マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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パート74 内なる常夜の夜明け 前編

 

 二木市に乗り込むRTA、はーじまーるよー。

 

 というわけで第3章。『内なる常夜の夜明け』開始です。

 なんと今回はういちゃんが攫われてしまいました。誘拐なんて許せへん……許せへんアタイッ! 

 

『そ、そうなんです……! ういが――』

 

 そんな話を聞いて居ても立っても居られないくれはちゃんは全力ダッシュ。走りスマホでいろはちゃんに電話してますがここで選手交代。帆奈ちゃんにも電話して確認してみましょう。

 もしもーし、ラピヌお姉さま帰ってきた?

 

『いやぜんぜん。探しに行こうと思ってたんだけど……あんた待ち合わせしてたんじゃなかった?』

 

 あれれ~不思議ですよねぇ。ラピヌお姉さままでいません。

 

 そう!

 小学生並みに小さくて!(ういちゃんポイント+10)

 髪がピンクで!(ういちゃんポイント+10)

 ういちゃんが好む私服を着た!(ういちゃんポイント+20)

 

 あの! ラピヌお姉さまがいません!

 そして待ち合わせ地点はういちゃんが攫われるはずのポイント。(思惑に)キヅイタカ。

 

 実はこの誘拐イベント、不思議なことに特徴が似ているキャラを配置しておくと一緒に連れて行ってくれます。だから柚希姉妹とのショッピングで、ういちゃんにあげると信頼度が上がるものばっかり買っておく必要があったんですね。

 今回はういちゃん度60%ぐらいでしょうか。レナちゃんに変身させたら120ぐらいじゃないっすか? 危険度がね……。

 

 にしても、いったいどこに攫われてしまったのでしょうか。

 手がかりがない、主犯もわからない。困りましたねぇ。

 

 順当に進めるためには、小さな白タヌキがなんかやったり、暗号を解読したりとちゃんとした手順がありますが……。

 

 うるせ~! 知らね~!! 

 NAYUTAN EXPRESS――

 

 やちよさん伝統の技で一発解決。ラピヌお姉さまに渡したスマホのGPSを使えば簡単ね……簡単。ぐっちゃぐちゃにしてないことだけ祈りましょう。

 

『え? プロミストブラッドの二木市に行く? どんだけ距離あると思ってんの? どうやって――ちょっと待って、この風切り音……走ってるの!?』

 

 さっきも言いましたが既に猛ダッシュ中です。

 プロミストブラッドはミラーズワープを使って即座に帰還できますが、こっちはまだ見つけてないからね仕方ないね。

 

 もちろんずっと走るわけではなく、電車を見つけたら飛び乗ってダイナミック無賃乗車で短縮します。良い子の教育に悪いってそれ一番言われてるぞ。現実では……ルールを守ろうね!

 

『ああ、もう……久々だよこういうの! あたしも行くから!』

 

 では二木市に着くまで暇なので、ちょっと解説しておきましょう。

 

 この誘拐イベントはプロミストブラッドが発生させるものです。

 第3章で起こりうるパターンのうち、影響力が低くても起こるので結構な確率で攫われてしまいます。

 ういちゃんの救出に失敗すると、神浜マギアユニオンに大打撃どころかエンディングまでの道筋が狭まるので、ミスドスタートの場合の分岐点でもありますね。もちろん事前に防ぐことも可能なので良心の痛み所さん!?

 

 じゃあなんで攫わせたの? バカなの? 

 とお思いのあなた! そんなガバガバでRTAなんかできるわけありません。当然チャート通りです。

 

 理由は単純。ミスドに潜入中のフォークロア所属魔法少女、主犯の『有愛(ゆめ) うらら』と遭遇することができるからなんよ。どうせ回避できないなら利用してやればいいんよ。 

 

 なにより、このタイミングを逃すとまたミスドに殴りこみに行くか、条件を満たさずフォークロアの拠点に殴り込みに行かないといけません。信頼度上げはできませんが面識だけは作っときましょう。かごめちゃんにも教えられるぜ。

 

 じゃ、到着まで流しますね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 いざ二木市と勢いよくやってきたはいいものの~知ってる顔がいる~。

 

「ああ、来た来た。雫呼んでけばいいのに」

「待ってました」

 

 なんで呼ぶ前に来てるんですか?

 

 雫ちゃんの『空間結合』によるワープはバランスブレイカーで非常に便利ですが、本人が好き勝手に利用されることを好まないので使い所さんが肝心です。

 

 今回はくれはちゃん電話越しの迫真説得で呼ぶつもりでした。もう二木市にいるんで危険が危ない! 来てください! で来ます。日頃の喫茶店通いはこのためです。

 しかし、彼女にとって重要度が高い状況ならこのように勝手に来ます。そんなにういちゃんと会ってたんですかね?

 

「くれはさん関係で呼ばれるときは本当に必要とされてますから。それに令さんにも頼まれたんです。力を貸してあげて欲しいって」

 

 良い後輩を持ったなあ~!

 南凪パワーが炸裂! 短縮! 希望の世界記録待ったなしですねこれは……間違いない。

 

「あと忘れてるかもしれないけど、自動浄化システムはないんだよ。ドッペルは使えない。こんなところに今のあんたを一人にできない」

 

 そうだよ(肯定)。帆奈ちゃんの優しさ感じるんでしたよね?

 見滝原に行った時もそうでしたが、神浜市を一歩出ると自動浄化システムの恩恵はなくなります。だから最速で行動して最速で帰りましょう。

 

 じゃあ雫ちゃん、今から言うメンバー連れてきてくれよな!

 

「なんでくれはさんは走って来たんですか?」

 

 なんのこったよ(すっとぼけ)

 

 

 

 ~少女ワープ中~

 

 

 

 揃えました。

 今回のこっちの戦力はこちら!

 

「ここが二木市……ういはここにいるんですよね」

 

 まずはういちゃんの関係でとりあえずビール感覚のいろはちゃん。

 

 今のいろはちゃんは第一部の頃と比べたらういちゃん一直線っぷりが見えないように感じられますが、失うと当然大ダメージを食らいます。

 ういちゃんのためにマギウスの翼を解散させた負い目とかあるんじゃないですかね?(適当)

 

「ラピヌちゃんもいなくなったんですよね? 今はネオマギウスのくれはさんに頼むのは変かもしれませんけど、お願いします。協力して探してください」

 

 あっ良いっすよ。そのために呼んだんだからな~わざわざ神浜市から(余計なお世話)。

 

「私は雫ちゃんにみかづき荘のみんなや十七夜さんを連れてきてもらってから行こうと思います。急ぎたい気持ちはあるんですけど……」

 

 ここポイントです。

 一気に全員呼んでくるとそれぞれの会話でタァイムが伸びてしまうので、いろはちゃんだけを呼んだんですね。キャラが多すぎるっピ!

 

「帆秋、話は終わった?」

「な、なんでぼくたちまで……」

 

 あとはこちら、現ネオマギウスのみなさんです。 

 みなさんご存知の通り、魔法少女のみなさんは一緒に行動すると信頼度が上がっていきます。だからパトロールなどをしたり遊んだりしてたのですが……実は一緒に戦うことでも上がるんです。吊り橋効果でちょっとチョロいんじゃな~い?

 

 というわけで、信頼度上げの時間が短いネオマギウスのみなさんを引き連れてカチコミ。いくぜ!

 

「教官とくれはさんだけでいいんじゃ……」

「いえいえ、燦様は安積たちを実践で鍛えようとしてるんですぅ」

「私たちがユニオンのために戦う理由はないけれどね。実地研修と帆秋の関係がなければ来ないわ」

「ですです! 火祭り復興の兆しの恩返しを!」

 

 既に動きがフリーとなっている燦ミユコンビが頼れて良いですね、ええ。

 

 さて、ここからはプロミストブラッドのとある拠点探しとなります。

 実のところ、人質自体は誘き寄せるための策で、狙いはいろはちゃんです。迎撃に来たミスドメンバーが策略のひとつとして案内するのが橋の下から行ける下水道にあるカタコンベ。そこで攫った人質は死んだと嘘をつき、魔女化させる作戦なんですね。

 

 人質は本来、蛇の宮の拠点であるゲームセンターに配置されますが、人質が2人以上いる場合かつ所属勢力が違う場合、敵対度が高いほうは別の場所に配置されてしまいます。丸焼き拷問を受けて魔女化とかあるらしいっすよ?

 まあラピヌお姉さまは元に戻るんで痛くも痒くもないんですけど。ミスド冷えてるか~? そのためのネオマギウス加入? あとそのための敵対? 

 

 ゲームセンターにいるういちゃんはいろはちゃんたちがどうにかします。ラピヌお姉さまで人員が割かれているので余裕です。

 ラピヌお姉さま自体の回収は帆奈ちゃんに行ってもらいましょう。

 

 こっちもお姉さまを捜索……なんてするわけなんてねーよ!

 二木の北にある川の橋の下目指して直行。下水道を進んだ先で会えるやつなら最高や。

 

「えっ、どこ行くの」

「本当に行動が変ね……」

 

 クキキキ……。

 手っ取り早い正解を選んでるのにボロクソ言われてますね。悲しいなぁ。

 

 移動中は暇なので四名について解説しておきましょう。

 

 『宮尾 時雨』はパチンコという他と比べたら貧弱な武器を使う遠距離型魔法少女です。ペレネル先生に冶金してもらったほうが良い……良くない?

 身軽ではあるものの、はっきり言ってまさしく一般黒羽根の能力値なので、きちんと育てないとワンパンでやられてしまいます。

 

 『安積 はぐむ』は大剣を武器にする近距離型魔法少女なのですが……筋力が足りてないのか武器を扱いきれていません。やはり黒羽根ですね。

 しかし、彼女が持つ固有魔法は他の魔法少女と一線を画す『魔女特効』。文字通り魔女への攻撃力が強化される超魔法少女向きの有能固有魔法であり、限界まで鍛え上げた場合はワルプルギスの夜すら一刀両断できる可能性を秘めてるらしいっすよ? 第一部はぐむんチャート見たいけどな~俺もな~。

 まあ、第二部はキモチ戦や対魔法少女がほとんどで活躍できる場面がありません。なんで?

 

 ネームドがこの二人だけじゃネオマギウスはもう終わりだぁ!(レ)

 そこでテコ入れの彼女たちです。

 

 『神楽 燦』はガトリングで戦う遠距離タイプ。元白羽根の中でも最上位の実力を持ち、みっふとも戦える戦闘能力を持ちます。

 特にヤバいのが固有魔法の絶対防能力。外部からの攻撃を完全シャットアウトするチート固有魔法です。これで防御しつつ弾幕を張る一方的な攻撃ができます。ただし、内側に作用する毒などは効くのでみゃーこ先輩に非常に弱いのはご愛敬。

 

 対して『遊狩 ミユリ』はローラーブレードを武器にする近距離タイプ。

 普段ですです言ってあがり症な彼女ですが、緊張が極度に達すると意識がぶっ飛びマジバーサーク。固有魔法の体感時間短縮により超スピードで移動し敵味方関係なく切り刻むマシーンと化します。だから教官が制御する必要があったんですね。

 

 燦様が無敵状態で後方から連射しつつ、ミユリが前衛で敵をかく乱して切り刻むという理にかなったコンビです。しぐはぐはオマケ……ってコト!?

 

 そんなこと言ってたら到着しました。

 

「ええ……? 本当に、この中?」

 

 時雨ちゃんの眼差しを受けつつ下水道に突撃。この先に目的地はあるぜ!

 まっすぐいってー光が見えたらはい突撃!

 

 オッス(開幕カトラス)。

 

「結菜さんッ!」

「っ――『対象変更』!」

「帆秋の奇襲を防いだ……宮尾、安積、後ろにいなさい。ミユ、あなたもまだ戦わないで」

「は、はいですぅ!」

 

 ここが目的地のカタコンベ。いたのは結菜さんとひかる……だけですね。

 チャート通り残りのメンバーはういちゃんとラピヌお姉さま関係で作戦準備中といったところです。お前のここが隙だったんだよ!

 

 旧車両基地のように爆破することも可能ですが、取り返しのつかない溝ができるのでやめましょう。(攻めの度胸が)小っちゃいすよね。

 

 ミスドと戦闘開始したので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地下に広がる洞窟。薄暗い空間。

 ここが二木市の地下墓地――カタコンベ。

 

 魔法少女はいつ死ぬかわからない。どんな大きな怪我を負い、醜い姿に成り果てるかもわからない。

 一般社会ではありえない死に方をし、親族に見せられない姿になったとしても、同胞がここで弔う。そのための場所。

 

 壁に空けた穴が墓穴であり、遺体を収めて封をする。

 下水と死の臭いが立ち込めたこの空間は、初めて来る子たちには酷な場所でもある。

 

 ここの死者の多くは、"血の惨劇"での死者だ。

 魔女が減り、グリーフシードを求める縄張り争いが食い扶持を減らす地獄へとなってから、来ることも多くなった。

 

 犠牲者の無念を見るたびに、雑念が湧いてくる。

 

 ――覚悟を決めて樹里を手早く殺せば良かった。

 

 ――他の市に遠征に行けば良かった。

 

 ――キュゥべえを狩ったのだから魔法少女が減り、いずれにせよ魔女は枯渇した。

 

 ――だから、これは空回りの八つ当たり。

 

 そんな考えを怨嗟の声がかき消して新たなる怒りが身を包む。

 

 こんなところで止まるわけにはいかない。私は二木市のみんなを守らないといけない。幸せにしないといけない。神浜という敵を作り、纏めたのだから、突き進まないといけない。

 

 そうだ、神浜だ。

 魔女を奪ったマギウスが憎い。自動浄化システムの恩恵を受ける魔法少女が憎い。あいつらが、あいつらさえいなければ、二木市はまだ――

 

「……結菜さん」

「大丈夫よぉ……」

 

 憎悪の炎は今も身を焦がし続けている。角が生えて文字通りの鬼になってからというもの、我を忘れかけることが多くなった。いつの間にか先輩の声も聞こえなくなって、散っていった恨みの声だけがさざめくばかりだ。

 

 それでも聞こえたひかるの声に、こうしてカタコンベに来た理由を噛み締めた。

  

 端的に言えば、今回の作戦にアクシデントが生じたため。

 

 神浜マギアユニオンのリーダー環いろはを潰すため、その妹である環ういをさらった。そこまではいい。

 人質自体もどうでもいい。自動浄化システムの外側に誘き出し、精神を追い詰めて魔女化させるのが目的なのだから、奪い返されようが本当に魔女化しようが構わない。

 

 そのはず、だったのだけど……。

 蛇の宮のゲームセンターでの、頭が痛くなる光景を思い出した。

 

『小学生ぐらいの身長ねぇ……』

『桃色の髪だな』

『パーカーとスカートだね』

『やっぱり同じなんよ』

『どうして二人いるのよぉ……』

 

 私も樹里もアオも、そんなことを口々に言っていた。

 最近新たに加入した有愛うららが言うには、不思議なことに両方ともあっさり捕まったそうだけれど、環ういが二人も存在しているわけがない。

 

 つまりはどちらかは無関係の誰か。

 その結果は、最悪のものだった。

 

『……いっひひ』

『――いや、コイツは!』

 

 初めに気づいたのは樹里。遅れて、アオだ。

 共通するのは先日の戦闘で一緒だったということ。そう、無関係の誰かとは――帆秋といた、ラピヌと呼ばれたウサギのような魔法少女だった。

 

 彼女の戦闘能力は報告を受けて知っている。

 本人はすばしっこく、空中に浮かべたウサギを模したユニットから光線による射撃を行う。なによりも凶悪なのは、ユニットに"視線"を向けられると変身が解除されるという異常性。攻撃が当たらず、さらには攻撃を強制停止させられる。その二つが組み合わさり、非常に厄介だ。

 

 作戦が読まれていたのか、あるいは、本当に偶然か。

 そいつは変身して暴れ出すと、本物の環ういを放っておいて二木市へと飛び出していったのだ。

 

 アレを放置するわけにはいかない。環ういはそのまま配置し、他の手の空いているメンバーは捜索に出ていった。

 

 ……えぇ、認めるわぁ。戦力分散・疲労のための囮なら、まんまとしてやられた。

 私とひかるがカタコンベにいるのは、万が一にもここに突撃されて破壊されることを防ぐための保険。ひかるは連絡要員であり、今は発見を待っている。

 

 なぜならば、一度タネがわかった以上、私の『対象変更』で逆にあの子の変身を解除できる。

 

「来てみなさいぃ……逆に潰してあげるわぁ」

 

 神浜マギアユニオンの連中が誘拐に気づいても、二木市にいると発覚するまでには時間がかかる。それまでの間にこの問題を片づけて準備を――

 

「結菜さんッ!」

「っ――」

 

 頭が切り替わる。

 視界が向く。鋼が煌めく。

 反射的に『対象変更』を放つ。

 

 次第に理解する。カトラスの一撃が私を狙っていたのだ。身代わりにした地面は大きく抉れており、威力の高さを物語っていた。

 

 仕掛けたのは当然、見知った緑色だった。

 

「――」

 

 この目は。

 この顔は。

 

 癪に障る。

 

「はあァッ!」

 

 全力を込めて金棒を振るう。

 避けられたものの、それでいい。距離を取らせることが目的だもの。

 

 用意周到なこの存在が一人で来るわけがなく、やはり入り口のほうに魔法少女の姿を視認する。

 斬りかかってきた帆秋の後ろで、援護のつもりか両腕と頭にガトリングを付けた妙な魔法少女が銃口をこちらに向けていた。あとの三人はそのまた背後にいる。

 

「相手は……五人っす」

「三人よぉ」

 

 ヘルメットを被ったのはともかく、おどおどとしている緑色と赤色の二人は戦力にならない。

 

 だけれど、そんな見かけ上の数はどうでもいい。

 ここはホームだ。数を増やせるひかるがいて、『対象変更』がある限りそう簡単に負けることはない。

 

 だからそれ以上に、ありえない事実が頭を悩ませた。

 

 あまりにも、早すぎる。

 誘拐してからどれだけたった? なぜ二木市だと気づけた? いやそれよりも――なぜ、ここに来れた?

 

 ……考えるのは後ねぇ。

 

「いきなり攻撃するなんてねぇ……あまりここで戦って欲しくはないのだけど」

「なんで」

 

 帆秋は眉ひとつ動かさず、"そんなことは関係ない"とばかりに短く言った。

 

 敵地で相対しているというのにかなりのポーカーフェイスだ。嘘をつくのに慣れている。

 誰かに教えてもらいでもしない限り、ここを看破することなどできない。ならばどういう場所かも知っているはずだというのに。

 

「見てわからないっすか? ここは地下墓地っす」

「えっ、ぼ、墓地……!?」

「し、時雨ちゃん……」

 

 逆に、あっちの反応は素直ねぇ。

 

 ここに来られたのは不都合だった。

 だけど、狙いを環いろはから帆秋に変えれば、途端に一つの策略が浮かび上がる。その表情を崩すのに最適な一手を。

 

「……ひとつ気づくことがあるんじゃないかしらぁ」

「なに」

「帆秋るいの墓はそこよぉ」

 

 カタコンベの一角。赤色と桃色のゼラニウムを供えてある箇所を示した。

 

 返答はない。無視されたわけではないのは、見開いた目が証明している。

 視界の先にあるものの意味を理解したのだろう。足早に近寄って行き、その花を手にした。

 

「……でも」

「いいえ、花だけじゃないわぁ。一緒に供えてあるイヤリング、あなたなら知ってるでしょぅ……」

「え――こ、これ……誕生日に、プレゼントした……」

 

 この場所は、帆秋にとっての致命的な場所だ。

 

 血の惨劇の際、帆秋るいを殺したのは私。間違いなく真実であり、騙るつもりなどない。

 そうだ。甘い考えをしなければ、作戦を間違えなければ――私を庇い、死ぬことなどなかった。

 

 元から先輩に伝手があったのだという彼女は、自分は自由を選んで逃げたのだと言った。

 どこで暮らしていたか、どういう生活をしていたかまでは詳しく知らない。 

 

 あの戦いで、何人も死んだ。数で言えばその中の1人でしかない。

 それでも……死んでいった彼女たち全員は、今や同じく仲間であるのだから。

 

「もう、わかるでしょう? 帆秋るいは確かに二木市で死んだのよぉ」

 

 深く、自分に言い聞かせるよう、染み込んでいく。

 虎屋町だけでなく、竜ケ崎と蛇の宮を纏めた今、情は捨てた。だからこそ、似ている姿が決心を揺らがせるようで不快でしかなかった。

 

 きっとあなたにも、思うことがあるのでしょう。

 だけど。だけど――邪魔なのよ。

 

 振り向いたその顔を見ると、思い出してしまう。

 彼女を。助けられなかった子たちを。魔女になった先輩を。

 

 私は殺す。相手が誰であろうと殺す。誓った日から、変わらない。

 

「……言ってたわね、姉さんから話を聞いたって。……優しかった?」

「ええ、とっても」

 

 その瞬間、帆秋の力が抜けたように見えた。安堵や安心といった正の感情ではなく、脱力や呆然という負の感情であることは十分わかる。彼女からしてみたら、親しかった姉が自分を置いて私たちと仲良くしていた証明になるのだから。

 

「う――く……」

 

 帆秋からなんらかの魔力の波が流れた。

 金棒を止めた魔法だろうか。途端に帆秋の感情の波が落ち着いたように見える。

 

 だからこそ、決別の時にちょうどいい。仕留めるべきだろう。

 

 もっとも――向こうもそう簡単にさせてはくれない。

 「隙だらけよ」との声と共に銃声が響き、ガトリングガンが器用にも私の腕を狙って放たれる。カタコンベの意図を少しは汲み取ってくれているようでも、援護を優先したらしい。

 

「警戒の必要がないからよぉ……『対象変更』」

「ぐッ!?」

「さ、燦様!?」

「こっちも固有魔法を使ってなかったら危なかったわ……」

 

 攻撃の対象を、そのまま跳ね返す。

 つまりは私への銃撃のダメージをその腕に与える。

 

 もう昔の私じゃない。先輩と訓練し、血の惨劇をも超えた今、この固有魔法は復讐を果たす最強の力と化した。

 どこにいようが恨みをぶつけられる。私が受ける痛みを突き返してやる。誰一人この恨みから逃すものか。そのためならば、いくらでも魔力をくれてやる。

 

 限度を超えた使用をすると魔力消費が激しくなるものの、近接戦闘なら無敵に近い。

 唯一欠点があるとすれば、私が認識できないものには魔法をかけられないこと。帆秋やさくやといったスピードのある相手にはその隙を突かれるかもしれない。

 

 だけど、そんな欠点も既に潰した。

 もう帆秋の()()()()()()()()。これでいつでも『対象変更』を使える。

 

「結菜さん、準備できてるっす。正面から戦うのならいつでも」

「ミユは、ミユは、緊張してトンじゃいそうですぅ……!」

「宮尾、後方から援護しなさい! 安積は護衛を!」

「やっぱり、来なければよかった……」

「わ、私、頑張るから……!」

 

 こういう状況を一触即発というのだろう。

 私の指示があれば、今すぐにでもひかるは勇猛果敢に飛び込んでいくに違いない。

 

 ここがカタコンベでなければ、それでも良かった。

 

「いいえ」

「待って」

 

 奇しくも、私たちが静止の声をかけたのは二人同時。

 帆秋と目が合い、口を開くのも同時だった。 

 

「殺せばここで終わる。だけど、それじゃ、違う……」

「……甘いわねぇ」

 

 せいぜい、利用させてもらうわぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果を言えば、作戦は失敗だった。

 樹里やアオと連絡を取ると、帆秋たち以外に別動隊がいたらしく、そちらが環ういを救出していったそうだ。

 

『違います! 私たちはプロミストブラッドを潰そうだなんて考えてません! ただ、争いを止められたなら……』

『あなたもぬるいことを言うのねぇ……」

 

 遭遇した環いろははそんなことを訴えかけた。

 ワープできる固有魔法を持つ魔法少女を使った奇襲に、司令塔の私を狙った陽動なんてずいぶんと用意周到なことをしておいて、よく言うわぁ。

 

 だけど私たちだってやられっぱなしでいいわけがない。

 私たちのワープと違う方法がわかった。次に神浜に向かったら『対象変更』で保澄雫という魔法少女に呪いをかけてあげる。飛ぶ先の『対象』をランダムに変更する。これでもう、どこに飛ぶかはその時次第になるだろう。

 

 けれども……やはり、最大の障害は帆秋だ。

 キモチとの戦いには姿を見せないものの、ここぞという時に邪魔をしてくる。私よりも頭の切れる存在。これでは今後の作戦にも支障が出るに違いない。

 

 本人を潰せればいい。

 だけど調べた情報では他の魔法少女と行動していることが多く、それも普通の魔法少女と比べたら力の強い者の割合が高い。容易にはいかないだろう。

 

「……なら」

 

 本人ではなく、近い者を。

 それも特に親しくしている者を。

 

 行動パターン、能力、持っている固有魔法、関係性。キモチ捜索以外の行動は、そういった様々なものを調べることだけに注力して機を待つ。力押しだけが戦いじゃないのだから。

 

 叫ぶ怨嗟の声が、少しばかり騒がしくなった気がした。

 

 

 

 




■今回の内容
 第二部第3章『内なる常夜の夜明け』

■あらすじ(むすんでひらいて座談会)
 ・二木市における環うい救出作戦

■なんでこんな早いの?
 RTAだから。
 宇宙の意思ならぬRTAの意思っすよ結菜さん!

■結菜さん
 チャート通りに作戦を進めていたら横からRTAの化身が衝突してきた。
 そこでオリチャー発動。リカバリーはねぇ、自信あるのよぉ……。

■ネオマギウス
 弱体化していない&パシリになっていないのでイベント発生が遅れている。
 それはそれとして二木市には送り込む。

■赤色と桃色のゼラニウム
 番外編『ふゆぅ服と冬のブロッサム』での内容。
 今でもくれはちゃんは買って飾っている。 

■くれはちゃんの姉
 なんやかんやで『Crimson Resolve』のBAD ENDを回避してくれた。
 命を懸けてチャートを守る一族の鑑。

■カタコンベで戦っていいの?
 本編でも結構戦ってるのでいいらしい。
 (カタコンベ)おっ、大丈夫か大丈夫か。

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