マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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パート11 真料理教室 衝撃!K編

 

 団地組の信頼度を上げるRTA、はーじまーるよー。

 

 

 今日もブロッサムです(挨拶)。

 一般通過観鳥さんとかのランダムイベントもありましたがおおむねいつもと変わりません。

 

「今度ね、南凪区に出張販売に行くんだけど……一緒に下見をしない? 案内してくれると嬉しいなぁ」

 

 あ、いいっすよ(快諾)。

 このみちゃんのお誘いはいつもならなんだかんで先に予定を入れてますが今回は別です。なぜならこの出張販売は団地組関係のイベントです。ブロッサムで働くことで自然に参加できるんですね。このみちゃんはこういう起点になることが多いのでやっぱりブロッサムは最高やな!

 

 いやこれ下見じゃねえか(ガバ)。仕方ないので大人しく参加しましょう。でもこういうのは観鳥さんのほうが得意だと思うんですけど(名推理)。

 

「観鳥さんじゃなくて、くれはさんがいいの」

 

 あ、そっかぁ……これやらかしてる……やらかしてない?

 

 

 

 

 

 

 紆余曲折ありましたが今日はブロッサム in 海浜公園です。

 エプロン付けて外に出たらすげーいい天気。海へ行きたかったな(南凪っ子)。

 

 海といえば水着イベントですね。多くの魔法少女と出会えて信頼度も上げられる救済イベントで、絵的にも映えますが発生時期的にロスするのでスルーします。

 

「かえでちゃんとかこちゃん、途中で使い魔を見たから追いかけて遅れるって。大丈夫かな……」

 

 大丈夫だってヘーキヘーキ、いざとなったらリセットするだけだから安心しろよ~(走者の屑)。

 このみちゃんの言う通りこの出張販売中はブロッサムのメンバーが全員揃います。普通にプレイするならこのタイミングを狙うと三人に会えてうまあじです。

 

「ちょっと向こうから看板を見てみるね。せっかくこんな良い天気なんだもの。バッチリ目立させてみんなに知ってもらいたいから」

 

 大丈夫ですか一人で? このみさんお願いしますよ。……もちろん大人しく準備なんてするわけねーよ! 拘束されなきゃ絶対ムリだぜ!

 

 散々行った尾行でさりげなーく付いて行って様子を見ましょう。団地組がいたら問題ありません。今回は……いますね。大丈夫です。

 

「あ、くれはさーん。すぐ戻りますからー!」

 

 やっべ見つかった減給は勘弁してください! これはまだまだ技量が足りないですね。とっとと準備を終えて開店しちゃいましょう。

 

 

 というわけで準備を超スピード!? で終わらせて開店です。

 さっそくミニゲームです。花をひたすら売りつけましょう。普段ブロッサムで鍛えてる腕を見せてやるぜ! 

 ここでの売上が良いとボーナスが出るので真面目にやります。出張販売の場合、客と注文は固定なので覚えゲーです。ホラホラ、ホラホラホラ、もっと注文してホラ。

 

 いい感じに売ったところで前半戦は終了。人だかりを見かけた団地組がやってきます。この後は裏方に回っての後半戦です。内容が変わるので気を抜かずに頑張りましょう。

 

 少女バイト中……。

 

 途中でせいかが話しかけてくるというトラブルがありましたがなんとか遅れを取り戻しました。ボーナスはいただいてくぜ?

 

 このミニゲームはかえでちゃんとかこちゃんが到着したところで終了です。

 というかこの空間……帆秋ちゃん除いて全員が『神浜市立大附属学校』ですね。疎外感感じるんでしたよね? 

 

 出張販売イベントもほとんど終わりましたし、これで団地組は帰宅となりますが……おうなんだみとちゃん!

 

「あのね、実は今月にせいかの誕生日があるの。プレゼントにお花もいいかなって思って……今度ブロッサムに相談しに行ってもいいかな?」

 

 みとちゃんは良い子ですねほんと。聞いてるか白タヌキ。

 

 ここで『せいかの誕生日』の情報を仕入れておきます。これを鍵に団地組の信頼度を更に上げていきましょう。

 しかしみとちゃん関係のこのイベントはこのみちゃんに任せます。誕生日イベントではみとちゃんに集中するのではなく、れいらに協力することで相乗効果が狙えます。

 それでは閉店後には下準備があるので水徳商店街に行きましょう。あばよ!

 

 

 

 

 

 

 

 みゃーこ先輩放課後お腹減りませんか? 腹減ったなぁ(自演)。北養区にぃ、美味い洋食屋、建ってるらしいっすよ。じゃけん今行きましょうね〜。

 

「わかったわかった! わかったから運ぶなー!」

 

 たのもー! 当然ウォールナッツです。

 みゃーこ先輩を連れてきたのには理由があります。この時期は誰かがウォールナッツケーキを食べていればれいらのイベントが発生するのです。もちろん意図的に発生させるために食べ続けます。

 先輩どうっすか。うまいっすか。

 

「うむ、絶品だな!」

 

 まあ先輩じゃなくてもいいので連日誰かに食べさせればいいのですが。

 なぜ帆秋ちゃんは食べないのかと言いますと、今日でもう八日連続来店だからです。ケーキの食べ過ぎでいい加減まなかちゃんの視線が痛い痛い痛いんだよぉ! あと他人に食べさせて信頼度を上げた方が効率的なので。

 

 ちなみにれいらを直接連れてきてもダメです。仕様上、れいらが誕生日のお菓子に悩んでからじゃないと発生しませんし、毎日は連れてこれません。なのでゴリ押しします。

 

「あの、帆秋さん? 喜んで頂けて嬉しいのですが、なぜ毎日誰かにウォールナッツケーキを? 昨日はあきらさんでしたよね? 三日ぶり二回目の」

「帆秋お前な……このケーキを薦めたくなるのはわかるがな……いやでも本当に美味だな」

 

 それはわかってるんですよ! ですがブロッサムでのボーナスがケーキに消えたんです! 四日目にななか組御一行を呼んだ時点で帆秋ちゃんが食べ続けるのはそろそろ限界なんです! 自腹で食べてくれる人が必要なんですよ。あきらとかみゃーこ先輩とか!

 

「すみませーん!」

「はい、ただいまー!」

 

 とか言ってたら来ました! れいらです! 最悪誕生日ギリギリまで食べ続けるところでした。なんとかセーフですね。

 

「なにか話してるみたいだな。あのチラシは料理教室の……って帆秋どうした」

 

 ヘーイまなか先生! それ、帆秋ちゃんも参加するぜ!

 

「え、くれはさん!? 偶然ですね!」

「知り合いだったんですか? この人連日来てるので偶然でもない気がしますが……というかまた来るんですか……」

 

 伊達や酔狂で料理を学ぶのではありません(二回目)。

 今度はこのタイミングで参加するとれいらと一緒に参加できます。今回はこれで団地組の信頼度を稼いでおきましょう。

 料理教室に参加する理由なんかは適当に誤魔化しつつイベントを進めまして……イクゾー!

 

 

 

 

 

 

 ウォールナッツからおはよーございまーす!

 

 懲りずにやってきました料理教室です。今回も失敗し続けて話をとっとと進めましょう。前回の結果次第でお小言を言われますが参加はさせてくれます。まなかちゃんは天使か?

 

 開始! 失敗! 失敗! 失敗! 終了! 評価は最低です。

 

 今回はここからイベントが派生します。スイーツコンテストに参加するのにまなかちゃんが出られず、代わりにれいらが出ることになります。

 というわけでれいらの練習に協力しましょう。この部分が大事です。当日までずっと信頼度が上がり続けるのでかなり大きいイベントですね。

 

 この間は毎日れいらに協力しつつ、時折他の魔法少女も誘って信頼度を一緒に上げましょう。

 

 

 そしてやってくるスイーツコンテストでやるべきことは……もう済んでいます。

 重要な点は、審査員側で参加することです。事前にエミリー先生を通じて実行委員会に働きかければ特別枠で参加できます。れいらのイベントが始まった後だとできない可能性があるので、事前にやっておいたんですね。

 

 れいらに協力していると参加者側でのイベントが増えますが、こうすることで全部スキップできます。しかし帆秋ちゃんがひたすら食べるだけの絵になるので地味です。

 なので適当に進めつつチャートの確認でもしておきましょう。

 

 ちなみにこのイベントに出てくるキャラ・料理はランダムです。確認を怠るとこういう風にミスって寝込みます(ガバ)。みんなは……しないようにしようね!

 

 ロスったので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私たちが南凪区に来たのはいつもの気まぐれ。れいらがどこに行くか聞いて、みとが海! って言ったから私もそれに賛成したの。

 海、良いよね。夕暮れの海へ向かって叫んだり走り込みをしたり……。燃える。

 

 それにしても本当に良い天気。みとじゃないけど水着を持ってきてたら海水浴場まで行って泳いでたかも。

 

「ね、見てこれ! 綺麗な花見つけた!」

「ほんとだ! でも見たことないなー……せいか、わかる?」

 

 みとが見つけた青い花にはまったく見覚えがない。だから見たことないって言おうとしたんだけど……なぜか別の人の声が答えた。

 

「ナギハマクサですね!」

「ほえ?」

 

 急に現れたのは橙色の髪をした年上の人。知らない人で……き、緊張してきた……!

 

「この辺の固有種です! 名前の通り神浜市の南凪区で見つかった種で、その青色が綺麗なんですよ! 葉は三小葉からなる複葉で……あ、ご、ごめんなさい! 怪しい者じゃないです! ただ花に誘われてというかつられて……」

「……似たような人を最近見たような」

 

 れいらの目が遠くなっていた。わかるよ、あの人だね……。

 なんで話しかけたかを聞いたら、この人はお花の出張販売をしてるらしくて、その準備中にナギハマクサを見つけたから流れで話しかけたらしい。流れ……流れで話しかけるんだ……私には到底できないな。

 

 その時、いつか抱いた違和感が私を襲った。この感じ、あのときの……。

 

「ねー……あそこ!」

 

 みとが指差したのは木の横。どこか既視感がある動作の先には堂々としたくれはさんがいた。なぜか緑のエプロンをしていて、これまたなぜか文字通り両手に花を持っている。真顔で。

 怒ってるわけじゃないんだけど、表情と格好が似合ってなさすぎて近寄りがたい。緊張してるときの私ってあんな感じなのかな。

 

「あ、くれはさーん。すぐ戻りますからー!」

「……や、やっぱり知り合いだったんだ」

「え、知り合い?」

 

 尾行のこととか話したら苦笑いをして、「でも一生懸命なんだよ。そこが良いの」って言ってた。……友達なんだなぁ、私にとっての二人みたいな人なんだ。

 

 開店したらぜひ来てくださいって言われた私たちはもちろん行った。くれはさんが接客をしてる姿なんて思い浮かばなかったし、あの人がやってるなら私も参考にできることがあるんじゃないかって思って。

 

 出張販売をしているブロッサムってお店の場所はすぐにわかった。看板が目立つ位置にあって、結構人だかりが出来てたから。

 そしてそこにいたのは目に見えない速度で花を包んで会計をこなしてるくれはさん。愛想もなにもないけど速度だけはすごい。すぐ近くにいたさっきの春名このみさんは見慣れてるみたい。

 

「うん、混雑してるときは本当に頼れるんだ。本当はまだ手伝ってくれる人がいるんだけど、ちょっと遅れちゃってて……」

 

 言葉通りで、この数を対応するのに二人だけでは大変そうだった。真顔でこなすからか、くれはさんに驚いてる人もいるし……。

 そこでみとが提案したのが私たちが手伝うこと。すっごく喜んでくれて、れいらとみとが接客。人見知りな私はくれはさんと裏方に集中することになった。

 

 正直に言うと二人きりだとまだ緊張する。前は勢いで話せてたけど、一度怒っちゃったし……。みとのおかげで分かり合えてはいるけど、それはそれ。

 でも、くれはさんは特に気にしていないみたいだった。時々指示をしてくれるから返事をして作業を続けてたら、いつの間にか緊張がやわらいでいた。他愛ない話ができるぐらいになれるなんて、私からしたら随分と進歩したと思う。

 

「あの、くれはさんはなんでブロッサムに?」

「このみがいるから。あとお金と通いやすさ」

 

 即答した! 誰かに聞かれたらいつもこう返してるんだって言うけど、これは……友情だ! 言い訳みたいに付けた二つの理由は、好敵手が主人公を助けるときの『お前を倒すのはこの俺』みたいな感じだった。そっか、そうなんだ……!

 納得した私の作業の手は自分でも驚くぐらいに素早かった。くれはさんもなんだかもっと速くなってる。

 

 そうやって夢中で続けてたら、いつの間にかお客さんの波が緩やかになっていた。ピークは過ぎたのかな、なんて思って外を見ると、そこには私の知らない人が二人。

 

「お待たせしました……!」

「あれ、このみちゃん。この人たちは?」

 

 来たのは『夏目 かこ』さんと『秋野 かえで』さん。遅れちゃってるって言ってた人たちだ。

 その二人とも私たちと同じ学校でびっくり。き、緊張するのは変わらないけど……!

 

「もう大丈夫。手伝ってくれてありがとう! 今度は新西区のブロッサムにも来て欲しいな!」

 

 ここからは本来の人に任せたほうがいいだろう。このみさんたちに別れを告げてまた適当に歩き出す。こうして、気まぐれで来た海浜公園は、私たちにとって良いことをいっぱい与えてくれた場所になったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 せいかの誕生日パーティーに出すお菓子をどうするか。それが私を悩ませていた。この前買ったお菓子のレシピ本を見てもコレ! っていうものがない。

 誕生日だしケーキを作りたいんだけど、バースデーケーキはせいかのお母さんが買うからケーキを作るにしても普通のものじゃなくて特別なものが欲しい。みとと相談してそれは決まったんだけど、思いつかない。

 

 だから少しでもヒントがないかなって街を歩いた。そこで偶然見つけたのが『ウォールナッツ』ってお店。洋食の老舗で名店。おいしいお店で良いものを食べたら思いつくかなって入ってみたんだ。

 

 オススメはオムライスって有名だからそれを注文。食べてみると……他のオムライスと全然違う! 卵がふわふわでとろけていく。具材も一つ一つに気を使ってるのがわかる。とにかくこれは……食べた人を笑顔にする料理だ!

 

 とってもおいしくて食べ終えるのがもったいなく感じちゃう。そんなだったから食べてる間はまったくお菓子のことを忘れてたけど、このオムライスが食べられたからそれでいいかなって思ってた。でも聞こえてきた会話が私を押しとどめたんだ。

 

 ……ケーキを? 毎日食べに来てる? そ、そんなに夢中になるものがあるの!? いてもたってもいられない!

 

「すみませーん!」

「はい、ただいまー!」

 

 私はそのケーキ――『ウォールナッツケーキ』って名前のケーキを注文した。

 数分後、私の前に来たケーキはもう、なんというか、すごい。メープルクリームとウォールナッツとスポンジが奇跡的なバランスで調和して甘さを生み出している!

 

 笑顔で食べる私によければどうですか、と渡されたのが『料理教室』のチラシ。書いてあるのはこのケーキの作り方を教えてくれるって内容! 思わず渡してくれた人の顔を見ると笑顔で応えてくれた。

 今、ものすごい偶然が私に味方してる! 偶然入ったお店で偶然ケーキの話を聞いて偶然料理教室でそれを教えてるなんて!

 

 そして次の瞬間、また同じことが起きた。

 

「それ、私も参加するわ」

 

 そこにいたのはくれはさん! なんでも毎日食べに来るぐらいウォールナッツケーキが好きなんだとか。このみさんもそうだったけど、お店の人――まなかさんもくれはさんの知り合いだった。顔が広いなぁ。

 

 これはもう決まりだ。こんなにおいしいケーキなら喜んでくれるはず!

 

 

 

 

 

 そして料理教室の日。

 講師として前に立つまなかさん……いや、まなか先生にちょっと緊張する。あんなにおいしいケーキを私が作れるのかなって。

 頑張るぞって気合を入れたんだけど、視界の端にチラチラと見える淡い栗色の髪の人が気になって仕方がない。

 

「れいら、ちょっとれいら、これ取って」

「……あの、くれはさんは?」

「絶対にやらかすと思ったので縛ってそこに置いておきました。前回のことを考えると作る前に食べ尽くされたら困りますから」

「食べないわ」

「でも調理器具を壊されるのも困るんですよ」

「……」

「否定しないんだ……」

 

 壊滅的に料理ができないって聞いたけど、本当にそんななのかな。いくらなんでも誇張されてる気がするし……。

 

「かわいそうですよ。やらせてあげても……」

「……はぁー……わかりました! ウォールナッツの料理教室です。この人でも上手くなることを証明してあげますよ!」

 

 自信満々に胸を張るまなか先生はとても輝いて見えた。大丈夫だよくれはさん。これならきっと!

 

 

「絞り袋を破裂させるのやめてもらえます……?」

 

「あの、この真っ黒のオブジェは……は? スポンジ……!?」

 

「だから食べるなーっ! リスの真似をしたってダメ!!」

 

 

 え、ええ……? なにをどうやったらそこまで失敗できるの……? わざと? わざとなの?

 くれはさんはありえないことになってたけど、私は順調でまなか先生にも手馴れてるって褒められちゃった。

 

「帆秋さん、一つ聞きたいんですが……あれから料理しました?」

「……し、したわよ。クリームソーダを作ったわ。まずメロンを買ってきて……」

「ひょっとしてメロンソーダとメロンクリームソーダを完全な別物だと思ってません? 海外だとまた違いますけど日本のはアイスクリームとかを乗せただけですから結局メロンは入ってませんよ?」

「……知ってたわ」

(この顔、知らなかったんだ……)

 

 その後、また縛られたくれはさんを放っておいて料理教室はつつがなく進んでいった。まなか先生の教えを守って、あの味を思い浮かべながら作り続けた。そして……!

 

「できました! 先生!」

 

 遂にできたウォールナッツケーキ! まなか先生に味見をしてもらうとお墨付きを貰えた。これでせいかの誕生日も大丈夫!

 

 お礼を言って意気揚々に帰ろうとしたんだけど、急な電話に出たまなか先生の様子が心配になって留まった。

 先生は慌てたような顔で電話を置くと、急に表情をパッと明るくして私に告げる。

 

「伊吹さん。このウォールナッツの代理として出ていただけませんか。戦いの場――スイーツコンテストに!」

「え、えええええ!?」

 

 まなか先生曰く、水徳商店街で行われる『水徳おいしいものフェスタ』で『神浜スイーツコンテスト』というものが行われるらしい。そこに参加するはずだったんだけど、当日はとっても大事なお客さんが貸切の予約を入れててまなか先生はそっちに入らなきゃいけないんだって。

 そこでピンと思いついたのが、お墨付きを貰った私……ってこと。

 すごい荷が重いんだけど、涙目で説得してくる姿を見たら断れない。結局、私は代理でそのスイーツコンテストに参加することになったんだ。

 

 責任重大でドキドキする。でも、やるからには準備は万全にしておきたい。まなか先生の力を借りて当日までに腕をもっと磨くことにした。けどちょっと思ったことが。

 

「……大量に試作品のケーキができちゃうよね」

 

 さすがにそんなに食べると……ね? って思ったんだけど、横でメロンジュースを飲んでいるくれはさんが見えた。

 

「なにか」

「いましたね適役が」

「そうですねまなか先生」

 

 あとは私が頑張るだけ。絶対に成功させるから!

 

 

 

 

 

 

 スイーツコンテストのために水徳商店街を訪れた私が最初に出会ったのは、くれはさんと小学生ぐらいの女の子だった。

 その子は南凪の制服とぶかぶかの白衣を着ている。妹さん……じゃないよね。

 

 そして自己紹介してからとんでもない勘違いをしていたことに気づいた。この人、都ひなのさんはくれはさんの先輩で年上だ。こんなに小さくてかわいいのに。

 

「あー……なんだ。帆秋が団地で迷惑をかけたみたいで悪かった。今日はアタシも付いてきたから心配しないでくれ。南凪の名誉はアタシが守る」

「そんな迷惑だなんて……かけられてないとは言い切れない……」

 

 確かに私たちのための行動だったんだろうけど、すごく怪しかったのは間違いないし……。

 そんな心境を察してくれたのかくれはさんが怒られてた。その間は大人しくしてるし、本当に先輩なんだなぁ。

 

 聞いた話では、前にも名前が出た観鳥さんって人が一緒のほうが多いらしい。都合が合わなかったとかでひなのさんが来たんだとか。

 

 

 

 会場では他の参加者の人たちと出会った。この人たちと勝負するんだって緊張したけど、知ってる人がいて少しやわらぐ。

 

「れいらさんだ! 偶然だねー!」

 

 例えば、団地で助けてくれたひみかさん。今日は妹さんに弟さんを連れて来てるみたいだった。「負けないからねー!」って元気な声を聞いてやる気が増した!

 くれはさんは他にも知り合いがいるみたいで、ひなのさんに監視されながら色んな人と話していた。

 ……よし、もうそろそろ始まる。準備しないと。

 

 係の人に案内されて配置につく。

 まなか先生との練習を思い出せ。動きは手に馴染んでる。だからやってみせる。

 

 準備も終わって、あとは開始を待つだけ。

 少し後ろからはひなのさんが見守ってくれている。

 

「頑張ってたって聞いてるぞ。きっと大丈夫だ! な、帆秋! ……帆秋?」

 

 隣にいたはずの帆秋さんがいない。心配だけどもうすぐ始まってしまう。

 審査員側の人も席に着いた。次々と紹介されていく人はみんなすごそうな大人の人で――

 

「特別審査員の帆秋くれはさんです!」

「よろしく」

「な、なにやってんだアイツはーっ!?」

「ストップ! ひなのさんストップ!」

 

 いや私も驚いたけど!

 澄ました顔で堂々と審査員として席に座ってる! 急ごしらえなのか他の人と違うネームプレートに『帆秋 くれは』って書いてあるし間違いない。今、ひなのさんやひみかさんの気持ちが理解できた。

 

「……わかったぞ。やる理由もどんな方法を使って働きかけたかもわからんが……アイツ、見た目だけは良いからな。いわゆる『アイドル枠』だ……」

「アイドル……?」

 

 アイドルってもっとこう……いや、やめよう。

 もう私はこのことを考えないようにした。雑念、雑念。今はただケーキを作ることに集中する!

 

 失敗しないように確認して作っているからか、他の人たちは先に完成させていく。焦っちゃうけど……ここは我慢。

 

「裂きいかとハチミツを合わせたおつまみスイーツ!」

「独創的ね」

「安定感が足りなかったかー」

 

「愛を込めて作った乙女のスイーツ!」

「……甘い」

「えぇーっ!? あ、ほんとだ甘すぎる……」

 

「ゴマ団子!」

「50点」

「ふがーっ!」

 

 残りはあと二組というのを係の人が教えに来てくれたところで気づいた。

 ……ケーキに必要な『ウォールナッツ』がない! 聞いてみたら手違いで用意されてなかったみたいで、謝られた。これがないとウォールナッツケーキじゃない。でももう時間がない。

 

 まなか先生に電話で助けを求めると、起きたことを把握してその上で私に言ってくれた。私の閃きを信じる、って。

 でもどうすれば……ヒントを探す私の肩に手をかけたのは、ひみかさんだった。

 

「話は聞きました。これ、使ってください! ナッツです!」

「そうか! それはおそらく塩気がある……ならば甘みを引き立てるはずだ! いけるぞれいら!」

 

 二人が背を押してくれる……!

 その閃きを信じて私はウォールナッツケーキにアレンジを加えた『おつまみナッツケーキ』を完成させた!

 審査員の人たちの評価も上々! くれはさんも真顔だけど多分喜んでる!

 

(や、やった……)

 

 やり遂げた。多分これで大丈夫だ。あ、まなか先生に報告しないと……。

 

「それでは最後は――静海このはさんです!」

「……こ、このは」

 

 背後から聞こえたくれはさんの弱々しい声に思わず振り返った。集中しすぎてこのはさんがいたことに気づかなかったことにも驚いたけど、それよりも衝撃だった。

 だって、あのくれはさんだよ? 尾行してたり練習で作ったケーキを全部食べちゃったりするあのくれはさんが怯えている?

 

「待たせたわね、くれは。今回はあなたを驚かせてあげる……この『あやめのアイス』で!」

「……の、ののの、望むところよ」

「ああっ! 帆秋の目が泳いでるぞ! 顔面蒼白でキャラが維持できてない!」

「このはさんってそんなに……?」

 

 ひなのさんの言う通りの姿。そんなの見たことがない。

 くれはさんは震える手でそれを口に運んで……。

 

「た、食べたっ!」

「……ど、どうしたんですか。動きませんよ」

「あれは……目を開けたまま真顔で気絶してるんだ……」

 

 そのままくれはさんは裏の控え室に運ばれていった。

 結果発表でウォールナッツが優勝して、スイーツコンテストが終わっても寝込んだままだった。採点にも関わってないから本当に食べに来ただけだこの人……。

 

「さすがね。やはり手強い……次こそは……!」

(ごめん止められなかった……)

(あちし、あれ食べるの……?)

 

 ……うん。色々あったけど、無事にスイーツコンテストは終わった! 無事に! 無事だよ?

 今からせいかの誕生日が待ち遠しいな!

 

 




■今回の内容
 相野みと 魔法少女ストーリー 1話 『花が繋いだ縁』
 伊吹れいら 魔法少女ストーリー 1話 『出会った一品!』
 伊吹れいら 魔法少女ストーリー 2話 『まさか私が!?』
 伊吹れいら 魔法少女ストーリー 3話 『見つけたレシピ』

■このは
 まだダメ。
 帆秋ちゃんの不正審査を未然に防いだ英雄。

■K
 このは。このみ。くれは。
 並ぶと紛らわしい。

■参加者の方々
 ウォールナッツ。ひみか。50点。あいみ。このは。
 ウォールナッツが強すぎる。

■このみちゃん
 すぐ近くに、変な行動をするけど自分のために一生懸命になってくれる人がいる。
 年下だけど頼れてよく手伝ってくれる、大事な人が。


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