マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート 作:みみずくやしき
RTAらしいことをするRTA、はーじまーるよー。
さて第5章『揺れて恋歌に霞む理想』に入りましたが……なんとメインストーリー上はやることがありません。
プロミストブラッドは既に旧車両基地と神浜監獄が倒壊したので、財布の犠牲を払わなければキモチ争奪戦に参加できません。来るにしても数人が限界でフルメンバーは無理でしょう。もはやホームでの決戦に持ち込むしかねぇな?
時女一族は神浜監獄での戦いで観鳥さんを助けたことがなんやかんやで影響を及ぼすのと、事前に対策をしていたので同盟を解消せず現在維持。仮に解消しても対ミスドの決戦には来てくれるのであまり問題はありませんが……より頼れるユニオンの味方でいてくれるでしょう。
ネオマギウスは活動開始が遅かったためいまだ本格的な行動はせず、時女が同盟中なので引き抜こうとすることもなく。まだキャンプで修行中です。そろそろ冷えてくる季節だぜ。
ピュエラケアはといえば、彼女たちがメイン進行に関わることは意外と少なく、調整屋ゆえ中立を維持して敵対することもありませんので、いつも通り中央区で活動中。特に気にする必要はありません。
そして神浜マギアユニオンですが……対ミスドの作戦は必要なく、ミラーズのターミナル発見も済んでいるのでこちらもいつも通りの日常中です。一応抗争中なんですがそれは大丈夫なんですかね? みんな平和が一番! ラブ&ピース! みんな! 愛だよ愛!
このように、第5章で発生するイベントおよび展開を事前に封じておけば圧倒的速度で短縮できます。というかこうでもしないと時間がないんじゃい!
残る問題はやはりフォークロア。
本筋と別軸で行われる彼女たちのイベントは放置しておくと終わるかどうか定かではなく、11章になっても終わってませんでは再&走(一般通過藍家ひめな)。
なので、さっさとなゆたんに真実を伝えに行きましょう。
「それはできない」
「けど、ここまでバレていたらすぐ教授に辿り着くとは思いますが……」
「私が答えを出したら那由他の努力が無駄になる」
あれか? 見せかけで超ビビッてるな?
隠したら悪者になってしまうとかわいいこと言うラビさんから伝えさせることは難しいでしょう。じゃあ太助を引っ張り出して伝えさせれば良いですぅ!
くれはちゃんがいつでも情報を叩きつけられることを示しているので、部外者に好き勝手されるよりも……と思わせれば、ラビさんは太助を呼び出して伝える場を設けるしかありません。
そしてなゆたんはいくらかダメージを負うものの、希望を抱く魔法少女なので勝手に立ち上がります。
あとは事前に世界有数のかはるんパワーで里見メディカルセンターに働きかければ灯花パパの妨害もなし。一気にフォークロアは解決へ向かうわけだぜ。
じゃああとよろしくな!(人任せ)
◇
なゆたんとのお話が終わったらしく、南凪水族館に呼び出されました。
まあ呼ばれてなくても行くんですけど。呼ばれてないって? なんのこったよ(すっとぼけ)。
「君か……帆秋くれはという魔法少女は」
出たぜ! 世捨て人風な太助の着こなしスタイル。まったくさー、娘がいるのに憂いてるんじゃねーよ!
というわけで彼が『里見 太助』。この世界の住人は全身ブルーかピンクのシルエットグラフィックと相場が決まっていますが、彼は珍しく顔がはっきりと見えるタイプ。魔法少女と比べたら圧倒的に少ない男のネームドキャラですね。
『午前0時のフォークロア』ルートから分岐するルートでは彼と共に行動することもできます。おう、一緒に宇宙の意思に立ち向かおうぜ!
その場合は第一部より前から第二部用に動くことができるので面白みはありますが……第一部にまったく干渉できなくなるのでハードモードだと無理無理無理! 神浜が終わっちゃう!
そんなわけでこの場には彼、ラビさん、サーシャ。そしてなゆたんがおります。
もうこの時点で勝ちです。なゆたんが水族館にいる時点で良い展開しかありません。確認も終わったので帰るぜ!(疾風迅雷)
「くれはちゃんに伝えないといけないことがあります……」
おっどうしました?(煽り)
サーシャ引き止めないでくれよな~頼むよ~。
「あなたの知り合いの飾利潤さんが魔女になったと……ネオマギウスのみんなから聞きました」
うおわあああああ! いきなりなに言ってんだお前ェっ!!
ソウルジェムが急速に濁っていく! グリーフシード! グリーフシード! 用意してるか~? 大丈夫っすよ。バッチェ用意してますよ。
いきなり不意打ちとかこいつすげえ度胸だぜ?
流石に、フォークロアで最胸のだけのことはある。
「……くれはちゃんのせいじゃありません。そうなら、付いて行かなかった私も同罪です」
残念ながら潤さんの正規ルート通りだったようです。悲しいなぁ……。
宝崎市で第三者の介入があれば生存ルートに入るのですが、そう都合よくもいかなくていやーキツイっす(泣く)。神浜での主要なみなさんの行動は把握してますし、運良く宝崎市に行く人もいないんだよなぁ。
「でも、信じていいのか……様子がおかしいんです」
「様子と言うと?」
「くれはちゃんのことを、"くれりん"と呼びませんでした。ただ、名前をフルネームで呼ぶだけ。それにみなさん、より魔法少女至上主義に傾倒してるというか、過激になっているような……」
あっふ~ん……(察し)。ドウスッペ……ドウスッペ……。
第一容疑者の幅が狭まったのはいいものの、ちょっと面倒ですねこれ。どうせこの後ぶつかるので把握に時間はかかりませんが……まあいいや(走者の屑)。誤差だよ誤差!
「私たちフォークロアは一度、那由他を連れて湯国市へ戻る。もし、なにかあれば連絡して欲しい。旭とうららにも万が一があれば手伝えるように伝えておく」
というわけでフォークロアのみなさんは一足早く終盤戦へ。
彼女たちがいかに早く自由行動できるかでかなり変わるので、7章までに出会っておく必要があったんですね。
あと注意すべきは、いつみたまさんを狙うかわからない織莉子と、記憶喪失になっている魔法少女の把握でしょう。今回はネオマギウスにいるっぽいですが……だいたい目星はつきますよねぇ?
第二部もだいたい片が付いてきたし、じゃあ帰るか!
~少女移動中~
ドアを開けたら~家にペレネル先生がいる~。
おうおう! 帆奈ちゃんどういうことだい!
「ラピヌがうるさくなるから帰ってって言ったんだけどさ。たぶん、今のあんたに必要だから」
「神浜監獄で大怪我をしたでしょう? 様子を見に来たの。私もいくらかは治療の心得がありますから」
「……あたしには包帯を見せただけなのに」
「まあまあ、その部位を見せていただけますか?」
とか言っちゃってさぁ……こいつすげぇ能力値だぜ?
ラ・レーヌの黄昏の攻撃すら防ぐ結界を張ったりワープしてたりしたのが600年前。1年や3年でベテランと言われる魔法少女がそれだけ時間があれば強くなるのは当たり前なんだよなぁ。
手はまだ治り切ってなかったのでちょうどいいですね。カトラス二刀流が必要な戦闘をするのはもう少し先ですが、自己回復の手間が省けるなら短縮できます。
魔法少女じゃなくて錬金術師がメインクラスな彼女にかかれば、こんな傷ぐらい簡単に治るのは当たり前。ヒール! ヒール!
「そう、この傷……やはり」
なんだなんだよくれはちゃんに興味あんのかええ!?
「これで治療完了です。それと……あのような使い方は止めたほうが良いわ。するにしてもあと1度だけ。守ってくれなければカトラスを返してもらうことになる」
迫真の小声で製作者様直々の警告が来てしまいました。
使うにしてもどうせあと2回ですし、2回目は使用=退場なので自動的に返すことになるから安心してくれよな!
ところで、彼女は現場にいなかったのにまるで見てたような言い方をしていて、なにか変……変よ変よと思った方もいると思います。
その理由は……だってよぉペレネル先生だぜ?
昔から傍観者っぽいところがあるので、空を飛んで見てたか、遠隔で見られる魔法でも開発してるんじゃないですかね。なんていやらしい錬金術師なのだ。
ピィィィンポォォォン(ねっとりインターホンくん)。
くれは? 今家にお客さんが来て指名が入っています。すぐ話せますか?
誰だと出迎えたらおっと今度はかごめちゃん。
「あ、その、どうしても直接伝えたいことがあって……」
今日のくれはちゃんは指名が多くて忙しい! つまらない用ならご帰宅願いまーす!
「くれはさんの行く先に一緒にいていいですか? できれば、この先もずっと」
「は?」
「……あっ、ち、違くて、そういうのじゃなくて! 一緒に取材がしたいんです!」
やっぱ来てくれて嬉しいですね。お前のことを待ってたんだよ!(手のひらクルクル)
しょうがねぇなぁ、許可してやるかぁ!
じゃあペレネル先生、もしもの時はお願いしますね?
「あら、頼られているのはあなたでしょう?」
「そういえばこの人、全神祭で……」
かごめちゃんは第4章以降、より近くで魔法少女を見るためか率先して前に出てきます。憑依しているウワサが強化されてもハードモードなので焼け石に水。歩く敗北条件が勝手に動かれちゃ困るんだよなぁ。
なので、ロス回避のため最低限しか戦わないくれはちゃんに付いてきてくれれば安心できます。
ペレネル先生に頼むのはその最低限。対プロミストブラッド決戦でのかごめちゃんのガードです。
彼女は人間なのでHPが0になったら終わりですし、魔法少女よりもステータスが圧倒的に低いので、ハードモード特有の飛び交う魔法の一撃一撃が致命傷。遠距離攻撃は辛いもんなぁ……。
もしペレネル先生がいない場合はアザレア組をセットするといいでしょう。彼女たちを護衛の名目で雇えば信頼度の高さもあり来てくれます。
彼女たちまで退場している事態となれば、神浜のメイン盾こころちゃんに任せても良いでしょう。多彩なチャートの組み甲斐があるぜぇ~?
順調に進んでるので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。
◆
それは、私に宿る『風の伝道師のうわさ』――リィちゃんを強化してもらおうと、灯花ちゃんとねむちゃんを訪ねたときのことだった。
「どっちかに寄りすぎですの! 魔法少女を広めたら全部が救われるみたいに言っておいて……今度は広めたら全部がダメになるなんて!」
「わたくしに言われても困るにゃー!」
言い合いをする声が聞こえてそっと部屋を覗いてみると、先に来ていたのは里見那由他さん。灯花ちゃんの従姉妹で、互いに思うところがあるのか距離を置いていたはずだった。
「あの……」
「ほら佐鳥かごめも来たし、さっさと帰りなよー」
「言われなくても帰るんですの! 伝えることは伝えましたの!」
明らかに雰囲気が悪くてちょっと後ずさった。
そんな私に気づいたのか、那由他さんは申し訳なさそうな顔をしてぺこりと一礼していく。逆に、灯花ちゃんは「ふーんだ」とでも言いそうな顔をしたまま。真逆なんだなぁって思った。
「那由他さんは……?」と灯花ちゃんに問いかけても、すぐにねむちゃんを呼びに行ってなにも答えてくれない。
だけど私にもなんとなく、話していたことは重要なんだとはわかった。
詳しいことはそれ以上なくて、ねむちゃんが車椅子でやってくると、別の話へと移り変わっていく。
「じゃあねむに任せて戻っていい? わたくしあんまりヒマじゃないんだよねー。変身できなかったらやれることが少なかったかもしれなけれど、許可があれば変身できるし」
「灯花が前線に出たら相手の命のほうが心配だって、やちよお姉さんは言っていたね」
「任せてくれれば灯花ちゃんがどーんってやっちゃうのににゃー」
にやにやとした笑顔で怖いことを言うけれども、マギウスとして立っていた頃に敵対した人からの話を聞いていると、あながち嘘じゃない。
灯花ちゃんの固有魔法は『エネルギー変換』。光とか風とか別のエネルギーを魔力にして、どんなにすごい魔法を使っても、固有魔法の分のほんの少ししか魔力を使わないんだって。魔法少女としても強いし、今みたいな相手が多いグループ同士の争いだとすごい効果を発揮しそう。
それでうっかり……なんてことになったらと思うと、やちよさんが止めている理由もわかる。
「忙しいって、やっぱり自動浄化システムのことですか?」
「うんうん、気になることがあるんだよねー。見逃しなんてなくてかんぺきーなはずだし、くれはお姉さまの味覚がなくなったのは疲労やストレスから来るものだと思ってたんだけど……ねむの脚の件もあるし」
「今は動くことには動くよ。でも、これ以上ウワサを作って魂を削れば完全に動かなくなるだろうね」
「アリナや天音姉妹もドッペルを使ってたけど、そこまで影響は出なかった。性質の差? 使用回数? 精神性? なんにせよ、まだデータが足りないんだよね」
なんてことないように話す、思いもしなかった言葉に口が動かなかった。
ドッペル。自動浄化システムの要の力。
魔女化を避けられるからこそみんなが求める希望の存在に、そんな悪影響があるなんて知らなかった。くれはさんが味覚がなくなったことがあるなんて聞いていない。
「あのっ……ドッペルってそんな影響があったんですか!?」
「あるよ」
「認めたくないけどねー、あんなに連打しなかったら気づけなかったかも」
「……神浜監獄がドッペルで崩れたって聞きました。そんな力も?」
2人は返答せずとも、なにを当然のことをと言いたげな表情だった。
「それじゃ、ドッペルが自分だけじゃなくて、他人を傷つけちゃったりもしちゃうんじゃ……」
「制御に慣れてなかったり、発動時に近くにいたらそうなるにゃー。でも、そっちは重要かな? ドッペルシステム自体のエラーはともかく、他人のことは別にいいと思うよ?」
灯花ちゃんは講義するように続ける。
「わたくしたちは魔女化っていう1回きりの理不尽な終わりを抱えてるんだよ? それが多少のリスクで回避される、もしくは低く見積もっても数回の余裕ができるならやるべきじゃないかにゃー?」
"魔法少女は救われても傷つく人が出るかもしれない。自分の力で友達を苦しめてしまうかもしれない"……そんなことは口から言葉として出ず、固まらない。
それは、魔法少女の周知も同じだからだ。
里見那由他さんへの取材をして、気づいたことがある。
魔法少女の話を広めて、みんなに労わられて、願いを叶えなくても良くなるように少しでも優しくなって良い世界になる――それは、魔法少女の都合でしかないって。
きっと、私の周囲は優しさで包まれていた。
でも、多くを知ることでだんだんとわかってきたの。
色んな立場があるように、色んな考え方があって、色んな人がいる。だから神浜での争いが起こっているのだとも。
令さんが言っていたみたいに、真実には良いも悪いも両方ある。どっちか都合いいことなんてない。
たとえば崩壊した中央区。あれは魔法少女が存在しなかったら起きてない。
奇跡的に誰も死んでいないけれど……もし大切な人がいなくなっていたら、ううん、そうでなくても、住んでいた町がなくなるって……とても悲しいことだと思う。帰る家がなくなるってことは、普通の暮らしも、思い出も一緒に失うことだから……。
それは、夏目かこさんの取材で得たことでもある。
火事で家の古書店を失い、ふさぎ込むお父さんを見て辛かったって聞いていた。
魔法少女のことだけを考えて、その周りの人のことが抜けていたように思う。
原因を知ればみんな優しくなって良い世界になる、それはとっても難しい道だ。良いも悪いも、優しいも、人によって違う。
「……だからこそ、諦めたくないんです」
怖かったのかもしれない。
魔法少女たちの取材をしていくことで、『願い』を教えてくれる人と、聞くべきじゃないって直感が言う違いの人が。
広めたら、みんなが救われると思っていた。
でも、そんなに単純じゃない。決して人には言えない秘密を抱えている人もいて、魔法少女であることを明かしたらそれを話さなくちゃいけなくなる人もいる。
もしかしたら、私の行為が崩壊の引き金を引いてしまうのかもしれない。
……でも、それでも。
この行為が誰かの助けになるのなら……私を助けてくれた魔法少女を、今度は私が助けられるのなら。少しでも良い道があるのなら、諦めたくない。
自動浄化システムの先はまだわからなくても、灯花ちゃんならなんとかしてくれる。ああは言ったけれど、きっと。
私だって、大きな一歩は届かなくても、今は無理でも、できることは必ずある。
そう信じて、記録を集めた手記を眺めた――
◇
がたんごとん。
がたんごとん。
電車が揺れる。
いくつかの駅を通り過ぎる間、窓から見える景色は自然の風景に変わっていく。
リィちゃんの強化を頼んだ翌日、私はこのみさんと一緒に北養区に向かっていた。
目的地は里見メディカルセンター。受付を済ませて進んでいくと、彼女の姿があった。
「いやあありがたいね、かごめちゃんもこのみさんも、わざわざお見舞いに来てくれて」
令さんは清潔感のある白いベッドの上でなんてことないように言った。着ているのはいかにも入院している人という雰囲気の病衣で、無理やり笑っているような表情と組み合わさると、ぎゅって心が痛くなる。髪もほどいていて、まるで別人みたいだ。
私が神浜監獄の一報を聞いたのは、全部が終わってからだった。
魔法少女じゃない私が行ってたとしてもなんにもならないのはわかってる。でも、令さんとくれはさんが傷ついてたって知ると、ほんの少しでも力になれたのかなって……契約していたらって、思ってしまう。
怪我の具合はくれはさんは軽傷。令さんは骨が折れちゃったんだって。
調整屋さんに行けば治してくれるけれど、ひなのさん曰く「少し休んでてもらう」ということで、入院してもらうことにしたらしい。里見メディカルセンターなら灯花ちゃんとか他の魔法少女の関係で融通が効くとか。
「お花、ここで良いかな? くれはさんが選んでくれたの」
「そっか、もう動けてるんだよね」
このみさんが持ってきたお花を飾っている間、令さんはその動作をただ眺めていた。
手持ち無沙汰なこともあって、私が疑問を口にするのは当然だったのかもしれない。
「くれはさんは今は……普通にブロッサムに来たんですか?」
「うん、いつも通りだったよ?」
「すごいなぁ……」
いろはさんたちが到着したとき、相手方には既にプロミストブラッドのリーダー紅晴結菜さんや、煌里ひかるさん、他にも数人メンバーがいたらしい。
だとしたら、くれはさんと令さんは2人だけでその数を相手にしてたことになる。
それで軽傷って、いくらドッペルを使っても常識外れなんじゃないかなっていう、単なる思いつきと純粋な感情だった。
だけど、トーンが下がった声がベッドから聞こえた。
「ドッペルを使った。だからだよ。観鳥さんの前に来た時にはもう、立ってすらいられないほどだったのに」
「……治るってわかってても、心配だよね」
「使わせたくなかった……」
そこにいたのは、私の知る観鳥令さんじゃなかった。
いつもの飄々とした雰囲気がなくなってて、大人だなって思っていた部分と一緒に消え去ってしまったみたいだ。
「ご、ごめんなさい……」
「こっちこそゴメン……ちょっと、気が滅入っててさ」
考えてみれば当たり前のことだ。
色んな魔法少女に取材をして、令さんに付いてきてもらって、そのたびに、2人の話を聞いた。
先輩と後輩。魔法少女の相棒。言葉では表せない関係。
南凪の魔法少女たち、相談所で会った人たち、みんながくれはさんを知っている。つまりは、彼女とよく一緒にいる令さんも知っている。
そんな関係なんだ。心配じゃないわけがない。ドッペルのことを知った今、よくわかる。
私もこのみさんもなにも言えず、辛そうな令さんを見るしかなかった。
だけど彼女は、それでもなお、瞳の中に強い意思を燃やして言ったの。
「観鳥さんのことはいい。それよりも、帆秋さんだ。今のあの人は……誰かが見ていないといけない」
辛いはずなのに、なにかしなければもっと悲しみが起きてしまう苦しみ。
無力な私には、その必死さが自分に触れられる距離のもので、アルちゃんを抱く手が固くなる。
「今はなんでもないように見えるかもしれないけど、ドッペルを使う直前、帆秋さんじゃないみたいだったんだ。前の無茶してたときとも違う様子だった。勘でしかないけどさ、なにか悪いことが起きてる」
「帆奈ちゃんは? 最近はラピヌちゃんもいるけれど……」
「あの2人は"あっち側"。特に、帆奈ちゃんの手助けは考えないほうが良い。彼女は彼女で忙しいみたいだし、頼まれたこともある……不甲斐ない結果だけどね」
私の臆病な心に変化が訪れたのは、令さんが話し始めたときだったんだろう。
アルちゃんを通してじゃないと誰かと話すことなんてできなかったのが、いつの間にかできるようになっていたように、それもまた私の変わるときだったんだと思う。
「ま、任せてください。私がくれはさんを見ています!」
一歩前に出て、そう、強く宣言した。
くれはさんと出会って、助けられて、魔法少女の存在を知った。
広めることが直接の救いになるかはまだわからないけど、今この時、わかることがある。
きっかけをくれたくれはさんと、変わる手助けをしてくれた令さんに恩返しをしたい。
ちょっと前の自分じゃ怯えてしまってできなかった行動で、示したかったんだ。
そんな前のめりと言われても仕方のない行動は、二人のあたたかな雰囲気で迎えられた。
「ありがとう。退院したらさ、その時は観鳥さんがかごめちゃんに取材しなきゃね」
「うん、私も手伝うよ。もし困ったことがあったら言ってね」
「は……はい!」
……良かった。
私にも、できることがあるんだ。
勇気を出した一歩が実を結ぶ。それはとても嬉しくて、がんばろうって気持ちになる。
それに令さんが私に見せてくれた笑顔は、満面の笑みとは言えないものの、安心できるものだった。
病室に入る前――ちょうど入れ替わりで令さんの両親とすれ違って、心配そうな顔をしていたのをよく覚えていたから、その感情はなおさら。
魔法少女は特別だと言っても普通の人間。
大切な人がいて、家族がいて、普通の暮らしがあって、生きる毎日がある。
そこに、私が魔法少女を助けたいと思う理由のひとつがある気がした。
■今回の内容
第二部第5章『揺れて恋歌に霞む理想』
■揺れて恋歌に霞む理想のあらすじ(むすんでひらいて座談会)
・ネオマギウスによる時女一族の引き抜き(ネオマギがまだ修行中)
・観鳥令の残した写真と神浜監獄での戦い(生存ルートにより起こらない&神浜監獄が倒壊)
・キモチによる笠音アオの暴走(生存ルートにより起こらない)
・ミラーズの中にあるターミナルの発見(後日談で見つけた)
色々とフラグが折れているため、なゆたんとかごめちゃんしか5章らしい動きをしていない。
■観鳥さん
この先は本来いないので自由に動ける。悲しいなぁ……。
精神ダメージの治療中はかごめちゃんにバトンタッチ。二人の会話は原作でもあることにはあるが、退場が早いので言うほど多くはない。悲しいなぁ……(連続)。
■かごめちゃん
観鳥さんと話すことで成長する。した。
常に風の伝道師のウワサことリィちゃんもいるが、こちらはいかんせん影が薄い。
■フォークロア
倍の速度で駆け抜けている。
この先、彼女たちが表立って手伝ってくれるようになるかもしれない。
■運良く宝崎市に行く人もいないんだよなぁ
なにか忘れている。