マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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パート96 ノット・サヨナラ・ストレージ

 

 ラストダンジョンに突入するRTA、はーじまるよー。

 

「帆秋さんは私の後ろにいなさい! 期待してくれたんだもの……この阿見莉愛、必ず送り届けて見せるわよ!」

「わたくしも全力で援護いたしますわ! あなたのご友人のためにも……!」

「莉愛さんとゆうなさんが頑張ってるんだ、私だって!」

 

 各地からメンバーを集結させてパーティ編成を済ませた結果、超大人数で鏡屋敷に向けて進軍中です。

 雫ちゃんやせいかにワープさせてもらうにも、あんまりにも多すぎるので魔力よりも疲労が勝る有様。戦線維持と離脱のために使ってくれよな~頼むよ~。

 

「――っ! くれはさん、前!」

 

 あっぶえ! 弓矢! ローリング回避!

 

「良かった、死相がない……」

 

 このように、塁ちゃんを採用した理由は信頼度以外にもう一つあります。ありがた迷惑オートモードが実装された死相を感知する天門眼です。彼女がパーティ内にいるだけで安全度が跳ね上がってナイスでーす。

 

 まあ当たりそうな攻撃はゆきかちゃんに庇わせればいいんですけどね(ド畜生)。勝手に強くなるぜ?

 

 しかしまあ、自分たちだけでも25人いる大所帯。なぎたんとみゃーこ先輩が指揮をしつつ、ななか組長たちとアザレア組が前衛を務めて突撃し、それを団地組がサポートする最強陣形が容易に組めます。

 くれはちゃんたちを中心に他4パーティが援護するので、時折飛んでくる流れ弾を回避するぐらいで済むのが嬉しいですね。

 

「むっ……帆秋、先行する環君たちと時女一族が鏡屋敷に着いたそうだ。」

 

 それに各グループもいるため、ここに来るような敵は余りの余り。リーダー格が必要ないユニオンと存在する時女一族に先行してもらえばだいたい薙ぎ払ってくれます。こっちはミスドとネオマギで三角形になって守りあわねぇか?

 

 さらに言えば、鏡屋敷進行組にこれだけ主戦力を集めても、神浜にはモブ魔法少女たちが湯水のようにいるので問題ありません。

 神浜モブ、ミスドモブ、時女モブ、ネオマギモブの総量は数知れず。もしかしたらくろとか宝崎の魔法少女たちも来てるかもしれませんね。いくら鏡の魔女が物量で押して来ようがこっちも物量で戦えばええぞ! ええぞ!

 

 ではそろそろ……結菜さんとひめなに仕事をしてもらって、本来のチームにお帰り願いましょう。この先は各グループのマジの戦力も必要だぜ。

 

「……これでいいのかしらぁ」

「くれりんに言われた通りやったけど、うーん……私チャン的に成功した感覚ないし、いいの?」

 

 あっいいっすよ。

 そのために呼んだんだからなぁ、わざわざリーダー格を(大きなお世話)。

 

 詳しいことは後々解説するとして、そんなことよりやってきました鏡屋敷。

 

 中になだれ込むと鏡の魔女の結界入り口が見つかり……見つか……はいどいたどいた! 人多すぎて満員電車みたいになってんだよ!

 

「入りますか?」

 

 入口前で待機してくれていたいろはちゃんは偉いですね、ええ。

 

 なんせ内部はあの最果てのミラーズ。魔力を持ち出しているので構造が単純化してはいるものの、最深部に辿り着くまでに長々と時間がかかるし消耗するし私いじけちゃうし。正攻法の攻略はオススメしません。

 

 となれば、向こうから出てくるように外から超パワーで殴って誘き出すか、別の作戦が必要ですが……。

 

「……反応が近くなってる?」

 

 ところが、今回は瀬奈みこと関係者のくれはちゃんがいます。

 帆奈ちゃんがいた場合も同様、生前の関係者がいる場合は道中が圧倒的ショートカット。初期交友関係にいた偶然がこんなところで役立つなんてたまげたなぁ。

 

 本来は帆奈ちゃんを差し出して道を開けるつもりだったんですが、先に行ってしまったのでくれはちゃんで代用。神浜魔法少女ファイルを見れば帆奈ちゃんが生存してるかどうかがわかり、今のところ大丈夫なのでリセする必要がなかったんですね。

 

 

 さっそく乗り込むぜ、付いて来な!

 

 

 

 ~少女侵入中~

 

 

 一面真っ白の謎空間のこの場所が決戦場。だだっ広い鏡の魔女の結界最深部です。

 

「ぐっ……っ、こんの……――って、くれは!?」

 

 なんと既に帆奈ちゃんがいました。

 かかった時間的にも最速で到着してたみたいですね。

 

「なにこの人数……いや、あんたのその姿は……?」

「帆奈嬢、話している時間はありません。あなたのそのダメージ……この不可視の攻撃が原因のようですね」

 

 勝手にペレネル先生が解説してくれたうえに結界で防いでくれていますが、入ってもすぐに本体との勝負にはなりません。なんせ……。

 

「うげー! なんか弾かれた!」

「ビームが止まった? ううん、見えない壁があるみたいだにゃー」

 

 ラピヌお姉さまはさあ……経験で知るタイプ?

 さすがにこれだけ知識人がいると話がどんどん進みますね。

 

 本体と戦うためには、まずは透明バリア&謎の攻撃のコンボを突破しなければなりません。

 初見なら敵の攻撃の正体が掴めず、こちらの攻撃が通らない絶望感でど……どうすればよかとですか!? となること待ったなし。見えねぇってのは怖ぇなぁ。

 

 しかしRTAなので攻略法もわかってます。

 ペレネル先生の耳打ちで既に気づいた灯花ちゃんが『エネルギー変換』を使用したのがその証拠。魔法の性質を変換すればガラスの破片が飛んでくることがわかるでしょう。

 

 じゃあこのガラス片はどう破壊するか? 

 これも灯花ちゃんに任せれば問題ありません。無限のエネルギーを持つ彼女の広範囲攻撃で焼き払えばいいだけです。巻き込まれないで、どうぞ。

 

 しかし……彼女にはその前にやってもらうことがあります。

 かりんちゃんにアリナ先輩を働かせて、ペレネル先生と共に結界を張って守ってもらっている間にやっちゃいましょう。

 

 あっそうだ(唐突)。

 自動浄化システムの影響下だと、魔法少女は穢れが限界になると浄化されて魔力が戻ってきますが、それはなぜでしょう。

 

 答えはこれも灯花ちゃん。彼女の固有魔法『エネルギー変換』は、穢れを魔力に変換可能な半永久機関チート固有魔法です。

 

 自分に使えば自動浄化システムいらずだし全部灯花ちゃんだけでいいんじゃねぇか?

 とはいかず、変換で魔力を使うので、単体ではいずれ穢れのほうが上回りますし、灯花ちゃんだけが戦えても戦力がね……。

 

 でもここには、他人の固有魔法をくっつけられるひめながいるんだよなぁ。

 

 ではやりましょう。

 終盤だからこそできる固有魔法コンボ、通称……里見マジックイズパワーシステム!

 

 ヘイひめな!

 

「おけまる~、誰の固有魔法使うの?」

 

 ここで鍵になるのはさゆさゆこと史乃沙優希! 胡桃まなか! 夏目かこ! 氷室ラビ! 来な!

 

「……え~っ!? 沙優希ですかぁ~!?」

 

 そう、彼女の固有魔法は他に類を見ない『魔力提供』というMP受け渡し魔法。

 これを付与された灯花ちゃんは、誰にでも魔力を回せるスーパー魔力タンクと化します。

 

 さらにまなかちゃんの『伝播』。本来はダメージの余波を発生させるものですが、ラビさんの『概念強化』により効果を全体化させる魔法にエヴォリューション。

 普通の魔法を拡大化して全員に使うと魂が擦り切れたりするのですが、そこはこうしてカバーすれば問題ありません。使う対象は1人。しかし効果は伝播されていくわけだぜ。

 

 例えで面倒な計算をしてみましょう。

 灯花ちゃんが穢れ10を魔力1を消費して魔力10に『変換』。穢れが1発生。続けて魔力11を消費して全員に魔力10を受け渡す『魔力提供』。そして穢れが11発生。

 最初魔力が100あるとしたら、100→99→109→98とたった2しか消費しないにも関わらず味方全員に魔力10を配れます。まなかちゃんも消耗分が回復。増えた穢れも変換のタイミングでリセットされるので問題なし。

 

 でも魔力が減るならいつかは途切れるだろォン!? というのもごもっとも。

 そこで起きた現象を『再現』するかこちゃんと、またもラビさんの出番です。

 

 『再現』は目の前で起きた現象を自身の魔力範囲内で繰り返します。ワルプルギスの夜戦でもやったと思いますが、バフ盛り盛りの全体攻撃を繰り返せば、かこちゃんの消耗だけで連発できるわけですね。

 

 なので、里見マジックイズパワーシステムの"魔力回復効果"だけ繰り返します。

 

 そんな都合良くいくわけないのが本来の仕様……だが今は違う! 『概念強化』で強化された『再現』ならば、その都合良い繰り返しが可能!

 

 すると……灯花ちゃんが最初の1回を行えば、あとはかこちゃんが『再現』し続けるだけで無限に全員の魔力が回復し続けます。

 かこちゃんの疲労? そこに回復魔法持ちがおるじゃろ? 

 

 まあかこちゃんだけに任せるのも無茶なので、さゆさゆにも提供してもらいつつ、元凶の灯花ちゃんにも馬車馬のように魔力を配り続けてもらいましょう。

 

「……なるほど。『概念強化』にそんな使い方が」

「こ、これ私が再現し続けないといけないんですよね……頑張ります」

「まなかも灯花さんにひたすら……なんともまあ、理論上は可能でも激務な……」

「にゃー! 理不尽だよー! 科学に喧嘩売ってるよー! 魔法少女だからってわかってるけど、こんなのキュゥべえも想定しなかったはずだにゃー!」

 

 エントロピーなんて知らねーよ、そんなの。

 これで全員が無限行動できるんだから安いもんだろオォン!?

 

 当然くれはちゃんにも無限回復は適用されるわけで……唯一の欠点だった燃費の悪さが解消。

 『対象確定』くんは激重燃費でバランスが取れているのにその点を補っちゃ……ダメだろ! RTAだからいいんだよ(自己弁護)。

 

 これによりくれはちゃんはあらゆる行動に制限がなくなります。パーフェクトくれはちゃん誕生です。Finalじゃないので時間制限も精神疲労もない。なんだこいつ~!

 

「……あっは、あんた、本当に吹っ飛んでるよ。それでこそ、だけど」

 

 というわけで魔法少女全員で広範囲攻撃を叩き込みつつ、灯花ちゃんに変換とネオ・ジェネシス☆彡を連発させる重労働を強いてガラス破片を全破壊。これで連動しているバリアも割れます。あっという間に第一段階突破。

 

「はぁ……はぁ……なんかわたくしだけやってること多くないかにゃー……」

「灯花の魔法が便利だからだよ」

「と、灯花ちゃん……穢れが増えたら『回収』で受け取るから無理しないでね?」

 

 おう頑張れよ!(他人事)

 

 これでようやく鏡の魔女が姿を現します。

 そのサイズは南凪のクソデカ鏡で察せられるほど巨大。まさしくラスボスです。

 

 これがマギアレコード第二部ラストバトル、対『鏡の魔女(Winchester)』。

 

 見ての通りの図体なこいつは普通の戦い方では到底敵いません。

 コアの部位たる頭部以外にも腕が4本存在し、それぞれがボスクラスの能力値を持っている強敵です。さらに株分けの鏡の魔女が防衛についている始末。

 

「――行ってください! あとは私たちが!」

 

 そのためにこれだけの大人数を用意したので、いろはちゃんにお礼を言いつつ、くれはちゃんたち22人はこのまま頭部に駆けて行きましょう。

 もちろん頭部を狙える位置に移動するまでにも敵がいます。そこは他の4パーティのみなさんに頑張ってもらいます。あっもう三人しか残ってねぇ。

 

「ふげっ! ……私はこいつを倒す! くれはと帆奈は行って!」

「ラピヌ……」

 

 やっぱり株分けもいますが、ラピヌお姉さまなら倒せずとも延々と足止めできるでしょう。対魔女はちょっと相性が悪いねんな……。

 

 あっという間にもう二人。

 駆け抜けていくとそこには人影が。

 

「……そっか、ふたりして、私を止めようとするんだ」

 

 出たわね。

 

 鏡が映す瀬奈みことの幻影は直接的な攻撃手段を持ちません。

 関係者なため会話が入りますが、終了まで頭部も攻撃して来ないので、今のうちに最後の準備を整えましょう。ここでミスってたら笑えないよ!

 

 魔力無限回復ヨシ! クテラス・ド・ペレネルこと強化カトラス装備ヨシ! Finalじゃないけどヨシ!

 

「それに、こんな苦しめる世界は台無しになったほうがいいんだよ。もう泣く必要も選ぶ必要もないの。また一緒にいようよ」

「……違うよ、瀬奈」

 

 すいませ~ん帆秋ですけどぉ~前口上まーだ時間かかりそうですかね~?

 

 クキキキ……(待機)。

 やっぱラスボスだから、シナリオの方が若干太いと思います。120分ぐらいじゃないっすか?(適当)

 

 こんなにも互いの関係がすれ違ってるのはおそらく、『サヨナラ・ストレージ』が発生していないからでしょう。

 

 このイベントの発生時期は第一部開始前。それこそななか組長たちが魔法少女になる前かつ、瀬奈みことが魔女化したあとという超特定期間でしか起こりません。

 帆奈ちゃんが自らに宿った瀬奈みことの人格に気づけば発生するのですが……ハードモード特有のランダム条件と、初期交友関係にくれはちゃんがいることで気づかないポイントが急上昇ということでした(散々)。

 

「ごめんね、殺したくないの。でも、殺すしかなくなっちゃった……あれ、違うよね、滅べば幸せになれるんだから……合ってる……」

「瀬奈っ!」

 

 魔女とくっついた瀬奈みことはもはや生前とは別物。鏡の魔女ほどの絶望に人間の人格が耐えられるわけがないんだよなぁ。

 本気で襲ってくる彼女に普通の魔法少女ふたりで勝てるわけないだろ! いい加減にしろ!

 

 しかし絶対的な切り札があるので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さなちゃんの盾にかばわれながら、クロスボウから撃つ矢が夜空を駆けた。

 

 夜の神浜市は、たくさんの人が住んでいるなんて思えないほど静かだった。

 私の前を走るやちよさんが通せんぼするコピーを槍で両断する。鶴乃ちゃんはといえばそのサポートをしていて、使い魔はフェリシアちゃんがハンマーで叩いて倒している。

 

 そんなたくさんの音に溢れているのに、死が近づいているような恐ろしい静けさ。

 普通の人には見えないし気づけない滅びがすぐそこに迫っていると思うと、走る脚にいっそうの力が入った。

 

 私たちみかづき荘のメンバーと、ういと灯花ちゃんとねむちゃん、それと何人かのユニオンの人たちは、時女一族の魔法少女たちと協力して、鏡屋敷への道を進んでいる。

 

 使い魔たちの行動は事前に予想されていた範囲内。

 大きな鏡への魔力の運搬は中止されて、それに割かれていた使い魔たちが鏡屋敷を守ろうと移動し始めていた。

 

 だから実際に鏡屋敷に入るメンバー以外はその撃破と足止めををする……というのが、みんなで考えた作戦だ。

 

「ふっ、はっ!」

「おお……さすがは大将! コピーが一気に吹っ飛んだぞ!」

「でも静香ちゃんまだ眼鏡だよぅ!?」

「"いんてり"ってそういうものでしょ?」

「これはなにか勘違いしてるでありますな」

 

 一緒に進んでいる時女一族の人たちはとても頼りになる。

 多少突破されても、後ろを走る他の魔法少女たちが倒してくれる安心感もまた、私の緊張を和らげてくれていたんだと思う。

 

 そうやって私たちが鏡屋敷に着いたとき、全体の消耗はほとんどなかった。

 さすがに全員は一気に入りきれないし、リーダーだからという理由で私が結界の近くまで行って全員の到着を待つ。

 

「いろは」

 

 近くに来るまで"その人"に気づけなかったのは、いつもの緑の衣装じゃないからだった。

 

 私よりも背の高い彼女――帆秋くれはさんは、いつの間にか変わった真っ赤な衣装に身を包んでいて、優しげな瞳で私を見つめていたんだ。

 

「待っててくれたのね」

「くれはさんがいないと意味がありませんから……入りますか?」

 

 私の言葉にくれはさんは頷く。

 

 この先に鏡の魔女、瀬奈みことさんと、先に行った帆奈ちゃんがいる。

 かつて友達だった人が魔女になり、それでも会おうとするそれはどんな気持ちだろう。彼女が特殊な存在で、魔女になってなお対話できる存在であることは良いことなのかな、それとも、悪いことなんだろうか。

 

 ただ、私は希望を信じたい。

 半魔女になったういのことを諦めなかったように、くれはさんがまだ諦めてないのなら、精一杯そのサポートをしたい。

 

 ……そんな想いを抱きつつ、結界の中を進む。

 辿り着いたのは、真っ白な広い空間だった。

 

「……っ、凄い圧」

 

 遠目に見える鏡の魔女らしき黒い腕は、そこにあるだけで大きな重圧を感じさせた。

 魔力の反応も普通の魔女の何十倍とある。いったいアレは、どれだけ強いのだろう。

 

 そう感じたのは私以外も同じらしく、動揺とざわめきが聞こえる。ここまで来て恐怖心が湧いてきちゃったんだろうか。今や身を刻むような鋭さに二の足を踏んでしまっている。

 

 その空気を一変させるきっかけは、後方に跳んできた帆奈ちゃんだった。

 

「ぐっ……っ、こんの……――って、くれは!?」

「……良かった、無事だったのね」

「それはこっちのセリフだっての――ってなにこの人数……いや、あんたのその姿は……?」

「帆奈嬢、話している時間はありません。あなたのそのダメージ……この不可視の攻撃が原因のようですね」

 

 ペレネルさんという人が前に出て腕を一振りすると白い結界が張られる。なにかがぶつかってるのか、パリン、パリンとガラスの砕けるような音が連続して鳴り続けていた。

 

「……ふむ、相手はなにかを飛ばしてきています。これに当たると身体が傷つくばかりか、精神まで傷を負うようです」

「じゃあわたくしたちの影響もそれみたいだねー、急に楽になったもん」

「破壊しながら進めればいいでしょうが、見えないものを相手取るのは消耗が激しい。可視化できれば良いのですが……」

「うーん、だったら――」

 

 ……頼もしいな。

 

 私ひとりだったら、攻撃の正体に気づくことも、対策を考えることもできなかった。

 灯花ちゃんたちの会話の内容は難しくてよくわからないけど、どんどん攻略に向かっていっているのはわかる。

 

 気がついたら、身体に魔力が漲り始めていた。

 ソウルジェムが強く光り輝いている。限界以上の魔力がそこにあるみたいで、今ならどれだけ魔法を使っても穢れることがない気がした。実際、飛んでくるガラスの破片を撃ち落とすのも簡単だった。

 

「はぁ……はぁ……なんかわたくしだけやってること多くないかにゃー……」

 

 ……うん、その分灯花ちゃんは大変みたいだけど。

 ういとねむちゃんはその横について、他にも何人かの魔法少女が防衛に回るみたいだった。なんでも灯花ちゃんを中心とした固有魔法の協力があれば、魔力を気にせず鏡の魔女と戦えるんだとか。

 

 こうやってみんなに助けられたのは、それこそ神浜に来てからずっと。

 神浜で初めて出会った魔法少女のくれはさんとみとちゃん。小さなキュゥべえを探す手伝いをしてくれたももこさんに、私のことを心配してくれたやちよさん。

 

 そうやって色んな人に助けられて、いっぱいの幸せを貰ってきたんだ。

 みかづき荘のみんなだけじゃなく、魔法少女のみんなに、ずっと、ずっと助けられてきた。

 

 結菜さんも、静香ちゃんも、藍家さんも、氷室さんも、他のグループのみんなの想いを見てきて……ようやく思い描いた場所に辿り着けそうなのに、くれはさんたちだけが不幸になるなんて……とても認められない。

 

 それは――鏡の魔女が真の姿を現しても同じだった。

 

 見えていたのは単なる一部。だんだんと巨大化していく本体の姿はとても大きく、視界の中に全貌を捉えきれない。

 全身に感じる魔力の圧はさらに高まるけれど、特に強い場所……頭部の存在に気づくと、誰もが同じ判断をした。

 

「大将ッ!」

「ええ、時女一族は左腕に行くわよ!」

 

「私たちは右腕を狙うわぁ……帆秋の邪魔はさせないわよぉ」

「わかってるっす、抑えてみせるっす!」

 

「……姫、ぼくたちは左足を」

「教官も言ってたしね。『合成』が必要だから行けないけどガンバ★」

 

「私たちは右足を……那由他様、そちらは左足です」

「他の街の魔法少女もいるし、方向音痴ななゆたんはミィちょっと心配だな」

「か……勘違いしただけですの!」

 

 各グループと他の街から来てくれた魔法少女たちが散らばっていく。

 くれはさんのほうを見ると、彼女が集めたメンバーも同じく顔を向けていた。

 

「では私たちも頭部に向かう……それで構いませんね、このはさん」

「私とななかさんたちのチームが道中の敵の対処をする。あなたたちは……」

「自分と八雲、団地の魔法少女たちは援護に回ろう。都、他の指揮は頼む」

「思えば南と東の魔法少女が多いな……よし、纏めてなんとかしよう。令、このみ、オマエらは特にアタシの側を離れるなよ」

 

 全員の方針が決まっていく中、私たち、みかづき荘はどうすべきか。

 振り向くと、既に四人が待っていた。

 

「いろは、前衛は任せて」

「ふんふん、わたしも頑張るよ!」

「おう、硬いのはオレに任せとけ!」

「いろはさん、大丈夫です……」

 

 やちよさんが、鶴乃ちゃんが、フェリシアちゃんが、さなちゃんが、頷いた。

 

 みんな、わかってくれていた。

 私がくれはさんを送り届けたくて、頭部に向かうまでの道を進みたいことを。

 

 ……私たちが、絶対に邪魔させない。

 くれはさんと、帆奈ちゃんと、瀬奈みことさんの間に、希望があることを信じてる。

 

「――行ってください! あとは私たちが!」

 

 現れた株分けの魔女に向けて、クロスボウに全力の魔力を込めて、撃つ。

 この一射が、未来への道となりますように――!

 




■今回の内容
 第二部第12章『結ぶ永久の彩り』

■灯花ちゃん
 自爆させてしばらく退場させておかないとシナリオを壊すほどの活躍を見せる存在。
 このあとめちゃくちゃ疲労した。

■固有魔法
 元から組み合わせ次第でなんでもできる。
 が、固有魔法をくっつけられる『合成』。対象を変更できる『対象変更』。拡大解釈や進化で効果をなんとでも言い張れる『概念強化』でもはやできないことはない。固有魔法自体に影響与える固有魔法はヤバいって……!

■里見マジックイズパワーシステム
 固有魔法の組み合わせの暴力。本当にできるかは定かではないがここではできる。
 自動浄化システムも固有魔法の組み合わせなので似たようなもの。ただし一部の魔法少女に非常に負担がかかる。

■ガラスの破片
 第2部12章5話における特殊なイベント。鏡の魔女から飛んでくるガラス片をタップで破壊するミニゲームが唐突に挟まり、失敗するとストーリー選択画面に戻される。
 あまりにも唐突かつタップしないといけない説明がないので、突破できないプレイヤーが多かったのか、公式のFAQに進め方が書かれている。

■サヨナラ・ストレージ
 瀬奈みこと実装イベント。『散花愁章』などの一連の過去話。発生しているとこの小説と矛盾が起きるので発生していないことになった。だからランダム要素多めのハードモードにしておく必要があったんですね。
 後日談で『さよならさえ言えなかった夕暮れ』を捏造してしまったため、よりにもよって実装イベントで"さよなら"が被ってしまった。

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