マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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パート68 前書きは靴音と一緒に 後編

 

 薄明りの中、今にも人に振り下ろされようとする金棒が照らされている。

 その光景は、くれはからしたら止めるべきものにしか見えなかったはずだ。

 

「帆奈、影を! ラピヌは変身を解除して!」

 

 指示する前に咄嗟に放った『停止』が動きを止める。

 続けてあたしは『影』の手を伸ばして、死にそうになっていたヤツを引きずった。追撃はない。ラピヌの魔法がうまく作用しているようだった。

 

 お節介が助けようと思った相手を見てみようと自分の前まで引っ張ってみると、うげって気持ちを抑えきれなかった。

 だってこいつ、くれはを勧誘に来たのと同じなんだ。マギウスの翼の白羽根に似た雰囲気のローブを見間違えるわけがない。

 

 そいつは混乱したのか周囲を見るように頭を振り、くれはを見つけると嬉しそうな声をあげた。

 

「やっぱり、くれはさんだ……!」

「逃げて」

「はい!」

 

 ユニオンに入らないで、弱いから頼ってきて、あたしのように縋るものが欲しかった、くれはが手を差し伸べたいと思うそのもの。 

 言いたい不満は色々あるけれど、なによりも、鏡を見ているようで嫌だった。

 

 もっとも、そんなことに頭を回す余裕はあんまりなかった。

 

「ねぇねぇ、あっちから来てるけどー」

「知ってるって」

 

 ラピヌが指差して、くれはがカトラスを突きつけた先。さっきの金棒を持った相手がゆっくりと近づいてきていた。近くにはおもちゃの兵隊みたいな恰好をしたやつと、揃いの赤黒のパーカーとマスクをした数人が部下のように付き従っている。

 

 感じたのは殺意だ。話し合う気なんて最初からないらしい。

 

「戦いに来たわけじゃないんだけど」

「だとしても、生きて返すわけにはいかないわぁ……」

「結菜さん、テレパシーで連絡したっす。すぐに二人も来るっすよ」

 

 あーあ、ほんと……どうしてこうなるんだろうね? 

 本当なら今頃はふかふかとしたベッドに飛び込んでいたはずなんだ。それがこんな面倒なことに巻き込まれてる。まあ、くれはが一人で行ってたよりかはマシだけど。

 

 でも、寝ようとしてたところを引きずり出されたラピヌはどうだろうか……なんてのは思い過ごしだった。

 視界の端で束ねられた二又の髪がぴょんぴょんと跳ねてる。最近わかってきたんだけど、やりたいことがあるときに感情が溢れてるらしい。今にも「いーい? いーい?」なんて声が聞こえてきそうで、遊びたがるところは初めて会った頃と同じだ。

 

「殺さないで。それと、死なないで」

「いっひひ! ひゃっほーっ!」

「なっ――」

 

 被弾を考えない一直線の突撃。そのまま結菜と呼ばれた魔法少女を追い越して、向かいにある建物に飛び込んでいった。

 そして数秒後。建物からオレンジと赤の光が漏れた。片方は炎で、もう片方はラピヌが宙に浮かべるユニットが放つ光線。それが原因なのか、どっかんどっかんと表現すべき爆発まで続々と起きてる。

 

「いや……派手にやりすぎでしょ」

 

 さすがにあたしも素になるよ。混沌としてたときもこんな考えなしにはやってないし。後始末が面倒だ。

 ほら、パーカーを着たヤツらなんて冷や汗をかいて無言で立ち上る煙を見てる。そりゃそうなるよね。

 

「ちょ、長女さん! マズいですよ!」

「早く戻らないと!」

「戻ってどうなるのかしらぁ。向こうには樹里とアオがいるでしょう……それよりも、こっちに邪魔が入らなくて良かったわぁ」

「邪魔? 合流すべきじゃないっすか?」

 

 落ち着いてるのは魔法少女たちのトップらしき角の魔法少女と、それに付き従うように立つおもちゃの兵隊みたいな恰好のやつ。そいつらとあたしらが視線を交わした。

 いや……結菜っていう魔法少女は、明らかに瞳に感情を込めていた。その先にいるのはくれはだ。

 

「あなた、どこかで会った?」

「ないわねぇ。でも、話は聞いたことがある――『帆秋るい』に」

 

 くれはが息を吞んだ。

 その名前は、確かにくれはの姉の名前だ。

 

「……姉さんの知り合い?」

「少し違うわぁ、()()()()()()()仲間と言える関係だった」

「え?」

「帆秋るいは、魔法少女で、二木市にいた。こう言えばわかるかしらぁ」

「い、生き、て? え?」

「そう言ってたわねぇ、治らない病になっていたのを契約して治したって……死んだふりをして、神浜を出たそうだけど」

 

 ……そんなことありえる?

 言ってることが全部正しいのならどうも変だ。散々仲が良かったとか優しかったとか聞かされてたのに、わざわざ死んだふりなんてする?

 

「それで今は? どこに?」

 

 くれははまったく疑ってない。真顔の奥底にある隠しきれない喜色が飛び出るように、声に乗せて聞いた。

 

 嫌な予感がした。

 

 それはまるで眼前に奈落の崖がある感覚。

 あるいは、冷たい風が背中を撫でて、暗く沈む雲が空を覆いつくしたかのような不可避の予感。

 

 自分がどこに立っているのかを想像もしない姿がこんなに滑稽だとは思わなかった。目の前に大きな希望があるんだ。気づかせることなんてできやしない。

 

 だからこそ、それは起きた。

 

「死んだ。……私が殺したわぁ」

 

 あいつが言ったのはたったそれだけだ。

 それだけで、かつてのあたしが望んだ答えを引き出した。

 

「――は?」 

 

 絶望ってのは、希望が目の前にある時にこそ近くに忍び寄るもの。手が触れそうになって取り上げられた瞬間が、一番傍にいる。

 そんなの、あたしだけじゃなくて、あんたも知ってたはずなのに。

 

「嘘じゃないわぁ。あなたは、どうするの?」

「……っ……ぁ!」

 

 押し殺した声にならない声が耳に届く。

 震える手で力強く握り締めたカトラスを構えて、なにも言わずに――結菜に飛び掛かった。当たれば無事で済まないだろう刃物を、人に対して振り下ろしたんだ。

 

「『対象変更』!」

 

 当たった……ように見えた。確かに肩にぶつかった。

 魔法少女とはいえ、まともに受けたら血の一つぐらい出るっていうのに、傷ひとつない。発せられた魔力の波が起こしたなにかが威力を殺したらしい。

 

 想像と違った結果は隙を生み出し、くれはは蹴りの反撃を受ける。相当な勢いだったみたいで、あたしの横で滑って止まった。

 心配するのは当然のことで、そっちに顔を向けるのも当然。

 

 されど。

 

「くれは――っ……?」

 

 ぞっとした。

 

 そこにいたのはあいつだったのか。

 いつもの真顔がどこにもない。目を大きく見開いて、ただ一点を睨んでいる。優しさもなにもない。殺意だけだ。

 

 敵対したあたしも、マギウスも、アリナでさえも、こいつはなんでもなかったかのように接してた。今思えば、それは"一線"を越えてなかっただけだったんだ。本当にギリギリ、最後の最後の線の前で止まっていただけ。

 

 こいつもこんな顔するんだって純粋な感情と、胸を苦しめる痛み。二つがせめぎ合って言葉が出ない。あたしは、こんなものを見たかったんじゃない。

 

 そうだ。あたたかな場所にいて忘れてた。

 この世界は、一歩外に出たら冷たくて、どこまでも残酷なんだ。

 

「あいつ……!」

 

 ぎり、と奥歯を噛んでヤツらをにらみつける。

 

 仲間だったのに殺したとか意味わかんないことはある。それだって重い。

 だけど、家族のことが大好きだったくれはが、姉が実は生きていて遠くの街で知らない魔法少女と仲間だったなんて知ったら感情を抑えられるわけがない。

 

 だってそれ、血の繋がった妹を置いて好き勝手に遊んでたってことじゃん。

 どれだけ苦しんでたかも知らないで、あたしらがどんな想いで生きていたかも見ないで、気の合うヤツらと楽しく過ごしてたってわけ!

 

 ……ムカつく。ムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく。

 

 ああ、そうだ。血の繋がりなんて、なんの意味もない。

 あたしを殴った父親も、見捨てた母親も、血縁だからって助けてくれなかった。

 

 だから、瀬奈と、くれはだけ。

 それだけでいいんだよ――!

 

「……下がって」

 

 だってのに、伸ばそうとした『影』の手とあたしの杖の前にくれはが立っていた。その表情は不自然なまでにいつも通りのもので、この状況に似つかわしくない。

 それがとても悲しくて、やるせなかった。 

 

「なんで……あんたの姉がしたこと、聞いたでしょ」

「それでも姉さんが望んだことなの」

 

 さっきまでの激昂がどっかにいったこの感じ。もう『停止』を使って感情を抑え込んだんだ。

 

 けれど、一時しのぎでしかない。記憶は残ってるんだから心に絶望の杭が打ち込まれたままだ。

 ここに瀬奈がいたら、あたしが『暗示』を持ったままだったのなら、間違いなく使っていた。悲しい真実なんて知らなくていい。今の幸せを享受していてもらいたいのに。

 

「背中を見せてていいのかしらぁ」

「油断してる余裕があるんすか?」

 

 行き詰まった絶望が、あいつらには好機にしか見えてない。

 たとえ望まれなくても、無理やりでも、くれはがやらないんだったらあたしがやる。記憶がおぼろげになってきてるけど、リズが影を使って移動していたのは覚えてる。理外の奇襲。アレを使えば、1人は片づけられるはずだ。

 

 ……と、考えていたら、ひときわ大きな爆発が建物で起きた。

 

 ラピヌがぴょんぴょんと跳ねて急いで戻ってくる。衣装は煤まみれで、煙を吸い込んだのかゲホゲホと咳き込んでる。「もー、熱くて遊べないよー」と言ってるあたり余裕はあるらしい。

 

 それから追いかけるように走ってきたのは、知らない魔法少女たちだった。

 二人とも黒っぽい衣装なのは同じだけれど、片方は赤、もう片方は青とイメージが違う。

 

「樹里、アオ……ひとりにやられたの?」

「姉さん気をつけろッ! ありゃイレギュラーだ!」

「あの浮かんでるウサギみたいなのからビーム出るし、わたしたちの変身が解除されちゃう……!」

 

 ラピヌはあの意味の分からない不死身や変身解除以外は結構普通だ。だけど特別弱いわけでもなく、やり合える魔法少女ってことはあいつらはそこそこやるに違いない。

 

「いっひひ、まだまだ遊ぼうよ!」

「こんの……樹里サマがウェルダンにしてやる!」

 

 なにより向こうもこっちもまだ戦う気がある。ここからが本番とばかりに全員の視線がぶつかった。

 始まりの合図のように、樹里と呼ばれた魔法少女がノズルの付いた武器を向ける。夜の闇に炎の光が見えて、対処を考えて――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トリック・オア・トリート……」

 

 そんな間の抜けた声が聞こえた。

 

「マジカルかりん、ここに参上なのだ!」

「なんだあいつ」

「我はハロウィンが生み出した魔法少女……とと、言ってる場合じゃなさそうなの」

 

 あれって御園かりんだよね。なのなのうるさいやつ。

 どこから来たのかあたしらの前に飛び込むと、あろうことか、鎌を回転させて火を防いだ。しかも攻撃が止んだかと思えば手にはノズルの付いた武器……火炎放射器だ。盗んだんだ。一瞬で。

 

「んなッ!?」

「……撤退よぉ」

 

 まあ、そうだよね。

 変身解除してくるやつに、武器を盗んだりする意味わかんない強さのやつ。建物は爆発してるし、手間のかかるこいつらの相手してたら人が集まってくるに違いない。

 

「逃げてくの! というか……誰だったの!?」

 

 走り去っていくあいつらをくれはを放ってまで追いかけるわけもなく、駄々をこね始めたラピヌをなだめてその場は終わった。

 

 かりんは本当に偶然来たらしい。魔女退治のパトロールをしていたら爆発が起きたのを見たそうで、くれはの魔力反応があったから距離を"盗んで"駆けつけたそうだ。「ピンチには呼んで欲しいの!」なんて言ってったけど……。

 

「……はあ」

 

 家に戻ってからのくれはを見たら、そう易々と他人に任せられるものか。

 ソファに座ってる姿は平常なようでもどこかおかしい。もう少しラピヌに構ったりするはずなのに、考え込んでいるのかろくに返事もしない。

 

「もー、私が一番年上なんだよ? お姉ちゃんなんだよ? もうちょっとさあー!」

「……姉さん」

「そう、お姉ちゃん。コルボーとミヌゥのだけどね?」

 

 ああ、やっぱり。

 このままじゃ、またあの頃みたいになりかねない。

 

 神浜で生まれたやつは東西問題に巻き込まれて、魔法少女になったらなったでマギウスのやることが降りかかって、自動浄化システムの恩恵を受けていることにされて、今度は市外の魔法少女に狙われる。

 

 あっは……本当、なんなんだろうね。

 不幸は同じ場所に延々と溜まり続けて、与えられる光なんてありゃしないんだ。

 

「ねえ、くれは」

「なに」

「あんたの姉だけどさ、本当にあいつらのとこに――」

「そうよ」

 

 くれはは立ち上がると、あたしらから顔を背けた。

 

「また真実は見てない。姉さんが魔法少女だったってことも、私を置いてったことも、少しでも良い可能性を……姉さんがまだ生きている可能性だって、あるはずなのよ……!」

 

 ……それは、逃避にすぎない。瀬奈の魔女化を見てどこかおかしくなったあたしみたいだ。

 

 でも、いいよ。

 それでもあたしは、あんたが信じたいものを信じるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いきなり拠点を爆破するRTA、はーじまーるよー。

 

 先導してくれるネオマギウスの白羽根を追ってやってきました旧車両地区。

 この白羽根は吸い込まれるようにプロミストブラッドの拠点にやってきて、ソウルジェムをパリンと割られてしまう哀れな存在です。しかも遺体は見つけられやすい場所に晒されるらしいっすよ? 世紀末か?

 

 しかし、第1章の序盤に訪れることで白羽根処刑イベントに割り込むことができます。

 もちろん敵地に飛び込むこの行為は超危険。例えるならレベル1で終盤のダンジョンに挑むがごとき暴挙あるいはラスボスに先制される屑運。なにも知らないくれはちゃんは、はたして生きて帰ることができるのでしょうか。

 

 オッス(大胆不敵)。

 

「……なんか光ってるけど」

 

 やっべもう処刑タイム! おう、『影』で回収してやんな!

 ついでにラピヌお姉さまの変身解除の魔眼も加えてやれば安全に確保できます。回収したネオマギウスの白羽根は生きてるかどうかちゃーんと確認しておきましょう。お亡くなりになっていたらリセです。

 

「やっぱり、くれはさんだ……!」

 

 大丈夫でした。続いて新手を迎え撃ちます。

 

「だとしても、生きて返すわけにはいかないわぁ……」

「結菜さん、テレパシーで連絡したっす。すぐに二人も来るっすよ」

 

 まずはプロミストブラッドの構成員モブが数人と、幹部クラスの魔法少女『煌里 ひかる』ですね。

 モブもそこそこやりますし、ひかるは兵隊を召喚することが可能で単騎でもかなりの戦力を持つ強敵です。ハードモードなので第一部をクリアしたステータス相手でも普通に戦えます。

 

 そして先頭にいる角の生えた魔法少女こそ『紅晴 結菜』。

 プロミストブラッドのリーダーであり、その戦闘能力の高さに加えて『対象変更』という凶悪固有魔法を持つ相手です。リーダーは強いってはっきりわかんだね。

 

 もちろんくれはちゃんが戦うわけねーよ! いけ、ラピヌお姉さま! きみにきめた!

 自動迎撃爆破マシンと化したラピヌお姉さまを突っ込ませておけば拠点は壊滅します。旧車両基地は不運にも謎の爆発事故で甚大な損害を負ってしまうことでしょう。明日の朝刊載ったゾテメーッ! 

 

「ちょ、長女さん! マズいですよ!」

「早く戻らないと!」

 

 こうすることで戦闘に時間制限が発生。もたもたしてたら一般人に見つかっちまうぜ。

 まあそうでもしないと真正面から戦闘になってゲームオーバーなんですけど。

 

「戻ってどうなるのかしらぁ。向こうには樹里とアオがいるでしょう……それよりも、こっちに邪魔が入らなくて良かったわぁ」

 

 お? おぉ? そういう……関係だったのか……。

 

「話は聞いたことがある――『帆秋るい』に」

 

 なんとくれはちゃんの姉はかつて二木市にいたことになったそうです。家族捨てて家出はちょ、ちょっと奔放ですね(怒り)。

 まるで想定していないランダム要素が邪魔しているように見えますが、実は最初からチャートに組み込み済みです。かはるんと会ってるほうがガバです。

 

 というのも、最初に名前が似ているキャラとは序盤に遭遇しやすくなるという話をしたと思います。

 しかしまったく同じにするとあら不思議。変な関係性が発生して関連イベントが起こりやすくなります。名字をグレイにしたらアリナ先輩の姉妹ルートに入ることもできるってこれマジ?

 

 序盤はプロミストブラッドの注目をくれはちゃんがいかに引き付けられるかの勝負なので、利用してやったわけです。今回は引いたのは可もなく不可もなく。リセの必要はありません。

 

 主目的は白羽根の救出と拠点の破壊なので無理に戦うこともないでしょう。

 地下に二木市へのショートカット、株分け鏡の魔女の結界があるんですが、そもそもこの拠点自体を爆破して倒壊させれば使えなくなるので鏡の対処は後でいいです。

 

 というわけでラピヌお姉さまが拠点を爆破するまでの間、このまま成り行きを見守っています。

 

「『対象変更』!」

 

 来た、来た、来たなぁ!?

 今後散々見ることになるので解説タイム。

 

 結菜さんの固有魔法は『対象変更』。ターゲットを変更するという、一見すると大したことなさそうな魔法です。しかし、概念にまで干渉可能であり、願いの影響により発生した事象も変更可能と結構バカげた力を持ちます。

 

 戦闘においては、攻撃対象をくれはちゃんに変更されると、地面を殴っても帆奈ちゃんを殴っても全部くれはちゃんにダメージがいきます。要はすべての攻撃に距離無視・防御不可・回避不可効果を与えるバフですね。

 

 ノーマルまでなら効果範囲や対象が一度に一つと対処は簡単なのですが、ハード以上では制限が取っ払われ、場合によってはさらに強化されます。発動には対象を認識しなければなりませんが、視界外でも可能です。地獄か? 

 

 もっとも攻撃しなければいいので大人しく……ってウオワアアア!! 殴ってるじゃねーか!(ガバムーブ)

 今の結菜さんの蹴りでゴリッとHPが削られました。紙耐久のくれはちゃんには致命傷だからやめろやめろ!

 

 見てくださいよこのソウルジェム! え!? 無事な奴の魂じゃないでしょこれ!

 ダメージ以外にも結構食らったのかもしれませんね。永続的な穢れ上昇量が増えています。

 

 ここでおさらいしておきましょう。

 魔法少女は精神にダメージを受けると穢れが増えやすくなります。自動浄化システムがあればドッペルが出しやしくなるのでメリットですが、ドッペルの副作用も作用して悪循環に陥り、いずれゲームオーバーです。なので遊んだり友人と交流したりして人間らしさを取り戻し、適時心を癒してやる必要があるんですね。

 

 もちろんロスなので積極的に回復なんてしません。

 どんなにメンタルがやられようと28歩すら必要なく『停止』くんで止めれば解決できます。お前、そのよわよわな精神が乾く時がねぇな!

 

「もー、熱くて遊べないよー」

 

 ラピヌお姉さまも帰ってきましたし、もう時間切れです。バキィ!(強制終了)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おはよーございまーす!

 

 昨日はかりんちゃんが襲来したりしました。なんだあいつ。

 

 さて本日からは第1章が本格的に始まります。

  

 いろはちゃんたち神浜マギアユニオンのメインメンバーは新たに『時女一族』の面々と出会い、さらにはプロミストブラッドとの戦いが始まることとなるでしょう。そこにネオマギウスも参入。北養区の電子望遠鏡前でグループが集結し、白タヌキによる説明会の後、自動浄化システムを手に入れるためキモチのブレスレット争奪戦が幕を開けるわけです。

 

 当然キモチ戦はしないので行きません。この手に限る。

 

 本来は観覧車草原でミスドとの戦いも発生するのですが、拠点を破壊したので起きません。

 というのも、発生させると面倒なことになります。参加メンバーのうち弱いキャラはこんがりと焼かれて良くて病院送り、悪ければ退場です。下手に重要キャラが食らうとリセ。ミスド側に退場者が出てもリセ。リセばっかじゃねぇかお前よぉ!

 

 第二部は誰が退場する・しないで大きく変わるので常に綱渡り状態です。原因となるイベントは出来る限りスキップするのが吉だぜ。

 

「ねえくれは、ずーっと電話鳴ってるけど。留守電に入ってるけど十七夜だよ。スマホ出ないから家にかけてくるし……」

 

 なんのこったよ(すっとぼけ)。

 おう、ラピヌ姉さまやっちまいな!

 

「うるさーい!」

「あー!?」

 

 なんとムーンサルトキックが炸裂。電話が壊れてしまったのでなぎたんからの呼び出しに応じられません。スマホもうっかり自室に置いてきてしまいました。不思議ですね。

 

「絶対昨日のやつだって……あーあー、あたし知らないからね」

「楽しかったねー!」

「新聞の一面載っちゃってるんだよ……」

 

 今日はくれはちゃん単騎で隠密行動するため、帆奈ちゃんとラピヌお姉さまは待機していてもらいましょう。説得には旧車両基地謎の爆発事故の一件が使えます。

 

「……あんたも気をつけなよ」

 

 気遣い感じるんでしたよね?

 今まで何度も尾行を達成してきたアサシン系魔法少女くれはちゃんが見つかるわけないんだよな! イクゾー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は……! 昨日の!」

「待て!」

 

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!

 家を出た途端2人以上3人以下? ミスドの魔法少女に追いかけられてマジ狂い! くそー、こんな急展開で残り11章分が持つのかよ!

 

 カタギに手を出さないとはいえ舐められちゃあお終いの魔法少女業。向こうさんもメンツがかかってるのでそう簡単に逃がしてくれません。屑運も邪魔してやはりヤバイ。

 

 こんな時は人通りの多い場所に逃げ込んで撒くしかありません。多少のロスですね。

 

 おっと魔力反応。

 

「……帆秋さん、ああ、違う違う、変な勧誘じゃないって。観鳥さんだよ。またなにやってるのさ」

 

 いつもの観鳥さんですね。行動パターン的に南凪にいたようです。

 ちょうど良いので彼女にはこのままついて来てもらいましょう。仮に戦闘になろうと押し付けて離脱できるのでうまあじです。

 

 電車を乗り継ぎ目的地は東にある神浜市民会館。工事中の大ホールの扉をはいバーン! やってるかい!?

 

「え……!?」

 

 驚きの表情を向けるみなさんは旧車両基地で助けた魔法少女にそっくりの服装をしていますがそれも当然。ここ、ネオマギウスの本拠地です。

 

「誰かと思えば、宮尾ちゃんとはぐむさんじゃないか。それにこの子たちは……どうしてこんなところに」

 

 そしてしぐりんこと『宮尾(みやび) 時雨(しぐれ)』、はぐむんこと『安積 はぐむ』もいます。

 今のところネームドはしぐりんとはぐむんの二人しかいませんが、彼女たちが『ネオマギウス』です。これマジ? 名前と比べて戦力が低すぎるだろ……。

 

 ところでくれはちゃん、つい最近ネオマギウスのモブを助けましたよねぇ。

 見てください、いきなりネオマギウス所属魔法少女の信頼度がモブ含めて良い状態です。時雨ちゃんなんかちょっとチョロいんじゃな~い?

 

「時雨ちゃん、もしかして……」

「う、うん……くれはさんにも、ネオマギウスに来て欲しい」

 

 あっいいっすよ(快諾)。

 今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 くれはが出かけてったあと、特になにもする気が起きなかった。

 ラピヌも遊びに行くって出てったし広い家に誰もいない。この静けさは悪くないけど、廃墟みたいな雰囲気が漂う。

 

 大丈夫だっていうのはわかってるのに心配で手に付かない。

 結局、あたしは失いたくない。外部の奴らが来たことで知ってる姿を、くれはの幸福を、奪われたくない。一線を越えさせたくないんだ。

 

「瀬奈……あんたなら、なんて言うかな」

 

 怒るかな。逃げようって引っ張る? いいや、正面から戦うのかもしれない。真面目だったから。

 そんな思考に逃げたって、本人じゃないと答えはわからない。正しさなんてないだろう。

 

 くれはの姉だって同じだ。置いて行った理由なんてわかりゃしない。あるのは事実だけ。

 なんだってどいつもこいつも家族は冷たいんだろう。そりゃ、あったかい普通の家族があるってことぐらい知ってるけどさ? 生憎、あたしには縁がなかったわけ。

 

 そう、思ってたんだけど。  

 瀬奈が話してくれた家族は偽りで、くれはの家族は両親や姉の歪な面が見えてくると、反発する心とは逆に親しみさえ覚えてきた。幸せじゃなかったことが幸せっていうか、なんというか。

 

 くれは自身は姉妹が死んだ後も両親に愛されてると思ってたんだろう。二人分の重みは相当あったらしい。

 だけど両親まで死んで――

 

「……あれ?」

 

 なにか引っかかった。

 

 確か、くれはの両親が死んだのは交通事故だ。

 繋がるように思い出したのは観鳥と真里愛。観鳥は轢き逃げを目撃したこと、真里愛は轢かれそうな子供を助けようとして魔法少女になったって聞いたことがある。それだって交通事故だ。

 

 もしも犯人がいたとして、くれははそいつを……どうしたんだ?

 

 姉を殺されたと知ったら『停止』を使わなきゃ止まらなかったんだ。それでも苦しそうで今も悩んでるように見える。でも、あたしらと会ったときにはそんな様子はなくて……いや、世界を憎んでたように見えて……。

 

「そんなわけ……」

 

 思いついた答えにゾッとした自分が嫌だった。

 

 瀬奈が隠していた答えがあったように、くれはにもあるんじゃないかと思えてしまった。

 

 それは違う。

 あたしの知ってる帆秋くれはとは、頭が悪くてどこか抜けてるけれど、嘘がつけなくて演技のできない、優しくて諦めの悪い頼れるやつ……だけど、もしも――そんな"帆秋くれは"を演じてるとしたら?

 

 疑うな。

 疑うな、更紗帆奈。

 

 見えてるものが真実だ。今までの暮らしから演技ができないのは本当だ。これは単なる出来の悪い妄想にすぎない。そうでなければ『停止』なんて使うもんか。

 

 だってのに、そんなことはありえないのに、いつもの真顔が冷たい暗闇に思えたんだ。

 触れることのできない虚無が本性だとでも言うように。

 

 

 




■今回の内容
  第二部第1章『前書きは靴音と一緒に』

■かりんちゃん
 本来はこの章で焼かれてドッペルを発動させる。その後しばらく入院する。
 のはずが、とんでもなく強くなってしまったので入院関係イベントを全部吹っ飛ばした。超短縮。樹里サマにも勝つ。アリナ先輩も行方不明になってないのである意味お揃い。

■結菜さん(強化)
 ハードモードなので『対象変更』が強化済み。
 同時発動数、射程、選択対象の範囲などなど。好きな場所に攻撃できて、無差別攻撃以外は防げる攻守揃ったチート魔法に。

■帆秋 るい
 くれはちゃんの姉。勝手に生えてきた経歴で二木市にいたことになった。
 由来は『紅涙』。血の涙のこと。プロミストブラッド要素。

■プロミストブラッド
 RTAの影響を受け1章序盤で拠点が爆破された。まだ抗争始まってないが?
 後日談のせいでショートカットの存在も既にバレているためこっちが超ハードモード。影響力がかなり低下している。

■くれはちゃん
 『さよならさえ言えなかった夕暮れ 後編』を見てみると、

 ・人並みに欲があり、その精神は鋼ではない普通の少女
 ・取り戻すことを願えばよかったと思ったことは真実
 ・"少しでも涙を流せた"なら取り戻したいと願っていた
 ・悔やんだことは一度だけではない

 家族のことをぜんぜん振り切れていない。
 じゃあなんで永遠に続く幸福な世界を捨てる選択ができたの君?

 

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