マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート 作:みみずくやしき
遂にネオマギウスが表に立つRTA、はーじまーるよー。
「キャハ★ キモチの石が全部そっちのものとか、勝手に決めつけられても困るんだよね」
うぁぁぁ、ひ……ひめなが南凪を練り歩いている!
平和な海浜公園に唐突に現れたのはひめな、時雨ちゃん、はぐむん、燦様、ミユリのネオマギ5人衆。それと羽根のみなさんですね。
「ぼくたちは魔法少女至上主義をうたうネオマギウス」
「人よりも優れているから敬われる」
「だからこそ人に支配されずに支配する」
出たぜ! このために内容や順番を考えて練習してきたであろう口上!
一番年上のはぐむんが高校生で、あとは全員中学生なのでそういう時期なんでしょう。年頃ですね。
アオちゃんが向こうに歩いていってなお人数が足りないので省略版ですが、フル版だとなぎたんやみたまさんも言います。みんなで宣言するから尊いんだ。絆が深まるんだ。
「私チャンたちは魔法少女至上主義を示す。人間よりも魔法少女のほうが優れてるって自覚させてあげる。今日はその宣戦布告★」
いきなり過激なこと言い始めたうえ、自分たちが支配したあとの階級構造をしっかり説明してくれますが、達成されないので関係ないね(未来予知)。申し訳ないが激しい階級制を持ち込むのはNG。
わざわざ姿を現してくれたので、3倍以上の圧倒的人数差に任せて取り囲んで殴り掛かればこの先の作戦もなにもなく勝てますが、ネオマギウスからの信頼度がガタ落ちするのでやめておきましょう。別のレギュならここを最終決戦地とすることもできます。
それに今のくれはちゃんはガチ戦闘するわけにいきません。スルーだスルー。
◇
ネオマギウスの宣言から翌日、第9章『光差す正機迷宮』が開始します。
この章ではこれからネオマギウスが引き起こすことを探るため、行動するというのが主軸です。
得るべき情報は、"北養区の電波望遠鏡を利用しようとしていること"、"幻惑・洗脳系の固有魔法持ちを狙っていること"の2つ。これらをどうにか入手しましょう。
逆に、ネオマギウスルートでは作戦のための下準備として、"電波望遠鏡の利用手段を手に入れること"、"幻惑・洗脳系の固有魔法持ちを引き入れること"を妨害を乗り越えて進めていくことになります。
もっとも今回は電波望遠鏡のセキュリティを維持している灯花ちゃんがおり、入るためのパスワードを知っているみたまさんが裏切っていないため、ネオマギウスは壁を爆破するなどの強行手段を取るしかありません。セキュリティ自体はみつねちゃんの『改竄』でどうにかなりますが……それでも一瞬しか隙はないですね、ええ。
しかし、これを成功されるとマズいことになります。
彼女たちの目的は神浜市全体に洗脳魔法を飛ばし、一般人全員に魔法少女が上だと認めるまで強制的に飲食禁止状態を付与すること。自分たちが上だとここで示すわけですね。
無論そんなことをしたうえで魔法少女の存在を明かしたら、人類VS魔法少女の全面戦争開幕です。もう終わりだぁ!
なので絶対に止めないといけないのですが……。
「あのっ、みんなネオマギウスのことを追ってるのに、喫茶店で休んでていいのかなって……」
「帆秋さんは特に休めって言われてるからねぇ。ひなの先輩にキツく言われてるし、観鳥さんはこれでいいと思うよ」
かごめちゃんと一緒に雫ちゃん家の純喫茶で優雅にティータイム中です。
魔法少女じゃないかごめちゃんと、戦っちゃいけない大義名分があるくれはちゃんがいれば、監視の観鳥さんも一緒にサボタージュが余裕なんだよな!
というか、情報はモブをとっ捕まえて心を読めばゲットできるので、なぎたんとみとさんに任せれば明日にはわかります。
しかし、しぐはぐやモブは"電波望遠鏡を使って魔法少女を広める"としか伝えられておらず、その実態が従うまで強制飲食禁止の超ヤバイ事態だとはまったく知りません。危険度が段違いなんだよなぁ。
この情報を持っているのはひめな、燦様、ミユリの3名に加えてもう1人います。
「あれ、あの人は……サーシャさんですよね。もしかして待ち合わせしてた人って」
そう、前章の間にネオマギウスを抜けた栗栖アレクサンドラさんです。
これから起こす作戦はサーシャが全部知ってるので、モブを探し回る必要はまったくありません! 離脱した後に聞き出せば即座に全部ゲット。フォークロアの信頼度を上げておくとこんなに良いことがあるんすね~。
「ひめちゃんのことは聞きました。みなさんの前で宣戦布告をしたと……きっと、本気です。表面上はいつも通りの雰囲気をしているかもですが……」
今のひめなはかなりメンタルがヤバめ。
その証拠にサーシャのスマホには通知が入りまくっています。99+表記されるレベルで既読すらつけないのはヤバイって、体全体が悲鳴を上げているのが分かるぜ。
ここでサーシャの尋問タイム♪(2回目)
前述の情報をすべて聞き出して、ネオマギウスの目的を把握しましょう。
また必ず、彼女からひめなの固有魔法について聞いておきます。
藍家ひめなの固有魔法は『合成』。触れた他人の固有魔法を別の対象に移すという、他の魔法少女がいると途端に強くなるコピー系固有魔法です。当然自分も移す対象に選べるほか、短時間ですが物に付与して扱うこともできるうえ複数ストックも可能と応用の利く特化型魔法です。
なので、絶対に『停止』くんをコピーされないようにしましょう。
相手にすると面倒とかではなく、相変わらずバカみたいに燃費が悪いので、使い慣れてないと加減がわからずフル発動&自動浄化システム消滅による魔女化のコンボが待っています。そうなったら? 8章最初からやり直しだよやり直し! ハハ、ハハハ……(諦め)。
「まさか作戦を本当に実行に移すなんて、どうして急にあんな過激に……」
まあ"アレ"でしょうねぇ、まだ確かめてないからわかんないですけど。
よぉよぉサーシャさんよぉ! ミラーズに行ってねぇかい!?
「戦力不足の解消と『合成』が使えないかと、ひめちゃんたちはコピーを狙ってミラーズに行っていました。時には追いかけて深部まで行っていたそうです。けれども外には出せませんし、なにより危険なので成果はありませんでしたが」
あっ、ふーん……(察し)。
なら記憶喪失の件はもうスルーでいいですね。行ってなかったら無理やり押し込んでたところですが。
あとは"幻惑・洗脳系の固有魔法持ちを引き入れること"ですが、こちらはみつねちゃんが無事なら即座に達成されます。
本来、みつねちゃんはドッペルの力を使い『改竄』をフル発動し、ひめなの退場を偽装したり、神浜市長選挙の流れを変えたり酷使されまくってしまいます。脚が動かなくなってんだよなぁこれなぁ!
しかしネオマギウスの活動が遅かったのと、かはるんみかげちゃんの活躍によりこの辺のイベントは全部対処済み。
事前に解決しておくとみつねちゃんが温存されて、条件が勝手に達成されてしまうのが痛いですね……これは痛い。あちらを立てればこちらが立たずが世の常(諸行無常)。
なお、みつねちゃんがドッペル使用不可の場合は美雨とみふゆさんが狙われます。
どちらもかなり強いので誘拐には相当苦労するはずが……燦様には必勝の策があるです!(一般通過遊狩ミユリ)
始めに、マギウスの翼の頃の繋がりを活かし、話し合いがしたいとみっふを呼び出します。
そして「紅茶で良かったですか?」と飲み物を勧めてディープな勧誘話に突入。
実は睡眠薬をサッー!(迫真)と入れた紅茶なのでそのうちみっふは昏睡。アイスティーを使うなんて卑劣な手なのだ。
というわけで……もしもーし、いろはちゃん? ネオマギウスは北養区の電波望遠鏡を使うから先に制圧しておいてな!
『えっ、それ誰から――』
はい! 第9章『光差す正機迷宮』ほぼ完!
こんな簡単でいいのかよ! 笑っちゃうぜ~!
あとは電波望遠鏡の結果次第で第10章の内容が変わります。
チャート通りにちゃーんと動かすため、展開を防衛成功に持っていきましょう。灯花ちゃんがいる、セキュリティもある、先手を撃つ、ナイスでーす(レ)。
「ひめちゃんがこれで止まってくれればいいんですが……どうも、嫌な予感がするんです」
「確かに……ネオマギウスの戦力はそんなに多くないですよね」
「それに電波望遠鏡から送る内容も魔法少女相手には効き目がない。人数差をどうにかしないと止められるだけだ」
懸念は見事的中。対魔法少女用にひめなは神浜市に張り巡らされている送電網の母線となる送電所にスマホひとつで発動する仕掛けを作ります。こちらも電波望遠鏡と同じく神浜全体に洗脳・幻覚魔法をかけるものです。
じゃあ電波望遠鏡じゃなくて全部こっちでよくない? というのは横に置いておきましょう。広めるためって一般モブへの建前とサーシャの提案を使う理由があるから……。
それにこの内容が問題。よりにもよって『ソウルジェムを割って死んで』という物騒なワード入りのジェノサイド命令でまた神浜マギアユニオン全滅の危機です。もう十分だ……! もう十分だろう!
送電所の情報はひめなの調整をして記憶を見たリヴィアさんが持っているので、次章ではこっちをとっとと解決しましょう。対ひめなはどうとでもなるものの、失敗されたら即ゲームオーバーなので見に行くとヨシ。ネオマギウスとの決戦はみなさんお願いしまーす。
ハードモードのボス戦なのに任せて大丈夫なの? バカなの? なんてお思いでしょう。
そもそもサーシャがネオマギウスを出ていったのがきっかけのひとつ。凶行をすれば戻ってきて止めてくれるだろうという気持ちもありやっています。それで神浜市全体を巻き込んで一般人全員退場させるのはヤバイって……!(素)
なのでフォークロア関連をパパっと終わらせた今、特効魔法少女のサーシャを直接送り込めば説得完了でネオマギウスの野望完です。オウ、ひめな連れてきたんだから自分でなんとかするんだよ!
「……そうですね、私たちはもう、諦念に囚われるだけじゃない。ひめちゃんから逃げるべきじゃありませんでした」
やる気に火をつけたのでもう喫茶店に用はありません。
次の場所にイクゾー!
◇
やってきました里見メディカルセンター。
みつねちゃんは脚の具合関係なく『ディペンデンス・ブルー』後は入院しています。さすが大病院だ、みんなここだぜ。
彼女がいることでネオマギウス側の即座に条件が達成されてしまいますが、連れて行かせなければいいだけです。申し訳ないが自ら捕まりに行くのはNG。事前に出会わせてもらうぜ!
だってのに~出会いたくないやつがいる~。
「やあ、くれは。キミとこうして話すのは久々だね」
「……キュゥべえ。帆秋さんと佐鳥ちゃんに変なことを言うつもりなら帰ってもらいたいな」
ああ~ん!? この白タヌキはなに気安く話しかけてくれてるわけ!?
そうだそうだと観鳥さんも追い返しムード。こんなヤツさっさとヤっちまいましょうよ!
「でも用があるのはキミじゃない。佐鳥かごめだ。魔法少女の契約をしてくれる気になったかな?」
「……ううん」
「キミは多くの魔法少女と出会い希望を委ねられている。他の魔法少女よりも高い因果があるんだ。その気になれば叶えられることは多いと思うけれど」
知らねーよ、そんなの。
こんなヤツの言うことなんか聞く意味ないっすよ! 無視して次行くぞ次!
院内に入ったらみつねちゃんの病室を目指しましょう。これもサーシャから聞き取り済みなので問題なく進めます。だけどいきなり知らないやつが入ってきたらビビるわぁ!
オッス(お見舞い)。
「――えっ、くれはさん!?」
「良かった、教官じゃなかった……」
「前にネオマギウスにいたっていう人?」
おっと、時雨ちゃんとはぐむんもいました。
その2人の前、里見メディカルセンター特有の超見晴らしの良いベッドにいるのが三輪みつね。『ディペンデンス・ブルー』の直前にも言いましたが、飾利潤と関係のある魔法少女です。普段は草を生やすインターネットガールなものの、さすがにシリアスな時は自重するのでヨシ!
「やっぱり、サーシャさんのメッセージに書いてあった人って……」
「観鳥さんたちと別れたあと、事情を説明してくれたみたいだね」
というかこの様子……既にサーシャが電波望遠鏡の真相を明かしているようです。
宮尾時雨、安積はぐむ、三輪みつねの3人は、ひめながやろうとしている作戦の内容を知るとネオマギウスを離脱してしまいます。前章で口上を述べたのに速攻抜けるとかすげぇ正義感だぜ?
「とにかく三輪さん、逃げようっ! 私たちは力を貸してくれるよう頼んでって言われてたけど……」
「ぼくもこんな作戦は嫌だ……これじゃ、みんな死んじゃう……」
「うん……!」
こっちのこと置いてけぼりですが、逃げてくれるならそれで構いません。
一番マズいのはみつねちゃんの魔法で電波望遠鏡のセキュリティが突破されること。おう、さっさと出ていきな!
「そう。三輪だけじゃなく、宮尾と安積も知ってしまったのね」
燦様に退路を塞がれたので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。
◆
「ごめんなさい」
待ち合わせ場所にいた令さんを見るなり、私は謝罪の言葉を口にしていた。
「いや、いきなりどうしたの。かごめちゃんが謝ることなんて……」
彼女は目を丸くすると、持っていたスマートフォンをしまって優しい声をかけてくれた。
それから、くれはさんを家に迎えに行く途中、肩を並べながら歩いて、胸につかえた想いを告げたんだ。
「私が、くれはさんを怪我させてしまったんです」
二木市の決戦のとき、私はなにもできなかった。
"私がくれはさんを見ています"って令さんとこのみさんに約束したのに、途中からは守られることに精一杯で、むしろくれはさんへの手助けを邪魔しちゃっていたんだ。
見て記録することは私がしたいことで、みんなが手助けしてくれていること。
けれど、くれはさんを見ているというのは、危険な行為に手を出そうとしたら阻止する意味が込められている。なにができるかわからないけれど、なにか手助けができる気がしていた。
「もしかしたらあのカトラスを使うこともソウルジェムが傷つくこともなくて、元気にしてたかもしれなくて……」
「紅晴結菜との戦いを聞く限り、帆秋さんは絶対に使ってたよ。そういう人なんだ」
その言い方は悲しみと心配に彩られていて、それも当然だと思う。大切な人が傷ついて悲しくない人なんていない。私だって、くれはさんの状態を聞いた時は力が抜けてしまっていた。
ただ令さんは、拳を強く握って耐えながらも、しっかりと前を向いていた。
「助けるために使ったって聞いてるからさ。ああ――なら、しょうがないかって、思えてしまうんだよ」
「しょうがない、ですか……」
「帆秋さんのしたかったことに違いはない。殺すためなんかより遥かに認められるし、実際、しなかったらみんなが死んでいたかもしれないって言われたら、そう思うしかないんだ。帆秋さん1人の命とその場の魔法少女全員……どっちが重いかなんて、わかりたくもないけれど」
向かう先にいるあの人への感情は、不思議なことに2つあるような感覚がする。
私の思う観鳥令さんと、私の知らない観鳥令さん。想いが重なり合って表面に出ているようで、大人っぽさの理性と、私が言えたことじゃないけれど、子供っぽさが垣間見えた気がした。
「……助けることって、なんなんでしょう」
だから、ますますわからなくなった。
助けようとして自分や他の人を傷つけてしまったら、とても悲しいことだと思う。
すべての人や世界を救うなんてよく言うけれど、それでもきっと、零れ落ちていくものがある。なにかを犠牲にしてしか得られない幸福は残酷だ。
私のはじまりの一歩も同じだった。
魔法少女は誰も知らない。
誰も自らが護られていることを知らない。
少女の命を犠牲に生かされていることを知らない。
そんな理不尽な運命が世界の真実ならば、救うために伝えなきゃ。伝えるために記さなきゃ。
真実を伝えれば、きっと魔法少女を救えるのだから。
――そう、思っていた。
けれども、みんなを助けようと自動浄化システムで魔女化の運命を避ければ、そのうち魔女はいなくなる。世界を護る理由なんてなくなる。
救うために伝えたことが、魔法少女を傷つける刃になってしまうかもしれない。
わかっていたはずなのに、それはことさら心を苦しめる。
真実はいつも正しくても、綺麗な保証なんてない。
誰かを助けて誰かを傷つけてしまうように、不都合な結果を生み出してしまう。
私がしてることは正しいのかな。
私が感じてるこの気持ちを、他の人にも味わわせてしまうんじゃないかな。
そんな気持ちが溢れ出すと、途端に歩いてきた道が穴になってしまったみたいで、進む先さえも暗闇に包まれたようだった。
もし私が魔法少女になれば……この雲は払えるのかな。
互いに無言のまましばらく歩くと、令さんが立ち止まった。
「観鳥さんも助けることはよくわからない。それで傷つけたことだってあった。だから他人にどうこう言える立場じゃあない」
でもさと付け加えて、令さんは言った。
「ここ最近、帆秋さんと一緒にいて気づいたと思うけど……今の彼女は執拗に"助ける"ことに執着してる。なんのためにするのか、それを忘れちゃいけないのに」
言われてハッとした。伝えることは手段でしかない。私がそれを選ぶかどうかであって、定められたことじゃない。
なんで私は魔法少女を助けたいと思ったのか、どうして悲しいと思ったのか……それに目をやると、心の中にぽつりと小さな光が灯った気がした。
それはまるで星明り。暗闇だからこそ気づけたことだった。
「……それでもさ。観鳥さんは信じたいんだ。帆秋さんが正しい道を選べることを」
だから彼女の2つの姿にも理由が見えた。
きっとくれはさんは、令さんにとっての――
◇
くれはさんが今日出かける先は、雫さんのお家が営んでいる純喫茶だった。
なんでも私たち以外と待ち合わせをしているらしくて、待っていたのだけど……。
「あれ、あの人は……サーシャさんですよね。もしかして待ち合わせしてた人って」
「サーシャよ」
彼女の立ち位置は特殊で、ネオマギウスと午前0時のフォークロアに同時に所属しているそうだ。
けれどもネオマギウスの人に違いないわけで、少し緊張が走ったけど……過激な行動についていけなくなったと、抜けたらしい。
彼女が話してくれたのはユニオンのみんなが探っているネオマギウスの動向そのもの。
北養区の電波望遠鏡を使って神浜全体に飲食禁止の精神操作魔法をかけて、魔法少女を広めて屈服するように心を折らせるだなんて……必ず達成できるみたいに自分たちの目的を自身満々に話していた理由がわかった気がした。
そんなことをしたら、みんなが苦しむ。みんなが死んでしまう。
魔法少女がとても怖いものだって教え込んでしまえば、もう後は坂を転がり落ちていくだけ。二度と、今みたいな平穏は訪れない。
「私が……戦えたら」
くれはさんは小さくそう言った。隣に座っている私だから気づけた言葉だ。
彼女が助けることに執着しているのなら、変身して戦うことを禁止されている今――『魔法少女』として助けられない状況が苦しめているのかもしれない。まるでその意味を自分自身に刻み付けて傷つけているかのようだった。
変身ができないわけじゃない。でも、みんなと約束をしたから守っている。
それはくれはさんにとって強固な物であるらしく、いろはさんやサーシャさんにネオマギウスのことを任せると、彼女自身は別の場所に行くと言い出した。
電車を乗り継いで、今度は北養区へ向かう。
電波望遠鏡に近づいてはいるものの、明確に里見メディカルセンターに向かうと目的がわかっていたから私も令さんも反対することなくついて行った。
わざわざサーシャさんに聞くほど三輪みつねさんという人に会いたかったらしい。
彼女もネオマギウスだけれども、サーシャさん曰く「彼女であれば作戦に反対するはずです」とのことで、持つ固有魔法を考えれば連れ出すことは"助ける"こと。少しでもくれはさんの心労が軽くなるかもしれないとあれば、選択肢として十分に選べた。
だけれども――世界がくれはさんを苦しめるかのように、間が悪いことが続く。
初めに病室に入ったとき、時雨ちゃんとはぐむさんまでいた。
彼女たちはみつねさんと同じくサーシャさんの連絡を受けていて、作戦を知って反対する側だったから良かったものの、来た理由は神楽燦さんが三輪さんを連れ出そうと来るから逃すため。私たちにとって、あまりにもタイミングが悪すぎた。
「とにかく三輪さん、逃げようっ! 私たちは力を貸してくれるよう頼んでって言われてたけど……」
「ぼくもこんな作戦は嫌だ……これじゃ、みんな死んじゃう……」
「うん……!」
ネオマギウスの3人が話す前で、私も令さんに声をかけた。
「い、今のうちにくれはさんと一緒に逃げましょう」
「そうだね、同じ元白羽根とはいえ、神楽燦教官はみふゆさんと戦えるだけの実力がある……」
早く。とにかく早く。
そんな意思は、背後から聞こえた言葉に打ち消される。
「そう。三輪だけじゃなく、宮尾と安積も知ってしまったのね」
病室の中に緊張が走った。
その声の主をみんな知っていて、間違いなく神楽燦さんであると知っていたから。
「病院の中だし手荒な真似はしたくないわ。だけど、三輪は連れて行かせてもらう」
「ミユも意識がトんでかごめちゃんを怪我させたくはないですぅ……」
「……帆秋さん」
私がいなければ、みんなで窓から逃げ出すこともできただろう。身体能力の高い魔法少女であれば飛び移りつつ着地の衝撃を和らげることもできるはず。だけど、この高さだ。一般人が飛び降りたらひとたまりもない。いくらウワサのリィちゃんが宿っているといえ限界がある。
……ここに来るまでに、キュゥべえに話しかけられた。
やっぱり、私が魔法少女なら。
くれはさんと同じ悩みを抱えているからか、その気持ちが大きくなる。
今キュゥべえが来たら願ってしまうかもしれない。
くれはさんがカトラスを使ったように、これでみんなを助けられるのなら、使ってしまうかもしれない。
どうしよう。
三輪さんが連れて行かれても大丈夫? ううん、私だけ残っても、ウワサの力で平気?
そんな保身と、もしもの最悪が私を揺れ動かす。
私が大丈夫でも、みんなが大丈夫じゃなければ、意味がない。ここで願うべきじゃない。全部わかってるのに、決められない。
……迷ってしまう私の心を割いたのは、病室の外からさっぱりとした少々乱暴な口調の声だった。
「待った待った、仲間割れすることねェだろ?」
そして、その主が姿を現すと――みつねさんが、信じられないものを見たとばかりに叫んだの。
「潤――!?」
■今回の内容
第二部第8章『夢のなごりに芽吹く花』(一部分)
第二部第9章『光差す正機迷宮』
■光差す正機迷宮
内部事情をすべて知っているサーシャがいるとあっという間に話が進む。
事前に対処しておかないと実家に帰らせていただきますとばかりに湯国市に行ってしまうので、彼女から連絡を受けるしぐはぐを探すのが次点のチャート。
■三輪 みつね
ほぼ最後の登場となってしまったインターネット系魔法少女。本当にセリフ内に草が生える。
一応ネオマギウスメンバーなものの、離脱してからは一切関係なくなるので協力関係であったというほうが正しいかもしれない。
■しぐはぐ
第8章で颯爽と口上を述べたものの、なんと第9章でネオマギウスを離脱する。
そして北養区の電波望遠鏡を提案したサーシャは第8章の時点で既にいない。お前~!!!!
■燦様
2回も乱入者に邪魔される教官。ちょっとイベント重なってんよ~。
紅茶に睡眠薬を入れてみっふを昏睡させるのは実際にやる。「紅茶で良かったですか?」も言う。