マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート 作:みみずくやしき
さっさと第4章を終わらせるRTA、はーじまーるよー。
さて、そろそろ第二部第4章『彼方の群青』の開始時期です。
突入条件はキモチの石が残り2つになること。この章内で8つのキモチの石が出揃い、本格的に争奪戦が開始するわけですね。(争奪戦やらないので関係)ないです。
ここまで各グループの方々はキモチと戦い、誰かが腕輪の所持者になったりと大変だったことでしょう。
しかし、無所属もしくは序盤のネオマギウスの場合は一切やらなくても進めるので大幅な短縮になります。そういう意味でもネオマギウスを利用するだけして抜ける意味がありました。
すべてのキモチが出揃ったあとは腕輪の奪い合いとなります。
正々堂々腕輪持ち同士でバトルしても良し。腕をぶった切るなどの実力行使の残虐ファイトをしても良し。命を預けられる相手なら直接受け渡しも可能と自由度が高いのはええぞ! ええぞ!
難易度ノーマルまでならキモチの石争奪戦に参加するメンバーが各グループ12人までに絞られるルールが発生し、非参加者は守られますが、ハードモードにそんなものはありません。キモチくんさあ……ちゃんと選んでる?
なので、プロミストブラッドを放置していたら神浜魔法少女闇討ち皆殺し戦法が来ます。
そ……それをやったら……戦争だろうがっ……! と地獄のカーニバルが開催してしまうので、事前に拠点を爆破しくれはちゃんに狙いを集中させる必要があったんですね。オラ来い! 逃げも隠れもせんぞ!
下準備は色々と済んでいるので争奪戦はスルー。
プロミストブラッドの影響力を削いだので注意するのはくれはちゃんだけでヨシ。
こうして対処しているとどうなるか……であることを意味していますよねぇ?
そう、第4章、ある1つ以外はやることがありません。
プロミストブラッドが行動を抑えているので、いろはちゃんが協調路線を提案してもそもそも姿を現さず対話が始まりません。
この対話は下手するとプロミストブラッドへの全面降伏に繋がるので、ハードモード以上では発生したら現場にカチコミに行く必要があるのでロス。事前に防がなきゃ(使命感)。
さらに、襲撃がなくなるということは、みかづき荘の窓ガラスがパリーンと割られて北養区にあるクレセントハウスに移動……というイベントを見ることがなくなり、わざわざ遠い場所に様子を伺いに行く必要さえなくなりうまあじです。
南凪のコンテナターミナルでのキモチ戦もあることにはありますが……ここは最低限さなちゃんがいれば解決するので特に関わる必要もなく。
すべてに対処済みとはなんと見事なチャートなんでしょう(自画自賛)。
あとはタイミングを見計らってやることやるだけで第4章終わりっ! こんな簡単でいいとか笑っちゃうぜ!
「│で、先生が言ってた。参加するなら南凪自由学園の生徒として恥ずかしくない行動をするようにって│」
「それくれはに向けて言ってないだろうな……」
「│視線の先にいたのはくれはだった│」
「はーっ! だと思った! もーアタシはツッコまんからな!」
本日はみゃーこ先輩以外本部員がいるか怪しい化学部からのスタートです。
ワルプルギスが壊した(責任転嫁)中央区復興のボランティア募集の話が聞けたり、相変わらず学業をおろそかにしているくれはちゃんがボロクソ言われたり……ということでした(散々)。みゃーこ先輩はくれはちゃんの未来を心配してくれてる先輩の鑑なんだよなぁ。
「……そういや、令はどうした」
「│新聞部。やることがあるって言ってた│」
「観鳥報かぁ? アレ結構人気だからな、今日のネコ日記を楽しみにしてるヤツがうちのクラスにもいるし、そうそう休刊ってわけにもいかないよなぁ」
「│私もくれはも楽しみにしてる│」
「オマエたちは手伝わないでいいのか?」
「│今日は1人でいいって│」
あっそっすかぁ!? ありがとナス!
新聞部に向かえなんて目標が出てきたらロスでした。先輩の手を借りずに未然に防ぐなんてこちらは後輩の鑑ですねこれは……。
では、全身フリー状態に堕ちたくれはちゃんは第4章終盤までの間になにをするかというと、いい加減にアリナ先輩の様子でも確認しましょう。
第一部での対ホーリーアリナの決戦の際、ねむちゃんの特攻を止めてかりんちゃんによるウワサ強制解除で勝利したため、アリナが行方不明になっておらず、今回は記憶喪失にもなってません。
あの傍迷惑なマジカルアーティストは第二部になってもやはり落ち着いてくれず、ホラホラホラホラ(通常攻撃)と暴れまくり。
自由気ままなので放っておくと勝手に他のグループと対立したり、無駄に強いためいつの間にかキモチの腕輪8つ持ちのアリナ・グレイ(キモチver)と化したり、チャートが壊れ壊されマジ狂い! やめてくれよ……(絶望)。
そんなわけで変な行動しないように時折釘を刺す必要があるのですが、くれはちゃんがずっと横にいるわけにもいかず、だいたい能力差が激しいので止められません。
こんな登場するだけで画面がクソデカ緑文字で埋め尽くされて動作の一つ一つが切り抜かれる女に勝てるわけないだろ! いい加減にしろ!
ではどうするか、みたけりゃ見せてやるよ(窓から脱出)。
◇
オッス(スライディング登校)。
「あっ、またこの人!」
「もう慣れてきたねぇ~……」
二度あることは三度あるって名台詞を知らないのかよ?
やってきましたアリナ先輩のホームグラウンド、実学の栄総合学園。蛍とあかりちゃんの教室に滑り込み会話してみましょう。
「アリナさん? 美術室……じゃなくて、空き教室にいると思いますよ」
「それ以外~……? 同じ学校の魔法少女ってだけだし~……別に仲が良いわけじゃないからぁ……というか、眠いぃ……」
「もー蛍! せめて家に帰ってから寝て!」
相変わらずネムネムの顔の蛍ですが、さすがに学校に泊まり込むなんて暴挙は周囲のメンバーが許さずご帰宅となります。まさかうっかり学校で寝るなんて魔法少女……いませんよね?(工匠学舎を見つつ)
アリナ先輩の居所情報を得たら、不審者扱いされないために蛍を背負って空き教室へ移動。栄総合学園の同行者がいるので怪しまれないわけですね。
「あの……あのっ! くれはさんってば! 蛍を運んでくれるのは良いんですけど、そっちはぜんぜん方向が違くて!」
なんのこったよ(すっとぼけ)。
ガラッとドアを開けてご対面。おう、やってるかい!
「ワッツ? 誰かと思ったらぐうたらスリープガールに――は? なんでアナタが背負ってるワケ?」
「び、びっくりしたの……由良先輩普通に寝てるの……」
あれ~全然おかしな反応が無いですね。
対アリナ能力ピカイチの蛍を横に配置しておくチャートだったのですが、これじゃやる意味が……そういえばアリナ先輩のこの腕輪……腕輪? ア!
「ちょうど良いヨネ、アナタをデリートしたい気持ちをぶつけさせてもらうワケ。変身しなくてもできることが――ヴァアアアア!」
「アリナ先輩ならわたしと一緒にいるの、変なことはさせないの!」
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! 忘れてたあああああ!
よくよく考えてみると、行方不明にならなかったアリナ先輩はスキップ中に発生した『ユメミルサクラ』で監視付き条件付き無力化刑を受けており、変身したら爆発する芸術を体現する存在でした。
パイセンのことなので「アリナはそんなこと気にしないワケ」とでも言ってあっさり自爆しそうですが、かりんちゃんが勝手に強くなっていたので監視も十分。別に栄総合学園に来る必要なかったようです。こんなロスしちゃってさぁ……恥ずかしくないのかよ?
となると……チャート上、記憶喪失になっている魔法少女を把握するタイミングでアリナ先輩は除外してもいいでしょう。これが確認できたのでヨシ。ヨシってことにしようぜ?
じゃあもう用はないので蛍を下ろして窓から脱出。じゃあな! 鏡の魔女に気をつけろよ!
「な、なんだったの……?」
◇
言った側からwwwww株分けの鏡の魔女の結界がwwwwwこんな近くにあるwwwww草生やすな。
本日は悠々帰宅かと思いきや、うっかりエンカウントしてしまいました。
なぁんでこんなくれはちゃんハウスの傍に配置するんですかね~やめたくなりますよ~魔法少女ゥ~。
みなさんご存知の通り、魔女の使い魔は成長するとその魔女になります。鏡の魔女もそこは同じです。
しかし元が強力なためか株分けした鏡の魔女もめちゃくちゃな強さを誇り、魔法少女1人では到底勝てず、魔法少女チームが複数いるような強敵です。
もちろんくれはちゃんが勝てる相手じゃないので、今こそアザレア組と組長たちの力を借りましょう。抗争に関係ない一般通過魔女退治ならなんの問題もない、なんの問題もないね?
しかしなぜこんな位置に……おっと見知った姿。
「さゆみがこっちに来なかった!?」
なんか紗枝ちゃんが来ましたね。
紗枝ちゃん、南凪、株分けの鏡の魔女と来たら……これ『始まりは夢を重ねて』の一部分じゃな?
ノーマルまでなら大東区に近いコンテナターミナルで発生するのですが、ハード以上だと固定されず、紗枝ちゃんの妹が南凪区の魔女結界に入り込んでしまったら発生フラグが立ちます。
紗枝ちゃんは『鏡が写すほんとうのわたし』を通過しているので素直ですし、くれはちゃんへの信頼度もちょっと上がりすぎた感ありますが十分。容易に解決へ進んでいくことでしょう。
というわけでハロハロ~? ななか組長こっち来て?
『そうですか……事情はわかりました。おそらく以前あった南凪の結界と同一でしょう。準備を整えてから挑む必要があるようですね』
申し訳ないが株分けの鏡の魔女と戦ってたらロスなのでくれはちゃんの参加はNG。
いかに組長たちといえど、ハードモードなのでドッペルが発動しないと結構時間かかるかもしれません。紗枝ちゃんの妹が退場したら南凪に亀裂が走るから頑張ってくれよな~頼むよ~。
じゃあなと帰宅するところ電話がかかってきたので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。
◆
壁新聞用の用紙、広げた地図、その上にはプリントアウトした写真がいくつか。目の前に広がる考察の山。鮮明に記憶された情報の断片が、頭の中でパズルのピースのように組み合わさろうとしている。
勝手に新聞部の部室にしている空き教室には観鳥さんしかいない。一人で落ち着いて考える時間が欲しかった。
観鳥さんは、プロミストブラッドに対する決定打を探していた。
考えたのは移動方法だ。彼女たちが住む二木市と神浜市は電車で行き来できるものの遠く、何度も何度も行き来していたらお金が持たない。学生なんだ、そんな無茶はできないだろう。
だからありえるのは、株分けのミラーズがショートカットに使われていること。
鏡の魔女の使い魔が成長した株分けの結界は特殊で、結界が本体へと繋がっている。離れた場所に移動した……という話は、ミラーズの騒動の際にも耳にした。
さらに補強となったのは、神浜に潜入していたプロミストブラッドのメンバーを尾行していたときに聞こえた会話だ。
『まさか旧車両基地が丸ごと崩れるなんて』
『私たちが来た日に襲ってくるとかどうなってるのよ』
『まさかスパイが……?』
『バレてるとしたらそれぐらいしか……』
なんて、帆秋さんがやったネオマギウスの白羽根を助けた行動がもたらした効果と共に、ショートカットでの移動について聞こえたんだ。
こうして探っていたとき、一般のメンバーの他に、笠音アオや大庭樹里の姿が見えるタイミングもあった。
問題はショートカットがある場所だけれど、プロミストブラッドの面々を発見するのは神浜の東側を張ってる時が多い。ユニオンのメンバーから得たプロミストブラッドの目撃情報も並べてみれば東ばかり。拠点があったという旧車両基地だって工匠区――つまり東。
明らかにそのすべてが神浜の東側に集中している。
神浜の東側といえば工匠区と大東区だけど、北養区と南凪区は他の区を挟むように東西に長く伸びている。それこそどちらも新西区と大東区が隣の区だと言えるほどだ。だから一応この2つも北東と南東だ。
プロミストブラッドの立場から考えてみれば拠点を集中させるとは考えにくい。
1つがバレてすぐ近くにもう1つありました、なんて一網打尽だ。観鳥さんだったらよっぽどの理由がない限り、離した場所に拠点を置くだろうね。まあ……都合よく株分けの結界が近くにあればだけど。
それでも彼女たちはまだ時々神浜に姿を現す。帆秋さんたちが救出のために二木市に乗り込んでいったときも、まだ戦うつもりがある雰囲気だったそうで、他に利用しているショートカットがないとは考えづらい。
なら、もう1つ拠点があると仮定して一番相手にとって都合が良いポイントは南東。旧車両基地がほとんど中央区や参京区に近い位置にあり北東側だったのだから、その逆の位置だと良い。加えて、普段人の来ない場所で、バレにくい建物内や地下であると最高だろう。
はてさて、そんな都合の良い場所が神浜にあるのやら。
戦うために情報を集めてたわけじゃないんだけど……なんてぼやきながら、思考は既に場所の目星はつけている。それに従えば指先が自然とひとつの地点を示しだすのは当然だった。
「神浜監獄、か……」
そこは今は使われていない牢獄であり、隠された地下牢があるという都市伝説でオカルト好きの中で噂される場所だ。
もっとも、都市伝説もなにも地下があるのは真実。事実は小説より奇なりって言うけれど、驚くべきことにこれが巨大迷宮とでもいうべき広さで、通路は基盤目状で照明もない。これがたった一人の罪人を隔離するために作られた施設だなんて、いったいどんな存在がいたっていうんだろうね。
隠れる場所なんていくらでもあるだろうし、この中に二木市と神浜市を繋ぐショートカットがあったとしたらそうそう見つかるわけがない。南東に存在する人の近づかない建物って条件にピッタリだ。
「あとは証拠を撮るだけだ。確証が得られれば、プロミストブラッドの急所を突ける……」
カメラを握る手がじわりと汗ばんだ。
らしくなく、緊張しているらしい。
焦っていると言われたら、そうなんだろう。単独行動を窘められてもしかたない。
みんなに頼って一緒に戦えばいいと言われたら頷くしかない。他人に頼るのはとても大事なことで、自分の限界を知っていれば自ずと見えてくる。観鳥さんだって理解してるさ。
けれど、神浜マギアユニオンの方針としては、プロミストブラッドを壊滅させるようなことはしないということだった。
十七夜さんや七海さんは早期にすべてを叩くことを提案していたけれど、こっちにも同様にマギウスと敵対して被害を受けた魔法少女が多いんだから、手を取り合えるはず――妹をさらわれた環さんが協調路線を否定しないのも、各々が持つ感情よりも全体の足並みを優先する一役になっているに違いなかった。広がった際には、彼女たちにも恩恵があるのだから無暗に激化させる必要はないという想いもあったのかもしれない。
ユニオンもプロミストブラッドも、無限に争い続けられるわけじゃない。
この争いはいつか終わる。総力の差、攻める側である立場からして、血を流し続けるプロミストブラッドは徐々に力を失っていく。だからキモチの腕輪を揃えて自動浄化システムを奪うという近い目的に邁進しているんだろう。
だけど、それでも――その前に帆秋さんがもたないんだ。
今、もっともプロミストブラッドからのダメージを受けているのは彼女で、敵対しているのも彼女。
グループ同士の争いが今すぐ話し合いで解決する可能性は夢物語に過ぎず、たとえその僅かな可能性を乗り越えたとしても……そこに、帆秋さんはいるのだろうか。
身体が死ぬ。
精神が死ぬ。
ソウルジェムが砕ける。
一人でも二木市に乗り込んで命を顧みずに戦う。
和解の手打ちとして殺される。
そんなの勝手な妄想だ。その前に止めればいい。
そう思えたら冷静な観鳥さんでいられるのにさ。
今も、花火に照らされた表情が焼き付いてるんだ。
◇
突き刺すような夕焼けの日差しを避ける。自分の影に細心の注意を払い、身体を動かす。
二木市での救出作戦以降、プロミストブラッドのメンバーの目撃が少なくなっている状況を逃すわけにはいかない。神浜監獄へはその日のうちに向かった。
道中、煌里ひかりを先頭にした一般メンバーを見かけたのは運が良かった。彼女たちの足取りは思い描いた方向に進み、実際に神浜監獄に着いたのだから。
(よし、このままでいい……)
正面入り口の前は手入れされていない草むらで見晴らしが良い。
遠くからレンズを覗き込み、入る瞬間を激写する。観鳥さんの指はブレを起こすことなく確実にシャッターチャンスを物にした。
さらに追跡して地下に入ることはさすがに危険だと足を止めた。今はこの情報があればいい。ショートカットが本当にあるのなら潰して、一刻も早くこちらが有利な状況で争いを終わらせてみせる。
しかし――こうしていると、マギウスの翼で白羽根としての活動をしていたことを思い出す。
今の自分の行動は、帆秋さんを助けようと行動して結果的に苦しめることになってしまった、まさしくそれではないかと。
……バカだな、これじゃ、変わらないじゃないか。
帆秋さんを助けたい気持ちばかりが前に出て大事なことを忘れているようで、そんな気持ちがあったから、内部まで入らない選択ができたんだろうと自分の心を理解した。
でも、思い出すのは少しばかり遅かったんだ。
それは変わらなかったことが悪いのか。
他の魔法少女についてきてもらって危険を共有すればよかったのか。
あるいは単純に、運が悪かったのか。
神浜監獄に入ったはずのプロミストブラッドの魔法少女たちが進行方向を変えて出てくる。異様な行動に心臓が跳ねた。
すぐに離れようと背後を振り向くと――既に、鬼がいたんだ。
「食いついた獲物は逃さないわよぉ」
金棒を引きずり、睨む、紅晴結菜が。
「……まさか」
「私たちが来る瞬間を、よぉく撮れた? 決定打を探していたんでしょぅ……? 偶然ねぇ、私達も、決定的な急所を探していたのよぉ」
ジリ、と思わず後ずさった。
しまった。罠だった。マズい。
嫌な汗が流れる。そんな短い言葉が思考を駆け巡り、最良の行動を取らせようと脳が逃げろと命令を下す。相手の数、魔法少女としての実力、そのどれもが届かないと判断をするのは一瞬だ。
「こっちも身を切る覚悟でやっているのよぉ……最高の餌をぶら下げれば、絶対にあなたが来ると思っていたわぁ」
聞き捨てならない言葉だった。
最初から、観鳥さんを狙っていた?
「残念だけど、観鳥さんの命はマギウスほど重くないよ。纏め役でもない。ただのしがない魔法少女ひとりにそこまで――」
「帆秋」
嫌な、予感が当たった。
「あなたが死ねば、彼女は心を乱す。未来が見えるかのような偶然の先回りに邪魔されるのはもう終わりよぉ」
聞き終える前に咄嗟にバズーカを地面に撃って砂煙をあげた。煙幕代わりだ。これで視界が覆われた瞬間、駆け出す――!
「逃げられるわけないでしょぅ……?」
「か、はっ――!?」
金属で地面を殴りつけた音と共に、当たっていないのに腹部に激痛が走る。
肺から空気が押し出されて足が止まる。ここで、終わるわけにいかない。気力を振り絞って、今にも倒れそうな身体を無理やり押し上げて、前を見た。
「帆秋は私の魔法を教えてなかったのかしらぁ……」
なぜ?
いくら砂煙があったとはいえ反対方向に駆け出したのに、どうして目の前にいるんだ?
「『対象変更』。あなたの進行方向の対象をこっちにしたのよぉ。こういう使い方は魔力が減るのだけど、効いたでしょぅ?」
いくらなんでも、それはバカげてる。
どこにでも攻撃を当てられて、逃げることさえできなくて、もしかすると、こっちから攻撃を当てることさえできないかもしれない。
そんな魔法相手に、どうやって戦えばいい。魔力がある限り無敵じゃないか。
魔女化という限界があるにせよ、神浜市においては、ドッペルというさらなる強化手段にすぎないんだから。
「……こんな相手と2度もかち合って、よく帆秋さんは無事でいられたもんだ」
「ええ、忌々しいことにねぇ。1度目は時間、2度目は場所……偶然にしてもよく狙ったもの……ああ、だけど、帆秋は来ないわよぉ」
「どうかな? すぐにでも……」
「ブラフは効かないわよぉ、妹たちを監視につけてるし、こちらに来るのなら必ず足止めと連絡をする。保澄雫にも私が『対象変更』をかけたわぁ。ワープも使えない――絶望して、死になさいぃ……!」
金棒が振り上げられた。すぐに一撃が来る。
逃げられるわけがない。避けられるわけがない。否定の思考は止めようなく溢れ出てきて、諦めろと言っているようだ。
だけど、それでも、帆秋さんなら諦めない。
構えたバズーカの引き金に当てた指に力を入れて、至近距離を撃つ。
当たらなくていい。ただ一瞬、ほんの少しでもというあがきだ。
飛んだ砲弾はやはり外れて、地面を炸裂させる爆音と共に砂煙が舞う。
その刹那、視界に裂いて現れたのは、冷たい金棒。
それはちょうど、観鳥さんの胸元――ソウルジェムへと直撃する軌道。
「あ――」
ダメだ。
これ、死ぬなぁ。
観鳥さんはこんな性格で危ないところに首を突っ込むタイプだから、いつの日かこうなるかもしれないと思ってた。それが、今日だった。
落ち着いてこんなことを考えられるっていうことは、これが走馬灯なんだろう。生き延びるための手段を考える時間って言うけど、もうどうしようもない。
……はあ、昔だったら死んでも両親ぐらいしか悲しまないだろうなって思えたのに。敵を作りがちだからさ、せいせいしたなんて言われる気がしてた。
だけど見たかのように、思い浮かぶんだ。
観鳥さんのために悲しんでくれる牧野チャンが。
涙を流して静かに佇む雫ちゃんが。
気丈に振る舞った後、一人で大泣きするひなのさんが。
死の意味を理解して、思い出を抱き続ける桜子さんが。
それだけじゃない。十七夜さん、いろはちゃん、もっと多くの魔法少女のみんな。観鳥報を見て、話題にしてくれた、学校のみんなが。
でも、どうしてか。帆秋さんの反応だけは、わからなかった。
だからもう一度、会いたかった。
もしも観鳥さんが死んだらどうするなんて、冗談でも言わないことを冗談混じりに聞いてみたかったんだ。
……ああ、死にたくない。
死にたくないなぁ。
ゴメン、約束守れないや。
――なんて、らしくない未練が最期に願うことだった。
「観鳥ぃッ!」
血のような紅の一閃が煌めいた。
ガラスのように脆いカトラスが、金棒を真っ二つに切り裂く。
そう。
“私”は、願ったんだ。もう一度会いたかったと、生きたいと。
なら、その望みを。
救いを求める手を。
あの人が、掴まないわけないじゃないか。
「……約束、したでしょ。あなたは私が守るって」
全身を紅く染めた彼女は、確かに手を伸ばしていたのだから。
■今回の内容
第二部第4章『彼方の群青』
『始まりは夢を重ねて』
■観鳥さん
本来はここで退場する。メインストーリー初めての退場者。後日行われる葬儀では出棺のSEまである。
第一部を書いてた時点では第二部第2章も終わってなかったので完全に予想外。よりによってどうして公式がくれはちゃんを曇らせてくるんですか?
つまり、彼女が普通にいるイベントの時系列は第二部第4章以前となる。
■Ifルート
観鳥さんの生存はこの先を大きく変えるのでかなり話が変わる。
振り返りイベント『むすんでひらいて座談会』の内容がそろそろ当てはまなくなってきてやべぇよ……やべぇよ……。
■くれはちゃん絶望再走ポイント(特大)
観鳥さんの死亡。
■IFくれはちゃん
観鳥さんを助けられなかった場合、メンタルが完全に初期に戻る。
出棺の際、その顔にはなんの感情もなかった。あるいは、世界そのものを憎んでいるようだったとか。
こうなった場合、完全にプロミストブラッドと敵対し、原作通りルートだとアオちゃんは生きている限り狙われ続けることになる。そして。
■結菜さん
ハードモードなので『対象変更』でだいたいなんでもできる。
なんすかこの魔法(一般通過煌里ひかる)。
■アリナ先輩
超強化御園かりんが横にいるため原作に比べて動きが制限されている。
「先輩こっち来るの!」「ヴァアアアア!!!!」