マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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パート82 薄氷のレゾンデートル

 

 

 気づけば秋のRTA、はーじまーるよー。

 

 なんやかんやで季節がどんどん過ぎていき、既にハロウィン。

 みなさんご存知の通り、神浜市にはハロウィンもイベントが満載です。むしろ一番のキーポイントだってモッパラのウワサ。

 

 たとえばなぎたんとももこちゃんが主役の『祈りと弔いのハロウィン城』。

 こちら、みたまさんがハロウィンパーティーを開こうと準備していたら、魔女の仕業によりなんやかんやで神浜マギアユニオン壊滅の危機がやってくるイベントとなっております。なんで?

 

 なんで毎回神浜の魔法少女が全滅するんじゃい! と言いたくなるものの、なぎたんの記憶が再現される謎空間が舞台なので、本物ではないとはいえかなえさんやメルくんともう一度会える貴重な場所ではあります。第一部の記憶ミュージアムをスルーした場合、だいたいはここで初めて出会うんじゃないですかね?

 

 おうおうおう! その辺どうなんだい!?

 

「ハロウィンの準備? もちろんするわよぉ~」

 

 いつ織莉子が来るかわからないってのにさぁ、悠長だなぁ八雲。

 というかマジで織莉子はなにやってんですかね? いい加減に襲うなら襲ってくれよな~頼むよ~。

 

 しかし、飾りつけでチェックできるのですが今回はハロウィン城は起きませんね。確認、ヨシ!

 ネームド退場者が一定以上じゃないと起きないので、逆に言うと開催されなければキャラの安全を確認できる重要ポイントです。知らないうちに退場してましたなんて事故を防いでくれます。

 

 この時期にかなえさんとメルくんがいると特別なイベントが発生したりもするのでチャレンジ、しよう!(提案)

 

「ねえ、くれはちゃん。調整してかない? 今なら特別サービスでタダよ?」

 

 おう、考えてやるよ(受けるとは言っていない)。

 

「待って、リヴィア先生でもいいの。今の姿を見ていると、やっぱりわたしの願いがあなたたちを悪い方向に導いているみたいで……少しでも、休んでほしくて」

 

 そんな時間ないんだよなぁ。もう調整は受ける気ないんでハイヨロシクゥ!

 

「プロミストブラッドが憎いのはわかるわ。わたしだって今も憎い人がいる。けれどくれはちゃんなら――ううん、いいの。そろそろかごめちゃんが来る時間でしょう?」

 

 みたまさんの長そうな話は待ち合わせしていたかごめちゃんでキャンセル。

 それじゃあイクゾー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ……栄総合学園は芸術科が有名って聞いてたんですけど、本当なんですね。アルちゃんをしっかり抱えてないと……」

 

 というわけでまたもやってきました栄総合学園。

 相変わらずゲーミング校門は七色に光り輝いていますが、無駄に広い校庭にはジャックオーランタンと地面から伸びる謎の紫の手が随所に飾りつけられており、まさしく地獄の様相を醸し出しております。

 

 急に魔界がエントリーしてきたわけもなく、本日はSAKAEハロウィンフェスタが開催中です。

 関係ないイベントに入って来てお前ぜんぜんRTAしてねぇじゃねえかと叱られてしまいそうですが、ガバではありません、これだけは真実を伝えたかった。

 

 というのも、実はもう第6章『薄氷のレゾンデートル』に突入しています。

 これまた起きるイベントの多数を封じたのでもうだいたい終わっとるやん!

 

 正直に正規ルートで挑んだ場合、この章で最後のショートカットを破壊するのですが、なぎたんは負傷するわ、東の魔法少女が西の魔法少女に不信感を抱くわ、観鳥さんが退場していたらいくみんも退場するわと、破壊の代償に散々な結果に。どうしてそんなに神浜を困らせるんですか?

 当然こんなことになったらリカバリーで大ロス。だから初手で拠点を爆破する必要があったんですね。残る破壊はユニオンが勝手にやってくれます。

 

 また、プロミストブラッドの行動を封じていても、結菜さんが単騎で乗り込んで来てフェリシアにちょっかいを出し、自分が火災の原因だったことを思い出させたりしたり色々とありますが、みかづき荘ルートじゃないので関係ありません。いろはちゃんに任せておきましょう。

 

 ちなみにフェリシアの説得ではキモチの腕輪で心に入るという手法を使うのですが、なにか見覚えありますよねぇ。

 そう、別に腕輪を使わなくてもみとさんが『心を繋げる力』を使えば解決します。やっぱすげえや。

 

 あとは神浜市長戦ぐらいですが……ネオマギウスがみつねちゃんの『改竄』で操作していたらむしろこっちのもの。後々前述のみとちゃんやなぎたんの心を読めるメンバーでひめな以外を対象にして証拠を得ましょう。

 くれはちゃんはネオマギウスの拠点が大東区の市民会館であることと、宝崎での拠点が光塚公民館であることを知ってるので即カチコミで勝ちます。

 

「でも、良かったんですか? お金も全部払ってもらっちゃって……」

 

 あっいいっすよ(快諾)。

 どうせこの先消えるお金なんてくれてやるぜ!

 

 そんなわけではっきり言うと、第6章を終わらせるために必要な進行度稼ぎに来ました。

 神浜中がハロウィンムードなため、困ったことに寝ているだけで進行させることも許してくれず、なにかしないといけません。強制参加決定とかお前御園かりんか?

 

 となると、謎解きや問題解決で働かなければならないイベントは当然アウト。

 魔法少女個人のイベントやハロウィンで発生する衣装イベントといい、季節イベントはみんなロス地獄。イベントばっかじゃねぇかお前ん神浜よぉ!

 

 そこで目を付けたのがこのSAKAEハロウィンフェスタでした。

 

 関連するイベントは『ドリームハロウィンフェスタ』。伝統行事SAKAEハロウィンフェスタの準備をする栄総合学園総出の学校イベントです。

 ハロウィンと聞いちゃ黙ってられないかりんちゃんは当然実行委員会に入っており、当たり前のようにアリナ先輩を顔役に推薦します。

 

 お忘れかもしれませんが、あの(みなさんご存じ)超厄介なマジカルアーティストは色んな賞を貰い、何度も個展を開くほど有名かつ人気。そりゃあ本人が許可してくれたら一気に盛り上がるわけです。

 

 記憶喪失になっていない場合は「アリナがやるわけないヨネ」と一刀両断されるのですが、今回はかりんちゃんが異常に強くなっているのと『ユメミルサクラ』での裁判結果が影響してめちゃくちゃ渋々引き受けてくれていたはずです。これマジ? 普段の言動に比べて優しすぎるだろ……。

 

 全部推定なのは、くれはちゃんは南凪っ子の部外者なので知らねーよそんなの状態だから。学校限定イベントに干渉できないのは当たり前だよなぁ?

 似たようなタイプとしては水名女学園イベント『トリック☆トラブル☆学園祭』など。南凪にもそんなイベントがある気がするけどな~俺もな~。

 

 とまあ準備には参加できませんが、お祭りに参加はできるのでやってまいりました。

 これが『ドリームハロウィンフェスタ』の終盤部分と判定され1つのイベントを完了したことになります。良いテンポだぁ(恍惚)。

 

 参加さえすればいいので、かごめちゃんがうっかり結界に入らないようにガードしつつ、特設ステージで開会の挨拶をするアリナ先輩をニヤニヤ見てやりましょう。

 

「アリナはアリナのやりたいようにやったワケ。だから……勝手にエンジョイしてヨネ」

 

 なんと挨拶が一言で終了。これも利点です。

 やっぱアーティストだから作品で語るほうが良いと思ってる可能性が若干太いと思います。嘘つけ絶対面倒くさいだけだゾ。

 

「わー! アリナさーん!」

「さすがプロだ、違うなぁ」

「雰囲気あるな~!」

「す、すごい人気……!」

 

 しかしその孤高的なキャラクターが受け、今や人気はうなぎ登り。観衆からは大盛況の声が響いております。

 さすが、無駄に強い因果を持つだけのことはある(畏怖)。

 

 この後は校庭での出し物を楽しんだり色々とありますが……クルっとUターンして校舎をロックオン。

 

 じゃあいつもの入りまーす。おう、ついてきな!

 

「えっ、窓から入っていった……ど、どうしようアルちゃん!?」

 

 かごめちゃんは常識人枠なのでこんな真似しません。そもそも人間なのでできません。

 追いつこうと小走りでトコトコ来るのでスライディングはせずそのまま教室に入りましょう。

 

 おう、やってるかい!

 

 ……。

 

 あれ~ぜんぜん反応がないですね。

 

「はぁ、はぁ……教室ですけど、誰もいないですね」

 

 初手は外しました。次行くぞ次!

 

 おう、やってるかい!(2回目)

 

「寝るところ~……すぅ……」

「あっ、普通に部屋に入れるんですね」

 

 空き教室でぐーすかしている蛍と見守るあかりちゃんにエンカウント。これでガバムーブとは言わせねぇぜ。

 

 彼女たちに会いに来た理由は単純明快。

 他のキャラだと一緒に見て回ろうという展開になるところ、蛍は無理やり連れ出さない限り寝るので、会話だけで参加扱いになります。最速で『ドリームハロウィンフェスタ』終了です。

 

「――ワッツ?」

 

 あっ(察し)。

 アイツが来てしまったので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 SAKAEハロウィンフェスタの準備は、それはもう色々とあった。

 推薦を受けたアリナさんは「やるわけないヨネ」っていつも通りだったらしいんだけど……調整を受けたかりんさんが無理やり押し切ったらしい。ただでさえ強いのに、ハロウィンシーズン限定でさらに強くなったんだとか。

 

「眠いぃ……」

「もう少し! もう少しで開会だから頑張って!」

 

 このお祭りは栄総合学園の伝統行事だし、芸術科の人たちが中心になってみんなが活動する。

 私は初等部だし、準備期間の最初のうちは他の子と一緒にかぼちゃを運んだりとかしていた。転校してきたらんかさんも「なんでアタシまで……」って言ってたものの、しっかりやっていたの。

 

 だけど、蛍のことだもん。絶対寝たいからサボる。もう間違いなくサボる。

 案の定、教室で寝てたりしてて、初等部の仕事が終わったあとはずっと近くにいることにしたの。

 

「疲れたぁ……」

 

 蛍は物を運び終えたあと、心の底からの言葉でそう言って、ぐだーってし始めた。

 

 だらしないなぁって思うのと同時に、やればできるのにとも思っちゃう。

 手伝いは率先して先回りでできるし、本気で絵を描けばアリナさんに褒められるし、テストなんて全教科学年トップの点数を取れる。いつも赤点ギリギリなのは、赤点を取ると面倒だからって理由で最低限のギリギリぐらいを取れるように回答して、残りの時間は寝てるからだ。授業中も寝てるのに。

 

 でも、常にやる気のある蛍なんてらしくない。

 私の思う蛍はぐーたらでやる気がなくて寝ることばっかり考えてる。だから毎朝起こしに行って、お世話して……ちょっと変かもしれないけど、そんないつも通りの日常が良い。

 

 そうしている間にも準備は無事に終わって、今回の顔役になったアリナさんが特設ステージで開会の宣言をする時間になった。

 

「アリナはアリナのやりたいようにやったワケ。だから……勝手にエンジョイしてヨネ」

 

 ……たった一言だったけど。

 蛍が言うように、盛り上がってるのならいいのかしら。うん……。

 

 この後は私たち学生も出し物をしたり自由に動いたりできる。

 だから蛍が寝ようとするのは当然のことで、人が多い屋外だって言うのにこくりこくりと頭を揺らし始めた。

 

「ほらっ、こんなとこで寝ないで!」

「えぇ~?」

 

 だって放っておいたらみんなの足下で寝て蹴られて転がされそうなんだもの。

 無理やり起こして、腕を掴んで引っ張って、近くにちょうど良い空き教室を見つけると、手近な椅子に座らせた。転がり落ちるかもしれないけど、床のほうがマシよね。

 

 でもここ、なんとなく入った場所だったけど、キャンバスとか胸像とか、置いてある物からして空き教室と言うよりもうひとつの美術室みたい。

 

 ということは……。

 予感がした。振り向いてドアを見ると、待っていたかのようにガラリと開いて――

 

「こんなところでどうしたの」

 

 ちょっと違った姿が見えた。

 

「寝るところ~……すぅ……」

「あっ、普通に部屋に入れるんですね」

 

 いたのはくれはさんと、前に観鳥令さんと一緒に取材に来た……えーと、佐鳥かごめさんだ。

 

 かごめさん、大丈夫かな。くれはさんに振り回されてないかな。

 いつもいつもスライディングで入ってくるから、蛍といい、萌香さんといい、高校生のお姉さんってみんな一癖も二癖もある人なんだって偏見を持ち始めてきていた。うん、わかってる。この人たちが特別なんだってわかってる。

 

 2人はSAKAEハロウィンフェスタに来たそうだけど、なぜか校舎のほうに来てしまったみたい。迷っていたら偶然私たちがいる空き教室にやってきたのだと、かごめさんは言った。

 

「ねえ蛍、何度も来てるくれはさんが迷うのはおかしくないかしら?」

「すぅ……すぅ……」

「寝てる……」

 

 蛍がなにも言わないのならやましいことでもないんだろうけど、なんでだろう。すごい方向音痴とか? だから変なところから入ってくるの?

 ……こっちも、放っておけないのよね。

 

「じゃあ私が案内しますね。すぐ校庭に出れますから」

「――ワッツ?」

 

 開いたままのドアから入って来たのは、今度こそアリナさんだった。

 開会式の時は幽霊みたいな仮装をしていたのだけど、今は普通に栄総合学園の制服で、教室の中を見るとうんざりしたような顔をする。

 

「ぐうたらスリープガールに――ああ……帆秋くれは」

「アリナ……」

 

 2人の視線がぶつかった瞬間、気温が下がった気がした。

 血の気が引くようなゾッとした感覚が全身を包んで、小さく声が出てしまうほどの冷たさに震える。錯覚だってわかるのに怖かった。

 

 それが、変な人ながらも優しい人だってわかってるくれはさんと、怖いけどもかりんさんと良い先輩後輩関係のアリナさんとの衝突で起きたことだなんて、信じられなかった。

 

「アリナはバッグを取りに来ただけ。別にここに来るなとは言わないケド、アリナのサイトに入らないで欲しいんですケド」

「そういうつもりじゃないわよ」

「今のアナタはベリーノイジー……!」

 

 最初から話し合う気なんてないみたいに喧嘩腰。

 どうしようって思わずかごめさんのほうを向くと、いつも持っているアルちゃんというぬいぐるみをぎゅっと抱きしめていて、私以上に怯えて慌てているように見えた。

 

 既に睨み合いは危険なところまで来てる気がする。このままじゃ暴力沙汰になっちゃうかもしれない。

 でも、私たちじゃ止められる気がしないし――

 

「二人ともぉ~……怯えさせちゃダメだよぉ」

 

 気づけば、蛍がしっかりと立っていた。

 

「色々あるのは知ってるけどぉ、ここでやることじゃないよねぇ~……」

「知ってるって……」

「んん~……一応ユニオンだからねぇ」

 

 そうは言ってもいつも寝てるか私と一緒にいるのに、色々ってなんなのよ。

 だけど蛍はこういう時に冗談なんて言わない。きっと私にはわからないなにかがわかっている。その証拠に、なぜかくれはさんの隣に行ってじーっと顔を見た。

 

「前から思ってたけど~……キミってアリナとそっくりだよねぇ~……」

「は? コイツはアリナのフェイスとは違うんですケド」

「まったく似てないわよ」

「こういうとことかぁ~……だからぶつかるんだよねぇ、たぶん」

 

 蛍には悪いけれど、私もまったく似てないと思う。

 綺麗なところとか、ひとたび動き出すと一波乱起こすとこは似てるけれど、そっくりとまではいかない気がする。

 

「変わるつもりなんてないのも同じ~……なのにそこだけ違って無理してる……」

「えっ、ほ、蛍? それどういう……」

「立ち位置が違うだけで、見てるものも信じるものもねぇ……」

「ワッツ? ハッキリしてヨネ」

「それはぁ~……」

「それは?」

「ん-とぉ~……」

「アァァァァッ!! イライラするんですケド! スピーディに喋ってヨネ!」

 

 大声に目を細めた蛍は、なにかをアリナさんに耳打ちした。

 するとどういうわけか、怒ってる様子だったアリナさんがだんだんと落ち着いて行って、ついには相槌を打つまでになってしまったの。

 

「アァ、だからアリナはあの時コイツとぶつかってゾクゾクして……アハッ! アハハハ!」

 

 かと思えば今度は高笑いを始めちゃうし……。 

 

「ライフとデッドの境でバーンナップする生と欲への執着! あの痙攣と同じだヨネ! ……なのに」

 

 そうしたら今度は急に声が低くなって、怖い顔をし始めた。笑っていたのが嘘みたいに怒っていて、蛍の後ろに移動するぐらいには視界に入れるのが怖かった。

 

 アリナさんは顔をくれはさんにグイって近づけて、首をかしげて言う。

 

「帆秋くれは。前はもっとソウルをブレイズしてブリリアントだった。マッチは燃え尽きる瞬間がベスト。レジストせずになにをフィアーしてるワケ?」

「……わからない」

「アリナも多少はアンダスタンドしてる。プロミストブラッド?」

 

 蛍が「そうだねぇ」と頷いた。 

 くれはさんはと言えば、俯いてなにも言わない。 

 

「いつまでも黙ってないで、アンサーを出してヨネ」

「わからないわよ、憎いのに、殺したいのに……そうしたくない自分もいて……」

「ハァ、だから……」

 

 すると、アリナさんは置いてあった自分のカバンを持ってきて――

 

「自分に嘘つくヤツが一番キライなんですケド!」

 

 思いっきり、くれはさんの顔に叩きつけた!

 

「アリナぁ~……それはダメだよ」

「言ってる場合じゃないでしょ!? ほ、ほら、馬乗りになっちゃった!」

「あ、あわわ……」

 

 衝撃を直接受けて床に倒れたくれはさんに、躊躇うことなくアリナさんがのしかかる。

 そのままバンって音が出るほど強く、顔の横の床に手を押し付けたの。

 

「そうやっていつまでもアクトしてないで、あの時みたいな本音を見せてほしいんですケド! アリナもアナタもマジカルガール! 勝手にエスケープしないでヨネ!」

「あなたになにが――」

「アナタはなにがしたいワケ!? "ハッピーエンドが好きなだけ"。そう言ったヨネ。勝手にギブアップするのはムカつくんですケド! エンドが欲しいならアリナがギブする!」

「く、首はダメですよっ!」

「蛍!」

「ちょっと本気で止めるね~……」

 

 怖いけど、もうそんなこと言ってる場合じゃない。アリナさんの手はくれはさんの首をぎっちりと掴んで本気で締めている。なのに抵抗するつもりがないのかぜんぜん動かない。このままじゃ本当に死んじゃう。

 だから私と蛍が変身して、無理やりアリナさんを引きはがすしかない――

 

「お菓子たくさんもらってきたの! アリナ先輩も食べ……あーっ!? ど、どういう状況なの!?」

 

 と、行動に移す前に、今度はかりんさんが部屋に入って来た。

 

「ゲッ、フールガール!」

「わ……わからないけど、とにかく危ないことはしないで欲しいの!」

 

 変身していつもの魔法少女衣装になると、アリナさんがフワッと浮いた。重力に逆らったその動きは走るよりも速いスピードで後方へと引っ張られていくようで――腕を伸ばしたかりんさんに思いっきりぶつかった。

 

「いきなりなにするワケ!?」

「い、痛いの……」

 

 結局、そのまま2人の言い合いが始まって、くれはさんのことはうやむやになった。

 蛍はなんにも教えてくれないし、さっきの変な動きは『盗む』固有魔法の応用だってことがわかったぐらい。

 

 アリナさんはと言えば、悪びれる様子もなく、近くにあった椅子を無造作に掴んで行儀悪く座ってるだけ。かりんさんに事情を話している間もまったく我関せずといった感じで、それがむしろ怖い。

 

「――ということだったんですが……」

「わかったの……アリナ先輩、そういう無理やりはダメなの。むしろ逆効果なの」

「だから準備の時アリナの好きにやらせてたワケ? フールガールならあれやれこれやれって押し付けてきそうだったケド」

「もうわかってるの。観鳥さんだけじゃなくて、ほとりちゃんからも教わったの!」

「ほと……? ああ、トレーニングしてるヒーローガール。むしろティーチされたワケ?」

 

 2人の会話は私たちを置いて別の要素が混じりだす。

 なんとなくわかったことは、なんでもその子は色んな人にトレーニングを頼んでいるらしくて、かりんさんにも声がかかったことぐらい。

 

「たとえ本当に自分のためになることでも、無理やり押し付けられるのはイヤなの。ただ相手のことを助けたいだけじゃダメだって教わったの」

「ふーん……それ、アリナのためになる前提だヨネ」

「そうなの」

「ハァ……」

 

 それから「とっとと出てってヨネ」とアリナさんが私たちを追い出したのは、私たちにとっても良かったかもしれない。これ以上アリナさんとくれはさんを一緒にいさせたら、またさっきみたいなことになりそうだもの。

 

 だけど……あの時のアリナさんは感情的で、普段の姿とぜんぜん違った。

 開会式の姿を思い出せば、他人に興味がなさそうな様子なのに、出会うなり怒りをむき出しにしてぶつかり合ってた。イヤなら無視する選択肢もあるのに、まるで私が蛍を気にするように放っておけなかったような。

 

 そんなに、気になることがあったのかな。

 私が思うような、違うなにかが。

 

 

 




■今回の内容
 第二部第6章『薄氷のレゾンデートル』
 『ドリームハロウィンフェスタ』

■薄氷のレゾンデートル
 RTAしすぎた結果、本当にやることがなくなってしまった。
 ので、直近のハロウィンイベントと一緒に通過。
 
■ドリームハロウィンフェスタ
 かりんちゃんがアリナ・グレイ改心計画を考えるきっかけ。第6章の前日譚。
 優しいアリナ先輩に更生させようとハロウィンの王の力でルールを定めて事件を起こす話。おかげでアリナ先輩は最初から最後までイライラしている。

■かりん・アリナ(ハロウィンver)
 『ドリームハロウィンフェスタ』で実装されたかりんちゃんとアリナ先輩のペアユニット。ハロウィンが生んだ魔法少女はハロウィン限定になってしまったため、恒常のかりんちゃんが謎の存在に。

■アリナ先輩
 神浜で一番自由な女。第一部で正面衝突したせいで変なフラグが立ちかりんちゃん共々最終章モード。やっぱり変な方向に焚きつける。
 「あの痙攣」は実際に言った。アリナ先輩だって神浜がピンチのときゎ協力するんだょ。
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