど。
ゲームオーバーギリギリで生きてればヘーキヘーキ、ヘーキだから。タイム欲しいだろォン!?
じゃあ今日のところは帰りましょう。あばよ!
おっとランダムエンカウントみゃーこ先輩。
「珍しく一人じゃないか。いつも誰かいるのに――ってうおわあああ! 川に人が!」
いっけねぇ萌花ちゃんが川を流れてやがる。
一般人ならともかく魔法少女を無視するわけにもいきません。くれはちゃんが飛び込んで助けてもいいんですが……。
「待て、オマエ飛び込む気か?」
実はこれ、涼子さん関係のイベントなのでなにもしなくても涼子さんが助けてくれます。近くに観鳥さんもいるので南凪のイケメン二人に任せてみましょう。
萌花ちゃんの無事を確認するので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。
◆
とーちゃんとかーちゃんは、物心つく前に死んじまった。
だからあたしの家は浄安寺って寺。育ててくれたのが住職のじーちゃんだ。
普通の高校生として暮らし、時には魔法少女として魔女を倒す日々。文句なんてなにひとつないし、むしろ感謝してる。
だけどある日、うっかり魔法少女姿のところをじーちゃんに見られちまったんだ。
こりゃいけねぇと誤魔化そうとしたが……妙に真剣な表情になって、あることを話してくれた。
曰く、浄安寺は『時女』って一族の末裔。寺で育ったあたしもそうだ。
時女とは、人智を超えた力で日の本を救う"
なんでじーちゃんがそんなこと知ってるのかって、神浜にある同じく末裔の水徳寺から聞いたそうだ。その時女本家から連絡が来たらしい。
こりゃあ、巡り合わせなンだろうな。
あたしが魔法少女になったのは水徳寺を救うため。悪い政治家共に立ち退きを命じられてたから、不正を暴いて欲しいと願ったわけだ。深い考えがあったわけじゃねぇ。経済発展の英雄みたいにもてはやされて、だけど裏で人を泣かせてる野郎が許せなかっただけだ。
あたしの願いが、魔法少女が、なにかひとつの大きな運命へと招いている。そんな予感がする。
なにより、神浜には本家の巫が欲する秘密があって、しかも今、神浜に本家の人間が来ているという。こんな面白そうなこと、首を突っ込まずにはいられねぇよな。
――その日から、あたしは時女一族を名乗るようになったのさ。
◇
神浜は浄安寺からだと電車で40分。
それじゃ時間がかかりすぎるってんで、いざって時のために引っ越すと決めて今は水徳寺に住んでいる。
本家はまだ本拠地の霧峰村でやることがあるそうで、もうしばらくしてから来るそうだ。
そんときゃあたしも迎えで行ってみようか。一度は見てみねぇとな。
そして通うことになった南凪自由学園ってのは、転校生が来るのは珍しくないらしい。
「あたしが南津涼子だ! よろしくな!」
新しく仲間が増える時はどんなもンであれなにかしらざわざわするだろ?
それが真っ先に見えたのは疑問符。「またうちのクラスに?」なんて声も聞こえる。もっとも、少し遅れてから注目を浴びるようになったから滑っちゃいない。
話しかけに来るクラスメイトに事情を聴いてみると、このクラスにはもう二人転校生がいる。
一人はモデルみたいに綺麗で目立つ帆秋ってのにずーっと引っ付いてる更紗帆奈。
もう一人は俗世離れした不思議な雰囲気を漂わせてる柊桜子。
その二人に続きあたしが来たもンで、対応は手慣れてるらしい。
だからまあ、放課後になってすぐずんずんと歩いてくる"そいつ"が話しかけてきたのも、一環だと思ったんだ。
「あなた魔法少女よね」
「んな――」
「ちょっとくれは!」
「│声が大きい│」
いきなりの看破だ。心の底から笑った。神浜、こんなに面白いとこだったか!
開口一番にとんでもない事言ったのが帆秋くれは。なんでもあたしでさえ噂に聞く南凪の不審者本人だって言うじゃないか。荒唐無稽な行動も納得だ。
正直に言うと、南凪の不審者という噂を聞いた時は、許しちゃおけねぇヤツがいるもんだと思ったもんだ。
それが実際はどうだ。確かに霊にでも憑かれてるのかと疑いたくなるほど奇行が激しいが、毎日毎日誰かのために行動している。人助けと言ってもいい。そうでない時は広い交友関係で社交的だし、不審者呼ばわりすることはねぇんじゃないか。
事実、同じ魔法少女とはいえ見ず知らずのあたしのために毎日時間を割いてくれる。
南凪の魔法少女を紹介してくれるし、部活動の案内もお手の物。くれはは新聞部と化学部兼部らしくて、校内新聞を張ったり子供向けの化学イベントをしてると教えてくれた。
それに、神浜に遊びに来ることはあっても、地元の地理は住民のほうが詳しいだろ?
今後のことも考えると、くれはに神浜を案内してもらえたのは僥倖だ。妙に南凪に偏っちゃあいたが、これが楽しいんだ。
こういうこともあって、くれはとはとんとん拍子に仲が深まっていった。
ある日は付いてきて実況するめぐるだったり、くれはの家に住んでるラピヌって子供だったり、連れ歩くのは様々。
その日もまた、くれはともうひとり、後輩の令と一緒に散策していたんだ。
「――神浜にはよく遊びに来てたんだが、こんなに色々あるなんて知らなかったなぁ。連日あたしのために付き合ってくれてありがとな」
「いやいや観鳥さんもありがたいよ。帆秋さん並みにおいしいネタが……こほん、撮り甲斐のある転校生が来たって話題でねぇ」
「そいつぁ良かった。少しでも礼になるならいくらでも撮ってくれ! おっ、肉まん買ってこうぜ!」
「メロンがいいわ」
くれはのメロン狂いっぷりにはさすがに驚く。
なぜかあったメロン饅頭を両手で持って頬張ってるのを見ると本当に好きなんだな。
「あれはネタにならないのか?」
「平常運転だからねぇ、みんな知ってるよ。そういえば涼子さんはお肉食べていいの?」
「なっはっは! 寺育ちなのにってのは言いっこなしだ。うまいだろ肉」
ゲテモノスイーツとやらも気になるけど、やっぱ肉だ。
南凪は中華街もあって良い。ついつい引き寄せられちまう。
だがまあ、繁華街には良くねぇことを企む輩もいる。
同じ南凪区でも、南凪自由学園の辺りや、くれはが住んでるとことは毛色が違うんだろうな。チンピラどころか暴力団までいるって噂だ。
そしてあたしらの前にも、悪事を働こうとするヤツがいたわけだ。
「君かわいいね~ちょうど今、モデルのスカウトしてるんだけど」
「あの……」
おどおどとしてる子が怪し気な男に話しかけられている。
その様子を見て令が訝しげに言った。
「あの会話してる子……なんだか不穏な雰囲気だな。む、あの男は」
「知ってるのか?」
「ちょっと前に調べた顔だ。表向きは観光案内業、しかしその実態は女の子に怪しい仕事をさせる悪徳スカウトマン! こりゃあ、その悪事の最中らしい」
「なんで調べたんだ?」
「バイト探し中の帆秋さんがスカウトされて危うく付いていきそうだったから」
令は証拠のシャッターチャンスを狙ってるみたいだが、そいつは待てねぇ。見て見ぬふりをしていいわけがない。手を貸すのが道理だろ。
どうやらそれは、くれはも同じ気持ちだったようだ。
「ええ、放ってはおけない」
信じた帆秋くれはの姿に間違いはない。
駆けだしたあたしらの凄みに悪徳スカウトマンは一足先に逃げていき、ひとまず足を止めたあたしの横を――くれはがそのまま走っていった。「ちょっと行ってくるわ」と言い残して。
なにをするつもりだ? 追いかけるつもりか? いや、くれはが向かっていったのは……その先の女子生徒!
……そうか! またあの子が狙われる可能性がある可能性を察したのか!
「また知り合い増やそうとして……じゃああの子も魔法少女かな」
だけど、なぜか令の反応は微妙だったんだよな。
◇
魔女の結界ってのは、いつ見ても奇妙奇天烈だ。
あの後、魔女の反応を感知したあたしは、くれはを伴って魔女退治へと赴いた。
肩を並べるのは初めてじゃあない。相変わらず神浜には魔女が多いようで、行く先々で遭遇するからだ。最近は減ってきてるって言うが、市外でグリーフシード集めに苦労してた頃を思うとたいそうな数に変わりねぇ。
そんなくれはの戦闘スタイルはあたしと相性が良い。攻撃が当たりやすいように魔女を誘導してくれる。
だけど、入ってすぐに持ち出したカトラスは見たことがないものだったんだ。
「貰った。魔力の消費を抑えてくれるらしいの。せっかくだしやってみるわ」
カトラスを持ちながら『停止』っていう固有魔法を使った……らしい。
この魔法はわかりやすいモノじゃなくて、対象の動きが止まるとかそういう結果でわかるタイプなんだが、魔力が流れたと感じたその瞬間、バチリと、血のように紅い閃光が見えたんだ。
「今のが?」
「止めてみたんだけど」
「よくわからなかったな……」
本人がわからねぇんじゃわかるはずもねぇ。
しかし、まあ――本当にくれはには驚かされるな!
真価が見えたのは結界の主らしき魔女と相対した時だ。
ここの魔女は相当な強者なようで隙すらねぇ。こいつぁ骨が折れると気合いを入れ直したんだが、「どうにかする」とくれはが駆けてったのさ。
「お? おぉ……!?」
あの紅の光が輝いた瞬間、くれはは魔女の背後を取っていた。
とてつもなく速ぇ。停止って名前とは正反対だ。
目の前にいた奴がいきなり背後から攻撃してきたらさすがに戸惑うわけで、魔女は腕を振り回して暴れ出し、攻撃がくれはに集中し始めた。
こいつぁいけねぇ。援護に行くべきか。
向かい側に目をやると、ほんの一瞬だけ、あの真顔と目が合った。
「こいつは――」
ぞくりとした。
冷静な
どれだけ修羅場をくぐればああなれるってんだ。暴風みたいな殴打の中で、冷や汗すら流さず涼しい顔してやがる。
だが、気迫に気圧されたわけじゃあない。
心の臓が高鳴る。口が弧を描く。
むしろ嬉しかったんだ。帆秋くれはが、あたしが求める気持ちの良いヤツが、ここまで高けぇ山として見えンだから!
だからよ、わかるぜ。あたしがなにをすべきか――!
「たぁぁッ!」
脚に力を込めて駆ける。握り締めた警策を振り上げる。
ならばただ一振り――注意がそれた今この隙に! 全身全霊を叩き込むだけだッ!
「燃えやがれぇッ!!」
「――!」
"通った"。
手に走る衝撃が直感させる。これはトドメの一撃。南無。
警策の衝撃で硬てぇ頭蓋だろうとかち割り、大文字焼きがごとく炎を走らせ焼き尽くす。これが今のあたしの最大攻撃。
問題は近づかなきゃならねぇとこだが、今回はおかげ様で直撃させられたわけだ。
空間が歪み、景色が日常を取り戻す。
夕暮れの空が見えると、ちょうど目の前に来たくれはと握り拳をぶつけ合う。随分と力が強かった。
「おお、そうだ。さっきの凄かったな! 『停止』とは違うみてぇだったが……」
「ええ。でも良かった」
カトラスは変身とセットになってるのか今は持ってない。
だがその感覚を思い出すかのように、くれはは手を握ったり開いたりしていた。いつもの真顔の中にほんの少しだけ、喜びがあるようにも見えたんだ。
それがうずうずとした気持ちを作り出す。
「なっはっは!」
気づけば、くれはと肩を組んであたしは笑っていた。
くれはは笑いはしないものの、まんざらでもないらしくされるがまま。いや……むしろ組む手が力強い!?
なんて言っていたら、人の気配を感じた。
「二人とも青春だねぇ、一枚撮っとくよ」
あの女子生徒――恵萌花って子を帰したらしい令は、あたしらを待っていたのかカメラを構えて歩いてきた。
変身も解いてたし、バッチリ撮られちゃこりゃあ明日の観鳥報は決定だ。
「見出しはどうしようか。夕日を眺める名物生徒、戦いの果て……」
な? 令のこういう性格はもう理解してる。
くれはだったら尚のことで、慣れたもんで瞬時に両手でピースをして次の写真を待っていた。真顔で。
「撮らないの」
「そういうのじゃなくて、自然体のが良いんだよ」
「こっちのほうが良いと思ったのだけど」
「気持ちはありがたいけどさ」
空回りしてるものの本心でやってるのは間違いない。こんなに良い奴なんだ。くれはは昔からこうだったんだろうな。人助けに走って、多くの友達に囲まれて……。
張り付いた真顔に少しばかりの違和感はあれど、それも人の個性だ。
もういい時間だし、そろそろ解散にすっかと提案する前に、くれはは「やることがあるの」と駆け出して行った。
最初は忙しいやつだと思ってたけど、最近は慣れたし納得してる。隣を見ると令もそういう顔をしていた。
あたしは参京区の水徳寺、令は東のほう。帰る場所は違えど途中までは同じなわけで、夕日の眩しさを直に感じながら肩を並べて駅へと向かう。
普段来ない道には河川敷があって、堤防の上の道を歩くのはなんだか心地良かった。さっきの令じゃないが青春だな!
話題はもちろん、ついさっきまでのくれはだ。
やっぱり今日みたいなことは珍しくないらしく、隙あらば魔法少女の知り合いを増やしているとか。あの萌花って子もそうらしく、偶然にしたってよくそんなに会うよな。
そんな他愛ない話を続けていたら令が不意に立ち止まる。
どうしたと振り返ってみると真剣な表情を夕日が照らし出していて、空気が変わっていた。
「帆秋さんのことで、ひとつだけ頼みたいことがあるんだ」
「おう、なんだって言ってくれ」
この感じからしてそう簡単なことでも気楽なことでもねぇンだろうけど、請け負うことに反対なんて気持ちはこれっぽちもねぇ。
……つもりだったんだが。
「もしも、自分の身を犠牲にしようとしたら絶対に止めて欲しい」
それは、二つ返事で返せるモンじゃなかった。
「急に重い話でゴメン。でも、前科があるんだよ。もうしないと信じてはいるけれど、保険は必要なんだ。誰かが側で見てあげてないといけない」
「……それはお前さんがやることじゃないのか?」
短い付き合いだが、くれはが事あるごとに令を話に出すことは知っている。良い先輩後輩関係だとも聞く。
二人にどんなことがあったかは知らない。その間にあたしが入るのはなんというか、違うんじゃねぇか。
だが令は、夕暮れ空のどこか遠くを見上げたままだった。
「観鳥さんはユニオンだけど帆秋さんは違う。最近はやることも増えてて時間が作れないんだ。なにより……こんな生き方してるからさ、ずっとは傍にいれないんだよ」
どうしても避けられない終わりが見えるようだ。あたしが知らないなにかが言葉の奥にある。
任せとけとか、大丈夫だとか、そんな安易な言葉が口から出ないことにほっとした。
「ま、夢が叶う日を見せるって約束しちゃったけどね。そうそう離れてやる気もない。ひなのさんの胃が限界だろ?」
「ハハ、そりゃ違いない」
気づけばいつもの雰囲気で、平穏な言葉を交わす。
されど心の中では確かに硬い約束を結んでいた。言葉にせずとも互いに伝わってるって実感を持っている。
それに、噂をすれば影が差すっていうけどよ、向こう側から本人が走ってきたらさすがに言えねぇもんな。
「あれ、ひなのさんも一緒?」
「令、涼子! 喋ってる時間はない! 見ろアレ!」
「なんだなんだ急に――」
視界に入ったのは、なぜか川を流れる萌花。
こうしちゃいられねぇ。神浜はよ……本当に色んなこと起こるんだな!
◆
あっ、そうだ(唐突)。
言い忘れてました。
あの加速方法、みふゆさんが自分に幻覚をかけて限界突破するヤツと同じなのでソウルジェムにダメージが入ります。
魂に悪影響は出るでしょうが、ゼロにならなければ動けるので問題ありません。お前もう生きて帰れねぇな?
改めて今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。
■今回の内容
南津涼子 魔法少女ストーリー 1話 『ただの血筋』
南津涼子 魔法少女ストーリー 2話 『すれ違う血脈』
恵萌香 魔法少女ストーリー 2話 『お節介な3人の少女』
恵萌香 魔法少女ストーリー 3話 『精一杯の解決策』
■くれはちゃん
一応第一部開始前~後日談まで戦い抜いてるので今までをよく知らないと勘違いされる。
本人も走者もいつも通り。第一部からいる魔法少女のみなさんもまたやってるぐらいにしか思っていない。
謎の紅の光とジグザグ軌道すら可能にするそれは、ファイナルタルトの超マギアを見てみると……。
■南津 涼子
第二部から南凪に追加されるイケメン和風魔法少女。寺生まれ。
ストーリーでもボイスでも肉が出てくるぐらい肉が好き。くれはちゃんより強い。
■恵 萌花
限定スイーツで契約した魔法少女。白タヌキの呼び方はキュゥべえちゃん。
変身ムービーでは落ちてきた斧があわや脚に当たりそうになるなど見てるこっちがハラハラするタイプ。
■みゃーこ先輩
南凪に一名様追加。
実のところみゃーこ先輩も南凪だけあってそっち側。真里愛さんのほうが……。
■時女一族
いきなり出てきた新勢力。和風。
本家の人はまだ改札で通せんぼされている。
■アリナ先輩
第一部の頃、飼っていた魔女を回収するため成り行きで萌花ちゃんを助けた。
なお、行方不明になっていると学校にも来ないので、萌花ちゃんはアリナを死んだと思って『天国のアリナさん』と呼び始める。
■メロン饅頭
ある。