マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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パート64 魔女たちのパラドクス

 

 

 またもや神浜が壊滅の危機に陥るRTA、はーじまーるよー。

 

 マミさんを連れて急いでリターン。現在地は南凪だぜ。

 

 チャート上必要な『神浜チーズパニック』はともかく『魔女たちのパラドクス』が重なってしまいました。

 エンブリオ・イブ&ワルプルギス、フランス、フランス、フランスからの通算5回目の神浜壊滅の危機です。神浜の平和はガバガバどころかボロボロ。

 

「おかしいわ、見滝原で感じた魔女の魔力よ……しかもこんなにあるなんて」

 

 あれ~おかしいね昔の魔女がいるね。

 このイベントは一言で言うと、アニメで見た見滝原の魔女のみなさんが過去から大集合! 神浜で僕と握手! って感じです。

 

 連戦必至の高難易度であるため、本来の発生時期は第二部第5章以降という後半も後半。難易度ノーマル以下で時期が固定されていれば多少は楽なものの、発生条件がガバガバすぎて簡単に発生するタイムの天敵です。これこれ♡ やめるのじゃ♡ よさぬかパラドックス♡ タイムをどうする気じゃ♡

 

 しかし全てはチャンス! 時には攻めることも重要だってはっきりわかんだね。

 

 難しい見返りにミラーズに関する情報を入手できます。

 うまくいけばかなり短縮できるので乗り込みましょう。失敗したら再走じゃぞ♡

 

 オッス(到着)。

 

「おーいくれは! こっちだ!」

 

 指示通りの場所へやってくると、教えてくれたみゃーこ先輩。それに異常を確認しに来た灯花ちゃんやねむちゃんがいますね。

 見えない壁があるがごとく一定以上は近づきません。がっつりイベントやるつもりはないので踏み込まん。踏み込まんぞ。

 

 おう! マミさんとあとよろしくな!

 

「え? あの、帆秋さん?」

「待て、いや待てオマエ。来たかと思ったらどこ行く気だ」

「んー? わたくしは別にいいと思うけど。必要なのは戦ったことのある見滝原の魔法少女だからねー」

 

 このように説明しなくても勝手に灯花ちゃんが理解するので大丈夫です。

 

「灯花、大量発生の原因はもうわかったのかい?」

「くふふっ、だいたい見当はついたよ。ミラーズは特殊な結界で、本体から派生した株分けの魔女の結界も鏡屋敷の本体と繋がってるんだよね。で、()()()()()()で見つかったたくさん鏡がある場所――"ターミナル"って名付けるけど、あそこがその中継点。魔女が来た場所の鏡を割れば止められるはず。もっとも、来ちゃった魔女は倒さないといけないんだけど……」

「なにか問題が?」

「もしもミラーズが時間軸や平行世界の移動まで可能にしていた場合、なにがパラドクスを起こして世界が崩壊しちゃうかわかんないんだよー」

 

 あぁん? お前今なんて言った?

 ターミナル見つけたんですかね? 株分けの情報もありますし……なんか早くなぁい?

 

 解説は後々しますが、ランダム要素がデレて第二部で手に入る情報がもうあります。ワープもわかるのならかなり短縮できて最速待ったなし。

 

「世界が枝分かれするのなら過去の魔女を倒しても問題はないんだけど、もし世界がひとつで地続きなら空白が生まれちゃうでしょー? 魔女が平行世界から来てるならまた話が違くて――」

 

 とかなんとかわけわかんねーこと叫びながらコイツ頭脳が限界突破しちゃってる。

 

 人間の理解できる範疇を超えた領域にまで手を伸ばしがちな灯花ちゃんの説明はとにかく、要は魔女の被害を抑えつつ繋がってる鏡を探して割ればいいだけです。

 

 ただし、お菓子の魔女以外が落としたグリーフシードは使わないようにしましょう。

 鏡を割ると過去と未来に及ぼした影響が消える安心設計で、つまり回復した魔力も元通りでドッペル発動。メンタルも立場にも悪影響が出てチャートが壊れるねんこれじゃあ!

 

 あと一般人に被害が出ると、なかったことになってもその記憶は残るので混乱を引き起こしますが……まあタイムに関係ないしどうでもいいや。半端な気持ちで入ってくるなよ、魔法少女の世界によ!

 

 過去に戦った魔女が復活してボスラッシュになろうが復活怪人が弱いのはお約束。性質も弱点もバレバレの相手に負けるわけないんだよな!

 

 じゃあマミさん、まどかさんたち呼んで頑張ってくれよな!(他人事)

 

「鹿目さんたちはともかく……佐倉さんなら昨日、神浜に行くって連絡があったけど聞いてない?」

 

 えっなにそれは……。

 杏子ちゃんがいないかつ『魔女たちのパラドックス』が発生している状況って……ア!(スタッカート)

 

 ちょ、ちょっと待って! 助けて! お願いします! ああああああああああああ!!

 

 大変なことに気づきました。確認を怠ると大惨事なのでチェックしてみましょう。

 ハロハロー? このみちゃん元気? ブロッサムでよろしくやってる?

 

『ふゆぅ……ブロッサムに行ったけど今日はいないみたいだよぉ。おかしいよねぇ』

 

 間違いなく『Home Coming』! ハコの魔女が杏子ちゃんの幻惑魔法を悪用し、その他魔法少女諸共夢へといざなうイベント!

 発生してるとか聞いていません。だから(タイムが)痛てぇつってんじゃねぇかよ。

 

 具体的に言うと、失敗したら杏子ちゃんが退場します。

 タイミング次第では梨花ちゃん、このみちゃん、さなちゃんなども退場のピンチ。メインストーリーに関わるさなちゃんがいるし必ず阻止するんだよ!

 

「帆秋さん、その電話……ええ、そういうこと。わかったわ、こっちは任せて。すぐに片づけてみせるから」

 

 マミさんがいなきゃ大ロスどころじゃないんだよなぁ。もう神浜中、お菓子の魔女まみれや。

 過去の見滝原の魔女が大暴れ! こっちはこっちで重要キャラ退場の危機! どうしてそんなにくれはちゃんを困らせるんですか?

 

 でも、これからだよな、くれは。まだ始まったばっかりだぜ!

 この程度で音を上げていたらハードモードなんて走れません。リカバリーはねぇ、自信あるんですよ!

 

 整理しましょう。

 

 まず『魔女たちのパラドクス』は見滝原組に任せます。ハードモードでもマミさんがいればだいたい倒せますし、杏子ちゃんも連れてきたら万事OKだわ。

 

 そのためにも『Home Coming』を即刻終わらせに行きます。くれはちゃんが頑張るのはここです。

 

 最後に『神浜チーズパニック』ですが、タイミングが悪かったですね。神浜の魔法少女に頑張ってもらうしかないでしょう。ひとりかふたりぐらいなら退場者が出ても……バレへんか。

 まあチーズパーティすれば勝手に集まってきますし、ウォールナッツ主催で開催し、超強化した団地組に加えてななか組とアザレア組にも参加してもらえばカバーできるでしょう。組長に連絡しときましょ。

 

『神浜に増えている魔女の反応のことですね。私たちは今、あすなろ市から来た方たちを案内していたのですが……事が事ですし、協力を仰いだほうが良さそうですね』

 

 勝 ち ま し た。

  

 どうやら組長たちはかずみならぬ『(すばる) かずみ』、カオル、海香のあすなろ市組の神浜案内の途中です。彼女たちは第一部の『Another Daze』と神浜のラストバトル以来ですね。

 

 昴かずみは今までのかずみとは段違い。言うなればかずみverFinalがごとしパワーを持ち、ラスボス戦に連れていけるスペックをしています。ただでさえ強かったのにさらに強いとかバランスが壊れるわ(しみじみ)。

 加えてかずマギほんへ終了後の場合は海香とカオルも強化フォームを習得済み。戦力がダンチだぜ! 前作主人公並みのパワーだぜ!

 

 もうお菓子の魔女は団地組とあすなろ市組で封殺できます。心配なんか必要ねーんだよ!

 じゃあ『Home Coming』まで流しますね……。

 

 と言いたいところ……等速で流しつつフォームチェンジについて解説します。

 

 第一部の頃からあったホーリー化やウワサフォームなど、魔法少女はver違いによる衣装と性能の変化を行えます。

 

 調整屋さんに頼むことで変化できる水着ver正月verなどはトンチキな季節衣装ですが、固有魔法が一時的に汎用的な物に変化したり、特定の状況に特化したりと、使いどころを考えれば最適です。固有魔法って強い目的意識があれば変わるらしいっすよ?

 

 しかし、先述のホーリーやウワサといった特殊なものは特定の条件を満たさないとなれません。

 例えば他にもタルトさんのver2といった正統派進化、ドッペルの力を制御したドッペルverなど、調整で変化できるものより圧倒的に強い力を持ちます。

 

 ですが、特に特殊なのは……ver.Finalでしょう。

 これは原作の最終フォームやその魔法少女の最終最後の集大成となるとっておき。満たす条件も非常に多く狙わないとなれません。その分単騎で無双も可能な強さを誇ります。

 

 もちろん狙います。

 というかレベル上げの代わりに最終的に辿り着くことを軸としたチャートです。今回は上手く詰め込めたので、その命と引き換えに最後に盛大な花火を上げる姿、よーく見ておけよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オッス(大胆不敵)。

 まずはこちら。やってきました栄総合学園。

 

 はい窓めがけてジャンプ! からのスライディング登校! 

 

「ま、またなのこの人!?」

「んん~……あんまりあかりを困らせちゃダメだよぉ~……」

 

 いました真井あかりと由良蛍です。

 

 二人には杏子ちゃんと他の魔法少女が行方知れずになっていることを伝えます。

 というかくれはちゃんはこれしか知りません。杏子ちゃんたちが魔女の結界にいるなんてこれっぽっちも知りません。

 

 ところが彼女は魔法少女の中でもトップクラスのかしこさを持つ人格者である由良蛍。脳内シナプスがアイデアをクリティカルさせ、それぐらい閃いてくれます。ダメなら閃いてもらうまでやり直します(力技)。

 

 また、イベントの原因はドッペルの力を悪用され眩惑魔法を具現化されていることにあります。結界に入った面々は杏子ちゃんの夢を共有しているわけです。

 本来は神浜市外にいる白タヌキに聞かないとわかりませんが、そんな時間はありません。これもその場で蛍に閃いてもらいます。

 

 そして、夢です。もうおわかりですね?

 

 由良蛍さんの固有魔法も夢に関係するわけで……ウッス! 作戦お願いしまッス!

 パーフェクトみっふを再誕させてもいいのですが、彼女は現代でも十分強いのでミラーズに行ってもらったほうが良いです。力と技のみふゆ、智の蛍の揃い踏みはまだ先。

 

「えぇ~……?」

「大変じゃない! 蛍やる気出して!」

「まあ、やらないとねぇ」

 

 あとは蛍司令官が作戦を立ててくれるので聞きつつ街中を移動しましょう。

 が、彼女は移動速度が遅いのでくれはちゃんが背負います。ヘイヘイ、早く乗りな!

 

「おー結構安定して……普通に寝られそう」

「どんな力してるの……? あっ、そもそも結界に入ってたとしても場所知ってるんですか?」

 

 ついでにあかりちゃんも蛍を心配して付いてきます。心配される側が違うだろ?

 

 結界の場所はチャートにちゃーんと書いてあるので大丈夫です(天地明察)。くれはちゃんの神がかり的な直感が導いてくれることでしょう。

 行動スケジュールからの推理や魔力反応の探知で地道に探す作業なんて短縮だ短縮。

 

 というわけで、新西区にある結界を発見。

 結界を枕で飲み込み世界を接続! イクゾー!

 

 夢の中の探索……の前に、ここのハコの魔女について解説しておきましょう。

 本来は魔法少女なりたてのさやかちゃんでも倒せるぐらいの魔女ですが、杏子ちゃんのドッペルを取り込み、その魔力と眩惑魔法を得ています。なんとティロ・フィナーレの直撃すら無傷。これ無理ゾ。

  

 なので風見野の教会に行き、解決するためのフラグを立てるのですが……。

 

 うるせ~! 知らね~!!

 RIKAREN FANTASY――

 

 今回は夢を繋げて強制分離。弱体化した瞬間を狙って魔女をぶっ倒します。

 ドッペルverにはなれませんが頼る予定もないのでさっさと助けたほう良いってそれ一番言われてるぞ。

 

 さっそくクテラス・ド・ペレネル……名前がクソ長いので強化カトラス呼びにしますが、コイツの使い所さんが来ましたね。ブンブン振り回して獲物を待ち構えましょう。オラ来い!

 

「あ~……もう終わってるみたい」

「ん、あんたか」

 

 なんで?

 しかも杏子ちゃんの姿はドッペルver、援護するまでもなく過去の自分に打ち勝っています。なんで?

 

「どうやって来たのかは知らないけどさ、下がりなよ。巻き込まれても知らないよ」

「そうだね~……寝てる人たちを連れ出そうか~……」

「ちょっと蛍抱えないで、自分で行けるから!」

 

 そうと決まればさっさと脱出しないとエンドオブマジやべー。

 今回は他に……このみちゃんだけですね。はい抱えてダイナミック脱出!

 

「……あ、くれは、さん? 来てくれたんだ――」

 

 他のメンバーも脱出確認、ヨシ! 

 そして背後で見事大爆発! やったぜ。

 

 結界が内側から燃えて豪勢に爆炎が上がっていますが、これがドッペルverのパワーです。火力が違うぜ! ホーリー化以上のエンジンだぜ!

 

 あとはマミさんに連絡して杏子ちゃんを連れて行ってもらいましょう。

 ドッペルverを維持するには条件が必要ではあるものの、今日1日ぐらいは大丈夫です。これから見滝原の魔女を焼こうぜ?

 

『ああ、それなら解決したわよ。鏡も割ってくれたみたい』

 

 これマミ? 技量も速度もすごいなお前……。

 

 まどマギかずマギ夢の連携でリカバリー無事成功。

 くれはちゃんはチーズパーティにグリーフシードだけ貰いに行くので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ほんのりとあたたかな日差しが顔を照らす。

 今日はお休みの日だけどブロッサムでのお手伝いに来ている。後でかえでちゃんも来てくれるけれど、こうして無言でゆっくりお花に囲まれる時間も好きだ。

 

 だけどそんな日常は、あっという間に崩れた。

 

「あれ……」

 

 よく知った感覚にありえざる違和感が混じる。

 ソウルジェムが感じる魔力反応は魔女のもので間違いないのに、その数は普通じゃ考えられないほど多い。神浜に魔女が増えてきた頃でもこんなことはなかった。

 

 嫌な感情が流れる。心臓が奇妙に跳ねる。

 思い出したのはミラーズの中にくれはさんが攫われた事件のこと。あの時みたいにまたなにか起きてるんじゃないかって不安が止められなかった。

 

 だって――必ず、くれはさんはそこにいる。

 

「す、すぐ戻ってくるから!」

 

 ブロッサムのおばさんに声をかけて外に駆け出す。

 計画なんてまるでない衝動的にすぎない行動。とにかく一番近い魔力反応に近寄ってみて、状況を確認したかった。

 

 だけど見かけたのは、不安よりもさらに重大な出来事だった。

 魔女の結界に飛び込んでいく子猫に、追いかけて入っていく小さな女の子。どちらとも目の前のそれがなんなのかを理解している様子はない。最悪の結末が想像できてしまう。

 

 ……だからこそ、だよね。

 

 躊躇う必要なく当然に変身して、武器の大きなハサミを握る。

 彼女たちを無視する選択肢なんてない。私にできる手段があるのなら、しないで諦めたくない。

 

 それに、くれはさんなら絶対に同じことをするもの。

 いくらかの恐怖は魔法少女としての使命と憧れで十分に誤魔化せた。

 

 決意と共に結界に足を踏み込むのと、私の後ろから別の魔法少女が近づいているのに気づくのはまったく同時で――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気づいたら、青空の下でくれはさんにお姫様抱っこされていた。

 

「……え、ええっ!? な、なんで!? 結界に入ったはずじゃ!?」

「起きたの」

 

 周囲の景色は入る直前に見たものと同じで、頑張って思い出してみても完全に覚えてるのはそこまで。それより先は、寝ぼけながらなにかを言ったかなぐらいで無に等しい。

 なにより、体重をすべて預けて抱えられているという事実が頭の中を揺さぶってうまく考えられない。赤くなる顔が恥ずかしい。重くないかな。

 

「軽いわよ」

「読まれてる!?」

「なにが」

 

 瞳はただただまっすぐ。嘘は言ってない。

 こういうところ、なんだよね。本当にそう思ってるってわかっちゃうのがむしろ恥ずかしかった。

 

 ……って、あれ? 

 

「結界、まだあるよね?」

「ええ」

 

 確かに最初に見た結界がそのままある。

 くれはさんが魔女を倒したわけじゃないのかな。

 

 なんでだろうと見つめていると、声が聞こえた。

 

「ほ、蛍! なんでそんなに急ぐの!?」

「ん~……危ないからだよぉ」

 

 同じぐらいの背丈の二人組の魔法少女が出てきた、次の瞬間だった。

 

 結界がほんのりと赤く光ったような気がした。それは瞬く間に広がっていき、ゴオッという音と共に炎が上がる。頬を染める熱とは別の熱が肌を撫でて、冷たい風に流されていく。

 

 しばし遅れて、それは爆発だと気づいた。

 結界の内側という異空間から丸ごと破壊するだけの魔力量はすさまじい。なにが起きたらああなるんだろう。

 

 抱いた疑問の答えは、爆炎の中から小さな女の子と猫を両脇に抱えて出てきた魔法少女が示していた。

 

「よっ」

 

 小気味いい声の挨拶が聞こえる。

 あれは佐倉さんだ。私も何度か出会ったことがある。

 

 彼女はなんでもないかのようにしてるけど、その衣装は知ってるものじゃない。和服のような雰囲気なんだけど、異様な柄と奇怪な色彩は魔女のものに似ている。よく見たら髪型まで違う。

 

 いる理由も知りたかったし、話を聞いてみた。

 なんでも私のすぐ後に入ってきた佐倉さんの魔法が魔女に悪用されたみたいで、私ともども一瞬で眠ってしまっていたらしい。だけどすぐに制御を取り戻していざ反撃……しようとしたら、こういう見た目になっていたのだとか。

 

「まあ……あたしの見た目はいいよどうでも。それよりアンタら、いつまでその恰好なわけ?」

「その恰好って――あっ」

 

 あまりにも安定してるから忘れていた。

 私、ずっとくれはさんに抱えられたままだ!?

 

「もう大丈夫だよ? ね、ねっ?」

「私は構わないわよ」

「私が構うよ!?」

 

 確かに、ずっとこのままでいられたら良いなって思う気持ちもあるけれど。みんなに見られてるんだもの、

 

「あれがお姫様抱っこ……」 

「あかりも憧れてるねぇ」

 

 ね、こういう風に!

 それにあの二人組の魔法少女だけじゃなくて、結界に迷い込んでた小さな女の子もキラキラした目で見ていて……うぅ。

 

 なんとかくれはさんに降ろしてもらって、地面に足が着いたらやっと顔の赤さが引いてきた。一呼吸したらどきどきとしていた胸がもっと落ち着く。

 

 頭が冷えてくると、事の重大さへと思考が向いた。

 

「そ、そうだっ! 今たくさん魔女の反応があるんだけど、なにか知らな……」

 

 と聞こうとしたら、既にスマートフォンを耳に当てて電話をしている。脈絡がない。

 手持ち無沙汰でどうしようかと迷っていると、くれはさんは「わかったわ」と誰かへ返事をして私を見た。

 

「ウォールナッツ主催でチーズパーティしてるのだけど、一緒に来る?」

 

 ……なんで?

 

 また、急な展開すぎる。

 いつも通りの変な行動……にしては、心なしかくれはさんの行動が前みたいに見えるような。観鳥さんがマギウスの翼に行ってしまっていた頃のような、なにかがおかしくなってる感覚がする。

 

 でも、そんなわけがない――と自分を納得させて、誘いを受けるため首を縦に振った。

 

 私に続いて「タダ飯ならいただくよ」と同行を示したのは佐倉さんで、逆に解散となったのは魔法少女二人組。「寝かせてぇ~……」と言う由良蛍さんという人を、変身を解いたら小学生だった真井あかりちゃんという子が連れて行ったのだった。

 もちろん、子猫と女の子はちゃんと帰宅させてから、ね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でね、あれぬいぐるみみたいなの倒しても太巻きみたいな本体が出てくるのよ。危うく頭からパクリっていかれるところだったし」

「かのこさんよくご無事でしたね」

「私ひとりだったらどうだったか。常盤さんたちが来てくれなかったら……うーん」

 

 なんて、魔法少女同士の会話が聞こえてくる。

 そっちを見るとかのこさんとななかさんなんて珍しい組み合わせが、それぞれ手に料理を持っていた。

 

「それにしてもこのピザ、おいしいですわね~!」

「……常盤さん、こんなだっけ?」

 

 あれから向かった先は河原で、着いた時には既に多くの子たちが集まってた。

 チーズパーティというのはチーズ料理主体のバーベキューのことだったみたい。まなかちゃんが主体となってやってるだけあって、ピザやチーズフォンデュといった数々の料理が並んでいた。

 

 それに各々が持ってきた料理もあって、気が早いけれどちょっとしたお花見みたいだ。

 隣にいるくれはさんも、かこちゃんがくれたチーズタルトをもしゃもしゃと食べていた。

 

「それでかこちゃん、もう魔女は大丈夫なのかな? ミラーズのほうもなにかあったみたいなんだけど……」

「あ……うん、それは解決したよ」

 

 そう言うと、かこちゃんはちらりと少し離れた場所を見た。

 

「よしよしなのです。チーズパーリィもできて一石二鳥なのです……ん? んん? マ、マミなのですっ!?」

「え、ええ……そうだけど、どこかで会ったかしら」

 

 なんでも、神浜にたくさん現れた魔女はチーズに惹かれるという変な性質を持っていたらしい。

 とある魔法少女の発案で開催されたこのパーティはもともと、誘き寄せて一網打尽にするためだったとか。

 

「うーん、でも危険じゃなかった? たくさん来たんだよね」

「それはもう……でも、あの人たちが」

 

 今度は別の方向を見る。

 つられて視線を追いかけると、数人の魔法少女たちが話していた。

 

「じゃーん、イチゴリゾット!」

「わ~!」

 

 みとちゃんが話している黒髪のロングヘアの子――昴かずみという魔法少女とその友人たちが協力してくれたらしい。

 ワルプルギスの夜との戦いで少しだけ見たことがあるけれど、確かすごい強かったはず。それにいつの間にか異様に強くなっていた団地の子たちがいれば、なんとかなっちゃうんだろうな。

 ……でも、かずみちゃんってあんなに髪が長かったっけ?

 

 そのグループの中にはなぜか帆奈ちゃんまでいて、青い髪の人と話していた。気になることでもあったのかな。

 

「おーいかこー!」

「ちょ、ちょっと待ってラピヌちゃん!」

 

 持ってるチーズタルトが原因なんだろう。かこちゃんは最近くれはさんとよく一緒にいる小さい子に連れられて、フェリシアちゃんやあやめちゃんのもとへ歩いて行った。

 

 冷たさの中にあたたかさのある風が吹く。

 入れ替わりに私たちのもとへやって来たのは、佐倉さんだった。

 

「なあ……マミいるなら先に教えてよ」

 

 ちらりと振り向きつつ、こそこそと逃げてきたような表情はさっきの炎と同じ人とは思えない。でもそっちのほうが私の知ってる彼女だ。

 

 なんとなくくれはさんも彼女が来て嬉しそうに見える。帆奈ちゃんの他に佐倉さんとも一緒に住んでたことがあるから、懐かしいのかな。

 あとは隣にゆまちゃんがいれば――あれ?

 

「ゆまちゃんは一緒じゃないんですか?」

「私も気になってた」

 

 どこかに遊びに行っているという雰囲気でもない。聞いた話によると彼女と一緒に神浜市を出ていたはずで、横にいないのには違和感があった。

 

 佐倉さんは「あー……」とつぶやき、頭を軽くかいて答えた。

 

「祖父母んとこ。捜索願いが張り出されててさ……神浜を出てった用ってのもそれだった」

 

 それは寂しい言い方のようで、もっと自省的なものに近い。

 

「遠目で見てもわかったよ。あれは確かにゆまの"家族"だ。それをあたしの都合や理由で引きはがすわけにもいかないじゃん。まあ、その……戻るって約束破ったみたいで悪いんだけどさ」

「いいのよ、家族は大事だから」

「……ああ」

 

 そのまま私たちの隣に座ると空を見上げる。

 透き通るような青空が広がり、風が爽やかに吹いていた。春が近いと感じさせる、爽やかな空気が漂っていた。

 

「あたしはもうちょっと気ままにやらせてもらうよ。さっき話してたあいつら……あすなろ市に行ってみるのもいいかもね」

「アリナが個展を開いてたところね」

「ほんと変なことばっか知ってるなアンタ」

 

 季節は巡って出会いと別れはやってくる。永遠に同じなんてことはない。

 なんだか、こうやって世界って変わっていくのかな……なんて思ったんだ。

 

 

 

 




■今回の内容
 『Homecoming~佐倉杏子の3日間~』(一部分)
 『魔女たちのパラドクス』(一部分)
 『神浜チーズパニック』(一部分)

■杏子ちゃん
 後日談で必要なイベントを消化していたのを走者はまったく知らない。
 自らの願いによって希望を持てた人がいたことを知り、ドッペルを制御できたとか。このあと裏でロッソ・ファンタズマが海香にコピーされたりするらしい。

■昴 かずみ
 魔法の使える少女ではなく魔法少女。髪が伸びて服が白くなる。
 変身ムービーではかずみから昴かずみとなる。二段階変身はロマン。

■かずマギ
 気づいたらコラボイベント第二弾で既にかずマギ本編が終わっていた。原作通りに進んだ模様。
 かずマギチャートの走者も待ってるぜ!

■かずマギ組のMSS
 かずマギイベント第2弾の折、全部書き直された。
 この小説の第一部でやった内容とも変わっているが、どこかで通過した設定。

■蛍
 困ったらとりあえず任せればなんとかなる。
 契約内容と本人の性分以外はパーフェクトな魔法少女。

■ななか組
 かこちゃんは実際に『神浜チーズパニック』でチーズタルトを作ってくる。
 「このピザ、おいしいですわね~!」も公式で言った。常盤ななかはそういうことする。

■悪魔ほむらちゃん
 特に今回の話とは関係がない映画に出てきた悪魔なほむらとよく似た赤の他人。マギレポ枠。
 変身ムービーでは眼鏡ほむらに憑依し勝手にピザの出前を取る、深夜にピザを食べるカロリーの悪魔。ちょくちょく叛逆のセリフをパロディする。超マギアはおそらく魔界村。
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